真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中)   作:ブラック・レイン

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地獄での鬼ごっこ 地獄での死闘

ダンテが第3カルパの奥に向かうのを見送るとオレはその後を追った。

 

後を追うとすぐに視線を感じた。

 

その視線は、敵意が存在するが野良悪魔のような粘つくような敵意でも、見下したような敵意でもなかった。

 

なんとそれを表現しようか。推敲していると。

 

バン!

 

「おっと……!」

 

後ろから撃たれた。犯人は勿論、あのデビルハンター。

 

「ショウタイム、ね。あんたの独壇場にはさせねぇよ」

 

オレは舌を出してダンテを嗤うと通路を縦横無尽にはねながら進んだ。

 

ダンテが双銃を二つともオレに向けて発砲する。

 

悪魔退治用に強化されているのか、その銃は威力も、連射の速度も異常だった。おまけに弾切れを起こす気配もなし。

 

まぁ、悪魔との戦いにリロードをいちいちしていたらその間に八つ裂きだが。そう思えば、あの連射速度も威力も対悪魔なら妥当か。

 

オレはダンテの目を見て、あるいは銃口を見て弾道を予測する。

 

目を見るなら相手の強さに飲み込まれるな。銃口を見るならその殺意に飲み込まれるな。

 

そう自分に言い聞かせ、オレは集中する。

 

ダンテが引き金を引く。銃口から殺意の塊が放たれる。それがオレの目に向かっていく。それがオレにははっきり見えた。

 

「フッ!」

 

オレは呼気とともに頭を傾け、紙一重でそれをかわす。その時間はまさに刹那。

 

バン!バン!バン!バン!バン!バン!

 

「……!………!………!」

 

ダンテは勝ち気な笑みを浮かべながら弾丸の嵐を吹かす。オレは無表情で避ける。

 

頬に、足に熱を持った弾が掠める。それに意識を取られたらゲームオーバーだ。そんなのこの地獄でいやというほど学んだ。

 

オレは曲がり角を曲がると、忍者のように壁を駆けた。

 

ダンテが曲がり角から現れ、弾を飛ばす。

 

飛んだ弾の位置から回避不可能。そう判断するとオレは剣を作り出す。

 

己の生命力で作ったそれをオレは弾が通る弾道を阻むように振るう!

 

キィン!という澄んだ音とともにこちらに飛ぶ弾丸が二つに斬れ、オレの後方に飛ぶ。

 

それに構わず、オレは何度も剣を振るい、弾丸を全て斬り落とした。

 

ダンテがそれを見て口をすぼめる。口笛を吹いてオレの今の行為に小馬鹿にした賛辞でも心に浮かべているのか。

 

「嘗めやがって……!」

 

憎々しげにそういうとオレは通路の奥にある扉を開け、その奥へ身を躍らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、オレの進路を阻むようにダンテは現れた。裏道でも知っているのか。

 

その様相は確かに狩人。悪魔を獲物とするハンター。

 

あくまでオレを獲物を仕留めるつもりで殺すつもりか。

 

オレは悔しかった。敗北の味はもう味わいたくないのに、逃げなければいけないのは。途方もなく悔しかった。

 

だがダンテは間違いなくオレより上にいる。気配が、奴の目がそれを教える。

 

勝つ見込みが浮かばないのだ。

 

こんなことは始めてだった。策を弄せば、状況なんていくらでも覆せたのに……。

 

その時、オレは察した。

 

オレもいつの間にか傲慢になっていたと。

 

策を弄せばどうにもなるなんて愚にもつかない事をかんがえていたのだ。

 

そんなの、今までにオレが愚かと内心で笑ってきた悪魔と考え方が同じではないか。

 

オレは………オレが勝ち組にいられたのは……!

 

「いっ!」

 

頬に弾丸が掠めた。頬から血が流れる。

 

「どうしたんだい少年?もうバテたか?」

 

通路の奥で、ダンテが笑う。

 

「クソッ!」

 

オレは悪態をつきながらオレは走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは奥へ奥へと進んだ。

 

オレの力の原動力がなんなのか。それを、探しながら。

 

負け組のオレはなんで勝とうと思ったんだっけ?

 

負けたくなかったから?それもある。だがもう一つあったはずなのだ。それよりもっと単純で、もっと根深いもの……

 

いつの間にかダンテはいなくなっていた。オレを見失ったのか。

 

そう考えて、オレは否定した。

 

奴が見失うはずがない。あいつは狼のようにオレを追いかけるだろう。

 

ほら……感じる。

 

「逃げられた、と思ったか?」

 

背後から降りかかる男の声。オレにとって、どの魔人よりも死神たる男の声だった。

 

「……いや。そうだったら良いな程度とは思っていたが」

 

オレがそういうとダンテがギラリと目を光らせた。

 

「……甘いな。これで……チェックメイトだ!」

 

「それは……オレを屠ってから言いな!」

 

オレが振り向くと同時にダンテは双銃を向けた。

 

そして、死闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレのサマーソルトキックをすれすれでかわすとダンテが大剣を袈裟斬りに振るう。オレは後方に回転して逃れる。

 

「成長はしてるみたいだな。ま、そうこなくちゃ面白くないさ」

 

息のあがるオレにダンテはそういいつつ大剣を振るう。

 

オレは紙一重でそれを避ける。

 

仲魔達はすでにダンテによって斬られて、あるいは射殺されている。残るはクイーンメイブのみ。

 

彼女だけは殺らせたくはない。彼女はオレの恩師なのだから。

 

しかし、あぁ。足りない。この男に勝つためには、力が足りない。

 

如何に考えても、まるで勝つ見込みがない。

 

あぁ妬ましい。この男の力が。

 

これくらい力があれば、千晶も勇も守りながらこの地獄を歩けたろうに。二人を歪ませることにはならなかったろうに。

 

憎い。勝てぬ自分が形容しようもなく、憎い。

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憎い?

 

 

 

その瞬間……ダンテの大剣がオレの首へ向かう瞬間、その言葉が頭に閃いた。

 

オレはなぜ敗北を忌んだ?オレの敵を、敵となる者をどんな手を使ってでも潰そうと思った?

 

何が、その原動力となり、引き金となった?

 

それは……この身を焦がすという言葉が相応しい、

 

敵に対する、そして負け続ける自分に対する。それはそれは黒い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憎悪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァッ!!!!!」

 

その言葉とともにオレは剣を作り、ダンテの剣を止めた。

 

そしてダンテの腹を蹴り飛ばす。

 

「おっ⁉」

 

予期してなかったのか、驚いた声をあげて吹き飛ぶ。

 

オレは歯を剥き出し、追撃を掛ける。

 

殴打、剣撃、魔法。それを全技術をもってしてダンテに喰らわした。

 

「ッ!」

 

吹き飛び、壁に打ちつけられ、着地するとオレをギラリと見たダンテ。

 

「ここまでやるとは思ってなかった」

 

「なら無知なまま死ねッ!」

 

オレは剣を振るうとダンテは自身の剣で止め、銃でオレの剣の腹を撃つ。

 

剣はオレの手から吹き飛んだ。

 

その衝撃で体勢を崩したオレを、ダンテは殴り飛ばした。

 

「オーケイ、見せてやるよ。大人のマジな戦いってやつを!」

 

そういうとダンテはおもいっきり剣を振るった。

 

巨大な剣撃がオレに向かって飛ぶ。

 

「ぐおっ!」

 

その重さに呻く。

 

だがダンテはそのまま飛び上がると銃でオレに弾の雨を降らせた。

 

「ちぃ!」

 

剣撃を反らし、避けようとするが体勢を崩してしまった。

 

結果、弾丸がオレに当たる。

 

「グフッ!」

 

全身から血が吹き出るが、構ってられない。剣撃を弾き返すとダンテの技はまだ終わってないのだから。

 

ダンテは空中で大剣を大上段に構えると、落下。着地と同時にそれを叩きつけた。

 

「ショウタイム!」

 

その叫びとともにエネルギーの波がオレを襲った。

 

絶体絶命。そう思った時だった。

 

「させないわよ!」

 

クイーンメイブがひとりでに現れ、その攻撃をかばった。

 

「なっ!」

 

吹き飛ぶクイーンメイブ。その姿を見てオレのなかで憎悪がさらに加速した。

 

「殺す!お前だけは絶対に‼」

 

両手に炎を灯し、ダンテに突進する。

 

ダンテはそれを止めるために銃を乱射するが、それに構わずダンテにその技を叩きつける。

 

「“マグマ・アクシス”ッ!」

 

「ッ!」

 

大剣をかかげ、ダンテは紙一重で体への直撃は避けた。

 

「ぐっ!」

 

自分を省みず、威力のみを考えて放ったマグマ・アクシスはオレの手を吹き飛ばした。

 

もちろんダンテも吹き飛ぶ。しかし空中で受け身を取ると着地した。

 

そしてニヤリと笑い、大剣の切っ先を向けると

 

「yeah!」

 

オレに向けて突き入れた。

 

「ッ!」

 

やられる!そう思った。

 

が、ダンテの攻撃はオレの体と腕の間……つまり脇の下に突き入れられた。

 

「……やるじゃないか。ますます気に入ったぜ」

 

そういってニヤリと笑うダンテにオレはダンテの意図を悟った。

 

また、手加減されていた。遊ばれていた、と。

 

思わず歯軋りをするオレ。ダンテはそれを見て笑みを深くした。

 

「そんな顔すんなよ。最後のはさすがにオレも命の危機を感じたぜ」

 

「………なんで最後の攻撃を外した…!」

 

ギリリと自分でも分かるぐらい歯を食いしばり、問うとダンテは答えた。

 

「このままお前とやりあったところで……それじゃああのシジイの思うつぼだ。それも面白くねぇからな」

 

「……あぁ、そうかい」

 

それこそ、オレにとっては面白くねぇ。

 

ダンテは剣を引き抜くとぶつぶつと呟いた。

 

「オーケイ、行けよ。もう引き止めないさ。掃き溜めでガタクタ集めでもしてりゃいつか真相に大当たりと考えていたが……予定は変更だ」

 

そういうとダンテは懐から何かを取り出した。

 

メノラーだった。

 

「先に進むにはこいつが必要だな。オレはこんなものに興味はない。興味があるのはシジイの狙いだ。お前にやるよ」

 

メノラーをひょいと放り投げるとダンテは振り返り、歩きだした。

 

「じゃあな少年。お互い生きて成果を挙げられりゃ……また会う気がするぜ……」

 

「冗談……!野垂れ死ね」

 

ありったけの怨嗟の声を呟くと、聞こえたのか。ダンテはクツクツ笑い、去っていった。

 

残されたオレは、自分の不甲斐なさに嫌気を指しながらメノラー……【知識のメノラー】を拾い上げ、メイブの治療に向かった。

 

この憎悪。あの男にだけ向けられてはいない。

 

最も憎いのは、勝てない自分自身だ。

 

仲魔に庇われ、なお勝利を掴めない自分自身だ

 

弱い弱い……自分自身だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




構図とか、凝りすぎたかな。

感想、質問受け付けてます。

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