真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中)   作:ブラック・レイン

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氷川の見せ場になります。

勇の登場は次回になりますね。


シジマのコトワリ

 

サクサでアイテム買いに奔走していると無視できない噂を聞いた。

 

『マントラ軍の本営付近で氷川を見た』

 

オレはイケブクロに急行した。ヒジリは、オレがターミナルに駆け込む様を見て腰を抜かすほど驚いていたが、気にしている暇はない。

 

オレは急いでターミナルを回転させ、イケブクロにむかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イケブクロに到着し、マントラ軍本営跡に到着すると、

 

 

そこにいた。

 

世界を壊し、ボルテクス界に変貌させた男、氷川が。

 

オレはその背に声を浴びせた。

 

「元とはいえ、敵の本拠地に護衛もなく来るとは、大した胆力だねぇ。氷川さん?」

 

その声を合図に氷川が振り返った。

 

「ほぅ、誰かと思えば……君か。意外な役者が現れたものだ」

 

氷川は階段の上からオレを見下ろした。その様は、とてもただの脆弱な人間とは思えない。氷川自身は、悪魔を使役できる以外には単なる人間のはずなのだが。

 

「久しいな、少年。いや【人修羅】と呼ぶべきか。よもや君がそうだったとはな。どうやら我々は出会うべくして出会ったらしい」

 

「……どういうことだ?」

 

氷川の言葉に含みを感じたオレは氷川に問うた。

 

氷川はすぐには答えず、マントラ軍の本営であったビルを見上げた。

 

「……我が創世のためのマガツヒはマントラを滅ぼした時にほぼ満ち足りた。だから、君がオベリスクに行くのを敢えて止めはしなかった。君の人修羅としての力が本物か、試したかったからな」

 

オレは頬がピクリと動くのを感じた。

 

思えば、オベリスクの守備力は組織的に考えてみれば薄かった。まがりなりにも軍を名乗っていたマントラを抑えているニヒロ機構なら、数も質もあれだけでは済まされなかったはずなのだ。

 

嘗められている。それがあの赤いコートを着た男を彷彿させられて余計に腹がたった。

 

しかしオレはぐっとこらえ、氷川の言葉を待った。こいつの言葉は有益な情報になる。

 

「しかし君は刺客を退けただけでなく、独力で巫女を救いだしてみせた。【ミロク経典】にも記されていたその力……私の予想以上だ。

君なら務まるかもしれない。ともに『シジマ』を啓く大役がな」

 

「シジマ?」

 

オレが問い返すと氷川はオレを見据え、語り始めた。

 

「人の欲望とは灯火のようなものだ。小さく、暖かくて心地よい。だが火はやがて炎になる。全てを喰らい尽くす怪物へとな………だが人はそれを愛しすぎた。その温もりに依存し、全てを灰にするその破壊の本性には目を背けていたのだ」

 

「人は世界に尽くすためにあるべきなのだ。ひいてはそれが人の安息を約束する。

何を求めるべきであり、何を求めてはいけないのか。それを決めるのは人ではない。世界だ」

 

「人はただ、世界を照らす信号台であればいい。穏やかに廻り、明滅し、世界の意思と一つになる。それが最善にして最高の生業なのだ。

 

……そうは思わないかね?世界はただ、静寂であれば良いと…」

 

オレの内心を問いかけるその言葉。自分の考える『世界』に絶対の自信と正を持つ言葉。

 

オレはその時、氷川の言うシジマの意味を知った。

 

黙と書いて『しじま』と読むことは知っているだろうか?つまりは静寂そのものの言葉。

 

そしてそれが、氷川の掲げる思想。コトワリだ。

 

オレは同時に思案した。

 

氷川の言う通り、巨大すぎる欲望は常に破壊者であったし、あり続けている。

 

欲にまみれ、暴走し、不幸と破壊と死を振り撒いた人間など探せば何人でも見つかるだろう。

 

「確かに」

 

オレのその言葉に氷川は微笑む、がオレは首を降った。

 

「だが氷川。お前のいう破壊者にまみれてるのはお前とてそうだろう。人間の、一種の【醜さ】に絶望し、それを無くしたいという欲に暴走し、世界を破壊し、全生命体を滅ぼしたお前は一体なんだよ?

 

氷川。お前も炎だ。静寂であれと望みすぎたお前もオレにとっても、死んでいった者たちにとっても全てを焼き尽くした破壊者だよ。

 

そのお前の思想、オレは是としない。

 

そのお前の思想、オレは否定する」

 

オレの言葉に氷川は目を見開き、そして無表情にこう言った。

 

「………そうか。残念だ。我が理想、悪魔の君には理解できないようだな」

 

「元よりオレの敵であるお前に着きたくもねぇ。お前がオレにしてきたこと……忘れた訳じゃあねぇだろ?」

 

氷川はオレのこの言葉に一切の反応を見せることもなく、階段を降りはじめた。

 

「さて、そろそろ私は行かねばならん。全てが終わるまで安心はできない。

君は気づいているかね?この地に漂う不気味な気配を。滅んだゴズテンノウの力の残り火に与ろうとしている者が不気味に胎動を始めている」

 

「なに?」

 

それはつまり、ゴズテンノウの力を自らの物にしようとしている者がいるということか?

 

一体誰が。氷川の創世の邪魔になるということは、そいつも創世をしようとしているということだろう。

 

そうなればそいつは人間になる。悪魔は創世ができないというのはあの喪服の女に教えられている。

 

いったい……誰だ?

 

「……他の愚かなコトワリを啓こうとするものに遅れを取るわけにはいかない」

 

氷川は階段を降りきると空にむけて高らかにこう叫んだ。

 

「世界を創るのは……この私なのだ‼」

 

そういうと氷川は去っていった。

 

その氷川の影が、怪しく胎動するのが見えた。そこから感じる、微かな、だが強力な妖気。

 

護衛もなしに、とオレは言ったがどうやら護衛は伏せてあったようだ。

 

静寂の世界を拓かんとする氷川、それに付き従う悪魔。

 

オレには、その様は世界の全てを統一せんとする欲望にまみれた王にしか見えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





零時と氷川、うまく書けているかな……

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