真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中) 作:ブラック・レイン
サカハギ戦になります。こいつよりも道中の妖精に苦戦したのが作者の思い出……
ヨヨギ公園は妖精の楽園としてボルテクス界では有名だ。
シンジュク衛星病院およびシブヤの地域に存在するヨヨギ公園が他の悪魔に襲われないのはヨヨギ公園内部のみにいる悪魔が強いからと聞いていたが。
「うなずけるな……」
妖精 ティターニアの放つ“絶対零度”を捌きながらオレはしみじみと呟いた。
ヨヨギ公園内部に侵入し、暴走状態にある妖精達から攻撃を受けた。
5体や6体ならなんとかなるが妖精の恐ろしいところは数と連携だった。
おまけに弱点を庇い合うように現れるので厄介この上ない。
特に恐ろしいのはこのティターニア。『魔法全般に強い』というチート耐性に加えて回復・補助もこなす強敵。
ぜひ仲魔にしたいところだがこの状況じゃ不可能だし……なんとかしてサカハギを止めなくては……
オレは暴れる妖精達を撃ち落としながら先に進んだ。
「まったく客が多くて嫌になるぜ…」
「オレはお前の存在が嫌で嫌でしょうがねぇよ」
妖精の猛攻をくぐり抜け、奥にたどり着くなりサカハギのブスッとした声が響き、オレはそれに負けないほど不機嫌な声をあげた。
サカハギの手には明らかに異常な雰囲気を放つ石が。あれがヤヒロノヒモロギとやらだろう。
客が多いというのはオレの他にもそれを狙う者が現れた、ということか。
「オマエまで来やがったか。止せばいいものを……どいつもこいつも釣られるもんだな。だがこのマガツヒはオレ様の物よ」
嘲るように舌を鳴らしながらサカハギはそう言い捨てた。
「さっきも人間の小娘が一人来やがったが……造作もねぇ、可愛がってやったよ……たっぷりとな…」
「あぁ?」
人間?このボルテクス界に?
小娘と言うぐらいなら先生よりも若い人物。
そして先生の言った『生存する人間は受胎時にシンジュク衛生病院内にいる人間』それに該当する人間は……!
まさか……いや、まさか……!
そこでオレは見てしまった。サカハギの後ろにあるものを
そこにあったのは一本の切断された腕。
そこに散らばるのは血肉の他に、デニム生地のような切れ端。
そこでオレの恐ろしい予想が当たってしまった。
デニムの服。生き残りの少女。
斬られた腕の持ち主は、橘 千晶のものだ。
その途端、オレの胸に憎悪の炎が灯った。
「……………ね」
「あ?なんだと?」
「死ねっつったんだよ‼」
オレはそう怒鳴り、光る剣を生成して斬りかかった。
「ッ⁉チッ…!」
サカハギは驚愕の表情を浮かべながらもナイフでそれを受けた。
そしてサカハギは身軽に飛び退くと冷や汗を拭った。
「危ねぇ危ねぇ。こんなところで死ぬわけにはいかねぇんだよ。言ったろ?オレは悪魔を支配するってな…」
サカハギは霊石を握りながら瞑想するかのように目を瞑り集中しはじめた。
大量のマガツヒがヤヒロノヒモロギから放たれ、サカハギの影が伸びた。
そしてその影から、巨大な悪魔が現れた。
1つしか目がない象頭の悪魔は巨大な剣を振るいながら嘶いた。
「パオオオオオオオオオォォォン‼」
悪魔は、邪神ギリメカラは1つしかない目をオレに向け、進み始めた。
その後ろでサカハギが嗤う。
「悪魔の皮か……さぞかし良い皮衣になるだろうよ‼」
その姿を見ながらオレは唸った。
「野郎……オレがお前の皮ぁ剥いでやるからな……その前に象野郎!てめえから片付けてやる!」
オレは仲魔を召喚し、ギリメカラに攻撃させた。
が、次の瞬間。仲魔が吹き飛んだ。
「何……?」
ギリメカラは何もしていない。なのに、仲魔が吹き飛んだ。
オレは1つの仮説を思いつき、ギリメカラに向けて弱く殴った。
するとギリメカラの周囲にうっすらと光の膜が現れ、殴ったショックが跳ね返ってきた。
オレは察した。
「こいつ……!物理反射か!」
悪魔の耐性は弱点、半減、無効の他にもう二つある。
1つは特定の属性をそのまま自分の生命力にしてしまう吸収。そしてもう1つがギリメカラのような反射。
耐性としての反射は、時間経過で消えてしまう【テトラカーン】や【マカラカーン】と違って半永久的にその効果は続く。
つまり、ギリメカラには魔法しか使えないというわけだ。
「全員!魔法攻撃を集中させろ‼」
「まかせなさい!」
「分かりましたわ‼」
クイーンメイブとパールヴァティはそういうなり、電撃と火炎の攻撃をギリメカラに浴びせた。
「パオオオン⁉ブウオオオ!」
明らかにダメージを喰らっている様子のギリメカラ。しかしさすがにあれほどのマガツヒを使って召喚されたからか、これぐらいでは倒れなかった。
ギリメカラは巨大な剣を振り上げ、瘴気の力を纏って振るった。
【ベノンザッパー】
瞬間、ギリメカラの剣から紫色の斬撃が飛んだ。
「させやしねぇよ。セイテンタイセイ‼」
「はいよ、大将‼」
オレは仲魔の一人、破壊神 セイテンタイセイを呼び、剣を構えた。
オレとセイテンタイセイは同時に技を放った。
「【鬼神楽】ァ!」
「【八相発破】ァ!」
オレは目から無数の光弾を、セイテンタイセイは橙色の波を放った。
ドォーン!という音とともにギリメカラの【ベノンザッパー】とオレの【鬼神楽】とセイテンタイセイの【八相発破】がぶつかり、相殺された。
「ちっ!カジャが入ってないとこんなもんか……セイテンタイセイ。あっちの補助は頼むぜ?」
オレはギリメカラに攻撃している女性悪魔二人を見ながら、そういった。
「へいへい。まったく補助役は柄じゃねぇんだが……」
「じゃあお得意の物理であいつ殺ってくれよ。なら文句はないぜ?お猿さん?」
「冗談キツいぜ、大将」
セイテンタイセイは女性悪魔二人の方向に向かっていった。
それを見送ったオレはギリメカラの注意を引くため、奴の懐に飛び込んで技を使った。
【マグマ・アクシス】
「喰らいなァ!」
獄炎の掌底をギリメカラの腹に喰らわせる。
「ブオオオン⁉パオオオン!」
痛みに喚きながらオレに攻撃しようとするがそれをすれば別方向にいる仲魔達が魔法を雨あられと降らせる。
で、仲魔に集中するとオレから攻撃が飛ぶ。
この形が完成した時点で、ギリメカラは詰んでいた。
飽和攻撃というのを知っているだろうか?簡単に言ってしまえば多重に、かつ効率的に攻撃を浴びせて敵の防御の手をいっぱいいっぱいにしてしまうのだ。
ギリメカラはそれに嵌まった。
多重に魔法に打たれ、頑丈なはずの巨体がぐらりと傾いた。
オレはそれを見るなり、もう一度両手に炎を灯し、飛び上がった。
そしてギリメカラに向かって落ちながら手を打ち出す。
「死になァ!【マグマ・アクシス】‼」
ギリメカラはそれに対して剣を振り上げるが、仲魔達の攻撃を受けすぎたのかあっけなく砕けた。
そして獄炎の掌底がギリメカラの目に直撃した。
オレはそのままギリメカラの目を貫き、そのまま頭部を貫いた。
「ブオオオアアアアアアアアアアアア‼」
断末魔の声をあげながらギリメカラは大量のマガツヒとなって散った。
オレはシュタっと着地するとそのままサカハギの方へ駆けた。
サカハギは渾身の力を使って召喚したギリメカラが倒されたことがショックだったのか。しばらく呆然としていたが、オレの接近に気付き、ナイフで応戦した。
オレの拳と、サカハギのナイフが衝突する。
「皮剥がれる覚悟はできたかイカれマネカタ」
「冗談じゃねぇ……!」
サカハギは恐怖と怒りが入り交じった声を吐き捨てながらナイフを振るうが、遅い。
オレはナイフを首を傾けてかわすと肘鉄をサカハギに喰らわし、もう片方の手で技を放った。
【アイアンクロウ】
爪を立て、サカハギの腹に向けて腕を振るう。
オレが放った【アイアンクロウ】はサカハギの腹を深々と抉った。
サカハギはゴホッと血をはきながら目を恐怖で見開いた。
「なん……で……こんな……やつ…」
「うるせぇよ」
オレはサカハギの言葉を最後まで聞かずに、拳でサカハギの頭を砕いた。
返り血で真っ赤に染まるが、こんなことは日常茶飯事だし慣れてしまった。
オレはサカハギの遺体から乱暴にヤヒロノヒモロギを引き抜いた。
彼の霊石はサカハギに力を使われてしまったからか、力の欠片も感じなかった。
「大丈夫なのかね。これで?」
先生はどうもヤヒロノヒモロギの神を操る力のみが欲しいようだが、マガツヒを失ったヤヒロノヒモロギからは全く力を感じられなかった。
オレはとにかくそれを物置空間に放り込むと、仲魔に先生のところに戻るぞと号令して去っていった。
本当は千晶(のものと思われる)腕を持ち帰りたかったが、仲魔の餌になりかねない。このまま放置するのと変わらないので断念せざるをえなかった。
それにしても千晶も創世のために動き出したのか。
彼女の言う。『優秀な者だけが生きる世界』を創るために。
そんな世界。創らせるわけにはいかない。
元弱者のオレには、そんな世界は許容出来ない。
勇も千晶も、創世の道は絶たせてもらう。
二人の創る世界は、オレには絶対に許容できない。
オレは誓いを胸に歩いた。