真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中)   作:ブラック・レイン

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今回、物語の重要な部分です。分かる人は分かると思いますが。

その展開の零時君の心理描写に注目です。

それでは、本編をどうぞ……





三神の死の果てに

 

ここの神殿の名前は【アマラ神殿】。思念体に教えてもらった。

 

このボルテクス界周辺に繋がるアマラ経絡を流れるマガツヒが流れ着く終着点がここだそうだ。なるほど、確かにそれならここに大量のマガツヒが溜まる。

 

しかしそれを独占しているのなら、異邦の三神と勇が評した悪魔は相当強力ということになる。これは気を引き締めないと、死ぬのはこちらかもしれない。

 

オレは意を決してピラミッドの一つに入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暗い!道がない!」

 

オレはピラミッドの内部に入ってしばらくし、叫んだ。

 

アマラ神殿【黒の神殿】。内部がダークゾーン、つまり真っ暗のこの神殿は光玉、あるいは明るくする魔法の【ライトマ】がなければ探索できない仕掛けになっている。

 

それを駆使してなんとか神殿を探索出来たが、今度は道がないということに頭を悩ませた。

 

辺りにいるうちにいる思念体に話を聞いていると、どうも地下にいるようだがその道がない!どうなってるんだこれは……

 

「あぁ、そうだ」

 

オレはその時閃いてしまった。

 

なぜいちいち階段、エレベーターその他階層を移動するノーマルな手段を探していたのだろう。

 

道がないのなら、ましてや下に行く手段がないのなら『床をぶち抜けばいいじゃない』

 

そう考えついたのなら善は急げ。オレは階下に敵がいないかどうかを気配で確認すると、

 

「んイャヤァ‼」

 

泥臭い掛け声とともに床をぶち抜いた。

 

階下に床の破片とともに落下するが、落とされることは慣れている。

 

そしてどうものんびりとしていた様子の異邦のカミサマその1が驚いたようにオレを見ていた。

 

巨大な悪魔だ。顔しか地上に出ていないというのにトロール並みに図体がデカイ。

 

……………まぁ、いつも通り『小さく見えてしまう』が。それも、ここ最近ますますその感じが強くなる。

 

おかしいねぇ。相手さんは強いはずなんだが。

 

まぁ、こんな派手な登場をしたんだ。お話に出てくるヒーローの………やめておこう。オレは悪魔だ。悪役のセリフを吐こう。

 

「お前に恨みはねぇが………悪い。死ね」

 

その言葉に唖然としていた悪魔……魔王 アルシエルは我に帰り、怒り狂った。

 

「悪魔でも人間でもない小童が!いきなり我が安息を潰してくれたばかりか、私に死ねだと⁉ふざけるなあァァァァァァァァ‼」

 

襲いかかってくるアルシエルを見ながら、オレは拳を構え、仲魔を呼んだ。

 

10分後、ピラミッドの地下に赤い花が咲いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!本当にやりやがった。呆れた奴だ、こんなやつのためにそんな危険なことをやるかねぇ」

 

「やるさ。ヒジリのおかげで助かったことだってあるんだ。恩返ししてやらないといけないんだよ」

 

噛みつくように言い返すと、勇は鼻を鳴らした。

 

「………そうかい。ま、残りも頑張ってくれよ」

 

そういうと勇の声が聞こえなくなった。

 

オレはふんと鼻を鳴らし、次のピラミッドに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く赤の神殿は影を踏むと影の世界にご招待されるという厄介な仕掛けが施されていた。

 

影の世界からは光の柱に触れれば抜けられるが、影の世界は踏むだけで傷がつけられるダメージゾーンというものがあちこちに配置されていて歩きづらいったらありゃしない。

 

なんとかそれを抜けて神殿の最上階に着くと床から全身真っ黒の女悪魔が出てきた。

 

「ほほ…中々の美丈夫。妾の影を縫ってここまで来るとは、お主、下にいた小倅の仲魔かえ?丁度マガツヒをすするのにも飽いたところ。今度はお主の血と精で渇きを癒すことに致すゆえ、さぁ近う寄れ」

 

「全力でお断りだ。真っ黒女」

 

オレはそういうと女悪魔……地母神スカディに思いっきり【マグマ・アクシス】を放った。

 

いきなりの攻撃に反応出来ず、吹き飛んだが、さすがに死にはしなかった。

 

「おのれ……妾に対するその無礼……!命を以て償うが良い‼」

 

「お断りだ。とっとと死ね」

 

オレはそういうとアルシエル戦でやったように仲魔を呼に

んだ。

 

10後、再び神殿に赤い花が咲いた。

 

スカディがマガツヒに消えると再び勇の声が響いた。

 

「よし、その調子だ。いやあ、ラクでいいぜ」

 

「だったら手伝えよ。もっと楽で良くなるぜ?」

 

「『お断りだ』。立場、理解してるだろう?」

 

オレがスカディに吐いた言葉で返し、オレを嘲笑うと勇の声がまた聞こえなくなった。

 

反応するやる気すら無くしたオレは最後の神殿に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「右じゃねぇよ左だって‼」

 

「いーや右よ!ここを左に曲がって飛ばされたんじゃない」

 

「いえ、クイーンメイブ。ここは真っ直ぐです」

 

「零時ヨ。我ハ腹ガ減ッタゾ」

 

「お前はさっきから悪魔バクバク喰ってるだろぉ‼」

 

白の神殿。オレ達は迷子になっていた。

 

ここの仕掛けは簡単。扉を開けるとどこかに飛ばされる。

 

おかげであちこち歩き回る羽目に陥り、仲魔同士で言い争って今に至るってわけだ。

 

その後、延々と歩き回って飛ばされてやっと最上階についた。

 

少し待っていると床から粘土で作ったようなデッカイ人間の上半身がにょきにょきと生えてきた。

 

「ズ、ズッドォォ~ン!ココ 食ノ殿堂!飽・食・満・喫!!邪魔スル奴ハ、殴・打・殲・滅!!ブルルル!!!」

 

そういうなり粘土悪魔……威霊 アルビオンは自分の体で作ったような巨大な棒を持ち、床を叩いた。

 

すると赤、青、黄色、緑のシミが床に現れ、そこから小さなアルビオンのような悪魔が生えてきた。

 

分霊 サーマス・ユリゼン・アーソナ・ルヴァと名前が分かる。

 

「ゲッ」

 

いきなり増えた敵に呻くとアルビオンが野太い声をあげた。

 

「分・身・整・列!戦・闘・開・始!!」

 

そう号令すると分霊達が魔法を飛ばしてきた。

 

こっちも負けていられない。オレは仲魔を呼び、分霊の一体に斬りかかっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、疲れた………」

 

アルビオン達がマガツヒに消えるとオレは座り込んでしまった。

 

アルビオン達はアルシエルやスカディと比べて一体一体は弱いのだが、分霊が全滅すれば本体のアルビオンがまたにょきにょき生やしてくるし、だからといってアルビオンを倒すと今度は分霊達がアルビオンを生やしてくるし、キリがなかった。

 

なんとか【ゼロス・ビート】でまとめて倒したが、ここまで疲れる戦いは久しぶりだ。

 

まぁ、マガツヒは大量に喰えたし、マガタマも手に入れたし労力には見会うか。

 

そう思っていると、勇の笑い声が響いてきた。

 

「くくっ、ほんとに全部倒しやがった。自分にゃ何の得にもなりやしねぇのに。……オマエ、そんな利用されるばっかりでいいのか?」

 

「仕方ない、立場考えないといけないんだから。まぁ、てめえは後でぶん殴ってやるから覚えとけ」

 

「おお、恐い恐い…まぁ約束だからな、中枢へ入れてやるよ。外へ出てみな、零時。可哀想なオマエに、本当のことを教えてやるよ。世界の真実とムスビの正しさをな……さぁ、入ってきな」

 

そういうと勇の声が聞こえなくなった。

 

オレは急いで白の神殿から抜け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神殿の外に出ると、十字路の中央に浮かんでいた巨大なキューブが十字路の中央に角の一つのみで突き刺さっていた。

 

すっごくアンバランス感が否めないが、このボルテクス界で見た目で判別しきることは愚か者。なにかしらの力が働いているのだろう。

 

いつの間にか三つの神殿から大量のマガツヒが流れている。どうやら勇は無事にマガツヒを好きに出来るようになったらしい。

 

………今はちっとも嬉しくないがな。

 

オレは心の中で暗い言葉を吐くと、キューブに近づいた。

 

どこも入口らしきものがないが、なんとなく入る方法は分かった。こういうものは、触れれば入れる。

 

オレは勘でそう感じるとキューブに触れた。すると

 

「おっと……」

 

勘の通り、体が引っ張られるような感覚とともにキューブの中に入れた。

 

体勢を整え、辺りを見渡すと、すぐに勇の姿は見つけられた。

 

そして、ヒジリの姿も。

 

ヒジリは何もない虚空に磔にされ、マガツヒの湖の上に浮かされていた。

 

そのヒジリに勇は嘲笑いながら声をかけた。

 

「最後の仕事だ。もうちょっとガンバってくれよ。こいつが終われば好きなだけ休んでいいからさぁ」

 

「……まったくだ。マガツヒがムズがゆくてやってられねぇよ。こんなバカげた仕事はさっさと終わらせて一服したいね」

 

ヒジリはそんな勇に軽口で返した。その言葉も、勇は嗤って返した。

 

「まあ、おまえらは人に使われていくらだからなぁ。

少し苦しいかもしれないけど、しっかり頼むぜ」

 

そういうと勇はこちらに振り向かずに声を飛ばしてきた。

 

「ご苦労だったね、零時。おかげで助かったよ。君のおかげで異神たちの持っていたマガツヒを手に入れる事が出来た。これだけあれば、ムスビのコトワリを啓ける」

 

コトワリを啓ける。その言葉に戦慄しつつもなんとか声を振り絞る。

 

「勇、お前何をするつもりだ……」

 

勇はその問いにすらすらと答え始めた。

 

「儀式の準備さ。ムスビのコトワリを啓くためのね。見なよ、アイツが核になってマガツヒを集めてるだろ。アレを使ってコトワリを啓くのさ」

 

「っ!」

 

その方法は、限りなく氷川がマガツヒ集めに祐子先生を使った方法に酷似していた。

 

オレは、そんな残虐なことを考えつき、行う親友にゾッとした。

 

そんなオレの心象を読んだのか、勇はあることを口にした。

 

「正直に言うよ、零時。こんな上手いやり方を思いついたのはオレじゃない、アイツなんだよ。もっとも、やつが考えてたのは自分はマガツヒを集める側で……あそこにはな、オレたち2人のうちどちらかを架けるちもりだったのさ!!」

 

「なにっ⁉」

 

オレはその言葉に信じられなくてヒジリを凝視した。

 

ヒジリは、弱々しく口を開いた。

 

「……オレは手法を考えてみただけだ。実際にそうしたかは分からんよ」

 

その言葉は、マガツヒ集めの方法を考えついたことを肯定する言葉でもあった。

 

勇はその言葉に、鼻を鳴らした。

 

「…オマエはやったさ。こんな世界だ、ヒトの命なんかに大して意味は無い………これはアンタの言葉だろ?」

 

「な………ん………」

 

オレはその言葉にも戦慄した。

 

何故だ?頼りなかったが、しかし気を遣ってくれる優しさはあったはずのヒジリになぜその言葉が出る?一体アマラの何がヒジリを変えた?

 

混乱するオレを他所にヒジリは冷たい声で勇に言葉を投げ掛けた。

 

「…何を言っても言い訳にしか聞こえんのだろう?/好きにするがいいさ。手に入れるもののため、捨てるものもたくさんある。オレもそうしてきたしな。オマエが思う道を行けよ」

 

だが、とヒジリの言葉に力が籠った。

 

「オマエはその道のりに多くの代償を払うことになる。それを忘れるなよ」

 

その言葉に勇が肩をピクリと揺らすが、やがてくだらないとばかりに言葉を返した。

 

「言われなくても好きにするよ。ここを支配しているのはオレなんだからな」

 

勇はそういうと今度はオレに言葉を投げ掛けた。

 

「…見てな、零時。

これが偉大なアマラの支配者、勇サマに逆らうヤツの末路さ!」

 

その言葉には、殺しを楽しむ悪魔と同じイントネーションを感じた。

 

オレはその言葉の感じにゾッとし、勇を止めるために駆けていったが、ヒジリの命を絶つ行為はあまりにも短すぎた。

 

勇は、親指を下に向けるだけでヒジリの拘束を解き、マガツヒ集まる湖へと落下した。

 

落ちたヒジリは悲しげな表情で目を瞑っていたが、やがてマガツヒになって消えていった。

 

「ぁ……」

 

小さく、声が漏れた。

 

悪魔を殺すのとは違う。勇は、人間を殺した。

 

それが、どれだけの衝撃か。言葉では語れなかった。

 

「勇……お前……なんていうことを……」

 

勇にその言葉を言うのは無意味だと頭のどこかで理解はしている。しかしそれしか言葉が出なかった。

 

勇はオレの言葉に一切の反応を示さず、満足げにマガツヒの湖を見ていた。

 

「上出来だね。これだけマガツヒがあれば心配ないだろう。……経絡の向こうの奥底、無限のアマラからオレの守護がやってくる。そこにいるのは、時間の流れからも外れ名前すら失った存在……

そう、そいつは絶対の孤独を支配する神なんだよ」

 

真っ白になった頭に、勇の声が虚ろに響く。

 

「……でも、名前がないままじゃ具合が悪いなぁ。

そうだな、漂流する神………【ノア】とでも名付けておくか。出ておいで、ノア……」

 

勇はそういうと中枢内部にすぐ異変が起きた。

 

中枢すべてにマガツヒが舞う。勇の周辺の空間が、まるで水になったかのように波打つ。

 

勇はまるで水に入ったかのようにゆっくりと浮き上がり、体を折り畳み、丸めるとマガツヒの繭に閉じこもった。

 

そしてマガツヒの湖から、なにかが現れた。

 

一瞬、鯨かと思うほどデカイ。まるで水風船のように半透明のその体の形は首のない巨大ジュゴンと言えば良いか。

 

その巨大ジュゴン……ノアは勇が入った繭を取り込むと体を不気味に光らせた。

 

その悪魔は、オレが出会ったどの悪魔とも違う雰囲気を醸し出していた。

 

オレがそれに気圧されていると勇の声がノアから響いた。

 

「どうだい、零時?これがオレの神だ。すげぇだろ?」

 

まるで新型のラジコンを手にした子供が自慢するかのような言葉には、ヒジリを殺した後悔はなかった。

 

勇が、どれだけ恐ろしい存在に成り果てていたか。オレは察した。

 

そんなオレを他所に、勇は恍惚とした様子で言った。

 

「これでもうすぐ……もうすぐ、ムスビの世界ができるんだ。誰も干渉しあわない、新しい幸せの世界がね……」

 

勇のその言葉を最後に、ノアは消え去った。

 

オレは、今しがた起こったことを麻痺した頭の中で反芻し、震えた。

 

「勇……ヒジリ……なんで……」

 

オレはそう呟くと、誰かがオレをそっと抱き締めた。

 

その正体を見ると、クイーンメイブが仮面のようなものを被った顔でオレを見ていた。

 

「零時。落ち着きなさい。ここで震えていてもあの男が世界を握ってしまうだけだわ。今は、なんとかしてあいつを追うのよ。世界を戻したければ、しっかりしなさい」

 

その言葉は、固まっていたオレの思考を少しだけ、動かした。

 

「……そうだな。悪い。どうした、夜藤 零時今こそしっかりしろ……!」

 

オレは自分を叱咤しながら頬を叩くと考えた。

 

守護を手にした勇は今すぐに創世しなかった。それはなぜか?つまり守護を手にしただけでは創世はできないということではないか。

 

なら、創世を止めるラストチャンスはある。勇を止めるには、そこにかけるしかない。

 

なら、勇を追おう。あれだけの存在だ。ある程度近づけば、存在を察知できるだろう。さもなければ、ターミナルを使って捜索する方法もある。

 

オレは急いで中枢から抜け、ターミナルに向かおうとした。この入口にも、一つターミナルがあったはずだ。

 

オレはそこに向かおうとして、気配を察知して止まった。

 

上空に、天使と思われる悪魔が二つ。確か名前は…パワーとドミニオン。

 

その内パワーは、苦い表情で声をあげていた。

 

「あの方の仰られた通り……遂に一つのコトワリが啓かれたようだな」

 

それをなだめるよう、ドミニオンが声をあげた。

 

「案ずることはありません。千晶様も動き出されております。私たちを導くヨスガの守護がアサクサの地に降臨する時も近いでしょう」

 

「なっ……!」

 

オレは戦慄した。確かヒジリはミフナシロにもマガツヒが大量にあると言っていた。

 

まさか………いや、まさか……!

 

「…では、我らも急ごうか。愚か者どもに裁きを与えねばならん……」

 

パワーがそういうと、二体の天使は飛び去っていった。

 

「くっ……!千晶の野郎、まさか……!」

 

オレは急いでターミナルに向かった。

 

力至上主義のヨスガが弱者であるマネカタの存在を許す訳がない。

 

オレは嫌な予感に駆られながら、ターミナルを回転させ、アサクサへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 





ヒジリさん、死す。

ヒジリさんの存在は謎が多いんですよね……

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