真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中)   作:ブラック・レイン

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今回、オリジナルありです。少しだけですがね






死の果て

 

トランペッターの【魔縁のラッパ】によって殺されたオレは、いつの間にかボルテクス界の何もない砂漠に寝かされていた。

 

眠い。死というのは、こんなにも甘く、暖かいものなのか。

 

ふと、空の方に意識を向けると空から何かが降りてくるのを感じた。

 

天使達だ。たくさんの天使達が、オレを空に浮かぶ光る球体に導かんとしている。

 

これが、お迎えってやつなのか。

 

だとしたら、それも良いかもしれない。この地獄を歩き続けて、それでも何一つ希望を見出だせないこの現実にいたって。苦しいだけだ。

 

終わる。その苦しみも、これで………これで………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いいのか?

 

ふと脳裏に浮かんだ疑問の声。それは、ゾッとするほど冷たい、自らの声だった。

 

いいのか?このまま逝くのか?お前が最も忌み嫌った敗北の中でお前は死んだんだぞ?お前は、敵に永遠と嘲笑われる存在に堕ちるんだぞ?

 

声が聞こえる度、オレの意識はどんどん覚醒する。どんどん目が冴えていく。

 

脳裏にオレに向かって嗤い、去っていった者の顔が浮かぶ。

 

ダンテ、千晶、勇、氷川。

 

冷めてく意識の中、オレは自問した。

 

このまま死んで……良いのか?何も成せていない、今のまま。死んで良いのか?

 

オレは、唸るように自答した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良いわけがない。

 

 

 

 

まだ、死ねない………

 

何も遂げずに、自分のしてきたことに意味を持てずに死ぬのは嫌だ。

 

この憎しみ晴れるまで……!

 

「死ねないんだよッ‼」

 

オレが空に浮かぶ球体にそう叫ぶと、

 

『それで良いんだよ……さすが、私が愛した存在』

 

どこからともなく冷たく、それでいて恍惚とした声が響いてきた。

 

『良いよ。君は死なせないでおくよ。私に呑み込まれたら、愛せないもんね。だから……』

 

消えて?この子を取り巻く死よ。

 

その声が響いた瞬間、オレの影から黒い何かが噴き出してきた。

 

その影は天使達を呑みこみ、果ては空に浮かぶ球体すら呑み込んだ。

 

その影は、前にアマラ経絡で落ちたときに見た、あの黒い何かにそっくりだった。

 

それを認識するなり、オレは意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、なぜかオレは立っていた。

 

場所は死ぬ前と変わっていない。魔人の世界だった。

 

だが、仲魔達が、トランペッターがオレを驚愕の目で見ていた。

 

マガツヒから成る悪魔と違い、オレは人の存在も入り交じっている半端者。故に魔法やアイテムでの蘇生はできない。それを知っているからだろう。

 

だが、今はどうでも良い。今オレがやりたいことは、あのラッパ吹きを殺すこと。

 

オレに屈辱的な敗北を刻んだクソヤロウ。もはや目の前に存在するだけで胸にどす黒い感情が流れ出る。

 

だから、それを晴らすために……

 

「死ねよ。くそ魔人」

 

オレはそういうなり、トランペッターへとかけていった。

 

不思議と体が軽い。死んだとは思えない動きで、思考で、相手の体へ攻撃を放つ。

 

「ッ‼」

 

トランペッターは驚愕に息を呑み、魔法を放つが。

 

「遅ぇ」

 

ラッパを持つその手ごとオレは蹴り飛ばした。

 

攻撃の手段を失ったトランペッター。だが、オレの脳裏に容赦という言葉はなかった。

 

ありとあらゆる攻撃手段でトランペッターを殺しにかかった。

 

今やオレに、こいつを生かす意味はなかった。

 

そして最後に【破邪の光弾】でトランペッターを撃ち抜くと。

 

トランペッターは頭部だけしか残ってなかった。

 

トランペッターは、カタカタと怯えるように、しかし笑うように顎を震わせた。

 

「おぞましい……おぉ、おぞましい…!汝は終に愛された身……か?あぁ、汝の心と力は悪魔という言葉ですら生温い……それが、大いなる意思に向けられた時……その時が来たのなら……ッ!」

 

トランペッターはそういうとカッと顎を開き、そして消滅した。

 

飛び散るマガツヒの中にメノラー……【神威のメノラー】を拾い上げるとオレはトランペッターの言葉に首をかしげた。

 

終に愛された身?魔人という存在は死という存在に近い存在だろうに。もとより終には愛された身だろうに。

 

それよりも、あの影の存在は、一体なんだ?

 

「また謎が増えた……」

 

オレはため息をついた。まぁ、あの存在はどうもオレを強くしてくれたようだ。その点は感謝しなければ。

 

さて、これでメノラーは揃った。

 

報酬を、もらおうか。『あのお方』さん達に。

 

オレは呆然としていた仲魔達をたたき起こすと、この世界から抜け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アマラ深界第4カルパ。その道が二つのメノラーによって開かれた。

 

そこは、いきなり危険地帯となっていた。

 

「ガフッ!な、なんだこれ⁉ガハッ⁉」

 

あちこちに漂っている不気味な霧が、オレ達の生命力をガリガリ削ってくるのだ。

 

これでは先にいけない。霧に意識を向けて辿ってみると、どうやらこの霧は何者かが放っている呪いらしい。

 

これを解くためにあちこちさまよっていると今度は不気味な闇に包まれた廊下に出くわした。

 

近くにいた思念体曰く、【12mの永遠】と呼ばれるこの廊下はボルテクス界にあるカグツチの影響を受けて行き先を変えるという厄介な代物らしい。

 

この地にも感じるカグツチの波動を確かめながら何度も試して行き先を全て知る。そのためにかかった時間。倒した悪魔の数は膨大だった。

 

行き先の中には、謎の迷宮があった。

 

そこに迷いこむとなかなか抜け出せないのだが、そこにはなぜかマネカタがいた。

 

それはありえないことだった。なぜならマネカタはアサクサのドブにある泥がマガツヒを含んで創られるものだ。

 

それがアマラ深界にいる。基本的に考えればあの老紳士達が連れてきたと考えるのが自然だが……それにしたってなぜ?となる。

 

そして目を見張るのは思念体の量とその存在感の濃さ。

 

何より目を奪うのが、二つの思念体だった。

 

一人は、少年と思われる思念体だ。

 

『…なんだ、お前?変わった悪魔だな、少し聞いてもいいか?自分の心の赴くままに他人を殺す、これっていけない事だと思うか?』

 

この問いにオレは肯定すると。

 

『そうかいそうかい、まるで人間みたいな答えだな。けど覚えときな。人間の方が、案外悪魔より残酷なのかも知れんぜ……オレみたいにな。くくくっ…』

 

そう嗤う少年の思念体は、ヨヨギ公園でオレが殺したサカハギに声がよく似ていた。

 

だがなぜだろうか。その声はとてもとても悲しい響きが含まれていた。

 

首をひねっていると今度は老人の思念体に出会った。

 

その老人は、少ししゃがれていたが、若々しければフトミミに酷似していた声でオレに問いかけた。

 

『来る日も来る日も、額に汗して働く…それが人間のあるべき姿だ私はそうして社会に貢献してきたのだ。会社は大きくなり、人々にかしずかれる存在になった

私の人生は、果たして成功だと思うかね?』

 

問いに頷くと、その思念体は暗く笑った。

 

『…そうだろう。皆私の幸福を妬んだものだ…あの事件が起こるまでは

あの忌まわしき事件。私は初めて殺意というものを感じたのだ。強い負の感情…あの少年に対する怒り…今も私は思うんだ、この怒りを持ってすべての者に復讐をしてやりたいとな。

…もっとも、社会に縛られた私に、そんな事をする度胸はなかったがな』

 

自嘲するその言葉。フトミミの声音にそっくりだった。

 

オレは確信した。

 

マネカタ達は、ボルテクス界にいた人間を模しているのだと。

 

その源はすでにある。マガツヒ。死してなお残った思念がマネカタを創りだした。そしてそのなかでも強い思念がフトミミとサカハギを創りだした。

 

ここにあるのは感情ではなく、それを作り出す魂なのだろう。この思念体の量も納得できるし、マネカタがいるのも理解できる。

 

思念体はここに流れ着いた魂。そしてマネカタはその魂から若干ながら創られるマガツヒからできたもの。

 

死んで、その魂が彷徨うのは現実世界でもよく聞く話。それがここで起こっているのだ。それも受胎という大量殺人のせいで大規模に。

 

出来るのなら、救ってやりたい。

 

だが、オレには除霊なんざできないし、破魔の魔法なんか使ったら魂ごと消滅してしまう。

 

なんとかしてやれないものかと考えていると…

 

「ゲホッ!またこれか……グフッ‼」

 

呪いのかかった広間にでた。

 

何をするにしてもまずこれを片付けなければどうにもならない。今はこれをなんとかしよう。

 

この呪いの濃さを鑑みるに元凶が近いのは分かっている。たどり着くまで体を保たせながらもここを進むしかない。

 

オレ達はなんとか霧を吸わないようにしながら奥へ奥へと進んでいき、ついに元凶がいると思われる部屋の前にたどり着いた。

 

そこから染みだすようにでてくるその悪魔の気配が重たい。魔人のように死を連想させる気配ではないが、重々しい。

 

オレは自分を叱咤するように頬を叩くと扉を開け、潜り抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこはかなり広い広間だった。不気味な意匠を施してある壁や床を見ながら部屋の中央を見ると、そこには髑髏の杖を持った人型の悪魔がいた。

 

だがデカイ。虎の皮で作られた服に包まれた巨体を見上げると燃えるような赤目がオレをギロリと見た。

 

「…全ての死、魔人達の来襲を退け…遂にここまで辿り着いたか。その働きを称え、わたしに謁見する権利を与えてやる。さあ、近くに来るがよい」

 

耳障りに割れた声がオレを誘う。オレはその声に従い、その悪魔のもとへゆっくりと歩みを進めた。

 

同じ高さの床にたどり着くと悪魔は名乗りだした。

 

「…わたしこそ、今は地にある天使の長……黒き翼となった闇の天使と共に、混沌の悪魔を支配する最強の魔王。

…死と魂を司る者、ベルゼブブだ。覚えておくが良い」

 

また大物が現れたとオレはため息をついた。

 

ベルゼブブ。七つの大罪にも暴食の悪魔として挙げられた元豊穣の神。

 

しかし闇の天使……これであの老紳士の正体は確定した。

 

オレは一度その仮説を消しながらベルゼブブを凝視した。

 

ベルゼブブの方もオレを凝視した。

 

「…貴様が、ルシファー様お気に入りの夜藤 零時か。その働きは耳にしておるぞ。ルシファー様に与えられた力で、新たな悪魔を創り出そうとしているのだな?」

 

その言葉に、オレは眉をしかめた。創るというその言葉に少々怒りをを思えたからだ。

 

その反応を、オレが何も知らないでいると勘違いしたベルゼブブは眉をひそめた。

 

「…知らぬのか?貴様の集めているメノラーがそうだ。

全てのメノラーが地の底に捧げられた時、新たな混沌の悪魔が生まれる…何と言われてそれを集めていたのかは知らぬが…知らぬとはお人よしな事だ」

 

呆れた素振りをするベルゼブブだが、ここでベルゼブブの声に真剣さが含まれた。

 

「覚えておけ、零時よ。我等混沌の悪魔は、みなその時を待っているのだ。新たな悪魔が生まれ…ルシファー様が決断するその時を…地の底に眠る混沌の軍勢は、ルシファー様の命があり次第目覚め、再び立ち上がるであろう……

その時のため…混沌の悪魔の為にならわたしも喜んで力を貸そう」

 

だが、とベルゼブブは言葉に威をこめた。

 

「ただで貸す訳にはいかん。まずは貴様の力、試させてもらう!」

 

ベルゼブブはそういうとフン!と掛け声をあげたジャンプし、闇が広がる天井に消えた。

 

しかしその気配は消えない。むしろどんどん膨れ上がっていく。

 

そしてそれは現れた。

 

ドスーンという重たい音とともに現れたのは、巨大な杖をもった巨大な蝿の悪魔だった。

 

ベルゼブブは蝿の悪魔。これが真の姿かとオレは内心で乾いた笑い声をあげた。

 

だが、やはり小さく見える。

 

ベルゼブブはオレを見下ろし、オレに言った。

 

「さあ見せてみろ!ルシファー様に与えられた悪魔の力をっ!」

 

「見物料はお前の死で良いのならなッ‼」

 

オレとベルゼブブは互いに吠えると攻撃を衝突させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





あの黒い存在については、まだ明かせません。









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