真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中) 作:ブラック・レイン
戦闘シーンオンリーになります。
この方に苦戦した方も多いのでは?
「セェイ‼」
「むぅん!」
オレの拳をベルゼブブはそのまま重い声とともに体で受け止める。
「(固ッ‼)」
オレは内心で驚きながら、それでも外面では平静を装って攻撃を続けた。
ベルゼブブと戦闘して30分が経過していた。ベルゼブブは攻守ともに隙がなく、こちらは攻めあぐねていた。
攻撃としては巨体に見合ったパワー。気配で察した通りの魔力を惜しげなく使った上級魔法の連発に加え、【死蝿の葬列】というチートスキルを使ってくるのだ。
【死蝿の葬列】は万能属性に加え、呪殺の属性が混ぜ合わさった万能呪殺属性。呪殺に耐性をもっていない仲魔はこれによって即死した。
また、呪殺を持っていても万能属性を含んだ蝿達はこちらの生命力をガリガリ削っていく。防御しきれない恐ろしい魔法だ。
守りとしては補助を中心とした魔法を頻繁に打ち消すよう【デクンダ】【デガジャ】を連発。こちらの防御上昇。ベルゼブブに対して行った弱体化魔法を即座に打ち消してくる
もう一つはベルゼブブの耐性だ。
【破魔・呪殺・バッドステータス攻撃無効】。ここまでは良い。
だがそれに加えて【物理・氷結・衝撃・電撃に強い】までつけられたらどうすれば良いのか?
こいつには実質火炎属性しかダメージが見込めないのだ。
しかも【デカジャ】の連発で【マカカジャ】による魔法攻撃威力上昇が見込めない今、地道に火炎攻撃で削っていくしかない。
確実に持久戦に持ち込まれていた。
「【死蝿の葬列】‼」
ベルゼブブが杖で床を突き、大量の赤い蝿を呼び出す。
「またか!【地獄の業火】!」
オレは現れた死の蝿の群れを火炎魔法で焼き尽くした。
「苦戦してるなァ、兄弟!」
オレの隣でバイクの爆音を轟かせながらかつての敵、ヘルズエンジェルが嗤った。
「うるせぇよ。さっさとあいつ焼き尽くせ!」
「ヒヒッ‼了解だ!」
ヴォンヴォン!とエンジンを噴かせ、ヘルズエンジェルはバイクを走らせた。
そしてある程度ベルゼブブとの距離を詰めるとバイクの後方をベルゼブブにむけてエンジンを轟かせた。
「喰らえ‼【ヘルブースト】ォ!」
ヘルズエンジェルがそう叫ぶとバイクの後輪からすさまじい勢いで炎が吹き出た。
「ムッ‼」
その勢いと熱に打たれ、ベルゼブブがぐらりと傾いた。
その隙を突いてオレも【マグマ・アクシス】をぶつける。
「グオッ‼おのれぇ……小賢しい‼」
【マハザンダイン】
「うお⁉」
「キャ!」
カウンター気味に放たれた最上位の広範囲衝撃魔法【マハザンダイン】はオレと追撃しようとしていたクイーンメイブを吹き飛ばした。
なんとか空中で体勢を立て直すもあれだけ強力な魔法を撃たれては無傷という訳にはいかない。あちこちから血が流れていた。
さっそくクイーンメイブが完全回復魔法【メディアラハン】を唱えて回復する。
体が癒され、体が軽くなる感覚に包まれるが胸中は重かった。
というのは先程からこんな感じの戦況なのだ。
火炎攻撃で隙を創り、それに重ねて火炎攻撃で追撃。それをした瞬間ベルゼブブからカウンターをもらい、回復してもらう。
これを何回も繰り返していた。
このままではいずれ魔力が尽きてしまう。
ベルゼブブを倒すにはそれなりにブーストをかけた【マグマ・アクシス】をぶつければ倒せると踏んでいる。だが、肝心のブーストはカジャ系魔法ではダメだ。
一応、カジャの魔法なしでもブーストをかける方法はあるにはあるがそれをやる隙がない。やれたとしても警戒されてしまい、攻撃の出を潰されて終わりだ。
少なくとも10秒……否、5秒の隙さえあれば……
オレはふとベルゼブブを見た。
ベルゼブブは巨大な複眼をギョロリギョロリと見ながらきちんと戦場を見渡している。あの眼は視界も広いだろうし、視力もいいのだろう。生半可な目潰しをしても無意味だろう。
スタングレネードでも、あればその眼の良さを利用して眼を潰せるだろうが……スタングレネード?
「そうだ……」
オレは物置き空間からとあるアイテムを抜き出し、ヘルズエンジェルに合図した。
「おい!あいつに思いっきり炎をぶつけてくれ!」
「またか?今度はきちんと殺ってくれよ」
ヘルズエンジェルはそういうと爆音とともにバイクからまた火を噴かせた。
【ヘルブースト】
「くっ!これしきのことで‼」
巨大であるベルゼブブは避けられない。膨大な生命力にモノをいわせて耐えている。
しかしあれだけ威力を誇る火炎攻撃に撃たれてはさしもの魔王も揺らぐ。オレはそれをついて【マグマ・アクシス】を顔にむけて放った。
ドォン!という音とともにベルゼブブの上体が弾ける。
ベルゼブブは熱と痛みに顔をしかめながらオレに向かって凄絶に笑った。
「バカめ!間合いを詰めて、さらには飛んでしまったな!」
【マグマ・アクシス】は零距離技。相手に触れられるぐらいに近づかなければ当てられない上、巨大なベルゼブブの頭をそれで打つにはジャンプしなければいけない。
その状態で大技を放てばオレは空中でバランスを崩し、身動きが取れない。ベルゼブブはそれが分かっていた。
ベルゼブブは勝利を確信し、オレを討たんと爪を振り上げて……ピクッと肩を揺らした。
ベルゼブブの眼前にある火の粉。その中に1つの玉があるのが見えたのだろう。
オレはニヤリと笑い、その玉の魔力を炸裂させた。
瞬間、部屋の中をまばゆい光と耳を劈く音が響いた。
「ぬわぁ‼」
ベルゼブブはその光と音によって悲鳴をあげた。
あの玉は【くらましの玉】光と音で悪魔を驚かし、その隙に逃げる、というのが本来の使い方だ。
しかしその音と光をまともに目に、耳にいれてしまえばどうなるか?ましてや人間よりも性能が良い目と耳にそれを入れてしまえばどうなるか?
答えはベルゼブブが示してくれた。
オレは眼を瞑りながらもブーストのスキルを使った。
「【気合い】!」
オレはそれで力をため、気配を辿ってベルゼブブに向かって駆けた。
「むっ!」
ベルゼブブも気配を感じたのだろう。杖を振り上げ、オレの動きを阻止すべく動こうとするが。
「ティターニア‼」
「了解しましたわ」
【ランダマイザ】
ティターニアを召喚し、弱体化魔法を放つ。
ランダマイザは攻撃威力を下げる【タルンダ】。防御力を下げる【ラクンダ】。速度を下げる【スクンダ】をまとめて使ったような効果が現れる優れた魔法だ。
それをティターニアに覚えさせたのだ。
もちろん【ランダマイザ】もンダ系の魔法。【デクンダ】で解除出来るがオレの攻撃を止めようと攻撃しているベルゼブブに一瞬でそれを使える訳もなく、
【グヌゥ……!」
弱体化魔法を丸々被りながらオレの迎撃に動かざるをえなかった。
さてこれで届くかは五分五分。
勝負と行こうか。魔王さん?
オレはニヤリと笑いながら掌に炎を灯した。【気合い】の効果でいつもより炎のいきおいが強い。
これなら行ける。オレはベルゼブブの懐に飛び込んだ。
「させん!」
ベルゼブブがオレにむけて爪を降り下ろす。
「オオオオッ!」
オレは気勢とともに体を右にひねった。
ごっそりと右腕の肉を抉られるが、直撃は避けられた。
オレはベルゼブブの右脇腹にむけて渾身の【マグマ・アクシス】を放った。
ドォーン‼という爆音とともにベルゼブブの腹に大穴が開いた。
ベルゼブブはブルリと体を震わせて、ズズーンという轟音を立てながら倒れた。
だが驚いたことにベルゼブブは即死していなかった。あれほどの生命力を【気合い】でブーストをかけて炎にして放ったのにも関わらず。なんて生命力だ。
ベルゼブブは弱々しく光る赤い複眼でオレを見ると、
「見事……」
そういってマガツヒになって消え去った。
「見事…ねぇ」
はっきり言って嬉しくなかった。
今回の勝ちははっきり言って賭けだったのだ。
ベルゼブブがくらましの玉で怯んでくれる確証はなかったし、その上で【ランダマイザ】をかけてベルゼブブの動きを鈍らせたとはいえ五分五分に持っていくのがやっとだった。
この賭けに失敗すれば死ぬのはオレだったのだ。
そんなギリギリの勝利を掴んでも、嬉しくなかった。
また同じような敵が現れたら、死ぬかもしれない。そんな戦いだったのだ。
オレは臆病者だ。故にあらゆる最悪のシチュエーションが嫌でも思い浮かぶ。
強くならなければ。さもなければ、未来に死ぬかもしれない。
オレは肩を震わせながら、そのためにマガツヒにがっついた。
ちなみに私はベルゼブブにかなり苦戦しました。なんだあのチートな耐性は……