真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中)   作:ブラック・レイン

5 / 61

この話から受胎後の話になります。

ここからが物語の本番です。


『トウキョウが死んで、オレが生まれた』
悪魔


 

声が三度聞こえはじめた。

 

「悪魔の力を宿せし禍なる魂"マガタマ"

これで貴方は悪魔となったのです。

坊ちゃまは、いつも見ておられます。くれぐれも退屈させることのないよう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ⁉」

 

オレは汗びっしょりになって目を覚ました。

 

そしてオレの目に飛び込んだものを見て、驚愕した。

 

オレは体育座りをさせられて寝ていたため、最初に見えるものは自分の足になるのだが。その足に変化があったのだ。

 

まるで刺青でも入れたかのようなラインが走っていた。

 

「なんだ……これ……?うっ…!」

 

その途端いきなり頭痛が起こり、オレは頭を抑えた。

 

瞬間、オレの頭の中に情報が流れ込んでくるとしか言い様のない現象が起きた。

 

 

自分の体に何が起きたのか。どんな変化が起きたのか【理解する】。

 

オレをこうしたのはマガタマである。

 

マガタマというのはオレの体内に入れさせられた虫のようなモノのこと。そしてオレの体内に入りこんだマガタマは【マロガレ】という名前があること。

 

オレが触れた物は瞬時に名前と用途、および使い方が分かること。

 

空間の穴のようなものを呼び出し、そこに物を収納できること。

 

このように様々な情報が流れ込み、それが真実であるとなぜか分かった。

 

しかし理解できない情報もあった。

 

【魔人】夜藤 零時

 

【ノーマル耐性】

 

 

 

 

魔人?ノーマル耐性?

 

考えこむが全く分からない。

 

とりあえず今はその事はおいといて、次に自分の体のことを調べることにした。

 

刺青は全身に広がっていた。黒を中心とした色をしており、青の差し色が入っていた。

 

他にも首の後ろの方に角のようなものが生えていた。

 

そして一番の変化が上半身を包んでいた服が脱がされていたことだ。恐ろしいほどに青白い肌がそこからのぞいていた。そしてそこにも刺青のようなものが。

 

 

一通り調べてみて自分のことはある程度理解できた。しかしこれでは足りない。

 

自分がいったい何になったのかまったく分からない。老婆の声が悪魔になったとか言われても自覚ができない。

 

仮にオレのことが全て分かっても、他の人たちがどうなったのか全く分からない。

 

先生の話が本当なら、新宿衛生病院に居る人間以外は全員死んだ。その事に焦燥が浮かぶ。

 

とにかくここを出て外に出よう。現在位置も知りたいし。オレはそう思い、どうやら身体能力が格段に上がったらしい体で、部屋から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……病院の地下……⁉」

 

部屋から抜けて廊下を見ると、そこは氷川のことで深く印象に残ったシンジュク衛生病院の地下だった。

 

あの喪服の老婆と子どもが、わざわざオレを屋上から地下に移動させたのだろうか?

 

答えの出ない思考止め、辺りを見渡すと謎の存在がいた。

 

青白いもやのような塊がフヨフヨと浮いているのだ。

 

「なんだこりゃ?」

 

近づいて凝視すると。

 

「なにジロジロ見てんだよ?

悪魔のくせに、オレがそんなに珍しいのか?」

 

「うわっ!」

 

その青白いもやのような塊が喋り、おもわずオレは飛び退いた。

 

だが身体能力が強化されていることを全く考慮していないジャンプであり、はるか後方にあったはずの壁にぶち当たってしまった。

 

「イッテェ⁉」

 

「…………何やってんだ、オマエ?」

 

呆れた声をあげるもやの塊。オレはそれを凝視した。

 

よく見てみるともやの中に男性の輪郭が見える。まるで幽霊のようだ。

 

…………否、本当に幽霊かもしれなかった。

 

するとその時、オレの耳に物音が聞こえた。

 

バッとそちらの方へ向いてみると、オレが出てきた扉とは違う扉があった。

 

その扉は、たしか氷川がいた部屋だった。

 

しかし、前にはなかったものがある。赤く光る印のようなものが扉に張り付いていた。

 

「……………」

 

もしかしたら何かあるかもしれない。そう思い、意を決してオレは部屋に入りこんだ。

 

 

 

……そこにいたのは氷川ではなかった。

 

「……誰だ!」

 

オレに月刊アヤカシを渡した男、ヒジリ記者だった。

 

「…………おまえ……まさか、公園で会った小僧か?

その姿はいったい……」

 

ヒジリがオレのことを凝視する。それはそうだろう。全身にいきなり刺青が現れたような体をして現れれば驚きたくもなる。

 

「詳しいことは分からないが………どうやら力を得たらしい」

 

「………………冗談で言ってる訳じゃなさそうだな」

 

ふぅ~と息を吐くとヒジリはオブジェに寄りかかる。それは氷川が弄っていたものだった。

 

「……やれやれ。何がどうなってやがる。

いきなり目の前が光に包まれて、気がついた時にゃ、この部屋だ」

 

どうやらオレと同じ境遇らしい。ヒジリは疲れはてた様子だった。

 

「その辺を回った感じじゃ、どこかの病院らしいが……

おまえがいるって事は、衛生病院か?」

 

「あぁ、そうだ……と思う」

 

「思う?」

 

「……オレだって不思議体験を体験したあと、こんな体にされて、ここにいたんだぜ?もしかしたら似た構造の建物に放り込まれたかもしれないし…」

 

「………なるほど。それもあり得る話か」

 

オレの言葉に重たく頷く。

 

「なぁ、外の様子とか分かるか?」

 

「分からん。ケータイも圏外だし何一つ情報が入ってこない」

 

「そうか………困ったもんだねぇ」

 

軽い調子の口調だが、空元気を振り絞って気持ちを落ち着かせているだけだ。

 

その事を察したのかヒジリが憐れみの目を向ける。

 

「……とにかく、だ。

外の様子を知ろうにも、おちおち歩くことさえできん。

おまえ……もう出会ったか?」

 

「……出会った?誰のことだよ?」

 

 

「人じゃない。……【悪魔】とだ」

 

「………今、アンタの目の前にいるぜ?」

 

オレがそういうとヒジリが目を見開く。

 

「お前………悪魔なのか?」

 

「みたいだねぇ。外にいるもやの塊のようなものにそう言われた」

 

「………【思念体】のことか」

 

「思念体?なんだそりゃ?」

 

オレが首をかしげると、ヒジリは簡単に説明した。

 

「まぁ、幽霊のようなものだ」

 

「幽霊……」

 

オレが反駁するとフゥムとヒジリが唸る。

 

「オレに起きた事といい、おまえのその姿といい……

警察やらをアテにしてる場合じゃないらしいな」

 

「その警察が動ける状態であるかどうかすら分からないしねぇ……」

 

「………チッ!

こいつはマジメに可能性を考えるべきかも知れん。

とても俄かには信じられんが……ここが衛生病院だってんなら、あり得ない話じゃない。

 

【東京受胎】……

 

本当に、起きたのかも知れん」

 

「……………」

 

あり得ない。そう言いたかった。だが、先生がその存在を証明した。オレ自身がそれが起こるのを見た。

 

オレが黙りこむのを他所にヒジリが部屋の中央にあるオブジェを叩く。

 

巨大な円筒状のそれがコンと音を立てた。

 

「このドラム缶みたいなオブジェには見覚えがある。こいつは氷川の秘蔵の品だったはずだ」

 

「…………この状況になる前、氷川がそれを弄っているのを見た」

 

オレがそういうと一瞬目を見開くヒジリ。だがすぐに考えこむ仕草に戻る。

 

「そうか…………間違いねえ。全てのカギはあの男が握ってる」

 

「まぁそうだろうな。だがどうする?結局は予想でしかないんだ。ここで悶々と悩んでるって手は悪手だぜ?」

 

「そうだな、このまま話しててもラチが明かん」

 

ヒジリはそういうとオレの方を向いた。

 

「おまえ……戦う力があるなら、調べてくれ」

 

「…………そうなるよねぇ、やっぱ」

 

ひきつった声をあげるとヒジリもにがりきった表情で言う。

 

ヒジリはこの状況になっても一般人らしい。一方オレは悪魔化しているという謎現象によって力を得ている。こうなる展開は読んではいたが……やはり言葉にされるときつかった。

 

「部屋の外の思念体と話したところで何も分かりゃしねえ。世界がどうなっちまったか……他に生き残った人間はいないのか……

とにかく、誰かに出会う事が出来れば何か分かるはずだ

 

 

……残念だが、俺には悪魔のいる場所を歩き回れる力はない。

それに、このオブジェについて調べたい事もある。

アテにしてるぜ……よろしく頼む。」

 

「………はぁ。遺書でも残しとくかな」

 

「やめてくれ、縁起でもねぇ」

 

オレの黒いジョークにブンブンと首をふるヒジリ。

 

オレはそれを見て、少し元気を取り戻すと部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋を出るとまずどこへ向かうか考え、すぐ答えをだした。

 

とにかく外の状況を知りたい。外に出るならエレベーターで地上に出なければ。

 

オレは記憶を頼りにエレベーターに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレベーターにたどり着くとオレはボタンを押した。

 

そこでオレは、ん?と思った。

 

「電源は生きてるんだな……」

 

この状況になって、電気が生きている。もしかしたら生存者がいるかも。

 

オレは微かな希望を胸に、エレベーターで乗ろうとして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所にワープした。

 

「へ?」

 

間抜けな声をあげてしまった。

 

エレベーターに乗ろうとしたら、いきなり何処ともしれない暗い通路にいつの間にかいたのだ。

 

「病院…………いや、違う」

 

なんというか空気の重さが違う。受胎後の世界では空気が重たくなったが、ここは格別違う。

 

オレがその感覚に震えていると、不意に頭の中に声が響いた。

 

その声がする方向を向くと車椅子に乗った老紳士と喪服姿の若い女が立っていた。

 

『来い…………悪魔の力………見せよ………』

 

そういうと二人の姿が消えた。まるで喪服姿の子どもと老婆のように。

 

オレは進むしかなかった。後ろへ行く道はなかった。

 

まず、なぜか水がなみなみと貯まっている通路を通らされた。水があるところは短く、水深も浅いが靴がグッショリになるのは嫌だった。

 

 

 

 

 

 

それに気を取られたのがまずかった

 

 

 

 

小さな雷鳴とともに目の前に紫電が落ち、

 

『オォウッ!』

 

「ガハッ⁉」

 

そこから現れた何者かに突然襲われ、突き飛ばされたのだ。

 

身体能力が高くなっていなければアウトだった。その後の追撃を、わざと派手に転げることで躱す。

 

「チッ!」

 

口から鉄の味が広がるのを感じて舌打ちする。そしてオレを襲ったソレを見た。

 

その【悪魔】は2体。2体ともピンク色のもやの塊のような悪魔であり、歪んだ顔が見てとれる。

 

悪魔を睨むと悪魔の名前が理解できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外道 ウィルオウィスプ。それが2体の名前のようだ。

 

 

 

オレがその2体を見ていると、

 

『オォン!』

 

再び2体が襲いかかってきた。

 

「くっ……」

 

体を振って右に回り込むことによって躱す。その後、飛び退いて距離を取る。

 

どうする?どうやってこいつらを倒せば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだ、簡単じゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殴り殺せば良い!」

 

 

と、マガタマが教えてくれた。

 

オレは人間の頃ではあり得ない脚力で踏み込み、悪魔……ウィルオウィスプの一体に距離を詰める。

 

『ゴオッ⁉』

 

いきなりの反撃に意表を突かれたのか、あっけなく吹き飛んだ。

 

『オォン!』

 

もう一体がオレの背後から襲いかかってくるが、

 

「甘いっての!」

 

回し蹴りで迎撃する。

 

『ガァ!」

 

たしかな手応えとともにウィルオウィスプが吹き飛ぶ。

 

だが、ここで攻めの手は止めない。オレは一度敵と認めた奴は徹底的にやる男だ。しかも殺そうとしてきたのならやる報復はただひとつ。

 

「死ねっ!」

 

その声をともに飛びあがり、そして吹き飛んで動けないウィルオウィスプを踏み潰す。

 

グシャ!!

 

もやの体を潰したとは思えない音とともにウィルオウィスプが潰され、赤いオタマジャクシのようなものを撒き散らして絶命した。

 

しかし安心してはいられない。敵はもう一人いる。

 

振り向くと結構な力で吹き飛ばしたはずの最初の一体がもうオレに向けて飛んできていた。

 

それを見たオレは腕を振り上げ、再び突進する。

 

しかし今回はウィルオウィスプに攻撃を読まれた。二度も同じ手は喰わないようだ。

 

当然、ウィルオウィスプは反撃に転じる。が、オレはそれを読んでいた。

 

「ムンッ!」

 

『ギャアッ⁉』

 

バックブロー。俗にいう裏拳で反した攻撃で反撃に反撃した。

 

結果はオレの勝ち、紙一重でオレの攻撃が早く届いた。

 

再びウィルオウィスプが赤いオタマジャクシのようなものを撒き散らして絶命する。

 

「はぁ……」

 

まともに人間とも戦ったことがないのに悪魔と戦って勝てたことにオレは驚愕の声を漏らした。

 

ほとんど無意識の行動だった。いきなり思考のギアが変わったかのように冷酷で正確な判断を下し、行動するのは自分が自分でなくなったかのような感じで少々気持ちが悪かった。

 

オレは何度か手の平をグーパーグーパーを繰り返し、ふと宙に浮かぶ赤いオタマジャクシのようなものに目を向けた。

 

フヨフヨと浮くそれは綺麗であり、【美味しそうだった】

 

「……………」

 

オレはそれを全て吸い込んだ。そうすればきっと良いことがある。そう感じる。

 

全て吸い込むと今まで以上に力が沸き上がる感じがした。僅かだが。

 

オレは首をかしげ……ようとして止めた。考えたとて答えなんて出やしないだろう。あの赤いオタマジャクシのようなものは、オレを強くする効果がある。今はそれさえ分かれば良い。

 

オレはそう思うと通路を奥へ奥へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フンッ!イヤァ!」

 

かけ声とともに道中現れる悪魔を殴殺、または蹴り殺していく。

 

先ほどのオレの答はあっているらしい。あの赤いオタマジャクシはオレを強くする力を持っている。

 

それと同時に新しいことを判明した。

 

オレを悪魔たらしめているらしいマガタマは、オレがある程度強くなるとオレに技を授けてくれるらしい。

 

もっとも、覚えた技は【突撃】なんていう単なる体当たりだが。

 

だが、単なる殴る蹴るより威力はよっぽど高い。道中出現するウィルオウィスプよりも強い悪魔を相手するには心強いかった。

 

その先にも、ガキ、コダマといった悪魔が襲いかかってきた。

 

おどろおどろしいその姿に臆することなく、オレは迎撃する。

 

とくにコダマは風の刃を飛ばすという中距離攻撃を行う。さっさと距離を詰めないと……あるいは動きまくって狙いを絞らせないようにしないと厄介なことになる。怯んでいたらやられる。

 

悪魔の動きを頭に叩き込むこと。俺なり、それが大切だと無意識に学びつつある。ガキは強力な物理攻撃を放つがが、攻撃の主軸となる爪を使わせなければ戦力は半減する。そんなことを考えようとしなくても考えている。

 

道中現れる悪魔を蹴散らしながらオレは老紳士の姿と声を頼りに通路を進んでいった。

 

そして、ついに終着点にたどりついた。

 

そこにはあの老紳士と女がいた。

 

その姿を認めると頭の中に声が響いた。

 

『着いたか………』

 

聞き逃しそうなぐらい小さな声だった。

 

『力は…見た………予想以上………だ……』

 

そういっているはずの老紳士は微かに笑みを浮かべていた。

 

『また………近いうちに……会う…』

 

その言葉が響くのと、同時にオレの視界がぼやけ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくとオレはシンジュク衛生病院の地下に戻っていた。

 

「なんだ……あれは……」

 

喪服の女性については分からないが(喪服の老婆と同じく、顔を隠していた)、あの老紳士。オレを悪魔にした子供に似ている。

 

あの悪魔たちはオレを試すためのようだった。老紳士の言葉はそうであることを仄めかしていた。そしてオレを予想以上と評した。

 

いったい、何がどうなっているんだろう?様々な企みが重なっている感じで、その分未知が増えて、気持ち悪かった。

 

「………今はとにかく」

 

外に出よう。そして千晶や勇や祐子先生を探す。祐子先生は受胎前に私に会いに来てと言った。答を教えてあげると言った。

 

祐子先生は氷川並に謎を知る鍵になる。オレは自分に言い聞かせながら。

 

エレベーターで一階に向かった。

 

 

 

 

 

 





質問は感想にて受け付けます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。