真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中) 作:ブラック・レイン
オベリスク。カグツチ塔の土台となってしまった元ニヒロ機構重要拠点での戦いはシジマの方がわずかながら優勢なのかトウキョウ議事堂でも戦った悪魔が現れた。
だが過去に戦った悪魔の戦いはもはや『見飽きた』。【チャクラ金剛丹】いう宝も手にいれた。
これは戦場で戦っている者達の気の高ぶりを感知すると魔力を自ら作り、溜める代物。溜まった魔力を俺や仲魔達に移すという使用方法がある道具だ。
とはいえ戦いによる気の高ぶりがないと使えないため、使用は戦闘中に限られる。回復量こそ使用者の最大魔力量の三分の一とかなりの回復量を誇るが使い勝手はそこまで良くない。戦闘時において敵から目を背けるなんて危険の一言である。
そんな感じでオベリスクの最上階に着いた。かつて祐子先生が閉じ込められていた装置に連結するようにカグツチ塔の末端部分が突き刺さっていた。
入り口はない。だが、こういうパターンはすでに何度も見た。
これは触れれば入れる仕組みだ。
俺はトンとカグツチ塔の末端部分に触れた。すると、
体が引っ張られるような感覚と共に目の前が真っ白になった。
少しすると真っ白になった視界に変化が訪れた。光の玉が、浮かび上がるように現れたのだ。
あれは……カグツチだ。
それを認識するとともに声が聞こえ始めた。
「………我が塔を登らんとする者よ。光の中へ入りたる者よ。お前の心を見せよ……」
すると俺の中に何かが入り込むような感覚が襲った。その瞬間。
ゴウッ‼と擬音を着けたいぐらいの熱が全身を襲った。
その正体はすぐに知れた。俺じゃない他の混沌王達の力が憎悪に燃えたのだ。
その瞬間、俺に入ろうとしていた何かがまるで火傷をしたかのように抜け出した。
そして戦慄に染まった声が聞こえ始めた。
「……おお、恐ろしや。お前の心はその隅々まで我の滅びを願うのみ……憎悪の闇と炎にその身を焦がせし者か……!
………………。
恐れなくば3つのタカラの珠を持ち、我が下まで来るがいい……」
声が聞こえなくなり、しばらくすると視界に色が戻った。その時には見覚えのない場所に、俺はいた。
巨大ブロックを積み上げて創られたような意匠の、暖かさも何もない冷たい雰囲気の建物の中だ。
そしてよく見ると、ブロックの一つ一つに小さな溝が彫られており、そこからマガツヒが流れているのが見えた。
俺はこの場所がどこだか察した。
カグツチ塔。創世者を決める、最終戦争の戦場。
俺は先ほどの声を、頭の中で反芻した。たしか3つのタカラの珠を持ち、カグツチの下へ来い、ということだったか。
創世を成せるのはカグツチに謁見出来た者。そしてそのためには3つのタカラが必要。
そのタカラが、今このカグツチ塔のどこにあるのか?外で見ただけで何百階層もあるこの広大な塔を、隅々まで探さないといけないのだろうか?
「ふむ……」
顎に手を添えて考えていると俺に一つの考えが浮かんだ。
創世を目指す者達は3人。タカラが3つ。果たしてこれは偶然だろうか。創世者目指す者もタカラも3なんてことが?
俺は否と考える。恐らくカグツチはすでに一つずつ創世を目指す者達にタカラを渡した。
確信する証拠はない。だが、何故だろうか?そうであると俺の勘が伝えてくる。
この勘は外したことがない。戦いにおいて何度も俺を救ってくれた能力だ。ならばそれに従うべきだろう。
俺は大まかな方針を決定し、歩みを進めた。
カグツチ塔。さすがに最終戦争の舞台だけあって現れる悪魔も豪華豪華。
外道、幽鬼といった俺でもなじみの深い種族の悪魔もレギオン、シャドウといった最上位の者が現れ、神話では魔王、邪神とされた者もごちゃごちゃ現れる。
だがどれも各勢力の兵力という存在。恐るるには足らない。どれもこれもを最短の動きで潰す。
だがこういったダンジョンと呼べる物には敵だけを注意すれば良いということはない。
というのは、このカグツチ塔はカグツチが大量のマガツヒを使って即席で作り出した塔。何しろ維持にも大量にマガツヒを使用する始末。おかげであちこちが不安定なのだ。
迷路のように入り組んだ道。ギミック。そして油断はならない敵の数々。それを乗り越え俺達は上へ上へ登った。
そして200階を越えたろうと思えた時、一人のマネカタに目がいった。
このカグツチ塔でも、度々マネカタの姿があった。ミフナシロの生き残り達だった。
なんでもカグツチにマネカタだけの世界を創ってもらおうとこの塔を登っているらしい。コトワリもなく。
まぁ、それが彼らに出来る最後の抗いだろう。それに悪魔達は創世で忙しく、マネカタに構っている暇はない。安全は……保証はされないが全滅なんてことはないだろう。
そのマネカタが一人怯えたようにへたりこんでいた。ついに犠牲者が一人…と思ったが見たところ傷がない。どうも腰を抜かしたという言葉がしっくりくる。
話を聞いてみることにした。
「おい、どうした」
するとマネカタがカタカタ震えながら奥を指差した。
「こ、この奥にスゴい悪魔がいました。すごく大きいです。赤いです」
「大きい……赤い……」
大きくて赤い悪魔なんて候補が多すぎて絞れなかった。マネカタの言うスゴいも、スゴいの基準が分からないから判断材料にならない。
だが奥の気配を探ってみると、嫌でもその正体が知れた。この膨大なまでのマガツヒの気配。間違いなく守護だ。
それだけで候補は3つに絞られる。そしてその中で巨大で、赤い……
「アーリマン……」
俺はシジマの守護の名を口にし、手を握りしめた。
間違いない。祐子先生を亡き者にしたあの憎きニヒロの総司令。そしてそいつが召喚した守護の気配だ。
俺は憎悪の炎を胸に猛らせ、奥へ奥へと進んでいった。
巨大ブロックで構成された浮かぶ大広間。そこに進入できる大扉を開き、中に入ると………
そこにいた。
赤い巨体。広間を中央に座す静寂の神。
魔王 アーリマン。そしてその中にいる受胎の導き手。氷川。
アーリマンは広間に入り込んだ俺を光る目で見下ろした。
「我が静寂を乱すは何者ぞ……シジマの国の訪れを阻まんとするは……」
そして凝視したその目を、アーリマンはギラリと輝かせて声に険と殺意を籠めて言葉を吐いた。
「そうか、お前か……お前には力がある。だが、ついぞ我が意に適う心を持つことはなかった……邪なる迷わし者よ!その忌まわしき欲望とともに滅するがいい!」
そして己の体に折り畳んでいた巨大な触手をほどき、俺達に向けた。
俺は息を吐き、静かに、だがその身体にたぎる怒りが現れるように言葉を吐き出した。
「俺の欲は多々あるが、お前に欲することはただ一つだ」
そして、この世界で何度も言った呪詛を、しかし言葉そのものに物理的力を帯びる程に憎悪を籠めて吐き捨てた。
「死ね」
「死ね」
この言葉は零時君が何度も敵に対して言った言葉になっています。言い方はかなり違ってきますが。
次回、かなり難産になると思うので時間がかかりますが、楽しみにしてください。