真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中) 作:ブラック・レイン
遅れてしまった……時間が無さすぎる…字の通り師走の日々でした。
今回は二部構成。今回はその前編になります。
それでは本編どーぞ!
広間に響き渡った魔法による閃光と轟音。そのすべては俺達が放った物だった。
アーリマンはその巨躯と広間という限られた空間によって避けることはできない。そのすべてを座す巨神は喰らった。
だがアーリマンはそのすべてを受けてなお嗤ってみせた。重々しい、荘厳な存在に相応しい声で俺を嘲笑ったのだ。
その音が俺の身の毛を嫌悪で逆立てた。
穢らわしい。
人のくせして、世界のほとんどの生命体を殺したばかりかそのことを正義だと断ずるこいつの存在は俺にとって汚物にも等しい。
俺は憎しみと力を拳に籠めた。これでアーリマンの頭撃ち抜いてやろうと振りかぶった時、
アーリマンが動いた。
「無限の静寂の前に、邪なる者の力、如何ほどのものか、見ておくのもまた一興というものか…我の言葉が届かぬときには、おまえを地獄に導くこととしよう。これは遊戯だ……」
「遊戯だと……!」
舐められている。俺はこめかみを痙攣させるとアーリマンに向かって駆けていった。
「待て!」
ダンテの制止の声。それと同時にアーリマンはこう言った。
「『物理攻撃…これを禁ず』…」
ゾクッ!
「……っ⁉」
その重々しい声に俺は何かを感じてアーリマンから攻撃を逸らした。
俺の拳はアーリマンの横一センチを通りすぎ、空を切った。
完全にがら空きとなった俺の胴にアーリマンは口から光を放った。
「グハッ!」
守護の攻撃をまともに喰らい、吹き飛ぶ俺の身をなんとか空中で持ち直すと俺は壁に衝突する衝撃を身のこなしで和らげた。
「零時!」
「大丈夫……だ」
ピクシーの安否を心配する声にそう返すと俺はアーリマンのさっきの行為について考えた。
アーリマンはただ言っただけだ。『物理攻撃、これを禁ず』、と。
ただそれだけなのだが、その途端この広場の空気が変わった。
あのままアーリマンの言葉を無視していたら、どうなっていたのか。
考えていると威勢の良い声が響いた。
「へっ!なんだよ兄弟!怖じ気づいたのかよ。俺様が直々にやってやらぁ‼」
そういうと声を出した本人、妖鬼 フウキは持っている双刃を振り回すとアーリマンに駆けていった。
止めようとしたが、フウキはその前に双刃をアーリマンに振るってしまった。
「オラオラぁ!【地獄突き】ィ!」
物理単体攻撃技【地獄突き】。【気合い】をかけていたのか当たった音も、威力も派手だった。
アーリマンの壁のような巨体がビリビリと震える。だがアーリマンは嗤った。
獲物が罠にかかった猟師のごとく、残虐に。
そしてアーリマンはある技を繰り出した。
「【地獄への導き】」
その瞬間、死に近づいた俺には感じられた。濃密な死の気配を。
フウキは赤い光の柱に囲まれた。
「うおっ!なんだよこりゃあ⁉出せ!出しやがr」
フウキが喚き、武器を光の柱にぶつけようとした時、
フウキがマガツヒと散った。
「………ッ!!」
俺は戦慄しつつも、先程のアーリマンの言葉を理解した。
あれは言霊とも言うべき言葉だったのだ。そしてその言葉が届かなかったとき……つまりは言うことを聞かなかった場合は問答無用の即死技を使う。
それが【地獄への導き】という技だろう。
俺が死の力を十全に使えるのならそんなもの意味を為さないだろうが……今の俺の技量では死の力を纏うのが精一杯。
「あいつの言葉には従うしかない、ってことか」
忌々しい。しかし仕方がない。アーリマンの創るルールの中でやってやろうじゃあないか。
俺は死んだフウキの代わりにティターニアを召喚し、魔法威力を上昇させるために【マカカジャ】という魔法を唱えさせた。
そして威力が上がった魔法を仲魔達は雨あられと降らせる。
一方、ダンテの方も魔法を使っていた、というよりも属性を帯びた剣で攻撃してると言った方が正確だが。
「yeah!」
【ラウンドフリップ】
【ワールウィンド】
剣……名前を『リベリオン』というらしい大剣を振るうと刃から雷や風が放たれ、或いは刃に纏わりながらアーリマンに叩きつけられた。
ガァン!という音。そして余波が走るびりびりとした空気の振動を聞きながら俺も魔法を唱えた。
「【真空波】ァ!」
技の名を叫び、アーリマンに向けて手を振るうと巨大な竜巻がアーリマンの全身を切り裂いた。
衝撃魔法の中でも最強クラスの魔法を喰らい、さしものアーリマンも身を震わせた。
だが倒れない。秩序を絶対とし、静寂を世界に降ろさんとする神は、我こそその絶対秩序そのものであると言わんばかりに倒れず、それどころか俺達という敵を未だに嘲笑った。
「ククククク……遊戯を続けるとしよう。『魔法攻撃……これを禁ず……』」
「おっと……」
いきなりの禁じ手の変更に魔法を放とうとしていたダンテは魔力をこめた剣を振るおうとしたところで体を停止させる。
仲魔達も俺も同様のミスをしそうになるが危うく魔法を引っ込めるが、アーリマンがその隙を見逃さなかった。
「【アギダイン】」
「ぐっ……!」
どうやら禁止事項は自分は例外となるらしい。単焦点の火炎魔法を俺に放つ。
腕をクロスさせ、致命傷は避けるが腕をごっそり焼かれる。
「ちぃっ……!」
カウンターで【破邪の光弾】でもぶつけてやろうかと思っていたがこれでは治療しない限り無理だ。
なら………!
俺は全身を軽く反らし、全身の生命力を目に集中させる。そしてそれをある程度溜めると、技として放った。
「…………ッ!!」
【螺旋の蛇】
目から放たれたのは思えない極太のレーザーがアーリマンの身を撃つ。
「ぬうっ……!」
大技の直撃を喰らい身をよじるアーリマン。だが足りない。あいつを討つには。
なら……!
俺は放っている【螺旋の蛇】に死の力を込める。目から血が流れ出すが構わずに【螺旋の蛇】の再び放った。
別の技として。
「【命喰い蛇】ッ!!」
瞬間、【螺旋の蛇】の色がドス黒く変化し、威力がかなり増した。
「ぬっ……!」
あれは受けたらマズイ。そう生物の本能が判断したのだろう。口からあちらも特大のレーザーを放った。
だがダメだ。その程度で死が止まるか。
俺の放った。黒く光るレーザーはアーリマンが放ったレーザーと衝突した。
ドオン!という音とともに拮抗する二本のレーザー。だがそれは一瞬のことだった。
スバァァン‼
「ゴオッ⁉」
あっという間にアーリマンのレーザーを裂き、死の力が籠ったレーザーがアーリマンの体に直撃した。
アーリマンの頭がひび割れる。頑丈な体の装甲にもひびが入った。
だがアーリマンはまだ絶命していなかった。あれほど死の力にその身を撃たれたのにも関わらず生きているとは……守護というだけはあるということか。
だが笑みに余裕がなくなった。アーリマンは殺気に満ちた、非情さしかない冷たい笑い声をあげた。
「ククククク…!邪悪なる無法者め…この辺で終わりにしよう」
そういうとズン!という擬音を着けたくなるくらいに空気が重くなった。それがアーリマンの力が増幅したことによるものだと気付くとアーリマンは体勢を変えた。
組んでいた手足を広げ、獣のようによつん這いになったのだ。
それだけではない。力も手足を開放するにつれて上がった。
驚く俺達を嘲笑いながらアーリマンはひび割れた口を動かし、俺達に言った。
「遊戯など、無限の静寂の前には、ただの無意味で無駄なものに過ぎぬ。おまえも、闇に滅するがいい……」
重々しいその言葉。俺は目から流れる血を拭い、言い返した。
「滅びるのは……お前だ。死にその命を狙われて生き残れるとでも?」
俺は凄絶に笑んだ。
「否だ。否否……。お前の運命は死しかないんだよッ!!」
「ならばお前を地獄へ送り、死を遠ざけてくれようッ!!」
互いにそう言うとアーリマンは開放した手で、俺は死を纏った拳を振り上げ、互いにそれをぶつけた。
戦いは、まだ続く……。
後編へ続く。