真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中)   作:ブラック・レイン

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カグツチ戦開始直前までです。零時の心境を中心にして書いております。




怒りの光 憎悪の闇

カグツチ塔最上階。ついにここまで来た。

 

長らく続いた巨塔の戦争は………創世者を決める戦争はついに決した。

 

創世者という勝者を出さないという結果で。

 

この世界は、祐子先生が許さなかった混沌の世界のまま……死んだままというわけだ。

 

生まれてくる世界の代わりに生まれたのは、夜藤 零時という人間だった【悪魔】……否、もっとひどいか。

 

悪魔は人間の想像とマガツヒから成る。つまり、自分がどうあるかを決めることができない存在なのに対し、俺はどうだ?少なくとも、自分がどうあるかを決めることは出来た。

 

その上で、親友を殺すという悪行を行った。神に復讐するために。

 

俺は勇を葬った手を見、今の自分にふさわしい言葉を探した。

 

化け物……怪物……ダメだ。どの言葉も生温く感じる。だが……。

 

「…………バカか、俺は」

 

悶々と考え続けて、俺はその言葉探しをやめた。

 

こんなこと、バカげている。どんな言葉を俺に飾ったところで、今が変わるわけでもない。神が死に、世界が戻るわけでも、ヒジリや祐子先生、勇や千晶が生き返るわけでもない。

 

今、やるべきことは考えることではない。

 

大いなる意思と、その駒を討つ。全て‼

 

さぁ、その一歩としてまずお前を討つ!カグツチ‼

 

お前の死に様を、大いなる意思への宣戦布告としてやる‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カグツチ塔最上階の奥。そこに三つの柱のような物があった。

 

その柱のような物に、1つずつ窪みがある。言うまでもなく、タカラを奉納するためのものだろう。

 

俺はまず、右の柱に向かった。

 

そして物置き空間から、氷川から奪った【ツチノタカラ】を取り出す。

 

【ツチノタカラ】は激戦を繰り広げたにも関わらず、血の跡だとか傷のような争った跡がなかった。代わりにまとわりつくように存在するのは、マガツヒ。

 

この霊石そのもののマガツヒではない。

 

氷川の、マガツヒである。

 

感情……それもどす黒い負の感情であるそのマガツヒは俺の心を絶望で苛んだ。

 

それほどまでに……人間が人間らしくあることに絶望したか。氷川。

 

だが、お前の世界はもうない。せいぜい、俺の道を開くための鍵になるが良い。

 

俺は【ツチノタカラ】を一睨みするとそれを窪みに嵌め込んだ。

 

すると、それを源にして柱は大量のマガツヒを放ち始めた。

 

それを一瞥すると、俺は2本目の柱に向かい、それと同時に勇から奪ったタカラを取り出した。

 

【ヨミノタカラ】。そのタカラは血でべったりとしていた。

 

黒ずんだ赤にそまったそのタカラからも、絶望で創られたマガツヒがまとわりついていた。

 

ぬるま湯のような平和な世界から、このボルテクス界につれてこられ、たった一人でこの地獄を生き抜かなければいけなかった勇。

 

誰も救いの手を伸ばせなかったその状況で彼は他人にすがることに絶望した。

 

その中で、彼は自分なりの真理を見つけ、それを正しいとした世界を創ろうと奔走した。殺しまでして。

 

孤独の果て、たった一人でその境地まで至れたその心の強さには、本当に、本当に感服する。彼にそんな強さがあったなんて、世界がこうなる前には予想もつかなかった。

 

そんな勇を、俺は殺した。

 

謝罪はしない。戦争で死ぬなんてことは勇も理解はできていたはずだ。

 

ただ、新田 勇という存在を覚え続ける。それが俺からあいつに親友としてやってやる、最後の行動だ。

 

俺はそう考えると【ヨミノタカラ】を窪みに嵌め込んだ。

 

二本目の柱も、膨大なマガツヒを放ち始める。それがカグツチに向かって伸びる。

 

それを見届けると、俺は三本目の柱のもとへ向かった。

 

そして取り出したのは、千晶から奪ったタカラ……【アメノタカラ】

 

彼女はこの世界に迷いこんでなお、力強い強者であろうとした。弱者は生きられない。そう世界に見切りをつけて、ヨスガのコトワリを拓いた。

 

その後、行ったことは悪逆非道。俺にとっては永遠に許すわけにはいかないことだ。

 

だが、少し気が強いことと他人より優れていること以外は脆い人間と変わらない千晶も、勇と同様、守護を降ろしたその境地までたどり着けたその強さは本当に感服した。

 

だから勇と同じく、謝罪も後悔もしない。その代わりに、永遠に橘 千晶という存在を記憶に焼き付ける。

 

俺は心の中にそう決め込むと【アメノタカラ】を最後の柱に嵌め込んだ。

 

これで全てのタカラが奉納された。

 

すると三つの柱から光が放たれ、柱の前にある床の一部が光始めた。

 

「………ここに乗れってことか?」

 

「そうらしいな」

 

俺は光る床に乗ると仲魔達の方を視線で薙いだ。

 

「さぁ、神への反逆の時だ。退くならここが最後のチャンスになるぞ」

 

そういうと、俺は仲魔達に向かって叫んだ。

 

「選べ!退いてお前らにとっての日常を過ごすか⁉それとも、俺という愚かな物語に最後まで付き合うか⁉退くのなら俺は止めはしないぞ‼」

 

ひとしきり叫ぶと召喚されている仲魔達も、ダンテも目を見開き、そしてにやりと笑った。

 

「私達はあなたについて行くってアサクサで言ったでしょ?今更仲魔はずれなんて許さないわよ?」

 

その言葉に同調するように仲魔達は叫び、吼え、腕や武器を掲げた。

 

「……お前もか?ダンテ」

 

いつも不敵な笑みを浮かべている悪魔狩人は当然とばかりに頷いた。

 

「こんなとびっきりのイベントを見逃すなんて損も損、大損だろ?当然、俺も参加するさ」

 

獰猛な笑みを浮かべて、大剣リベリオンを振るうその姿は、ここまでの短い間でも味方にとって頼もしいものであり、敵にとっての絶望の象徴であった。

 

意思は変わらない。そう確信すると俺は光る床を爪先で叩いた。

 

するとカグツチの光で白く染まった天から声が響いた。

 

「……汝、全てのコトワリを統べし者。いざ、汝の下へと誘わん」

 

その声に反応したかのように、床が一際激しく光り、そしてそれは床から切り取られたかのように上に上り始めた。

 

そして俺達を乗せてカグツチの方に向かって、ただただずっと上に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりに、そこまでに至る道は長く感じた。

 

上昇が止んだ時、俺達の目の前にあるのは巨大な光球だった。

 

これが、カグツチ。世界をボルテクス界に……混沌の世界にした神の駒。

 

カグツチは俺がたどり着いた瞬間、おぞましい物にでも触れたかのように、その光を収縮させた。

 

「…おぉ、お前が此処にたどり着こうとは……何故にお前が選ばれたるか……」

 

カグツチは俺に向けて光を照らしながら、嘆きの言葉を呟いた。

 

「……新たなる世界を創らんと我は興り……新たなる世界を創らんとコトワリを持ちし者どもが参じた。なれど、その光はことこどく断たれ、新たなる世界の光は潰えた……一体の……復讐の権化によって……」

 

カグツチは震えていた。怒りによるものか、あるいは俺に対する恐怖か。あるいは両方か。

 

カグツチの言葉は続く。

 

「お前は堕ちた天使と、他の混沌王どもに導かれ、創世の芽を……世界の輪廻の糸を切った。悪魔を超えたはるかにおぞましき存在にその身を染め、進化の可能性を捨てた……人の心を持ったまま、悪魔や神を震撼させる破壊の大霊に成り果てたのだ」

 

俺はその言葉にピクリと震えた。人の心を持ったまま?

 

俺の心は、あの老紳士によって悪魔の物へと変えられたはず。人の心などない……はずだ。

 

問う必要があるか。あの老紳士に。

 

カグツチは一際激しく光輝いた。その身を、今度は確実に怒りで震わせた。

 

「我は恨みを置くぞ!世界を、その悪魔よりもおぞましい人の心で死に至らしめたお前という存在に!我が怒りの光にてその生を終えよ‼」

 

カグツチは守護をはるかに超える力を放出させ、その姿を現した。

 

機械。そうとしか言えない姿だ。神々しいなどという言葉はそこにはなかった。

 

金属のパーツを何百、何千も重ねた空飛ぶ球体。それがカグツチの姿だったのだ。

 

「……なんだ、この姿は」

 

俺はその姿を見て、黒い感情を噴き出した。

 

こんな、こんな『物』に俺の全てを奪われたというのか。

 

許さねぇ……

 

「死ねッ‼」

 

カグツチよりもはるかに短い憎悪の言葉。もはや敵にくれてやる言葉はそれだけで良い。

 

言葉は重要じゃない。今、あるべき物は。

 

憎悪と殺意だ‼

 

ゴウッ!カッ‼

 

カグツチが殺意を込めた光を放ち、俺は憎悪を含んだ闇を放った。

 

球体の形をしたボルテクス界の中心にて、光と闇の闘争が始まった。

 

 

 

 




いつの間にか、UAが二万を超えているだと……

嬉しいかぎりです!最後までこの小説をご贔屓に‼

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