真・女神転生3 Beginning King of the chaos (休載中)   作:ブラック・レイン

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真・女神転生3をやっているのなら、初ボスであるこの悪魔は印象深いと思います。


死闘とトウキョウ

 

さて、分院を進んでいくと脱出する壁が立ちはだかっていた。

 

分院内にあちこち存在する思念体の話から、この分院の支配者を名乗る悪魔が存在しており、病院の出入口を塞いでいるそうだ。

 

悪魔の名は、フォルネウス。オレは二階からその姿を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フォルネウス。ソロモン王が使役した72体の魔神の1体で、大侯爵の座についている。

 

召喚された際には、海の怪物の姿になって現れるらしい。その話に影響されているのか、オレの目の前にいるフォルネウスも海の存在にふさわしい姿をしていた、が。

 

「エイじゃねぇか‼」

 

二階から一階にある出入口にいるフォルネウスの姿を一望できるのだが、その姿は空飛ぶ巨大エイとしか言い様がない姿だった。

 

もっとこうボスを名乗るぐらいなら、こうもっと【悪】って感じが良かった。

 

………まぁ、支配者を名乗れる力はあるようだ。先ほどから何体かの悪魔がフォルネウスに襲いかかっているが、氷のつぶてを飛ばしたり、ヒレで叩きつけたりして軽々と倒しているのを見た。

 

その辺をうろうろしていれば隙の一つでも作るかな、と思ったがある情報のせいでその案は却下せざるをえなかった。

 

『フォルネウスの隙をついて病院から抜け出した人間の少年と少女がいた』

 

もしかしたら……否、高確率で勇と千晶のことであろう。時間をかけている暇はないし、何より二度も逃げられていればどんなバカでも警戒を強めてしまうだろう。

 

フォルネウスを、倒すしかなかった。

 

とりあえずフォルネウスがいる部屋の扉の前で準備をすることにした。

 

ちなみに仲魔というのはオレが召喚するという形でそこにいるらしい。

 

つまりはオレが呼んでいる仲魔のみが体を持ち、行動できるということであり、他の悪魔はオレという存在の中にストックという形で待機するとのこと。

 

ちなみに召喚できる悪魔の数は三体。つまり戦闘に参加できるのはオレを含めて四体ということになる。

 

そうなると戦闘に参加する悪魔は考えなければいけない。

 

観察してみるとフォルネウスの攻撃は氷結属性による魔法攻撃と空中から一気に距離をつめて奇襲する戦法が軸になることが分かった。

 

……と、なるとだ。

 

「カハク。お前はダメな」

 

「なんでよ!」

 

地霊 カハク。彼女の攻撃は火炎魔法が主体であり、支援もそれなりにできる悪魔なのだが。

 

「氷結攻撃に弱いだろう、お前さんは」

 

そう、それがあまりにも致命的なのだ。カハクの耐性は『火炎に強い 氷結に弱い』であり、氷結攻撃使いフォルネウスに太刀打ちできるものではなかった。

 

同じ理由でウィルオウィスプも除外する。あれはダメだ。『魔法全般に弱い』なんてクズすぎる。

 

というわけで、フォルネウスを倒すパーティーは決まった。

 

オレ、ピクシー、コダマ、シキガミ。この四人だ。

 

さて、戦闘準備も整ったところでフォルネウスに挑みますか!

 

と、思ったところで通路の奥にいた思念体に話しかけられた。

 

「おい、お前。まさかフォルネウスを倒すつもりなのか?」

 

「あぁ、そのつもりだが?」

 

そう答えると思念体はゲラゲラと笑いこけた。

 

「がははは!本当に倒せたら、オレの全財産をくれてやるよ!」

 

「!へぇ……その言葉に二言はねぇな?」

 

「あぁ、耳揃えてきっちり全財産払ってやるよ。倒せたらなぁ。ガハハハ!」

 

未だに嘲笑している思念体を放置し、オレは燃えた。絶対にフォルネウスを倒し、こいつの全財産いただこうじゃないの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉を通り、オレはフォルネウスに相対した。

 

……なぜだろうか?目の前にいると思ったよりも【小さく】見える。

 

その疑問を考えているとフォルネウスがオレに気付き、オレのすぐ前まで接近した。

 

「……おい待て、キサマ。見かけない悪魔だな。

この堕天使フォルネウス様にアイサツ抜きで、外に出ようってのかぁ?」

 

「そうだけど、悪い?オレはさっさとこの病院から出たいだけだが?」

 

言い返すとフォルネウスはせせら笑う。だが、目だけが笑っていない。完全に怒りの目だ。

 

「命知らずの坊やだねぇ~。さっきはヘマして人間に逃げられちまったが、キサマはそうはいかねえぞ。この病院でなめたマネするヤツは、かる~く狩ってやるのさ。このヒレでサクサクッ……ってよお!死ねぇぇぇぇ!」

 

言うだけいうとフォルネウスは襲いかかってきた。

 

まずは正攻法で攻める。とはいえ飛んでいるフォルネウスにオレが出来ることは限られている。

 

まずは魔法で落とす!

 

「やっちまえ‼」

 

オレが合図の声をあげると仲魔は己が使える魔法を放った。

 

「任せなさい!“ジオ”!」

 

「頑張るぞー‼“ザン”!」

 

「ワレニマカセヨ!“ジオ”!」

 

電撃の弾と風の刃がフォルネウスに向けて飛んだ。

 

「おっと‼」

 

だが、さすがにボスを名乗る悪魔。全てよけてみせた。

 

だが、それでオレを視界からはずしたのは失策だったな。

 

「オラァ‼」

 

「グオッ⁉」

 

俗にいう壁キックでフォルネウスの上に移動したオレはフォルネウスの上からドロップキックを放った。

 

その威力はフォルネウスを落とすには十分だったようでフォルネウスはうめき声をあげながら落下した。

 

オレの攻撃は終わらない。落ちたのなら追撃あるのみだ。

 

オレはフォルネウスの上に着地し、両拳を振り上げ、交互にパンチを繰り出した。

 

仲魔達も距離をとって魔法で攻撃する。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ‼」

 

「ヤァッ!」

 

「ていッ!」

 

「オオッ!」

 

「グハッ⁉ゲホッ⁉ガハァッ‼」

 

仲魔達の攻撃も相まってフォルネウスに着実にダメージを与えることに成功した。

 

だが、フォルネウスも負けっぱなしではなかった。

 

「調子に乗るんじゃねぇぇ‼」

 

じたばたと暴れ、オレを振り落としにかかる。

 

「撤収ー!」

 

オレは振り落とされる前に逃げた。

 

オレが降りるとフォルネウスはすかさず飛び上がり、オレを怒り狂った目で睨んだ。

 

「キサマ、調子コイてんじゃねえぞ!?」

 

しかしなんでだろうか?名のある悪魔にそんな表情で睨まれても恐怖が湧かない。

 

ただひとつ言えるその理由が分かればもっと自分は強くなれる。そんな感じがする。

 

だが、思考にふける訳にはいかない。フォルネウスを完全にキレさせたのだ。きっとあいつは全力をだすだろう。

 

その予想は当たっていた。フォルネウスはくるりと回転するとその技を繰り出したのだ。

 

「これでも食らえ‼“マハブフ”‼」

 

その言葉をフォルネウスがはいたとき、オレの全身をぞっとする冷気が包み込んだ。

 

フォルネウスの殺気というのもあるが、これは現実的に空気が冷えてるのだ。おそらく氷結攻撃の前兆だろう。

 

予想通り、フォルネウスの正面にいくつもの氷弾が形作られる。

 

「よけろ‼」

 

オレがそういうのとフォルネウスの魔法が完成するのは同時だった。

 

ヒュンヒュンと飛ぶ氷弾の嵐を勘だけで掻い潜り、かわす。コダマとシキガミが被弾するのが見えるが、声をかける余裕はない!

 

魔法攻撃、“マハブフ”の弾幕が終わり次第、再び接近し、今度はフォルネウスの顔面を蹴りあげる。

 

「なっ⁉」

 

渾身の攻撃をかわされたことに驚愕してフォルネウスはかわすことも出来なかったらしい。オレの攻撃は面白いように当たった。

 

その隙にピクシーはシキガミを回復させ、コダマは“ディア”を習得できたのでそれで自らを回復させる。

 

オレは空中でそれを一瞥すると再び追撃を行う。

 

オレは空中で体勢を整え、今度は腕を振り上げる。

 

そして指をチョキの形にし、奴の目に突っ込んだ。

 

「ギャアアァ⁉」

 

激痛に絶叫し、フォルネウスは暴れだす。

 

「お、おのれぇぇ‼貴様ァ‼よくもオレの目を潰してくれたなぁ‼」

 

「クダクダしゃべるのは勝手だけどさぁ。アンタの敵はオレだけかい?さかなクン」

 

オレがそういうとそれが合図だったかのように体勢が整った仲魔達の魔法が雨あられと降り注ぐ。

 

「グアァア……!」

 

魔法が飛んだ方向にフォルネウスは氷弾を放つが、やたれめったらの攻撃に当たるほど仲魔もバカじゃない。あちこち飛び回りながら魔法を撃ちつづける。

 

さて、このまま落ちてくれると詰みなんだが。

 

「お、おのれぇぇ……!!ゼッテェ殺してやらぁ‼

‼」

 

フォルネウスが怨嗟の声をあげると再び魔法の詠唱をする。奴がくるりと回転するし、集中する。

 

やれやれまた“マハブフ”かと思ったが、なんか違う……。

 

何かおかしい…………ッ!

 

「全員避けろォ!」

 

嫌な予感がし、オレは全力で奴から離れる。

 

仲間はキョトンとし、反応が遅れてしまった。

 

そのとたんに奴の攻撃準備が終了した。

 

「アアアアアアアアアッ!“死門の流氷”ゥゥ‼‼‼」

 

その絶叫が耳に木霊したとたん。

 

室内全域に氷山が炸裂した。

 

「ぎっ…!」

 

この氷は刃のように鋭く、頑丈になったオレの腕も貫いた。

 

仲魔達も避けるがその物量にコダマとシキガミが潰れ、マガツヒになって消えた。

 

「あっ……」

 

オレはそれを見て声をあげた。

 

しかし攻撃は続く。今度は炸裂した氷が降り注いできたのだ。

 

腕をクロスさせてガードするがいくつかの氷のつぶてがオレのガードを掻い潜って被弾し、頭から赤い血が流れ出した。

 

やがてそれも降りやむとオレは辺りを見渡した。

 

ピクシーの姿が見えない。まさか彼女まで……!

 

そう思ったとき、オレのすぐそばの氷の山が崩れ、その中からピクシーが現れた。

 

「まったく……信じられない……乙女の肌に……こんな傷をつけるなんて…」

 

彼女のいう通り、彼女の全身は傷だらけだった。

 

それを見て、オレの心の中に冷たい怒りが現れた。

 

その怒りの矛先はもちろんあの魚野郎だ。よくも……よくもオレの仲魔を……!

 

「死ね」

 

悪役にいうセリフならもっと長い言い回しがあるだろうが、オレにそんな口はない。ただ攻撃する意思さえあれば今はいいだろう?

 

オレは先ほどよりも速く、荒々しく壁をかけあがり、フォルネウスの頭に拳を叩き付けた。

 

「んなッ⁉」

 

“死門の流氷”とやらでオレ達を仕留めきれたと思っていたのだろう。驚愕の声をあげるフォルネウス。

 

そのまま床に叩きつけるとオレは指をたて、フォルネウスの体に突き立て、そのまま奴の肉体を裂きはじめた。

 

「ギャアアァ‼」

 

汚い絶叫が上がり、オレの体に血が着くが知ったこっちゃない。こいつはオレ達を殺そうとし、結果コダマとシキガミを殺した。それに対する報復は一つだ。死ね、ただ死ね。

 

「死ねよォォォォォォォォッ!」

 

絶叫とともにひときわ大きく奴の体を引き裂いた。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

だがこの期に及んでフォルネウスは最後の抵抗をみせた。オレを振り落とし、ヒレを振り上げる。

 

「零時!」

 

ピクシーの悲鳴混じりの魔法とオレのカウンターは同時だった。

 

“ジオ”

 

“突撃”

 

ドオォン!ガシャーン!

 

「グアァア……!」

 

オレを殺そうして振り上げられたヒレが力なくくたびれ、奴は大量のマガツヒを放出しながら息絶えた。

 

それを見て、オレとピクシーはその大量のマガツヒに無我夢中になって貪った。

 

やがて全てマガツヒを喰らい尽くすとオレとピクシーは息をついた。

 

「お疲れ様」

 

「あぁ、お疲れさん」

 

互いに労いの言葉を言い合い、そしてオレは表情を曇らせた。

 

「…………?もしかして、コダマとシキガミのことを気にしてるの?」

 

「そりゃあ、気にするさ。オレの判断ミスで深追いさせて、みすみす殺させちまったし……」

 

オレがそういうとピクシーは目を丸くし、なぜか笑った。

 

「な、なんだよ⁉オレなんか変なこと言った?」

 

「ち、違うわ……!あれ?私教えなかったっけ?」

 

「何が?まさか悪魔は生き返るとか言うなよ?」

 

「そのまさかよ」

 

………マジかよ。

 

「え?マジで⁉」

 

「えぇ。ちゃんとした術者なら普通の悪魔を生き返らせることは可能よ?ここにもすぐそこの部屋に無料で治療と蘇生が出来る思念体がいたし」

 

………え、なに?オレが怒り狂った意味ないじゃん。

 

ガックリときたオレをピクシーは弱々しく笑った。

 

「さぁ、さっさと治してもらいましょ。あなたも腕が大変なことになっているわよ?」

 

「へ?うわっ‼」

 

見てみると腕から血がダクダクと流れている。アドレナリンのせいで痛みすら麻痺していたようだ。

 

オレは慌てて立ちあがり。その治してくれる思念体の元に駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その思念体の回復術は凄かった。マガツヒになったはずのコダマとシキガミを元通りにし、オレとピクシーの傷もあっという間に治してくれた。

 

オレは何度もその思念体に礼を言い、出ていくと別の思念体にぶつかった。

 

それはオレに『フォルネウスを倒したら全財産をくれてやる』と言った思念体だった。

 

その思念体はオレを見るなりビクッと震え、やがて諦めたのようにグデっとなった。

 

「………本当に倒すとは……ちくしょう………全財産だ!持ってけ!」

 

ほとんどヤケになった声でその思念体はオレにかなり大量のマッカ通貨を押し付けた。

 

「おぉ⁉」

 

正直、本当に約束を履行してくれるとは思っていなかったため、驚いた。

 

そしてその思念体はとぼとぼと去っていった。

 

「……くそ。病院脱出の前に、貧乏からの脱出が先になった……」

 

去り際、そうぶつぶつ言いながら。

 

律儀に約束を守ってくれるあたり、あの思念体、根は良い奴なのかもしれない。

 

だからといってお金を返しはしないがな。え、悪魔みたいな奴だって?悪魔ですが何か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フォルネウスのいた部屋に戻るとあの野郎が他の悪魔から強奪したと思われる宝箱がゴロゴロしているのを見つけ、仲魔と一緒に物色しつくした。

 

その中に驚くべき物があった。

 

「マガタマ……⁉」

 

色は違うが、虫のようなそれは完全にオレの体内に寄生しているマガタマと同じものだった。

 

凝視するとその名前と特性を知れた。

 

 

 

 

ワダツミ。氷結無効 電撃に弱い 氷結属性の攻撃を中心に覚える。

 

 

 

 

 

どうやら文の真ん中によると、このマガタマを取り込むとオレの耐性が氷結無効 電撃に弱いになり、装備し続けて強くなれば氷結攻撃を中心に習得できるらしい。

 

電撃に弱くなるのはいささか恐怖を覚えるが、氷結攻撃を覚えるのはありがたい。今のオレの攻撃のレパートリーは殴る蹴る体当たりの肉弾戦法しかないのだから、フォルネウスのような遠距離攻撃を覚えたかったのだ。

 

まもなくマロガレが新しい技を覚えさせてくれそうなので(その時になると体内マガタマが活発化する)それを覚えたらこれを取り込むとしよう。

 

そう決意するとオレは仲魔に呼び掛け、病院の外に出ることにした。

 

いよいよ外だ。いったい外はどうなっているのだろうか?

 

息を呑み、オレは外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出るとまず目に飛び込んだのは人の気配が一才ない建物の群れとその果てに見える砂漠。

 

その様相は、まさしく世紀末。

 

その風景に絶句していると、ふと何者かの気配を感じた。

 

その感覚に偽りはないことをオレは知っている。すぐに探し、そして見つけた。

 

あの喪服姿の老婆と子供が離れた場所に立っていた。

 

こちらがアクションに悩んでいると老婆が話はじめた。

 

「……すぐに死んでしまうような恥ずかしい真似はしなかったようですね。一安心でございます」

 

その言葉に怒りが湧くがひとまず抑える。危害を加えにきたわけではだろうし、無駄なことをしにきたわけでもないだろう。黙って老婆の言葉に耳をかたむける。

 

「仮にも坊ちゃまの情けを受けた者。その程度の強さで終わってもらっては困ります、ホッホッホ……」

 

不気味に笑うと老婆はふとこう言った。

 

「そういえば貴方、外のトウキョウへ出るのは初めてですね?それじゃ、婆のお節介ですがひとつだけ……上をごらんなさい」

 

老婆の声に眉をひそめるが言われる通りオレは上を見て、絶句した。

 

『空がない』のだ。なんと向こう側の大地が代わりに存在していた。

 

これではまるで世界がボールの内側ではないか。

 

「ごらんの通り、東京は姿を変え、丸い世界になりました。その世界の真ん中で…なお輝いてるモノが見えましょう」

 

確かにそこには光る何かがあった。なぜだろう。あれを見ていると体がゾクゾクする感じがした。

 

「…あれがカグツチでございます。あれは、このボルテクス界を創りだした源。そして、この世界に住む者に力を与えているモノです」

 

カグツチ。ボルテクス界。その単語をしっかり記憶に刻み込む。間違いなく重要な単語だ。

 

覚えながらオレは耳を向け続けた。が、子供がそれにストップをかけた。

 

「……おや、坊ちゃま。もう行かれますか。それでは、これで。今後ともしっかり頼みますよ。世界を創るも良し、壊すも良し……」

 

「なに………⁉おい……!」

 

最後の言葉を問う前に子どもと老婆はいなくなった。文字通り失せてしまった。

 

「……なんだったの、あいつら…」

 

後ろで乾いた声をだすピクシー。どうやら悪魔でもあの存在のことは分からないようだ。

 

「……行こう。考えていても答えは見つからないだろうし」

 

「……えぇ、そうね。南に向かってね。そこが目的地だから」

 

「はいよ」

 

心にもやもやとした物を抱えながらオレ達は変貌したシンジュクの地を歩きはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零時が去ったあと、そこに赤いコートをきた男が現れた。

 

「ここが、東京か」

 

男はそう言い、辺りを見渡した。

 

「どうやらスシだのゲイシャだのって雰囲気じゃなさそうだな」

 

男はそういうと舌打ちをした。

 

「まったくあのジジイ。厄介な依頼をもってきやがる…仕方ない、少し調べてみるか」

 

男はそういうとコートをなびかせながら、変貌したトウキョウの地を歩きはじめた。

 

 

 

 





最後の人、誰でしょうねぇ?(すっとぼけ)
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