地雷要素を色々とぶちこんだだけのごった煮短編プロローグ風。徹夜明けの妙なテンションで書いた黒歴史ラブレター状態。とっぴんぱらりのぷぅ。

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人を外見で判断するな!

 春風に舞う桜の花びらが、澄み渡る青空を踊ってゆく。

 ひらりと舞い落ちた先には、悩ましげな溜め息を吐く一人の人影の姿。

 柔らかな風に靡く白銀の髪、愁いを帯びた瞳、白磁のようなきめ細かさを保つ肌、絵画から抜け出したかのように整った面立ち。

 身の丈は周囲を遠巻きにする生徒達よりも高く、身体の線の細さも相まって、雑誌から抜け出したトップ・モデルのような雰囲気を放っている。

 そして何より見るものの瞳を惹き付けるのは、左右で異なる色を輝かせる瞳だ。右目を深い叡智を湛えるシルバー・グレーとするならば、さしずめ左目は快活さを示すアイス・ブルー。

 あらゆる意味で平均的な日本人離れしたその新入生を見て、周囲の生徒達が囁くようにして噂し合う。

 当の本人がどう思っているのか想像すらせずに――

 

 

(うーあー。やっぱり女装して入学って無理あったんじゃ……すごい目立ってるような気がする……)

 

 心中ではらはらと涙を流し、渦中の人物は我が身を嘆いた。

 そう――桜上水・太郎・クリス。容姿をぶち壊すミドル・ネームを持つ、列記とした日本国籍を持つ日露ハーフの彼は……十六歳になったばかりの男子高校生だった。

 ――ここは、IS操縦者育成学校『IS学園』。

 それは『女性にしか反応しない』世界最強の兵器『インフィニット・ストラトス』の操縦者を育成するために日本に設置された学園で、そのために男女比率が妙なことになってしまっている場所だ。

 ではなぜ、太ろ……クリスがそこに女装しているのかといえば、聞くも涙語るも涙の事情があったのである……。

 

 

 沖縄諸島に浮かぶ総人口二十五人の離れ小島『水島』が、クリスの生まれた場所だった。

 その瞳の色を見た両親は、遺伝子疾患かと危ぶむも、色以外には何も異常が見当たらなかったため、ホッと両親は胸を撫で下ろした。……その騒動のせいで、ミドルネームと名前をつけ間違えたり、そもそもミドルネームを戸籍に書き忘れたり、と色々うっかりを発動してしまったのだが、それはさて置き。

 島の皆が家族といった状況で育った彼は、中学校(とは名ばかりで幼小中同じ校舎)の早めの卒業祝いに、初めて本土の地を踏みしめた。

 その際に、幼馴染がIS学園入学試験に赴くというので、強引な流れでそれに付き添うこととなった。……どうやら卒業祝いとは名ばかりで、女一人じゃ不安だから見た目はどうあれ一応男であるお前が付き添え、ということだったらしい。せちがらい。

 市立の多目的ホールで彼女と並んで待っていた彼は、そこで当然のように女性と間違われて適性検査を受けることになってしまった。何せ百人いれば九十五人は美少女と見間違えるような外見なのだから、これはいつものことだった。ちなみに、残りの五人はといえば『こんな可愛い子が男でないわけがない』という男の娘信者だったりするので、どうでもよろしい。もっとも、今回に限って言えば正しかったわけだが。

 男性には反応しないISなので、何も起きずに終わるはずだった勘違い。けれど、話がおかしくなったのはここからだ。

 なんと、なぜかISが反応してしまったのだ。しかも、適正結果は桁違いの『S』評価。

 なぜか今まで容姿に異常があったり、五歳より以前の記憶がなかったり、一時間で外国語を覚えるほど異様に物覚えが良かったり、十キロ走っても息切れしないほどに身体能力が高かったり等々……といった彼だったが、その存在異常性もここに極まれり。

 直後に『世界で唯一ISを使える男』が現れて大騒動とならなければ、慌てて両親に携帯電話で異常事態を伝え、泣きつく時間すらなかっただろう。

 もしそうなっていれば、『世界で二人目……あるいは一人目のISを使える男』として騒がれることになっていたのは想像に難くない。

 更に恐ろしいのは、もしそうであった場合、『世界で唯一ISを使える男』と違って、両親共にサラリーマンとその秘書という後ろ盾のない彼は、あっさりモルモットとなっていた可能性すらあることだ。男性の地位向上を目論む人間の暴走は珍しくない。それ以前に、開発者がアリスの存在を許すわけが無いのだ。

 逃げ帰るようにして地元まで戻った彼を待っていたのは、入学通知書だった。受験者の中でダントツ一位どころか、彼の元日本代表の伝説IS操縦者『ブリュンヒルデ』と並ぶIS適正だった故の特別措置である。

 このままではお先真っ暗、人生諦めてそこで試合終了、となってしまう。

 そんな状況を覆し、その未来をぶち壊したのは両親の計画だった。

 すなわち、

 

『男だからマズイのであって、女だったら問題なくね?』

 

 である。

 そうして、家族思いの島民達全員の協力もあり、アリスの女装化計画は始まった。協力してくれる人達の形相がやけに怖かったり、演技指導に熱が入ってたりとしたこともあったが、それらは全て些細な事として片付けられた。

 無論、島包みで事実を隠蔽したとして戸籍を調べられたら一発である。

 が、そんな心配は無用。

 なぜなら、アリスが電話して時点で、両親が勤める企業の知人の手によって、彼の戸籍は女性となっていたからだ。これで誰かが女性だとバラさない限り、アリスは正真正銘の美少女となった。なってしまった。

 両親の仕事の内容っていったい……とか、戸籍弄られてる段階で僕の性別は……とか、悩んだら負けなので、百回は悩んだクリスは既に負け犬の中の負け犬である。

 そもそも入学そのものを断ればと思いきや、熱烈すぎてトラウマになる入学の誘いがあったので、その面だけでも見れば最初からその選択肢を諦めて正解ではあった。

 かくして、彼の女装してでのIS学園入学の幕が開く事となったのである。

 

 

 

 

 色々とごちゃごちゃ語ったが、ぶっちゃければ以下の通り。

『男だとバレたら人生ジ・エンド』

 些か難易度の高すぎる変態スニーキング・ミッションである。

 

 

 

 

「はぁ……水島での平穏な日常が恋しい」

 

 だからこそ、アリスが入学早々、憂鬱な溜め息を吐いて立ち尽くすのも道理なのだった。

 しかし、通り道の中で堂々と立ち止まっていれば誰かに衝突されても文句は言えない。

 全員が全員、前を向いて歩いていると決まったわけではないのだから。

 そう……アリスのように後ろ向きに生きる人間もいれば、きょろきょろと周囲を物珍しそうに見渡す『世界で唯一ISを使える男』なんて注意力散漫な人間もいるのだから。

 だから、二人がまるでドラマのワンシーンのようにぶつかったとしても、それはある意味必然の結果だ。

 そして、偶然ではありえない必然が幕を開く。

 

「きゃっ!?」

「うお!?」

 

 完璧な演技指導の甲斐もあり、不意の悲鳴すら可愛らしい女性そのものとなったアリスがよろめく。咄嗟にアリスを支えようとした相手だったが、支えきれずに二人は地面に倒れた……

 

「「――――ッ!?」」

 

 唇を重ね合わせた状態で。

 

 こうして、ハーレム鈍感男の無自覚っぷりのせいで、命の危機に晒されるアリスの学園生活は始まりを迎えた。

 本人達の意識とは裏腹に、周囲の生徒達の間で入学早々、噂の人物となりながら……。

 これは、そんな彼らの物語の序章である。

 ちなみにアリスはこの後、入学式をボイコットして保健室で泣いた。ファースト・キスの相手が男という事実に死にたくなったのである。

 そのせいで、それを勘違した相手に余計な気遣いをされてしまうのだが……それはまた別のお話である。




ティンと来たから書いた。
ノリと勢いで書いただけのインスタント一時間作品なので、粗とか矛盾とか探すだけ無駄です。数え切れないから。
そんな労力あれば他の作品を読みましょう。
勿論、続くわけがない。

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