Deadline Delivers   作:銀匙

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昨日のコメントを見て思い出しました。
これ、短編のサイドストーリーって言ってたんですよね。
どうして150話超えてるかと言われても・・私にも良く解りません。
気がついたらこうなってたとしか。
はい。




第17話

「はー」

静かになったスマホを見つつ、3人が同時に溜息をついたその時。

 

ガラリ!

 

「うー、早霜ちゃぁん、高波ちゃぁん、それならそうと言ってよぅ」

戸口を見た高波が真っ青になった。

大勢の艦娘達が様々な表情でこちらを見ていたからである。

「へうっ!さ、五月雨さん!浜風さん!あ、あ、ほ、他の皆さんも・・・き、聞いてたの、ですっ?!」

ボロ泣き状態の五月雨が鼻を啜りながら答えた。

「全部聞いてたよー・・すっ・・すっごい入りづらかったから入れなかったけどー」

やれやれと言った表情で両手を腰に当てつつ、金剛が継いだ。

「早霜にしては乱暴な対応だと思ってたのデース。やっぱりネー」

天龍が肩をすくめた。

「仮説大正解だったな、金剛さんよ」

「YES」

高波がカタカタと震えながら金剛に向かって言った。

「あ、あの、あのあの、き、霧島秘書艦さんには、司令官には、その」

「私が何でしょうか?」

そう言いながら霧島が部屋をのぞいたので、高波はぱたりと布団の上に突っ伏した。

ああ、全てが露呈してしまった。レイさんの心遣いも全て無駄に・・・

金剛、霧島、天龍、五月雨、そして浜風が静かに部屋へと入ってきた。

「ちょっとお邪魔しますネー、皆は司令官が来ない事をWatchしててくだサーイ」

「はーい」

金剛の呼びかけに、廊下から部屋を覗いていた残りの面々が頷くと、四方へと走り去った。

 

金剛はちょこんと早霜の前に座ると、にこやかに話し始めた。

「さて、早霜サーン」

早霜は俯き加減に深呼吸を1つした後、はっきりと答えた。

「・・はい。覚悟は出来ています。全ては私の偽装工作です。処罰は私一人にお願いします」

霧島が口を開きかけたが、金剛はちらりと霧島を見てそれを制しつつ続けた。

「処罰しに来た訳ではありませんネー、幾つか教えてくだサーイ」

「・・・」

「まず、先程までお話してた相手は、どなたデスカー?」

「レイさんは夕張会代表として私達に協力してくれた、大本営所属の夕張さんです」

「Oh・・大本営所属ネー、この話、大本営のメンバーにも伝わってますカー?」

「うちの夕張さん達に危害が及ぶ可能性があるので、夕張会は何も聞いていなかった事にする、と」

「GOOD。懸念事項が1つ消えましたネー」

金剛が次の質問をする前に、浜風が口を尖らせた。

「それにしても他人行儀じゃないですか。私達はそんなに信用出来ませんか?」

早霜は浜風を見返すと、静かに首を振った。

「五月雨さんにしろ、浜風さんにしろ、高いLvを持つ主力級の方々です」

「・・」

「お二人がこの工作を本当に知らなければ、誰かから疑われても処罰の心配はありません」

「・・」

「夕張さん達が抜けた穴は大きい。この上お二人のどちらかでも失えば鎮守府は大変な事になります」

「・・」

「ならばまだ、Lvの低い私だけが責めを負って解体されるほうが全体への影響は少ない」

「・・」

「そう考えたのです」

高波が呟いた。

「早霜ちゃんの考えは解ってたし、私も一緒に解体されればそこで事を納められるかも、って・・」

天龍が顔をしかめつつ呟いた。

「おめーら考えすぎだ・・とも・・言えねぇか。今回ばかりはなぁ・・」

霧島が溜息をついた。

「今度の件は本当に皆さんを萎縮させてしまいましたね。司令にも困ったものです・・」

金剛が続けた。

「テートクも悪い人じゃないんだけど、今回はあまりにも冷静さを欠いていましたネー」

霧島が苦笑した。

「妖精さん達もその辺を解ってるからこそ、あの晩何度命じられても、のらくらと拒否されたのでしょうね・・」

五月雨が頷いた。

「私も今まで何度もクビだって怒鳴られてるけど、いつもなら1時間もすれば元通りだったし・・」

あきつ丸が目を瞑りながら続けた。

「普段とは異なる怒り方に身の危険を感じたからこそ、お二人は覚悟を決めたのでありましょうな・・」

天龍が頷いた。

「まぁ、あの晩ああして逃げ出さなきゃ翌日には解体されてた。それは間違いねぇだろうな」

浜風が腕を組んだ。

「この後、どうしたら良いかと言われれば・・やはり早霜さんのプランが一番でしょうね」

金剛は頷いた。

「YES。今は轟沈したと聞いてテートクは落ち着いてますが、本当の事を知れば、ネ」

天龍は肩をすくめた。

「あいつらは大本営にバラすとかしねぇと思うけどよ、提督は結局口封じしたがるだろうな」

五月雨は小さく頷いた。

「提督は図太いように振舞ってますけど、実際は物凄く繊細で心配性ですから・・」

浜風も頷いた。

「我々皆で連携し、二人は轟沈したと言い切る他は無いかと思います」

霧島が続けた。

「ええ。ですから早霜さん達だけで抱える必要はありません。鎮守府の所属艦娘皆で秘密を共有しましょう」

早霜が霧島を見上げると、霧島が微笑んで頷いた。

早霜はぎゅっと唇を噛むと、深々と頭を下げた。

「大変・・申し訳ありませんでした・・ご厚意に、感謝します」

金剛がにこりと頷くと、インカムをつまんだ。

「Hey皆サーン!話は解りましたカー?」

「はーい」

「どういう事かイマイチ解んない、何か思う事があるって人は私か霧島に相談してくださいネー!」

「はーい」

「当然だけど、司令官や外部に言うのはノー、なんだからね!」

「はーい!」

「皆さんVeryGoodデース!」

霧島は軽く頷き、部屋を後にしながらインカムをつまんだ。

「では皆さん、今回の件に関する機密ポイントをおさらいしますので、間違えないように・・」

こうして早霜のプランは110鎮守府の艦娘達全員の承認を得た・・筈だった。

しかしそれはその日の深夜、日を回る頃に起きたのである。

 

 

 

 




一人称を1ヶ所訂正しました。
ご指摘ありがとうございます。

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