リアルが忙しかったり、一次創作の方に集中しちゃったり、ほかの作品に目移りしたり、文字が降りてこなかったりでなかなかかけずに申し訳ございません
まぁ、前置きはいいからさっさと読ませろって声が聞こえてきたので、本編をどうぞ
真っ青になった真砂子を麻衣と綾子に任せ、ジョンは牧師の服に着替え、礼美と典子、勾陳が控えている部屋へと向かった。
勾陳がいるとはいえ、念を入れてジョンに礼美を守るための十字架と礼拝をしてもらうことにしたのだ。
「ひとまず、お祈りさせてもらいました。これで多少はましになる思います」
「ありがとうございます!」
「ほな、渋谷はん。次は人形のほうを」
そう言って、人形の憑き物落としにとりかかろうとした時だった。
慌てた様子で法生が部屋に飛び込んできた。
「ナルっ!ミニーが消えた!!」
「なに?」
「ついさっきまでベースにいたんだが、ちょっと目を離したすきにいなくなっちまったんだ!」
「……逃げた、か」
どうやら、監視の目をすり抜けてミニーは姿をくらましたらしい。
だが、ナルは冷静だった。
いずれ現れることがわかっているようだ。
「昌浩。応援に呼んだほかの十二天将の到着はいつごろになりそうだ?」
「原さんたちのあとに連絡を入れたので、たぶんもうそろそろ」
と言いかけたところで、昌浩の耳に水を通したようなくぐもった声が三つ、聞こえてきた。
その声に、昌浩は三人が到着したことを察した。
それは足元にいる物の怪も同じようだ。
「来たようだな」
「みたいだね。渋谷さん、三人とも、いま到着しました」
「会うことはできるか?」
どうやら、直接会わないと気が済まないらしい。
そういえば今も足元にいる物の怪にも会わせたことがなかったな、と思いつつ、昌浩は三人と、ついでに物の怪に、姿を見せてほしい、と声をかけた。
足元の物の怪は、いまにもかみつきそうな勢いで反抗してきたが、最終的にしぶしぶといった様子で姿を見せた。
同時に、昌浩の背後に三人、コスプレと勘違いするような衣装をまとった人間が姿を現した。
「黒髪の人が玄武、赤い髪の人が朱雀、金髪の人が天一。で、こいつが物の怪のもっくん」
「だからもっくん言うな!」
「か、かわいい……はっ!じゃなくて!!え?てか、先輩、その不思議生物はいったい??!!」
あまりに一度に登場しすぎたせいか、ベースはかなり混乱していた。
唯一、平静さを保っているのはナルとリンくらいなもので、法生とジョンは三人がいきなり姿を見せたことに目を丸くして固まっており、綾子は突然現れたイケメンに目を奪われていた。
「それで、彼らはどんな役割ができる」
「玄武と天一は結界、朱雀は除霊です」
朱雀には除霊の役割を与えている、と話しているが、その実、朱雀にしてもほかの十二神将にしても霊を相手にするより、いわゆる妖などの化け物を相手にすることのほうが得意なのだ。
が、そもそもそんな化け物が出現するようなことが現代社会ではめっきり減っているため、今では昌浩が祓いきれない穢れを神気で無理やり祓うことのほうが多くなってきている。
「その白い動物は?」
「もっくんは俺の護衛とアドバイザーです」
「なるほど……」
昌浩の回答に、ナルは少し考えるような素振りを見せた。
が、案外すぐに指示が出てきた。
「三人とも、礼美ちゃんのほうにつけておいてもらえないか。ジョンが結界を張ったとはいえ、念を入れておきたい」
「わかりました。三人とも、案内するから来てくれないかな」
昌浩のその一言に、三人の神将はうなずいて返し昌浩についていった。
廊下に出てしばらく歩くと、玄武がおもむろに口を開いた。
「なんなのだ、あの人間は。随分と傲慢な態度ではないか」
「まぁまぁ。渋谷さんがあぁなのはもともとみたいだし……」
玄部の苦言に、昌浩は苦笑しながらなだめた。
千年以上、先祖である安倍晴明の下、式神として様々な依頼人や人間を見てきたのだろうが、ここまで傲慢な人間はいなかったようだ。
だが、いつまでも文句に付き合うつもりはない。
昌浩は少しばかり無理矢理ではあったが、話題を切り替えた。
「ところで、三人とも。この屋敷のこと、どう思う?」
慣れてきたとはいえ、あまりの霊の多さに、昌浩は今、見鬼の力を弱める術を自身にかけている。
見鬼の力は、何も見るだけのものではない。
耳や肌、第六感にも働きかけてくるものだ。
その力を弱めているということは、この屋敷にいる霊に対しての感知能力も低くなっているのだ。
昌浩のみの力では、情報を収集することができなくなってしまっている。
そのため、神将たちに聞いているのだ。
「ひどいものだな。まるで黄泉の国だ」
「うむ。見鬼であれば霊障が出ていたもおかしくはないな」
「もう人間関係の方で出てるよ……」
昌浩は現在、自分たちが置かれている状況を説明しながら礼美の部屋へと向かっていった。
部屋には、ベッドで眠る礼美の側には、心配そうに礼美の方へ視線を向ける典子と、部屋の隅で待機する勾陳の気配があった。
「典子さん、礼美ちゃんの様子は?」
「今は落ち着いています……あの、さっきの女の人はいったい?」
「俺の知り合いです」
本当は自分の先祖が使役している式神、十二天将なのだが、そこは伏せておくことにした。
下手にそんなことを言っても、この場では却って不審に思われてしまうだけだということを知っているからだ。
典子もそれで納得したらしく、それ以上、追及されることはなかった。
いや、より正確には、それどころではなくなったというべきだろう。
なにせ、隣で眠っている礼美の足元に、法生の下から逃げ出したミニーが見つかったのだから。