息抜きにちょこちょこ書いてたのですが、ようやく投稿できました(汗
もういっそ原作コミック買おうかな……
あ、ちなみにいくつかイベント飛ばしてますが、昌浩が完全に別行動だったので、感知できなかったのであえて触れていないだけです
ご了承ください
昌浩が旧校舎の中に入り、実際に歩き回り、特に収穫も得られなかったので調査中の一也に挨拶し、助手のリンとであった翌日。
まったくといってもいいほど霊の気配が感じられず、やはり、祖父の読み通り、地盤沈下が原因なのだろうか、と考えながら、通学路を歩いていた。
その肩には、仏頂面をしている相棒が乗っかっていた。
(……もっくん、いい加減、機嫌治せよ)
「やかましい!結局、俺だけくたびれもうけじゃねぇか!!」
くわっ、と物の怪が吠えるが、昌浩は苦笑を浮かべながら、それを受け流した。
物の怪曰く、あちらでもなにも起こらなかったらしい。
それどころか、自分がわざわざ目の前で、宙返りやら空中二回ひねり跳躍をして見せたというのに、まったく反応を示さなかったらしい。
見えないということはわかっていたのだが、やはり何かしらの反応がないということに一抹の虚しさを覚えたらしい。
もしかしなくても、何もなかったということよりも、自分の曲芸を見てもらえなかったことの方に腹を立てているのではないか、と思いながら、昌浩は再び旧校舎へと足を向けた。
改めて外から見てみるが、やはり霊の気配や何か悪いものがいるという感覚はしない。
仮に霊が住んでいたとしても、ここまで気配が希薄であること自体がまず珍しいことだし、そんな存在が、これほどの騒動を起こせるものなのだろうか。
「……う~ん、どうにも引っかかるなぁ……」
何かがおかしい。
昌浩の頭の中で、そうささやくものがある。
それは勘だ。昌浩の、陰陽師としての勘だ。
その勘が、今回の一件はただの地盤沈下ではない、とささやいている。
「……うん、こういう時は、一度立ち止まって状況を整理することだな。よし、そうしよう」
そのためにも、一度、一也と意見のすり合わせをする必要がある。
独り言のようにつぶやきながら、昌浩は旧校舎の中へ入っていった。
------------------------
一也がベースとしている教室に足を運ぶと、黒田の声が聞こえてきた。
こっそりと昌浩が顔をのぞかせると、そこには後片付けをしている一也と、それに対して不満そうなまなざしを向ける黒田、そして、少し残念そうな顔をしている麻衣と、綾子、ジョン、法生がいた。
こっそりと麻衣の方に近づき、何があったのか、問いかけると、調査の結果、一連の現象は地盤沈下によるものだということがわかったため、引き上げるのだそうだ。
「……やっぱりか」
「やっぱり?」
「それは、どういうことです?」
昌浩の言葉に、麻衣とジョンが反応し、視線をむけてきた。
「いや、爺様の方でも調べてたらしくて、今回の件は地盤沈下が原因だろうって言ってたからさ。実際に、このあたりには水脈があったみたいだけど、周辺の井戸は枯れている。水の気配もないから、地盤がもたなくなってきたんだと思う」
加えて言うなら、物の怪や十二神将が建物のわずかな歪みやきしむ音を聞き取っている。
そこから判断しても、地盤沈下が原因ということははっきりしている。
ただ、と昌浩は続けた。
「ただの勘、だけど、この怪現象は地盤沈下以外の何かがあるような気がするんだよなぁ……」
「地盤沈下以外の何か、ですか?具体的には?」
昌浩が入ってきたことに気づいた一也は、昌浩の方へ視線を向け、問いかけてきた。
よほど、自分が叩きだした調査結果に自信があるらしい。
昌浩の言葉に、何か不服があるようだ。
「ただの勘ですよ……だけど、霊じゃない何かが干渉している、そんな気がしてならないんです。なので、状況を少し整理しようと思ったんですが……」
と言いかけて、昌浩の耳に警告の声が聞こえてきた。
昌浩はまだガラスが張られている壁の方へ目をやると、そこからひびが入る音が聞こえてきた。
ガラスの近くには、身がすくんでしまい、動けない黒田がいる。
「伏せてっ!!」
昌浩が警告すると同時に、黒田は身をかがめた。
その頭上を、砕けたガラスが通りすぎていった。
それだけでは終わらない。
教室中に何かを叩くような音が響き、扉は、あきらかに地盤沈下では考えられない動きを見せていた。
だが、霊の気配はまったく感じられない。
「とにかく外へ!倒壊するぞ!!」
「でも、ドアが!」
「任せろっ!」
麻衣の悲鳴に法生が返すと同時に、手近の椅子をドアに向かって投げつけた。
ドアは簡単に壊れ、脱出路が確保された。
------------------------
法生が確保してくれた脱出路から、旧校舎の外へ出た昌浩たちだったが、一也の予想に反して、旧校舎はいまだ健在。
三分ほど時間が経ったが、それでも崩れる気配はない。
「……やっぱり、地盤沈下以外の何かが……」
昌浩がそうつぶやくと、ふと耳に麻衣の悲鳴が響いた。
麻衣の方へ視線を向けると、そこには、ガラスで切ったのだろう、一也の手から血がしたたり落ちている光景が目に入った。
「渋谷さん、手当を」
「いや、お気づかいだけで……それと、今は一人にさせてください……自己嫌悪で吐き気がしそうだ」
吐き捨てるようにそう言って、一也はその場から立ち去っていった。
「……よほど、自分の見解に自信があったんだろうなぁ……」
立ち去っていく背中を見送りながら、昌浩がぽつりと呟いた。
だが、そんな昌浩をよそに、法生は伸びをしながら、次は俺の番だな、と口を開いた。
「大人の除霊ってやつを見せてやる。昌坊、お前も見学して勉強するか?」
その一言に文句をいいださない物の怪ではない。
「こいつ……いっぺん、しばいたろうか」
「(もっくん、そういうことは言っちゃダメだよ。あの人、見えないんだから)」
「そうは言うがな!……仮にも、大陰陽師安倍晴明の末の孫、それも本人を捕まえていうセリフか?!」
「騰蛇、それ以上言ってくれるな……私も同意見だが、これでも我慢しているんだ」
法生の言葉にかみつく物の怪に、ひそひそと諫めたが、さらに火の勢いを強めて昌浩に反論した。
そんな物の怪を同胞の一人である勾陣が、ため息交じりではあるが諫めた。
が、やはり勾陳も思うところがあるらしい。
いや、そもそも昌浩についてきている十二神将は全員、昌浩を年相応の子供と見られていること自体を面白く思っていない。
霊力だけで言えば、昌浩は間違いなく、この場にいるメンツの中でダントツだ。
加えて、前世と幼少期からの経験がある。拝み屋としてのキャリアは、昌浩のほうが確実に上だろう。
だが、そこは千年以上の時を生きた十二神将。
意地の悪い笑みを浮かべながら、同席してやろう、とつぶやいた。
「赤っ恥をかく姿、しっかり目に焼き付けてやる」
「ついでに少し悪戯を仕掛けてやろうか?」
「おぉ!それはいいな!!昌浩を馬鹿にしたつけをきっちり払わせてやろう」
「おいおい……」
なんか、平安時代でも似たようなことがあった気がするなぁ、と心中で呟きながら、昌浩は十二神将二人の会話に苦笑を浮かべていた。