蔓延る闇に立ち向かえ   作:風森斗真

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今回、ちょい役になりますが、現代版昌浩の親友(……でいいんだよね?)の彼に出てもらいます
なお、彰子と蛍にも出てきてもらう予定ですが、まだ少し先になります


File.7

 ポルターガイストによって倒れた下駄箱の下敷きになって気を失った昌浩と麻衣が目を覚ましたことで、その場は解散となった。

 数時間後、その日は平日であるため、昌浩も麻衣も一度帰宅し、再び登校した。

 

 「よ、昌浩。なんか大変そうだな?」

 「ん?あ、おはよう、比古」

 

 席に着くといたずら小僧のような笑みを浮かべながら、一人の青年が昌浩に声をかけてきた。

 十年ほど前に出雲から近所に引っ越してきた、幼馴染の八神比古だ。

 彼もまた昌浩と同じく、人ならざるものを見る目を持っており、それらを祓う力も持っている、いわゆる『本物の霊能力者』だ。

 そのため、他のクラスメイトたちよりも一緒に過ごす時間が多いのは言うまでもない。

 

 「校長があっちこっちから人呼んで旧校舎の調査してるんだろ?俺も駆り出されそうになったけど、昌浩が動いてるっぽかったから行かなくていいってことになったけど」

 「俺が動く必要もなかったと思うんだけど、一応、見てこいって爺様がさぁ」

 「ははは、晴明さん、相変わらず孫遣いが粗いなぁ」

 「孫言うなっ」

 

 そんな風に談笑していると、校内放送が入ってきた。

 

 『2年B組、安倍昌浩さん。安倍昌浩さん、校長室に来てください。繰り返します、2年B組安倍昌浩さん、校長室に来てください』

 

 放送は呼び出しで、しかもご丁寧に昌浩を呼んでいた。

 いったい、何事だろうか、と思いながらも、昌浩は比古に見送られ、校長室へと向かっていった。

 

------------

 

 校長室に到着すると、昨晩から姿を見せていなかった一也のほかに、今回の事件の調査を依頼されていた麻衣以外の関係者がそろっていた。

 その中には、調査中に階段から転倒し、搬送された真砂子の姿もあった。

 

 「あれ?原さん、大丈夫なんですか?階段から落ちたって聞きましたけど」

 「えぇ、少し体を打っただけで他に異常はありませんでしたの」

 

 なお、昌浩が『聞いた』と話しているのは、実際に現場に居合わせていなかった、ということと、救急車が来たことに気付かず調査しており、あとから麻衣が話してくれたからである。

 しばらくすると、今度は麻衣と黒川が入ってきた。

 

 「今回の事件の関係者はこれで全員ですね?それでは、少しお時間をいただきます」

 

 全員がすると、一也は全員に椅子に座るよう、指示を出し、カーテンを閉めて電気を消した。

 そして、カチリ、という音が聞こえてきた。

 音がした方へ視線を向けると、そこにはライトがあった。

 そのライトは、ゆっくりと明滅を繰り返していた。

 

 「光に注目して、光に合わせて息をしてください。ゆっくりと、肩の力を抜いて」

 

 一也の指示に従い、その場にいた全員が、光の明滅に合わせてゆっくりと呼吸をしていた。

 すると、昌浩と麻衣は徐々に一也の声が遠くなっていく気配を感じ取った。

 まどろみにも似た状態になりながら、心の奥底に向かっていくかのような一也の声に、二人はただただ耳を傾けていた。

 

 「……今夜、旧校舎で何かが起こります……旧校舎の二階にあった椅子です……椅子が動きます……今夜は旧校舎の実験室にあります……」

 

 その言葉を耳にした次の瞬間、突然、目の前が真っ白にそまった。

 そのまぶしさに目を細めると、一也が窓際に立っている姿が飛び込んできた。

 不意に、その足元にある椅子に目が行った。

 

 「けっこうです、ありがとうございました」

 

 それだけ言うと、一也は機材を手に校長室を出た。

 麻衣はその後ろを追いかけて行ったが、昌浩はまだ光に目が慣れないため、ゆっくりと教室へ戻っていった。

 

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 その日の放課後。

 昌浩が再び旧校舎前に到着すると、ジョンと麻衣が一也と一緒に旧校舎の中へ入っていく姿を目撃した。

 

 「渋谷さん」

 「昌浩か。ちょうどいい、手伝ってほしい」

 「それは構いませんが、いったい、何を?」

 

 何をしようとしているのか聞いても答えてくれる気配がなかった。

 相変わらずなその態度に苦笑を浮かべつつ、昌浩は麻衣とジョンとともに一也についていった。

 二階の実験室に到着すると、午前中に校長室で見た椅子がチョークで描かれた円の中に置かれていた。

 なぜその椅子がここにあるのか、そして、なぜ実験室にカメラを仕掛けるのかがわからなかった麻衣は、何をするのか一也に問いかけたが、答えたら意味がなくなる、と言って一切答えてくれなかった。

 

 何も答えてくれないのだから、もう仕事に集中するしかなくなった麻衣は、ぶつぶつと文句を言いながらも機材の設置を終わらせた。

 機材がすべて設置されると、今度はベニヤ板とサインペンを取り出してきた。

 

 「窓をベニヤで塞いで、その上に紙を張って、自分の名前をサインしてくれ。板をまたぐようにして書いてもらえると助かる」

 

 どうせ答えてくれない、とわかっていたため、昌浩たちはベニヤ板で窓をふさぎ、その上に紙を張り付け、自分たちの名前を言われた通り、四隅や中心、板と板の間をまたぐようにしてサインをしていった。

 教室の入り口も同じようにベニヤ板でふさぎ、紙を張ってからサインを書いた。

 これで、誰かがこの教室に入るなら、空間跳躍移動(テレポーテーション)でもしない限り、ベニヤ板を壊さなければ入ることができなくなった。

 ついでに、紙が貼り付けてあるため、破かれればすぐにわかるし、張り替えたとしても、三人分のサインが書いてあるのですぐにわかるようになっている。

 完全な密室状態だ。

 いったい、一也は何がしたいのか。

 それがわかったのは翌日になってからだった。

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