テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた   作:609

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マイソロ2 五代目ディセンダー 第十一話 変化~その2~

道中、レイノアは魔物を斬り倒していく。

その一匹を掴み上げ、商人に聞く。

 

「これで良いのか。向うにまだいるが……」

 

精霊・ラタトスクが、彼女を監視する為に放っている魔物たち。

向こう側にも、沢山潜んでいる。

その気になれば、すぐにでも一掃できる。

だが、彼はそんな事を知らない。

故に、商人はレイノアが斬り倒した魔物を裁きながら、説明する。

 

「これで十分だよ。損傷も少ないから、毛皮としてはかなり高値で取って貰える。肉は臭みを取れば、食べられるし。」

 

彼女は、その手順を見る。

単純に、覚えておく事にした。

横には秋信が、同じように見ていた。

エルシアとジャックは木に隠れていた。

流石に、二人には刺激が強すぎるのだろう。

 

作業が一通り終わり、広い場所で野営を始めた。

商人と共に、彼女は調理を始める。

彼は驚いたように、

 

「……君は料理出来るのだね。それも本の知識かい?それにしては手付きが良いね。」

「忘れていたが……昔、少しやっていただけだ。私自身、調理自体は何十年……いや、何百年ぶりか。」

 

と、野菜を上に投げる。

そして、空中で野菜を切る。

その手捌きは、物凄く鮮やかだ。

 

思えば、クラトスと供に調理をしていた。

が、普通のやり方では駄目だった。

その頃は、剣術を学んでいた。

単なる好奇心で、やってみたのがこれだった。

結果、彼女の調理方法はこうなったのだ。

子供達も、彼女の調理の仕方に目を輝かして見ていた。

 

 

――レイノアは、商人と打ち合わせをしていた。

 

「次の街まで、今のペースであればおよそ四日を掛けて行けそうだな。それが過ぎれば、お前の村も近いだろう。」

「そうだね。この子達もだいぶ疲れているから、できればその街で一泊はした方が良いよ。特に、ジャック君には辛いだろう。」

「そんなに疲れているのか?あの子達は……」

 

彼は気付いていた。

彼女が、子供達の事を〝この子供達〟ではなく、〝あの子達〟に変わっている事を。

彼女自身まだ、それに気付いていない。

だからこそ、彼は苦笑いをしながら、

 

「そうだね。彼らはまだ子供だ。長旅は、慣れていないはずだよ。」

「……そう、だな。街に着いたら少し落ち着くか。今日の魔物の毛皮と、この前のお金で足りるか、五人分?」

「え?僕はいいよ。四人分にすれば、お金も余る。」

 

彼はそう言った。

が、子供達の事と生活面において、彼には世話になっている。

つまり、彼女からしてみれば、下界人に借りを作っていることになる。

それは彼女としては良しとしない。

ので、頑固となく譲らなかった。

 

 

その日も、レイノアは火の番をしていた。

横に寝ていた秋信が、不安そうに起きた。

そして、彼女の服の裾を掴む。

レイノアは、彼の頭を撫でながら聞く。

 

「……どうした。何か、怖い夢でも見たのか。」

 

世界の守り手≪ディセンダー≫は夢を見ない。

いや、見る事もある。

が、彼女の場合は少し違う。

彼女の見る夢は、先代達の記憶。

故に、彼女は寝ない。

感情を消しても、夢を見れば彼らの感情が入り込んでくる。

それは、今の彼女にとっては関係ない。

だが、今の自分は彼ら≪子供達≫と出会い、捨てた感情が復活してきたとも言える。

だからこそ、彼女は決して寝ようとはしない。

 

秋信は不安そうに言う。

 

「僕、今日もそうだけど、何の役にも立てない。僕、父さんみたいな騎士になりたかったんだ。強くて、優して……カッコイイお父さん。……姉さん、僕ね、決めた事があるんだ。僕、二人の前では絶対泣かない。だけど……姉さんの前では、泣いても良い?」

「……お前は、自分が思っている程弱くはない。あの広場で、弟妹を守っただろう。相手は年上で人数もいた。でもお前は、自分の意見を、お前の大切な人の事を侮辱した相手にぶつけた。それも一種の強さだ。だが、想いほど強く、脆いものは無い。だから……泣きたい時は付き合ってやろう、秋信。」

 

彼は顔を上げた。

その顔は驚いている。

彼女自身も、不思議だと思う。

自分でも、彼に言った言葉に驚いたのだ。

なにより、彼女は初めてこの子の名を言った。

名を知っていても、呼んでやる事は一度も無かった。

 

「……初めて僕の名前言ってくれた!嬉しいな!姉さん、僕もっと強くなれるようになるね!それでね、姉さんにお願いがあるんだ……」

 

レイノアは彼の言葉を待つ。

彼は照れながら、

 

「姉さん……僕に、剣と文字の読み書きを教えて欲しい。少しでも、姉さんの役に立ちたいんだ!」

 

レイノアはジッと彼の目を見る。

彼も、彼女の瞳を見ている。

 

『本気だな。だが、文字はともかく、剣には覚悟がいる。身を守る程度にしておけば、良いか……』

 

レイノアは一呼吸置き、

 

「解った。文字は教えてやる。だが、剣については、身を守る程度しか今は教えられない。それでも良いか?」

「……今は駄目でも、もう少し大きくなったらまた聞いてみて良い?それとね、二人にも名前で呼んであげて。その方が嬉しいから。」

 

秋信は笑顔でそう言った。

レイノアは、横で寝ている二人を見る。

そして、もう一度秋信を見る。

 

「……そう言うものなのか?」

「うん。大切な人に、名前を呼んで貰えるとね……とっても幸せな事だって、母さんが言っていたもん!」

「そうか……。なら、そうしよう。」

 

その時の彼女は、少しだが笑っていた。

それを知っていたのは、彼女の顔を見ていた彼だけだった。

彼女自身ですら、気付いていなかったのだ。

彼は、そのまま彼女の膝に頭を乗せ、朝まで寝る。

 

秋信が完全に眠ると、

 

「今日の事は黙っていろよ。」

「すまない……」

 

向かいに寝ている商人に静かに言う。

そして、彼女はそれを追求する気はない。

 

起きているのが、彼女だけになる。

彼女は空を見上げ、

 

『……そう言えば、何故こんな私に、彼ら≪子供達≫は離れようとしなかったのだろうか。下界人とは、不思議なものだ……』

 

 

――朝、眠たそうにエルシアは声を変える。

 

「姉様、おはようございます。兄様とおじ様も、おはようございます。」

 

レイノア以外の者は、エルシアに挨拶した。

ここまでは、いつもと同じ朝の風景。

しかし、今日は違う。

 

「……エルシア、おはよう。」

 

真面な挨拶と言うのを、レイノアは久しぶりにした。

しかも、挨拶などクラトス以外にはした事が無かった。

その挨拶で、彼女は目が覚めた。

嬉しそうにレイノア抱き付く。

彼女は、エルシアの頭を撫でて落ち着かせる。

そのまま、彼女はジャックを起こす。

 

「……ジャック、起きろ。朝だ。」

 

ジャックは寝返りを打った。

彼女は、もう一度同じ事をする。

すると、彼はガバッと起き出す。

そんなやり取りを、商人と秋信は嬉しそうに見ていた。

 

道中、彼女は約束通り、秋信に文字の読み書きを教えた。

途中、興味を持った二人も加わる。

だが、剣は秋信だけだった。

彼等の熱心な想いもあり、覚えが早かった。

ジャックは、まだ不安そうだが。

 

 

街に入り、公園で落ち着いていた。

レイノアはベンチから、立ち上がった。

商人は驚き、彼女を見る。

それを、彼女は無視した。

その彼女は剣を抜き、走る。

 

人々にとっては、何十年か前に見た魔物が出現したと思うだろう。

彼女の見る先には、人型や獣型の魔族。

その周りからは、黒い煙が出てくる。

 

『まさか、ここで魔族と出くわすとは……!あの子達が直撃される‼』

 

眼を通して、その場の魔族の数を瞬時に把握する。

数は十体、うち人型は八体もいる。

 

彼女は、ジャックがこけたのが視える。

そのジャックに、人型の魔族が切り掛かろうとしている。

レイノアは、ジャックの前に飛び出した。

彼を右手で守る。

そして、左手で持っている剣で横から斬り掛かる獣型の魔族を斬り裂いた。

そのまま、人型の魔族の腕を斬り落とす。

攻撃が一瞬、止まる。

その隙をついて、ジャックを抱えて後退する。

彼を降ろし、怪我がない事を確認する。

その場に、軍が緊迫した雰囲気で広場にやって来た。

 

『……本物の強さを持った奴らか。だが、あれでは死ぬな。』

 

レイノアは立ち上がる。

が、商人が彼女の肩を掴んで止める。

それは、彼女の腕からは魔族に切られ、血が出ていた。

それは、普通の者では痛覚では耐えられない程だ。

 

「そんな怪我で戦っては駄目だ!まずは手当を――」

 

だが、それを押し返す。

腕を切られた魔族が、彼女たちの方に突っ込んで来る。

すぐに、剣を構えて迎え撃つ。

その魔族を真二つにした。

レイノアは自身に治癒術を掛ける。

それは、商人に邪魔をされない為だ。

傷を塞がったのを彼に素早く見せ、子供達を預ける。

 

レイノアは、軍が苦労している魔族達を容赦なく斬っていく。

彼女の中では、すでに軍は役に立たないと把握しているからだ。

少し手間取ったが、この場に居た魔族を一掃した。

剣の浄化をするついでに、街を浄化する。

それを終え、彼等の元に戻る。

と、軍の隊長らしき者に声を掛けられた。

 

「君、待ちたまえ。君のおかげで、先程の魔物は倒せた。どうだろう、君は軍には入らないかい。君の腕なら隊長クラスも簡単だろう。」

「軍には興味が無い。無論、騎士もだ。……新しい者を入れる前に、軍の内部を正すべきだ。大体、あれが出てからの対処が遅すぎる。これでは、腕があっても邪魔なだけだ。」

 

その軍の者に対し、冷たい視線を向ける。

だが、人間にしては珍しい。

その者の目は真っ直ぐだった。

 

「確かに、君の言う通りだ。軍内部は今荒れている。だが、それも今に改善される。その為には、君のような真に強い者の力も必要なのだ。家族が心配なら、こちらでも何かしら手を尽くそう。」

 

レイノアは子供達を見た。

彼ら両親は、魔族に憑つかれていた軍人と正規の軍人に殺された。

それを思い出したのか、怯えている。

 

「どっちにしろ、断る。私が、下界人に手を貸す事はしない。」

 

レイノアは、ジャックを抱き上る。

商人がエルシアを抱き上げ、先に歩き始める。

レイノアは秋信を見て、

 

「背負ってやろうか?」

 

彼は首を振って、彼女の手を握る。

レイノアはあの軍の者を無視して、歩く。

 

 

適当に宿を見付け、そこで今日は休む。

子供達は宿に着いた途端、眠ってしまった。

商人は、隣の部屋で休んでいる。

 

部屋の窓を開ける。

涼しい風が入って来る。

と、ドアを叩いた音が聞こえる。

彼女の眼がそこを見ると、それが隣の部屋の商人だと解る。

ドアを開け、商人を中に入れる。

 

「……何だ?お前も、休めば良いものを。」

 

彼は苦笑いをしていた。

薬箱を机の上に置き、

 

「宿に来ても、君は休まないのかい?それより、先程の傷を見せてごらん。表面上だけの治りでは、後遺症が出て来るかもしれない。」

 

レイノアは彼を見た。

彼は薬を確かめて、必要な薬を出し始めている。

 

「怪我は、もう大丈夫だ。人間の体より丈夫に出来ている。それは、お前の村の為に集めたものだ。取っておけ。」

 

彼は不安そうに見ている。

だが、彼女に押し負けた。

彼は薬をしまいながら、

 

「本当に大丈夫なのかい?それなら、本当に良いのだけど……。」

 

そして、商人は一呼吸置いて、

 

「それにしても、君は初めて会った時よりも、随分と雰囲気が変わったね。前は、僕にも興味が無かっただろう。こうして面と向かって、話す事もしなかったし。それだけじゃない、先程の軍人。君なら、無視して立ち去ると思っていたよ。」

 

レイノアは、彼をしばらく見つめた。

それは、これまでの自分の行動を振り返ったからだ。

 

「……全くもって、そうだな。ここまで下界人に世話をやったのは、こうなる前以来だな。それと、軍の者に対しては本当に気まぐれだ。」

 

そう言って、外を眺める。

商人は追求してこなかった。

 

『ずっと思ったが、この下界人は変わっているな。人間にしては、異種族に対しても感情が安定している。まぁー、それが本来の事なのだが……』

 

レイノアは、街の外に魔族を見付けた。

そこを重点的に視る。

 

『ここから、遠いな……いや、私一人なら朝までには帰って来られる。この子達の事は、この下界人に任せておくか。最近は、この下界人にも懐いているしな。』

 

彼女は、魔族退治は後回しでもよかった。

だが、今日の街の事を考えると、早めに対処しておいて損はないと考えたからだ。

彼女は商人に振り返り、子供達が寝ている事を確認する。

 

「少し、急用ができた。朝までには戻る。この子達を頼めるか?」

 

商人は黙って頷いた。

ただ静かに一言、

 

「気を付けて、行っておいで。」

 

彼女は面倒なので、窓からそのまま外に出る。

ちなみに、ここは三階だ。

飛び降りた時、彼が慌てていた。

が、構っている暇はない。

着地と同時に、彼女は走り出す。

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