テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
一時間程度で、目的の森に来れた。
眼で辺りを探り、魔族の様子を確認する。
『それにしても……少し鈍ったな。本来なら、ここまで三十分で来られた。』
すると、ここには本命がいた。
レイノアは剣を抜き、先手を取るために斬り掛かる。
相手はそれを、短剣で受け止めた。
その人物は、長い髪を後ろで縛り、黒服で身を包んでいる。
先代≪四代目ディセンダー≫レオンは嬉しそうに笑った。
「やぁ♪久振り、レイノアちゃん。それにしても、随分と雰囲気変わったね。昔は感情ありありだったのに、今は全く感じられないや。」
その挑発にも、彼女は表情を変えず、
「何所で、その名を知った。いや、あの時か……。この数か月、上手く姿を消してくれたものだ。」
「いやいや、俺もかなり大変だったよ。君は、俺とある種同じ眼を持っているみたいだったからね。でも、遠くから視ていたけど……まさか、君が下界人に興味を持つなんて珍しいね。」
これには、さすがの彼女も変化があった。
彼女から、物凄い殺気が浮き出る。
彼女自身、視られていたこと自体気付いていなかった。
レオンに、冷たい視線を向けるレイノア。
彼に斬り付けている剣に、さらに力を込める。
「いつから見ていた!いや……ここで貴様の命、貰っていく‼」
だが、彼は口の端を上げた。
彼は、彼女の剣を簡単に弾いた。
体勢を崩した彼女に、弾丸を打ち込んでくる。
レイノアは、すぐに剣で防ぐ。
彼女は体勢を直しながら、剣を構え直す。
レオンは銃口を彼女に向けたまま、彼女の持つ剣を見る。
「それ、クラトスさんから貰ったのか……。随分手入れされているから、剣の記憶を読ませて貰ったよ。」
レイノアはキッと睨みつける。
レオンは苦笑して、
「そんなに怒らないでよ。俺は、君の先輩で、君のお兄さんみたいな者だよ。君は他の世界の守り手≪ディセンダー≫と違って、俺の生まれ変わりでは無いんだから。」
おそらく彼は、己の中の先代達の記憶を視て理解したのだろう。
本来、次代の世界の守り手≪ディセンダー≫は二つの意味で生まれる。
役目を果たした世界の守り手≪ディセンダー≫は、世界樹の中に入り眠る。
そして、再び地に降りるときに、記憶を保有するかしないかを決める。
これが本来の形。
そして、もう一つが転生だ。
世界の守り手≪ディセンダー≫が死んだ場合だ。
その魂は同じで、世界樹の力を使って器が変わる。
この世界≪グラニデ≫は、初代は世界樹の中で眠り続けている。
なので、初代の力の一部を使い、世界樹が新たな命を芽吹かせた。
それがこの世界の二代目世界の守り手≪ディセンダー≫だ。
その彼女から今のこの四代目は存在する。
だが、自分は彼の生まれ変わりではない。
世界樹が、残っていた力を使って、レイノア≪ディセンダー≫を創り出した。
そう、自分は本物≪ディセンダー≫にして、本物≪ディセンダー≫ではない。
だからこそ、この話は気に入らない。
レイノアは再び、レオンに斬り掛かる。
彼は銃を連発する。
全てを裁き斬る事ができないと彼女は判断した。
なので、致命傷になる所だけを防ぎ、後は防がずに彼へと突っ込む。
今まで、黙って見ていた魔族達の攻撃を交わす。
そして、先に魔族を片付けに入る。
でなければ、四代目世界の守り手≪ディセンダー≫の元に行けない。
剣に、ディセンダーの力≪光≫を籠める。
その光が、穴も含めて魔族を一掃する。
そのまま、レオンの元へと突っ込んだ。
だが、彼は嬉しそうに笑う。
短剣と銃を交差し、静かに言った。
「レディアント完全解放‼」
レイノアはハッとして、すぐに後退する。
が、間に合わない。
腹と肩に、重傷の傷を負った。
彼女は膝を着く。
レオンを見ると、先程と違っている。
彼は黒いコートを纏っていた。
レイノアは回復術を掛けながら、立ち上がる。
だが、その瞬間にも彼は攻撃してくる。
剣で応戦したが、間に合わない。
今度は、銃と短剣による攻撃を受け、深手を負う。
最後に、彼に蹴り飛ばされた。
彼女は木に叩き付けられ、気絶していた。
――自分が目を覚ました時には、四代目世界の守り手≪ディセンダー≫の姿は既に無かった。
その場に、もたれた状態でしばらく空を見ていた。
空は明るくなってきている。
あれから随分と時間が立ったのが解る。
『……殺さなかった事を後悔させてやる。しかし、レディアント次第であそこまで変わるとは……。あれをして、こちらの戦意を失わせるつもりだったのか。どちらにしろ、闘志が湧いた!さて、帰らないと……』
彼女は体に力を入れる。
が、体は動かない。
かなり損傷が激しいようだ。
『……感情があったら、確実に耐えられないかもしれないな。回復術を使おうにも、消耗が激しい。なら、仕方ない……』
彼女は、ここら一帯のマナを集める。
そのマナで傷を癒していく。
それでも、しばらく動く事が出来なかった。
結局、彼女が動けるようになったのは昼過ぎ。
起き上がり、眼を通して子供達の居る場所を確認する。
どうやら、あの街から出ていないようだった。
彼女は急いで彼らの元へと戻る。
その間も、眼を強化していた。
が、レオン≪四代目≫を見付ける事は出来なかった。
街に戻り、もう一度眼で位置を確認する。
宿から出ていない事が分かり、そこに帰る。
彼女が部屋に入ると、子供達が飛び付いて来た。
取り敢えず、彼らの頭を撫でる。
商人が心配そうな顔で、
「良かった。朝になったのに帰って来ないから……何か、トラブルでも起きたのかと思ったよ。」
あながち間違いではない。
が、それを彼等に言っても仕方ないことだ。
なので、彼女は無言だった。
街での買い物を終え、商人の村に向かって旅立つ。
二日を掛け、商人の村に入った。
村は裕福ではないが、それなりに広さのある村だった。
村の周りは森に囲まれており、ある種の隠れ里のようなもののようだ。
そして、彼が村に入ると村人全員が出迎えた。
彼は本当に、この村の村長だったのだ。
しかも、種族混合の村の村長だった。
この村の住人は、よそ者の自分達を見ても、嫌な顔一つしなかった。
レイノア達は、しばらく村長の家に居た。
彼には奥さんがいたらしく、物凄く歓迎された。
その奥さんがお茶を出しながら、
「ありがとうね。家の人、おっとりしているから……時々、危なっかしいとこが多過ぎて。しかも、魔物から助けて貰ったとか。それに、こんな人だから、村長に見えないでしょ?あ、遠慮せずに食べてね。」
と言って、お菓子も出す。
奥さんの話を聞きながら、眼で辺り≪村≫を見渡す。
『村自体は悪くない。ここに来る途中にも、畑や家畜がそれなりにあった。この場所は、マナにも恵われているようだな。これを維持できれば、この村はやっていけるだろう。』
と、レイノアは子供達を見る。
ジャックとエルシアは、美味しそうにお茶とお菓子を貰っている。
秋信は、遠慮がちにお菓子を食べていた。
無論、出されたお菓子とお茶には、彼女は手を出していない。
それを見た奥さんは、手を頬に当てて聞いた。
「もしかして、貴女は甘いもの嫌いだった?」
首を振って、彼女は自分のお菓子を子供達に渡す。
奥さんが、ずっと彼女を見ていた。
彼女は仕方なく、お茶を一口飲んだ。
その行動に、奥さんは嬉しそうだ。
が、子供達と商人は驚いていた。
それは、無理もないだろう。
ここ数か月、彼女と供にいたが、彼女の食事みたいなとこを見た事ないのだから。
そんな商人を彼女は見て、
「……何だ。」
「い、いや……君も、ちゃんと人の子なのだな、と再認識されたと言うか。君のそう言った姿を、初めて見た気がするからね……」
彼は、おどおどした感じでそう言った。
横を見ると、子供達も頷いていた。
奥さんは不思議がっている。
彼女は視線を外し、
「する必要が無いからな。これも、お前の女に見られるのが、面倒だと判断したからに過ぎない。」
彼には理由は良く分かっていないようだった。
が、話を進める事にしたようだ。
「さて、君達はこれから、どうするんだい?前にも言った通り、この村で暮らしても構わないよ。もし、君達さえ良ければ……僕達の子供として、ここに暮らしてくれても良い。」
その言葉に、奥さんも嬉しそうに手を合わせた。
「そうよ!それが良いわ‼もし、何か理由が無いなら、私達の子供になって。私達、子供は出来なかったものだから、子育てには不住な事があるかもしれない。けど、頑張るから!」
彼女は子供達を見ていた。
『私は、この村から出て行くつもりではいる。が、この子達は別だ。この子達が良ければ、この村に置いて行くつもりでいた。この村を視て、マナもあり、なにより多種族だ。事件が起きらない限り、この構成は保たれるだろう。それに、目の前のこの男は意外としっかりしている。』
エルシアは、彼女の手を握っていた。
彼女は、村長と奥さんを見て、
「仮に、この村で住む。もしくは、お前の子供になるとしても……秋信はともかく、エルシアとジャックは異種族だ。それを受け入れられるのか?」
彼はその言葉で、彼女自身には〝ここに住む、と言う選択肢は無い〟と、言うのを理解したようだ。
だから彼は、真剣な顔で言った。
「無論。私も、妻も、種族は気にしない。異種族だから、何かしらの壁はある。でも、それは同じ人間通しでもそう言った事はある。つまり、そう言う事だよ。」
奥さんも、その言葉に頷いている。
レイノアは子供達を見て、
「彼等は嘘を付いていない。後は、お前たち次第だ。」
子供達は驚いている。
ジャックは、エルシアに抱き付いていた。
おそらく、話に付いていけないからだろう。
それでも、この雰囲気に対して何かしら感じているのだろう。
エルシアが、ジャックの手を握って、彼女に恐る恐る言った。
「私達は、姉様と一緒に居たいです。おじ様は優しくしてくれる良い人ですが、私は姉様と供にいたいから……」
秋信は、村長を見た。
そしてレイノアにも、気持ちをぶつけた。
「おじさんが優しいのは、みんな知ってる。おじさんのおかげで……僕は、姉さんの役に立てれる事を見付けられた。でも、僕も姉さんとは離れたくない。姉弟妹≪きょうだい≫一緒に居たい!」
彼女は呆れた。
村長のおかげで、自分と共に居る事がどんなに普通とは違うか解ったはずだ。
なにより、自分に付いて来れば苦労する事は明白だ。
それでも、この子達は自分≪私≫に付いて来る、と言っている。
そんな彼等の事を、ほんの少し嬉しいと思っている自分がいた。
彼女は自覚する。
村長は寂しそうに、
「そうか……じゃあ、また気が向いたら話してくれ。」
レイノア達は、ここに泊まった。
子供達が寝たのを確かめてから、彼女は村長の所に向かう。
彼は彼女を見て、お茶を注ぐ。
それを渡しながら、席に着く。
彼の向かいの椅子に座り、お茶を一口飲む。
「……正直、こう言った事をやる必要が無いのに、やるというのは変な感じがするな。昔は気にしていなかったが……」
レイノアのその含みのある言葉。
彼はそれを聞いてみて良いものか、と悩んでいるようだった。
彼女はため息を付き、少しだけ話をする。
「私は、あの子達に会うずっと前……そうだな、秋信とエルシアくらいの姿の時だったか。父親と言う存在と、供に居た時期があった。その時に、色々やった以来だ。」
彼は感心しているようだった。
おそらく、人並み程度にちゃんと暮らしていた、と思ったのだろう。
レイノアは、彼を見ながら本題に入った。
「あの子達が、私と供に居たいと願っても……おそらく私は、それを拒むだろう。今は良くても、いずれは手放す事になる。そうなった時、あの子達は三人で生きなくてはならなくなる。その時、あの子達が望むのであれば、私はお前に頼みたい。他の下界人と違い、種族の壁をちゃんと受け止めているお前だからこそ、あの子達はお前に懐いている。」
「そうか……解った、理由は聞くのは辞めておこう。その時が来たら、あの子達の事は任せてくれ。」
彼は真剣な顔で、そう言った。
『本当に、この下界人は変わっているな。私自身も、まさかこんな事をするとは……。本当に、あの子達に情がわいたのかもな。いや、わいているのだろうな。』