テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた   作:609

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マイソロ2 五代目ディセンダー 第十六話 怒り

レイノアは傷だらけの体で、目を覚ました。

彼女は辺りを探る。

 

人の気配がしない。

辺りは焼焦げた家。

死んでいる軍の人間に、村の人間。

その他の生き物が、倒れていた。

 

彼女は思い出していた。

あの森で野営をした後、あの村長の村に向かっていた。

だが、その途中の村で、レイノア≪自分≫達は軍に襲われたのだ。

彼女の傷は塞がっていた。

が、体内の瘴気のせいで、体の能力は人間と同じくらいだった。

そんな中、子供達を守りながら戦うのは不利だった。

戦うのを避け、村から出ようとする。

しかし、出来なかった。

剣を抜き、子供達だけでも先に行かせようとする。

下界人相手なら、仮に苦戦はしても、ここを抜け出せる。

そう、下界人なら……

相手は魔族入りだった。

しかも、実体化しているのも居た。

 

つまり、この村に居た軍人達は戦場から逃げ出し、魔族と手を組んだのだ。

元々、軍と騎士は互いに争っていた。

特に、軍の上層部の方は騎士と手を組むこと自体が、無理だったのだ。

この軍の隊長は大きく、威厳たっぷりの大男。

その者を中心に、村を破壊していく。

村人達も、次々死んで逝く。

 

レイノアは、何とか対応する。

が、追いつかない。

秋信も、必死に戦った。

しかし、魔物以外の戦い経験が少なく、不利な状況が続いていた。

とうとうジャックとエルシアが、彼等に捕まる。

彼等を助け出そうとするが、秋信が斬られそうになり、彼女は庇う。

その隙を、魔族達は見逃さない。

彼女は、秋信を突き飛ばす。

その瞬間、彼女の腹と心臓は突き破られた。

後ろで、秋信の顔が青ざめたのが解る。

そのさらに後ろの方で、エルシア達の悲鳴と叫びが聞こえる。

魔族が、レイノアの目の前で、秋信を殺そうとする。

秋信はの彼女の方を見ている。

しかし、彼の目は焦点が合ってない。

彼女は歯を食いしばって、立つ。

魔族を斬り裂き、その状態でエルシア達を救い出そうとする。

 

『たかが、下界人と魔族に……こいつ等を、殺させはしない!』

 

と、さらに軍人二人と、魔族を三匹を斬った。

が、そこで膝が付く。

 

『手を伸ばせば、あの子達に届く。動け……あともう少しなのだ。』

 

だが、彼女は魔族によって、地面に叩き付けられた。

意識が消えるその時まで、彼女はあの子達の叫ぶ声が、頭の中で響いていた。

 

――レイノアは、この村全体に眼を通す。

幸い、あの子達の死体らしきものは、ここには無かった。

彼女は、自分の傷を確かめる。

全ての傷が塞がっている。

自分自身に眼をかける。

 

『ディセンダー能力に、助けられたのか……。しかも、それだけでないようだな。治癒能力が、強いようだ。』

 

それから、この土地の記憶を詠む。

あれから、どれくらい経ったのかを調べた。

二週間近く、経っていた。

さらに、記憶を詠んで解った。

あの子達はどうやら、軍に連れて行かれたようだ。

 

『ペンダントを外されているのか……。これでは、あの子達がどこに居るのか……くそ!』

 

彼女は、体内の瘴気を最優先で浄化する。

体が動くようになったら、急いで世界中に眼を通し、あの子達を見付けた。

小さいが反応を見つけ、急いでそこに向かう。

 

 

第十六.五話 秋信目線

 

僕達は生き残った村人と供に、村から少し離れた森に連れられて来た。

だが、エルシアだけ別々になってしまった。

ジャックとは一緒だが、剣もペンダントも取られた。

これからどうしたら良いのか、悩んでいた。

僕は取り敢えず、目の前の弟を守る事を最優先にした。

そして、隙を見付けてここを逃げよう、と考えていた。

だが、状況ははっきり言って厳しいかった。

特に、ジャックのような子供達やお年寄りだ。

何故なら、軍の者達が運んで来る食事は少ない。

それに、朝と夜しか貰えない。

食事は少なく、働く時間が多い。

このせいで、最初ここに連れられて来た大半の者が死んだ。

ジャックも、かなり痩せてきている。

レイノア≪姉≫との旅で、多少鍛えられている。

が、まだ子供だ。

 

僕は少ない食事を、ジャックに与える。

それでも、追いつかない。

満腹感が取れない。

そして、大きな疲労……

 

彼は、自分をいつも攻めていた。

大切な姉に、ずっと守られ続けられ、何も出来ない自分。

大切な妹弟を救えない、自分に。

何度も、何度も……

 

ここで過ごして、おそらく二週間くらい経っただろうか。

僕は、エルシアをやっと見付けた。

だが、それは酷かった。

エルシアは少しだが、治癒術を使える。

傷を治し、その後、彼女は軍の者に殴られていた。

僕は拳を握りしめる。

近くにあった剣を握り、軍の者に斬り掛かる。

 

「僕の……僕の妹から、離れろ―――――‼」

 

僕は、エルシアにくっ付いている軍人の首を斬り落とした。

エルシアを抱きしめる。

 

「ごめん、エルシア!弱い兄さんで……」

 

エルシアは泣きながら、彼にしがみ付いた。

後ろから、ジャックの叫び声が聞こえた。

彼とエルシアは、そこに向かう。

どうやら奥の方で、何かが起きたのだ。

軍の者達が、慌てている。

 

秋信はジャックを見付け、駆けつける。

しかし、ジャックが軍人に斬られた。

そして自分達の目の前にも、二人いる。

彼は、ひとり斬り倒す事に成功した。

が、それと同じく自分の左腕を斬られた。

エルシアが、急いで止血をする。

もう一人を蹴飛ばし、ジャックの元に行く。

エルシアは泣きながら、治癒術を掛ける。

そこに、彼は傷だらけの少女を見た。

剣を振い、一目散に、こちらに向かって来る。

彼は叫んでいた。

 

「ね…姉さ――――ん‼」

 

 

――レイノアは目的の森にやって来た。

次々に敵を、斬り倒していく。

自分がどれだけ傷付こうが、一向に構わない。

眼を使って、子供達を探す。

奥にいる事が解り、敵を斬りながらそれに向かう。

 

彼らの所に着く。

その目で確かめても、酷い光景だった。

秋信の左腕は切り落とされ、エルシアは心に傷を負い、ジャックは今にも死にそうだ。

だからこそ、彼女は相手に容赦無い。

下界人も、魔族も……

 

怒りに満ちた声で、彼女は叫ぶ。

 

「楽に死ねると思うな‼たかが、下界人、魔族の分際で、私の弟妹に手を出した事を後悔させてやる‼」

 

目の前にいる全ての者を、斬って行く。

それが一通り終わり、彼等の元に掛けて行く。

秋信に、先程見付けた荷物を渡す。

それぞれの首に、ペンダントを掛ける。

 

レイノアは、彼等に治癒術を掛ける。

秋信の腕の傷は癒えたが、腕は元には戻せない。

そしてジャックは、体内にある瘴気が多過ぎる。

ジャックの中の瘴気を、彼女は自分の中に移す。

それでも、ジャックの中の瘴気は、彼の中で完全に同化しつつある。

秋信が、辺りを気にしている。

おそらく、他の者が気になるのだろう。

 

「安心しろ……。他の者達は各自、逃げ出している。秋信、よく妹達を守った。」

 

秋信は安心した後、首を振った。

そしてレイノアにしがみ付いて、

 

「……僕は、何も出来ないよ。ジャックを助けられなかった……」

「それでも、お前は左腕を犠牲にエルシアを助けた。そこは誇って良い事だ。無論、エルシアもよく耐えてきた。私がもっと早く来ていれば、良かったのだ……」

 

彼女は、ジャックに浄化の光を当てたまま言った。

エルシアも、ジャックに治癒術を掛けたまま、彼女に聞いた。

 

「姉様……姉様の傷は、大丈夫なんですか?」

 

秋信も思い出したように、顔を青くした。

レイノアは彼等を見て、

 

「大丈夫だ。あの程度では死なない……。いや、死ねない。」

 

レイノアの最後の言葉は、自分でも凄く小さくて聞き取れなかった。

つまり、本心だ。

今は彼等が安心すればいい。

再び、ジャックに掛ける光を強くしようとした。

が、そこに来客だ。

その気配を感じ取ると、レイノアは舌打ちをした。

剣を握り、立ち上がる。

 

「エルシア……もう少しだけ、頑張ってくれ。」

 

エルシアは、必死に治癒術を掛け続ける。

レイノアの前に、精霊が現れた。

宙に浮く四本の腕を持った精霊。

その姿を見た瞬間、その精霊に殺気めいた、それでいて冷たい目で見る。

その精霊が同じように、彼女を見る。

そして口を開く。

 

「何をしている、世界の守り手≪ディセンダー≫。世界が危ないと言うのに、何を遊んでいる。」

「……そう言う所は変わっていないな、オリジン。忘れたか、私自身は世界など、どうでもいい。」

 

彼女は、四代目≪レオン≫の時よりも冷たく、それでいて殺気めいた声で言う。

精霊・オリジンも、視線に殺気を含めながら、

 

「貴様も、相変わらず世界の守り手≪ディセンダー≫とは、思えない言葉だな。やはり、あの監視者では駄目だった、という事だろう。」

「父さん≪クラトス≫の侮辱は許さんぞ。ここで、貴様を殺しても良いんだ。それに前から……いや、さっきから言っているだろう。私自身は、この世界に興味は無い。私の目的は、四代目を殺すだけだ。その結果、この世界がどうなろうと、私には関係ない。助ける義理も、理由も無い。前回は、父さん≪クラトス≫の為に世界を救った……ただ、それだけだ。」

「貴様は、理由が無いと世界を救わないという事か。全く、なぜ貴様のような者が、出来たのか……」

「そんな事は、世界樹に聞け。大体、初代や二代目……強いて言うならば、四代目はこの世界を愛していたようだが……私には、全く理解できん。」

 

精霊・オリジンは、さらに冷たい声で、彼女に一つ聞いた。

 

「……故に、世界を見捨てるのか。そこの下界人共の為か、愚かな……。そこの下界人は、もうじき死ぬぞ。」

 

レイノアは知っている。

この精霊は、世界の為ならなんだってやる。

あの、初代の気持ちすらも考えず、己の考えだけで動く。

その結果、彼が悲しむとも知らずに。

そして、彼の標的は後ろの子供たち。

理や名を教えていないとはいえ、精霊・オリジンに捕まれば、魔族以上に厄介だ。

何より、精霊・オリジンは今の自分がどういう状態か、知っている。

だからこそ、世界の為に子供達を巻き込もうとする。

子供達を守るためには、無関係を通さねばならない。

だが、彼女には、もうそれはできない。

なら、この場から離れるのが得策だ。

 

「……こいつらは、ただの下界人なのでは無い!私の弟妹だ!貴様に関わっていたら、時間の無駄だ。だから言っておく、私は世界などどうでもいい。父さん≪クラトス≫やこの子達を救う為なら……精霊だろうと、監視者だろうと、世界樹だろうと、関係ない!私は世界を裏切ってまでも、彼らだけを救う!」

 

レイノアは、ジャックを視る。

 

『このままでは本当に……いや、まだ……まだ、大丈夫だ。』

 

レイノアはこの場から、離れようとした時だ。

秋信が目を見張って、震えながら言った。

 

「ね……姉さんはディセンダー。ごめん……なさい……」

 

エルシアも、同じ事を想っていたのだろう。

静かに泣いている。

 

『この子達を奪われたあの村で、私はすでに決めた。私はこの世界よりも、この子達を選んだ。それにより、片羽という呪いを受けた。そして今、私は完全に呪いと言う鎖に縛られた。羽によって、生かされたディセンダー能力……皮肉なものだな。』

 

今のレイノアに、世界を、世界樹を裏切った罪悪感は無い。

ただあるのは、この子たちに、こんな顔をさせてしまったという罪悪感だけ。

故に、彼女は裏切りの翼を持っても、悔いはない。

 

レイノアは、精霊・オリジンを睨んだ。

翼を広げて、村長の家に飛んだ。

それは、一種の瞬間移動のように。

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