テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
今日は、夕飯を庭で食べていた。
テーブルには、大量の料理が並べられている。
レイノアは微妙な顔をして、それを見ている。
二人と一匹は何故か楽しそうだ。
彼女は状況が読めなかった。
そんな中、アンナが彼女の手にプレゼントを置く。
レイノアは無表情で聞いた。
「……何だ、これは。それと、これはどう言った状況だ。」
アンナは手を合わせ、嬉しそうに言った。
「今日は、私とクラトスが出会った日なのよ。それに貴女の歓迎会と、私達の子供のお祝いよ。あ、当然子供と言うのは、貴女の事よ。つまりお祝いよ、お祝い!」
「……嫌な事だな。大体いつ、私が貴様の子供になった。」
と、言いながら、貰ったプレゼントを開けるレイノア。
中身は、ロケット式のペンダントだった。
中にはまだ、写真は入っていない。
アンナが、嬉しそうに言った。
「それ、クラトスとお揃いなのよ。クラトスの中には、私との写真が入っているけど、反対側はまだなのよ。だから今度、撮りに行きましょう。」
「断る。……だが、礼は言っておく。それと……私の名はレイノアだ。」
と、いつぞやのように、レイノアは家の屋根に上っていく。
彼女が、アンナに名を教えたのはうるさいから。
それと、単なる気まぐれでもあった。
それでも、名の意味を教えない事で、レイノアはまだアンナを遠ざけていた。
だが、本人は気付いていない。
この場所が、自身にとって大切だと思っている事を。
レイノアは、子供達の写真を取り出した。
『……流石に、このサイズでは入らないか。』
ーーそれから、数年の月日が流れた。
あれから写真は、まだ撮ってはいない。
単にレイノアが、撮る気にはなっていない事もあった。
そんなある日のことだ。
レイノアは、アンナを視ていた。
彼女の視線に気付いたアンナが、いつものように言った。
「レイノア、そんなに見つめてどうしたの?……は!もしかして、やっと写真を撮る気になってくれたの♪」
レイノアは無言のまま、じっと視ていた。
そして納得したように、口に出しす。
「……ああ、そう言う事か。アンナ、お前のお腹の中に子供がいるぞ。今日、お前の中に波動があるから、不思議だったが、理解出来た。ただ、それだけだ。」
それを聞いた彼女は、嬉しそうに手を合わせた。
そして、お腹を優しく撫でた。
一方クラトスは、飲んでいたコーヒーを噴き出した。
二人は何やら語り出す。
二人の会話を邪魔しないように、レイノアは外に出た。
単に、興味が無いと言う事もあった。
が、こう言う時は二人だけにしてやりたかった。
ノイッシュの横に座り、思い出した事を話しす。
「……そう言えば、秋信の所にも新しい命が芽吹いていたな。エルシアも、嬉しそうだったな。」
レイノアはノイッシュの背に寄り掛かる。
一枚の写真を出してから、一冊の本を読み続けた。
三人《弟妹》からの大切なプレゼントを……
その日の夕飯、アンナは嬉しそうだった。
そして、彼女に言った。
「私とクラトスの子供かぁ、どんな子かしら……。目元とかは、貴方に似るとカッコいいでしょうね。」
これを言うのは、今日で何回目か……
ずっと同じ事を言い続けている。
レイノアは、ため息を付いていた。
当然、クラトスの子は気になる。
が、それはあくまでクラトスの子供として、だ。
そう思っていた何やら彼女に、アンナは箸を置いて言った。
「レイノアも、この子のお姉さんとして、力を貸してね。」
レイノアは一瞬反応し、固まっていた。
しばらくそうした後、アンナを見て言った。
「……私が、貴様の腹の中にいる、その子供の姉になるのか……?何故だ。」
その声に、クラトスは反応していた。
レイノアは、自分の声は震えているのか、怒っているのか、自分では解らないような気持ちだった。
が、アンナは変わらず明るい声で、かつ真剣な顔で言った。
「あら、だってそうでしょ。この子は、私とクラトスの子よ。貴女が、私の事を母と思っていなくても、仕方ないわ。でも、この子はクラトスの子供でもあるのよ。貴女はクラトスを信頼している。だからクラトスの子供として、この子と接して欲しいの。」
レイノアの瞳が揺れる。
『クラトスの子が、私の弟妹のどちらかになる?……また私に、弟妹どちらかが出来るのか、あの子達以外の……』
レイノアは予想していなかった。
そうなるとは考えていなかったのである。
彼女は拳を握りしめて、外に飛び出した。
二人が、すぐに追いかけて来る。
走る彼女の前に、ノイッシュが立ちはだかった。
彼に邪魔され、仕方なく立ち止まる。
いや、その気になれば逃げられただろう。
だが、彼女は止まったのだ。
アンナが、悲痛の声で言った。
「ごめんなさい!そんなに嫌だとは思わなかったの。だから、クラトスとこの子を拒絶しないで‼︎」
レイノアは首を振った。
「別に、貴様の子が出来るのが嫌なのではない。……私には、既に弟妹がいる。あの子達との約束すら守る事も出来ない私が、クラトスや貴様の子の姉になれる訳がない。」
彼女は気付いていない。
その声には感情がこもっている。
それは、過去の後悔からなのか。
それとも、また失うのが怖いのか。
彼女は拳を強く握り締める。
しばらくこの場に、静寂が訪れる。
アンナが泣きながら、
「ごめんなさい……私、貴女の気持ちも知らないで、自分の事ばかり……」
アンナは大体気付いている。
レイノアから話は聞かなくとも、あの日別れをしたのがその一人だということ。
そして、毎日出掛けて行く先も、それに関係するだろうということも。
いつもレイノアを見ていた。
話さなくともわかる。
彼女の微かな反応。
嬉しさや悲しさ、寂しさや尊さ。
色んな想いを持って、その子達と接していただろうということを……
だからこそ、悲しいのだ。
辛いのだ。
彼女の気持ちに気付いてあげられなかったことに。
だが、当のレイノアは意味が解らなかった。
自分が出した言葉も、アンナの行動も。
クラトスが、アンナを抱き寄せながら言った。
「…レイノア、お前がすぐに受け入れられないのは解っている。しかし、私はその子達の分も含めて、これから生まれて来るこの子に半分でいい……分けて欲しいのだ。」
クラトスもまた、知っているからこそ辛い。
だが、それでも彼女には関わりを捨てさせたくない。
「…‥だが、私はディセンダー≪救世主≫としても、何も出来なかった。私はもう……」
彼女は気付く。
そうだ、私は失いたくない。
失いたくないのだ。
大切な弟妹を……
大切な人の悲しむ顔を……
クラトスはレイノアをジッと見て、
「なら、産まれた時にもう一度考えてくれ……レイノア。」
彼女はしばらく、クラトス達の家には帰らなかった。
レイノアは翼を広げ、エルシアの居る村の上に居た。
そしてエルシア達を視ていた。
それは知る為だ。
家族とはどう言うものなのか。
赤子とはどう言うものなのか。
本来のきょうだいとは、どう言うものなのかを。
産まれた赤子を抱いた、エルシアの声が聞こえた。
〝姉様、また新しい秋信兄様の血を引いた子が、産まれました。姉様、姉様は今どうしていますか。姉様にも、新たな道が出来ている事を……心から祈ります。〟
レイノアは、エルシアの心を知りたかった。
あの子の姉として、あの子を一人にしてしまった自分に対する思いを……
だから、エルシアが眠っている時、夢を装った。
そうする事で、直接聞けると思ったからだ。
『他の世界のディセンダーが、そう言った能力を持っていたはずだ。』
レイノアは、エルシアに語りかける。
「……エルシア。」
「ね、姉様?レイノア姉様⁉」
「静かに、エルシア。……これは夢だから。」
「ゆ、夢……そうですか。でも、夢でもこうして、レイノア姉様とお話できて嬉しいです。」
「私も嬉しいよ。だが、すまない‥…エルシア。迎えに行けなくて。」
「いいえ、姉様。兄様が言っていました。ジャックの墓に、毎日花が添えられていると。きっと、姉様が会いに来てくれたのだ、と。でも、長い年月が経って、きっと会い辛いのだろう、と。私も、兄様も、この村に大切な者が多くなってしまった。それをきっと知ってしまったのだろう、とも。兄様が最後、私に言ってくれました。姉様が会いに来てくれた、と。私、嬉しかったのです。私もいつか、本物の姉様に会える事を、心から楽しみに待っています。姉様の大切な剣と供に……」
「そうか……ありがとう、エルシア。」
「……所で姉様、何か悩み事でもあるのですか?」
「……何故、そう思う?」
「妹の勘です。」
「そうか、エルシア。私は今、父さんの所に居る。父さんの所に女が居て、人間の生活と言うものを学んでいる。いや、学ばされていると言う感じか。その女は、自分は母親と言い張るのだ。歳は、私の方が上だと言うのに。おかしなものだ、私がお前達以外に、こうも心を砕くとは。」
「そうですか……良かった。姉様に、そう言った新しい想いが生まれて。では、姉様の父様とその女性との間に子が、生まれるのではありませんか?」
「鋭いな……。その通りだ。だが、生まれるのは、はっきり言って嬉しいのだと思う。あの父さんが、選んだ者との子だ。だが私は、お前達との約束も、お前達を守る事も、出来なかったのだ。そんな私に、お前達以外の弟妹を持って良いはずがない。」
「……妹である私は、少し妬いてしまいます。でも、別に良いのですよ。だってその分、姉様は一人じゃなくなる。姉様は、この世界を好きになってくれる、という事でしょ。私は、姉様が大切です。だから、姉様にも生きる道を、作って貰いたいのです。……それに兄様との約束で、姉様の父様にも、会いたいですから。」
「そうか……本当にありがとう、エルシア。私が、この世界に居る間は秋信の子孫と供に、ちゃんとお前を見守っているからな。」
レイノアはエルシアとの会話を終えた。
素直に嬉しかった。
彼女の想いが……自分にそこまで言ってくれた可愛い妹が。
早朝に、クラトス達の元に帰った。
ノイッシュの鳴き声で、二人は急いで出て来た。
アンナが泣きながら、レイノアに抱き付いた。
「お帰りなさい、レイノア……でも、心配していたのよ‼︎」
レイノアは、彼女をいつもみたいに引き剥がす。
が、そのやり方は優しい。
彼女から離れ、背を向けて言った。
「お前達の子が産まれたら、写真を撮りに行っても良い。」
彼女は大喜びで、レイノアの手を握って、
「約束よ‼絶対だからね!クラトスも、ちゃんと聞いていたでしょ。」
「ああ。この子が産まれたら、皆で撮りに行こう。」
それからほどなくして、クラトスとアンナの子供が生まれた。
元気な男の子だ。
レイノアは、その今にも壊れてしまいそうな赤子を抱く。
そっと、優しく抱きしめる。
彼女は二人に聞いた。
「この子の名は何と言うのだ、クラトス、アンナ。」
二人は声を揃えて言った。
〝ロイド〟と‥。
ーーそれから、レイノアはロイドの面倒をみている。
首がすわってから、皆で写真を撮った。
写真屋が、彼女のペンダントを見て、
「おや、君のはもう一枚貼れるね。どうする、何か貼りたいものはあるかい?」
レイノアは、ダメ元で写真を出す。
その写真はとても古い。
「これでは無理だろうか……」
「うーん、大丈夫。ちょっと古いけどやってみるよ。」
と、悩みながら写真を貼って貰った。
元の写真も返して貰えたので、彼女は何処か嬉しそうだった。