テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
ある昼下がり。
レイノアは赤子のロイドと、二人で留守番をしていた。
いや、ノイッシュも居る。
ノイッシュの背にもたれながら、赤子のロイドを自分の腹に乗せていた。
ロイドは気持ちよさそうに寝ている。
レイノアは、本を読みながらいた。
その間、ロイドが起きないようにしている。
無論、ノイッシュも気持ちよさそうに寝ている。
ロイドが生まれてから、レイノアは大分変わった。
この小さな命を知る事で、彼女は命を知っていった。
と、ロイドが泣き出した。
「……ロイド、どうした?さっきご飯は与えたし、おしめも変えた。えっと、こういう時は……どうしたら良いのだ、ノイッシュ。」
だが、ノイッシュも困惑していた。
レイノアは記憶を探る。
初代が赤子時代を……
「確か、初代が赤子の時の子守唄があったな。」
初代も赤子の時があった。
世界樹が、下界人と同じように育てたいと言う思いもあったからだ。
その間、初代はあるエルフの祖父と孫《姉》に育てられた。
その孫《姉》が、泣く初代によく聞かせていた子守唄を思い出す。
歌詞までは思い出せないが、メロディーは解る。
それを口ずさむ。
初代が赤子の時に聴いていた子守唄は嫌いではない。
故に、快く唄った。
それを聞いて、ロイドは泣き止む。
しばらくして、ロイドはまた眠りついた。
ノイッシュもこの唄を気に入っていたらしい。
だから彼女は、クラトス達が帰って来るまで、その子守唄を唄い続けた。
クラトス達が帰ってくると、クラトスは驚いた。
そして、クラトスはそれを懐かしむように聞いていた。
頃合いをみて、彼女が唄うのをやめた。
すると、クラトスがぼそりと呟いた。
「そうか、レイノアはそれを知っていたのだな……」
レイノアは、あえてそれの返答をしなかった。
それは単に、全てを知っている。
初代が姉を思い出し、唄っていた時の気持ち。
それを知るクラトスも、思い出したのだろう。
初代にとって、クラトスは師匠であり、外を知るきっかけになった人、何より父のような兄?と言う関係だった。
当時、初代にとってクラトスは……いや、初代の仲間達は、彼にとってとても大切だったのだから。
ーーそれから、月日は流れた。
ロイドが喋ったり、歩いたり、出来るようになってからは大変だった。
正直、喋ったり、歩いたりした時は嬉しかった。
それは本心だろう。
現にレイノアはロイドに対し、色々な表情を見せるからだ。
それに対して、アンナはロイドに言う。
「あー、ロイドばっかりズルいわー。よし、決めた!ロイド、お母さんも、お姉ちゃんに色んな表情出して貰えるように、頑張るからね。」
と、ガッツポーズを取る。
無論、ロイドには意味は解っていない。
レイノアは相変わらず、彼女が何をしたいのか解らなかった。
むしろ、比べるだけ無駄だろうに、とさえ思う。
故に、心の声が漏れたのか、彼女はぼそりと言った。
「赤子相手に、何を言っているのだ。」
その後、近寄って来たロイドを抱き上げる。
「ほら、ロイド……高い、高ーい。」
と、遊んでやる。
しかし、歩くのに慣れて来ると、さらに困ったものだ。
何故なら、毎回何処かに消えるのだ。
それを探すのは、レイノアの仕事だ。
今ならどことなく、初代の世話をしていた精霊達の大変さが解る気がする。
初代も、幼児の時はすぐに消えた。
それを探したりしていたのは、精霊達だ。
無論、下界人とは接点を取っていない。
故に、余計に苦労していた。
が、レイノアはそれでも、それ以上に精霊が嫌いなので、この考えは無かった事にするのだった。
そして今日も、ロイドは消えたのだ。
レイノアは探しに出る。
波動や眼の能力も使ってはいるが、ノイッシュが一緒なので見つけやすい。
「ロイド、見付けたぞ。毎回、良くここまで一人で来られるな。……ノイッシュ、よく目を離さなかったな。」
ロイドを抱き上げ、ノイッシュの頭を撫でる。
彼に着いた土汚れを落とす。
人の心配をよそに、ロイドは気の抜けた声で言った。
「姉たん!これ拾ったの。」
と、言って、花を見せる。
レイノアは笑顔で、ロイドの頭を撫でた。
と、ロイドは空を見上げ、
「上、上、姉たん!」
と、騒ぐ。
彼女は仕方なく、翼を広げる。
ノイッシュに、ため息交じりで言った。
「ノイッシュ、先に帰っていてくれ。」
ノイッシュは家に向かって、走って行った。
レイノアは空に上がった。
ロイドは大喜びだ。
発端は偶然だ。
前にロイドを抱いたまま、空に飛んだ。
ロイドはこれを気に入ってしまった。
そして、大好きなのである。
そんなロイドの姿を見たら、
「……そう言えば初代も、赤子の時だったな。マクスウェルにやって貰っていた。落ちそうだったがな。」
レイノアはしばらく浮いてから、ロイドに言う。
「さて、ロイド。クラトスとアンナが、待っている……帰るぞ。」
帰っている時、ロイドは何かを考え込んでいた。
レイノアは家の手前で降り、歩いて帰る。
帰ると、アンナ達が外で待っていた。
レイノアがロイドを降ろすと、一目散に二人の元へ行った。
そして先程の花を渡す。
彼女も傍に行くと、ロイドが聞いた。
「姉たん!姉たんは、おとーさんとおかーさんの事、きりゃい?ちゅき?」
レイノアは意外な事を聞くと思った。
しかし彼女は膝を付いて、ロイドの頭を撫でる。
「嫌いではないぞ。クラトスも、ノイッシュも……それにアンナの事も好きだよ。」
「じゃあ何で、姉たんはおとーさん、おかーさんって、呼ばないの?呼んで、呼んで!」
ロイドは目を輝かせて、ピョンピョン跳ねる。
レイノアはしばらく考えた。
クラトスの事は、昔父と呼んだ。
アンナは、あれから色々あった。
昔ほど、いがみ合う事もない。
基本は自分中心だが。
そもそも、彼女には本当の意味で、名を明かしていない。
だが、自分が人ではない、と言う事も。
おそらく、世界の救世主《ディセンダー》と言うのも気付いているだろう。
レイノアはロイドを抱き上げ、アンナに言った。
「アンナ、私は救世主≪ディセンダー≫だ。だが、それとは別に名がある。それが、レイノアだ。さらに、その名には意味がある。私の名の意味は、〝光を知りし者〟だ。だから、その、今さらだが、そう言う事だ……父さん、母さん。」
と、クラトスにロイドを渡して、家の屋根に上がった。
アンナは大喜びで、ロイドに言った。
「ロイド、レイノアお姉ちゃんが、呼んでくれたよ。嬉しいねぇー♪」
「ねぇー♪」
と、続いている。
クラトスも、久しぶりにレイノアに父と呼ばれたので、実は嬉しかった。
レイノアは、今のこの時が幸せだった。
何故なら、彼女が彼等の本当の家族としての生活が続いたからだ。
それは、自分が世界の守り手≪ディセンダー≫である事も、四代目の存在も、忘れる程に。
そんな日々が続いたある日、レイノア達は街に来ていた。
レイノアは町に入るなり、走り出す。
クラトスは、気を張り詰めた。
彼は、レイノアが居なくなってから警戒はしていた。
が、まさか魔族が出て来るとは思わなかった。
「まさか、魔族が現れるとは!」
クラトスは、ロイドをアンナに預け、戦い始める。
だが、これが少数なら、クラトス一人で大丈夫だったろう。
しかし、魔族はこの場に十匹以上いた。
軍人が来て、供に応戦するが手に負えない。
そこに光の剣を振いながら、飛んでくるレイノアの姿があった。
レイノアは、クラトス達と合流すると真っ先にクラトスの傷を癒す。
ついでなので、軍人にもやった。
理由は簡単だった。
邪魔されるのが嫌だったから。
魔族の一匹が、レイノアを見て言った。
「まさか本当に、世界の守り手≪ディセンダー≫に会えるとは思わなかった。お前を殺す前に、あやつから伝言をやろう。〝また、新しい大切な者が出来たんだ。本当、君は変わらないね。今度は大切にすると良いよ。俺みたいに、そして前の君みたいに、ならないようにね。〟」
そう言った瞬間、レイノアは自分でも気付かないうちに、凄まじい程の殺気が出た。
そして怒りに満ちた声で叫んだ。
「レディアント完全解放‼」
この街に居た全ての魔族を、光魔術で一掃する。
「光の裁き、ジャッジメント!ジャッジメント、ジャッジメント、ジャッジメント‼」
その状態で地面に手を当て、光で包む。
それが終わると、クラトス達の方に走る。
そのまま、家まで飛んだ。
家に着くと、すぐにレイノアは屋根に上がった。
彼女はそのまま、屋根の上で四代目《レオン》を探し続けた。
『街に着くまで街が結界で覆われ、魔族がいる事に気が付かなかった。しかも前のように、この光景を視ているという事だ。ふざけやがって!』
その日から、レイノアは二人の事を父、母と呼ばなくなった。
それは、四代目や魔族から遠ざける為でもあった。
レイノアは、常に外を視て、レオンを探る。
だが、視付ける事が出来ない。
そして、彼女は考えていた。
『この世界の魔族の穴は、初代があの時結界を作った。その初代の封印が壊れたのか。調べるのには、やっぱり初代自身の方がいい。しかし、ここにはクラトスが居るし……ハッキリ言って、合わせたくないな。だが、クラトスが持っているお守りを一つにするにも、初代の方が一番やりやすいし。それにもう一つ、作るつもりだし……仕方ないか。』
レイノアは、クラトスを連れて外に出た。
アンナとロイドに見えない場所に来て、彼女は意識だけを初代に明け渡す。
その瞬間、激しい拒絶反応が出た。
つまり、長くは持たないと言う事だ。
「‥‥‥成程、四代目も頑張ったね。僕の結界を、半分まで壊すとは。」
それにクラトスが反応した。
目を見張って言った。
「まさか、エント……か?」
レイノア(初代ディセンダー・エント)はニッコリ笑う。
クラトスのお守りに光を当てて、お守りを一つにした。
「……師匠≪せんせい≫、この子のことお願いします。」
と、言って、レイノアが崩れ落ちる。
クラトスは慌てて、支えた。
レイノアは頭を押さえながら、唸った。
「くそ!初代の奴、貴様が創った結界だろうが!何、拒絶反応出しているだよ。」
レイノアはクラトスに支えながら、家に帰ったのだった。