テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
レイノアはロイドを抱いて、アンナの墓の前に居た。
横にはノイッシュも居る。
クラトスを捜し、四代目《レオン》を殺す。
だが、ロイドは連れていけない。
自分は、ここには戻ってこれないかもしれない。
そう思うと、彼女は隣にいるノイッシュに言う。
「ノイッシュ、もしもの時は……ロイドを頼んだぞ。」
ノイッシュは悲しそうに、それでいて強く鳴いた。
後ろから、ドワーフ族の男が声を掛けて来た。
「おう。嬢ちゃん、坊主も、こっちに来て、温まりな。……ほら、体も冷たくなっているぞ。」
レイノアは、ロイドの体温を確認する。
確かに、冷たくなっている。
ロイドを抱いたまま、男の後ろに付いて行った。
男はスープを出した。
ロイドは温かいスープを、ゆっくり飲んでいく。
「嬢ちゃんも遠慮せず、どんどん飲め!坊主、おかわりか?待ってろ。」
ロイドは嬉しそうに、またそれを飲む。
レイノアは、外を一度視る。
近くに、魔族は居ない。
彼女は、男を見て言った。
「私はいらない。飲まなくても、大丈夫だ。だから、この子にーー」
と、話している途中だった。
自分の頭に強い衝撃が、襲った。
彼女は頭を押さえた。
痛覚は無い。
が、今はそれが頭ではなく、心に響いたと言う錯覚がある。
男は、レイノアに怒鳴った。
「馬鹿野郎!飲める時に飲んでおけ!子供が変な遠慮もするな!大変な時は、大人に頼れ!」
「私は、お前より年上だがな。」
小さく呟いた後、レイノアはため息を付いた。
そして、スープを一口飲んだ。
飲んだ所で、彼女は驚いた。
自分は味覚を封じている。
いや、味覚は失っていると言ってもいいはずだった。
だが、違った。
子供達との関わりや、クラトス達との暮らしで、無意識にそういったものが復活していた。
『今になって、そう言う事に気付くとは……随分とら人間らしくなったものだ……』
と、ロイドやレイノアを見ながら、男が聞いて来た。
「さて、これからお前さん達をどうするんだ。何所か、行くあてはあるか?」
彼女は手を握り合わせる。
『エルシアの所に、ロイドを連れて行くか。いや、そう言う訳にはいかんな。アンナの墓の事もあるし。クラトスを探そうにも……今は手掛かりも、波動も感じない。』
だとすれば、ここを拠点にした方がいい。
だが、このドワーフは赤の他人。
さらに、自分が関われば命の危険もある。
ここは素直に話す。
「行くあてはない。父親がいるが、今は行方不明だ。だが、迷惑は掛けない。出て行った方が良いなら、そうしよう。」
男は腕を組んで、首を振った。
少し怒りながら言った。
「いや、さっきも言ったように、子供が遠慮するな。……よし!お前さん達の父親が見付かるまで、この家に居れば良い。じゃあ、名前を教えてくれ。」
レイノアは少し考える。
このドワーフは、何故赤の他人である我々を疑わないのだろうか。
このドワーフだって、人間は嫌いなはずだ。
身勝手で、自身の保身を真っ先に考えてしまう人間を。
もしかしたら、アンナの最後の姿に憐れみを感じたのか。
どちらにせよ、今はこのドワーフに頼るしかない。
「この子はロイド、四歳だ。外の犬のような大きな生き物は、ノイッシュ。私は……レイノアだ。だが、必要以上に私の名は出すな。」
名の意味を教えない事で、名を呼ばれても対して支障はない。
だが、保険は掛けておいた方が良い。
ドワーフ族の男は、何かしらの理由があると判断したのだろう。
彼はは頷いた。
ロイドの頭を豪快に撫でながら、
「よし、分かった。じゃあ、レイノア嬢ちゃんの事は、嬢ちゃんと呼ぼう。ロイドも、これからよろしくな。俺の名は〝ダイク〟だ。お前さん達の父親が来るまで、父親代わりだと思ってくれ。」
ロイドは、嬉しそうに頷いた。
それからダイクは、自分の事を「親父」と呼ぶよう言った。
それは父親を探すのに、時間が掛かると思ったからだ。
ロイドは最初、ダイクの事をクマと言って怯えていた。
が、今はとても仲良しになった。
それから、この家での生活を過ごす事となった。
彼女は三日経ち、力も大分元に戻った為、外に出た。
そのまま、森に出よとしたら……
「…‥離せ、ノイッシュ。解っている、クラトスを探しに行って来るだけだ。さすがの私も、今のままでは魔族を全て殲滅できん。無論、四代目も。故に、ちゃんと日暮れには戻る。それまで、ロイドを頼んだぞ。」
ノイッシュは、彼女の服の裾を離した。
彼女はため息を付いて、森の中に入って行った。
『眼を凝らしても、この辺には居ないようだ……。世界全体は今、瘴気が濃くて視えんし。四代目に、異世界をわたる力は無いから、大丈夫だとは思うが……』
と、歩いていた。
が、魔族と鉢合わせになった。
レイノアは、魔族を冷たく視る。
対する魔族は、彼女に攻撃をしてくる。
彼女はレディアントを解放せず、魔族達を斬り倒していく。
『中級のみか。今の力では、上級魔族を倒せるかどうか……』
全ての中級魔族を倒し、レイノアはもう少し奥に進もうとする。
が、止めた。
代わりにレディアントを構え、叫んだ。
「レディアント完全解放‼」
彼女は突っ込んで来た上級魔族を、剣で応戦する。
剣を交えながら、辺りを視る。
『数は五体。少しまずいな……。仕方ない、無理を承知で、こちらから攻める‼』
彼女は魔法を放つ。
「ストーンブラスト!ウインドカッター!」
彼女はまず、魔族の一体を確実に倒す。
そのまま彼女は、剣を交えながら魔術を繰り出す。
「ライトニング!サンダーブレイド‼」
レイノアは辺りを見る。
『一体、一体、倒さねばならんとは面倒だな。』
剣を弾き、近付いて来た敵を魔術で倒す。
「残り三体か、くそ……」
そう口にし、彼女は先程弾いた魔族に技を掛ける。
「剛・魔神剣‼」
剣の衝撃波で敵を吹き飛ばし、残った魔族を確実に倒す。
さらにそこに「サンダーブレイド」を打ち出す。
が、それに合わせるように、一匹が直接攻撃してくる。
レイノアは剣でそれを防ごうとする。
が、もう一体も攻撃してきた。
彼女は、先に仕掛けて来る魔族の攻撃を受けた。
その後、次の魔族の攻撃も、受けた。
彼女は木に叩き付けられた。
その状態で、剣を支えにする。
立ち向かって来る魔族達に、秘奥義を繰り出す。
「…縛れ、光の楔を…追撃せよ、光の粒子よ!シャイニング・バインド‼」
敵を拘束し、光の柱で打ち消した。
彼女はその場に少し留まった後、体が動く事を確認した。
最後にもう一度、この場でクラトスの波動を探す。
が、やはり見付からなかった。
傷を回復させようと思ったが、予想以上に消耗が激しい。
なにより、すでに空には日が陰っている。
彼女は早歩きで、ロイドの居る家に向かう。
レイノアが帰って来た時、外にはノイッシュにしがみ付くロイドと、その隣にダイクが立っていた。
レイノアはため息を付いて、そこに近づく。
ダイクが少し怒り気味に叱りながら、怪我の治療をする。
「全く、出掛けるのは構わねぇーが、こんなに怪我をして……一体何をしていたんだ?最近は、変な魔物も多い、気を付けなぇーと……」
「それは解っている。だが、クラトスを……父さんを見付け出さないと。それと、怪我の治療は良い。あともう少しすれば、何とかなる。」
「無理をしなくてもいい。ほら、見せろ。」
彼女は面倒なので、そのまま治療を受けた。
「……父親を探すたって、お前さんがこんなに怪我をしたら、本末転倒だぞ。」
包帯で巻かれながら、大人しくしている。
と、ロイドが泣きながら近付いて来た。
レイノアは優しくロイドの頭を撫で、なだめた。
そうしている内に、眠ったロイドをベッドに寝かせた。
レイノアは、ダイクの目の前に座る。
ダイクが、ココアを出して来た。
彼女はそれを一口飲んだ後、先程巻かれた包帯を取る。
「お、おい。まだ治っていないんだ。取っちゃいけねぇー。」
ダイクが慌てて、止めようとする。
レイノアは、解いた包帯の隙間から傷を見せる。
跡形は無く、傷も癒えている。
ダイクは驚いた。
「こりゃー、凄いな……嬢ちゃんがさっき言っていたのは、こういう事か。しかし、だからと言って、無視はできねぇー。怪我した時は、すぐに言うんだぞ。」
レイノアは、ため息を付いた。
これ以上、色々言われるのは面倒だと判断。
簡単に説明する。
「……私の見た目こそ、人間そっくだが中身は全く違う。感覚もそうだが、私生活も大抵そうだ。故に、私には……関わるな。」
「それは、あの親子と違うからか?それとも、嬢ちゃんの父親も、そうだからか?」
レイノアは状況を確認する。
自分自身の事はあまり言えない。
だが、クラトスの事を考えると彼の事もあまり言えない。
なにより、このまま彼を視付けられなかった事を考えると、対策を練った方が良い。
つまり、このドワーフにある程度の説明が必要という事だ。
そう判断し、
「いや、ロイドの父親も、母親も、ただの人間だ。元々私は、彼等とは血縁関係ではないからな。ついでだから言っておく……いや、説明をしていなかった。あの子の母親の名は、アンナ・アーヴィング。父親の名は、クラトス・アウリオン。ロイドの性は、アンナの方が良いだろう。むしろ、そうしておいた方が安全だ。」
クラトスの性にしておけば、もしもの時は解りやすいだろう。
だが、彼は監視者でもある。
それを考えると、彼の性にすると精霊に目を付けられる。
何より、アイツに見つかると、何よりも面倒だ。
「それが、嬢ちゃん達があの森に居た理由か?」
レイノアは頷いた。
そして彼女は立ち上がり、ロイドの寝顔を見たまま、ダイクに言った。
「私は出来れば、このままこの子と供に居たい。だが、この子の父親を見付け、私の役目を終え、再びこの地に目覚めれば……この子とは、会えないだろう。でも私は、約束してしまったからな‥。」
ダイクは、おそらく彼女の説明に、全ては理解していないだろう。
それでも、これだけは言っておかなくてはいけない。
「もし私が、ここに居る間に……この子の父親を見付けられない時は、この子の事を頼みたい。」
「…無論、俺は子育ては良く分からんが、精一杯頑張るぞ。無論、嬢ちゃんも、ここにずっと居て良いんだからな。」
レイノアはそれを、横目で見るだけで答えはしなかった。
むしろどう応えて良いのか、解らなかったのだ。