テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
マイソロ2 五代目ディセンダー 第二十六話 目覚め
暗闇の中、レイノアは再び意識が覚醒した。
自分の分身体が下界に降り立ったからだ。
正確には落ちた、と言った感じだ。
分身体が目を開く。
そこにはピンクの髪をした少女が、声を掛けていた。
『パスカのカノンノ、か?いや違う、その因子を持つ者か。それにしてもこれは、アイフリードのバンエルティア号か……。まだ存在していたのだな。』
それから分身体の生活を、彼女はただ視ていた。
ある時、クラトスがこの船に来た。
この分身体を見た彼は、何かを考えた。
が、何も言わずに挨拶だけをする。
それから何の因果か、成長したロイドまでこの船に来た。
『成長したな、ロイド。クラトスの面影が見て分かる。やっぱり、親子だな。』
だが、彼女は二人の雰囲気を見て、状況を把握した。
彼らは知り合ってはいるものの、ロイドはクラトスを父親とは理解していないようだ。
実際、クラトスがロイドの元に着いたのがいつなのか知らない。
故に、幼いロイドがその事自体を覚えているかも、微妙な所だ。
成長したロイドは、真っ直ぐで、素直で、熱血だった。
正義感に満ちたその姿は、良い。
だが、学力は残念だった。
『……誰しも、得意不得意はあるものだ。』
レイノアは、ロイドの学力には深く考えない事にした。
しばらくして、三代目が守ったゲーテの眠りを、下界人の科学者が壊した。
これにより、世界に負がさらに満ちた。
『愚かな。さて、あれはどうするのか。それにしても、これだけ世界に負が満ちると……あれが目覚めそうだな。』
彼女の予想は的中した。
青髪の巨大な大男が目を覚まし、あれと対決した。
そう、初代の時代、初代でも敵わなかったライバル、バルバドス。
だが、下界人の手助けもあり、何とか撃退できたようだ。
そして自分の創りだした分身体は、ゲーテと供に世界樹に帰って行った。
分身体は世界を救う事に成功したのだ。
だが、彼女の想いと、バンエルティア号にいる仲間の想いが、再び彼女を下界に降り立たせた。
分身体が下界で暮らしている姿や彼等との触れ合いを、彼女の眼を通して視ていた。
世界も安定し始め、これで大分良くなっただろうと思った。
が、レイノアは暗闇の中で、封印の力を強めていた。
しかし、その封印を外から何者かに邪魔をされた。
レオンが暗闇の中で、目を覚ます。
「……ああ。俺、君に封印されたのだったね。それで、世界はどのように進んだのかな?」
「世界は平和になっている。故に、貴様にはまだ封印されていて貰う。」
レオンは冷たい笑みをしていた。
一瞬だった。
レイノアは反応に遅れた。
彼女の中に、何かしらの術式を埋め込まれた。
そのまま彼女が意識を失うと、レオンは彼女の封印を壊した。
「……レイノア、君が思っている程、この世界は良い物では無いみたいだよ。」
そう言って、彼は何所かに飛んで行った。
レイノアが目を覚ました時、そこはやはり闇の中だった。
『四代目に封印できるような、術は無いはずだ。だとすると、誰かが四代目に干渉したのだろう。だが一体、誰が……』
レイは、アドリビトムの仲間とチームを作り、依頼を受けていた。
チーム編成は、レイ・カノンノ・クラトス・ロイドとルーク・ジェイド・ミント・チェスターの二組だ。
ルーク達とは別行動で、森の中を進んでいた。
森を少し出た所で、レイは荒野を見付けた。
そこに目を凝らすと、人影が見える。
「あそこに……人が居る。」
「え⁉それって、危ないよ!今、この地区は危険区域だって事を、知らないのかも。」
「じゃあ、教えに行ってやろうぜ。な、クラトス。」
「……ああ。その方が、良いだろう。」
と、そこに向かって歩いて行く。
クラトスは、その人物を見て固まった。
それに気付かなかった三人は、少年に話し掛ける。
「あの!ここは今、危険区域なので安全な所に避難して下さい。」
少年が振り向いた。
黒い長い髪を後ろで一つに纏め、赤い瞳を持ったどこかレイに似た人物。
その少年は、カノンノに笑顔で答えた。
「ご忠告ありがとう、お嬢さん。でも、大丈夫。俺は強いから。」
カノンノと少年は見つめ合った。
そして少年が、レイを見て「おや?」と、言う顔付きになった。
少年は、レイに声を掛ける。
「あれ?もう俺の術を解いたの?……いや、君は彼女じゃないね。お人形さんの方か。なら、ここで死んで貰おう。」
と言って、銃をレイに向ける。
レイが反応する前に、クラトスがそれを止めた。
少年は口笛を吹いていた。
「いやー、相変わらず凄いですね、クラトスさん。でも、貴方も知っての通り……それはあの子ではないよ。」
「……そうだな。だが、この子は今いるギルドの仲間なのでな。」
少年が、クラトスの後ろを見る。
と、三人とも戦闘モードへと変わっていた。
レイは剣を掲げた。
「レディアント第二解放!」
レイの服装が変わる。
剣が白から黒基準へと変わる。
そして、服装がグレードアップし、リボンが白から青色へと変化する。
さらに楯も、変化した。
外見的には戦うメイドさん的な感じだ。
それを見た少年は、感心していた。
「へぇー、彼女のレディアントかと思ったけど……違うんだ。ちゃんと解放も出来ているという事は、君自身のレディアントか。これは珍しい。なら、ますます仕留めないと……邪魔だね。」
一対四だが、少年の方が断然有利だった。
少年の動きに付いて行けるのは、クラトスとかろうじてレイだけであった。
だが、術も、剣術も、回復も、追いつかない。
気付けば、こちらは体力をかなり消耗している。
「それにしても、姿、形は一緒なのに、こんなに弱いなんて……。これじゃあ、出来損ないのお人形さんだね。」
少年が、レイの剣を受け止めながら言った。
ロイドとカノンノは、少年に怒る。
「レイは弱くねえ!この世界を救った世界の守り手≪ディセンダー≫なんだ!それに……」
「それに、レイを人形とか、出来損ないとか言わないで!レイの努力も、知らないくせに!」
少年は意外そうな顔で、二人を見た。
そして呟いた。
「君は、仲間に好かれているんだね。その辺は、彼女と大違いだ。感情もあるみたいだし……でも、これは事実だ。君は弱い。だから、君はここで、俺に殺されるんだよ。」
少年が短剣で、レイの剣を弾いた。
彼女はその場に、尻餅を付く。
弾かれた剣は、レイのすぐ傍。
だが、剣を取る前に少年の弾丸が当たった。
彼女は悲鳴こそ叫ばなかったが、動けなくなった。
少年が止めを刺そうとする。
「「レイ―――‼」」
彼らは叫びながら、傍に寄ろうとしていた。
そこに、彼らの叫びに応えるかのように激しい光が生じた。
そして、レイのレディアントを握ったレイそっくりの少女が、少年を斬り付けた。
ーーレイノアは、レオンに掛けられた術式を壊していた。
だが、全てを完全に壊せずにいた。
『また厄介な術式を……。これを完全に壊すのは、まだ無理だな。四代目の力を使い、これは誰のモノだ。それにしても、これを壊せない限り、ここからは出られない。どうしたものか……』
そう思っていたら、自分の分身体の眼を通して、レオンの姿が視えた。
どうやら彼は、分身体を殺そうとしている事が解った。
彼女にとっては、自分の分身体がどうなろうと別にどうでも良い。
のだが、ロイドの悲痛な叫び声が聞こえた。
クラトスも、表情を変える。
だから、助ける事にした。
『まぁー今の所、あれを壊す訳にはいかないか。あれに、やってもらいたい事もある。なにより、私の代わりに創った訳だし……。仕方ない、あの子達と母さんが作った感情を壊す事になる。だが、動けるようにするには……こうするしかない。』
そう思いレイノアは、レオンの術式の一部を無理矢理壊した。
それによって、彼女の感情が壊れた。
そして彼女は、自分の分身体の前に飛ぶ。
傍にあった、分身体のレディアントを握る。
彼女は分身体のレディアントを使う為に、分身体の波動に合わせる。
元々は自分の分身体だ。
なので、合わせるのは簡単であった。
そして、その一瞬の隙を付いて、レオンを斬った。
彼は、苦痛めいた声を一度出す。
と、距離をすぐに取った。
「……まさか君が、あそこから出られるなんて。術式は、完全には壊せなかったみたいだけど……その代りに君は、何を捨てたのかな?」
「それに答える必要性を感じないな。貴様の命、ここで貰い受ける!」
互いに武器を構い直し、睨み合う。
そして、凄まじい剣や術、銃の攻防戦が始まった。
それを、四人はただ見ていた。
クラトスだけは、ある意味それを知っていた。
が、他の三人は驚きを隠せない。
何故なら、その動きは人間の域を超えていた。
特に、レイノアは怪我を負っても平然とした顔で剣を振り、戦っている。
クラトスが、彼らが戦っている間にレイを治療する。
それに気付いたカノンノも、治療を手伝う。
レイの傷を治している間に、戦いは終盤を迎えていた。
「はぁ、はぁ、やっぱり君は強いよ。いくら君の分身体のレディアントとは言え、ここまでの力を出すとは……少しフェアじゃないな。」
「貴様が、それを言うか。」
レオンは嬉しそうに笑った後、冷たく言った。
「それもそうだね。でも、君は元々存在自体がイレギュラーだろう?だから、これを置き土産に置いて行くよ。」
レイノアは反応する事が出来たが、動けなかったのだ。
真後ろには、クラトス達がいたからだ。
レイノアはそのまま、レオンに術式の一部を変えられた。
だが、それだけやられて、彼女が黙っている訳がない。
彼女は、レディアントに力を込めた。
無論、力を込め過ぎれば、波長が少しずれる訳で……
そして、光が爆発した。
光が収まった頃には、レオンの姿はどこにも無かった。
『……逃したか。さて、あれを本格的にどうするか。』
レイノアは傷を回復させながら、彼らに近付いた。
彼女はロイドを軽く見た。
あの小さかったロイドが、今は立派に成長している。
それは、秋信とエルシアの時と同じ感覚がある。
『……本当に成長したな。私より少し、背が高いかもしれん。クラトスは、相変わらずだがな。……ん?感情の一部が戻っている?痛覚と言うものも、久々に感じるな。だがこの程度なら、私は動じない。だが、私が能力を使えば使う程、増幅するよう出来ているな。まぁー、いいか……』
失ったはずの感情。
だがこの時、レイノアは気が付いていなかった。
この感情が、誰のものか……