テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
レイノアは冷たい目で、自分の分身体を見る。
彼女は意味が解らないと、言う顔をしている。
隣でロイドとカノンノが、驚きをやっと口に出した。
「それにしても、レイにそっくりだな。姉妹か、何か……か?」
「……レイは、何か分かる?」
レイは首を振った。
レイノアは更に目を鋭くした。
しばらく、考えてレイに手を伸ばした。
力を入れようとして、クラトスがその腕を掴んだ。
その手は何所か、力強い。
「何をするつもりだ?」
「……決まっている、これを片付ける。あれに見つかった以上、これはもう必要ない。代わりを創るか、他の策を考えるだけだ。」
レイノアは冷たい声で、言った。
彼女の言った通り、レオンに見つかった以上対策がいる。
折角創った分身体には、やってもらいたい事がある。
その為にも、これは必要な賭けだった。
そして、この事はクラトスにも知られてはならない。
だからこそ、クラトスは瞬時に判断した。
この件には関わるな、と言う彼女の意志を。
だが、だからと言って引き下がる訳にはいかない。
それは二人も一緒のようで、カノンノが怒りながら言った。
「……貴女もまるで、レイを人形とか、出来損ないとか、言うんですか!」
レイノアは、クラトスに腕を掴まれたまま、カノンノを冷たく見た。
彼女はその視線に怯えているが、堪えてこちらを見ている。
「これは、私が創り出した分身体。私が下界……世界樹の外に出られない間の代理でもあった。だが、まさかここまで弱いとは……私自身、思っていなかった。」
「レイは、この世界をしっかり救いました。この世界にあった、負の想念を浄化したんです!それに――」
「ゲーテの事やこの世界に起きていた事、お前達がこれと供にアドリビトムのギルドをしているのも、知っている。私はこれが目覚めた時から、これを通して全てを視させて貰った。だからこそ、弱いと言えるのだ。」
「な、何でだよ!全て見ていたなら、こいつが頑張っていた事も知っているんだろう!それに、アンタにしてみれば弱くても、レイは世界を救った!」
レイノアはクラトスに掴まれている手を掴み、離させた。
そして、ロイドとカノンノを冷たく見た。
「……この程度で世界を救ったとは、いささか問題がある。そもそも、ゲーテを世界樹から出したのはお前達だ。それに、この世界を覆う負の想念は、消える事は無い。人々が世界樹の恩恵を忘れた時点からな。それでも、お前達はこれが世界を救ったと思うのか?」
二人は身を固くした。
そして横では、クラトスが拳を握りしめていた。
逆側ではレイが俯いている。
自分≪レイ≫と言う存在が、解らなくなっているのだろう。
レイノアは視線を、二人に戻した。
しばらく冷たい目で見ていたら、右側から弱弱しが、力強い声が聞こえて来た。
レイノアはそちらに、視線だけを向けた。
「……確かに、私は弱いです。さっきの人に、傷もまともに付けられなかった。でも皆が、アドリビトムの仲間が、力を貸してくれたから……私は、この世界を救う事が出来ました!この世界を知る事が出来ました!」
「そうだ!レイが例え、アンタの分身だか、何だかでも、レイはレイで、俺達アドリビトムの仲間だ!」
「うん‼︎私達の大切な仲間で、家族だよ!だからもし貴女が、レイを殺そうと言うのなら……私達が全力で、それを止める!」
レイノアはしばらく、二人と睨み合いをする。
が、それぞれを見ながら冷たく言い放つ。
「なら、お前はお前自身で、そしてお前達は……いや、お前達アドリビトムの仲間とやらで、私にこれの価値を見せろ。」
レイノアは分身体の目の前に、剣≪レディアント≫を突き刺した。
そして森と荒野の入り口に、眼を向ける。
レイは立ち上がり、レディアントを元に《第一段階》戻す。
そして同じように、一同がそこに目を向ける。
そこにから出て来たのは、ルーク・ジェイド・ミント・チェスターだった。
彼らがこちらに来て、レイノアとレイを見て言った。
「あれ?レイが、二人いる……、姉妹か?」
レイノアは、それには答えない。
カノンノが簡単に、彼らに説明する。
理解したジェイドが、レイノアに質問する。
「……聞いても良いですか?貴女が本物の世界の救世主≪ディセンダー≫という事ですが、それではレイは偽物になるのでしょうか。」
レイノアは、ジェイドを冷たい目で鋭く見た。
その後、冷たい声で説明する。
「否、あれの力と存在自体は、本物≪ディセンダー≫と同じだ。現に、氷の精霊・セルシウスやニアタ・モナドが、いい例だ。そもそも、こいつはディセンダー≪私≫であって、世界の守り手≪ディセンダー≫ではない。が、そいつの持つ光は、私の一部で出来ている。」
「それでは何故、レイを創らねばならなかったのですか?」
「こいつを作った理由は、私自身が動く事が出来なかったからだ。正確には、先程カノンノ・イアハートが言っていた男と供に、封印されていたからだ。故に、これが必要だった。」
「成程。……では、もう一つ。何故、貴女やカノンノが言っていた少年は、レイの事を人形と言うのですか。出来損ないと言うのは、単に弱い事を刺しているのではないかとは理解しましたがーー」
「簡単な事だ。これには心意が無い。これは、お前達を見て育った。つまり、お前達の鏡のような者。故に、こいつが取っている全ての出来事の行動は、お前達を見て、そう動いているに等しい。特にこいつが目覚めた時、一番に見た者を真似している、と言ってもおかしくない。そこに、こいつの意志や感情はない。それを人形と言わず、何と言うのだ。」
事実、レイが目覚めてからの全ての行動を視て来た。
彼女は周りに流されるだけで、本人の意思は無かった。
いや、多少はあっただろう。
だが、それでは意味を持たない。
この先の事も考え、成長して貰わなくては困る。
全員が沈黙した。
そんな彼らを、レイノアはただ冷たく見ていた。
そんな空気を、ロイド・ルーク・カノンノが明るく変えた。
「と、取り敢えず、この場所を出ようぜ。」
「そうだな。今回の依頼も、まだ達成していないしな。」
「よーし、じゃあ、張り切って行こう!」
私は、彼らの最後尾を歩いて、付いて行く。
それは直に、クラトスとロイドの関係を確かめる為である。
『二人の感じは、師弟関係のような感じだな。ロイドは、何も覚えていないようだな。現に、私を直に見ても……何も反応しない。まぁーあの頃のロイドは、本当に幼い子供だったからな。なにより、私がお前から……』
この先は思い出さない事にした。
それは、今はその時ではないと判断したからだ。
森の奥に入った時、レイノアは眼で、ここが魔物の巣窟というのが解った。
このまま先頭を歩くロイドが、入って行くのは危険だ。
レイノアは前の方に進み、ロイドの腕を掴んだ。
一同は歩くのを止めた。
「待て、ロイド……アーヴィング。」
彼らは、レイノアを見る。
「……何だよ。」
ロイドは少し、ぶっきら棒に彼女に言った。
彼女はそれを機にせず、腕を離して教える。
「この先は魔物の巣窟だ。慎重に行け。」
これにはロイドも、理解したようだ。
だが、ジェイドが疑問をぶつけて来た。
「何故、貴女はそれが分かったのですか?」
レイノアは、それには答えなかった。
ジェイドは「やれやれ」と言って、歩き始める。
大量の魔物を見て、チェスターとミントが依頼書を確認した。
「あれが、今回の討伐対象の魔物ですね。あの魔物は、とても危険だそうです。」
「……確かに、普通の魔物と違い、攻撃性で凶暴。さらにデカいときた。気を引き締めて行くぜ!」
そして彼らは、魔物の討伐を始めた。
レイノアはそれを、静かに視ていた。
眼は、常にここら周辺を視ている。
彼らの戦闘を直に視て、確かに強い事は解る。
だが、この程度では世界の守り手≪ディセンダー≫には勝てない。
そして、自分の分身体《レイ》の戦いを視る。
『剣士としての技や動きは、三代目と四代目のものに近いな。三代目は二刀流。剣の腕は、私より上だろう。動きは、四代目のものではある。が、あいつには、体が少し付いていけていないな。本当に弱いものだ、あの分身体は。』
レイノアは、横に視線を向けた。
魔物が一体、こちらに向かって来る。
その魔物の瞳に、ある精霊が頭に浮かぶ。
レイノアは、それを冷たい目で視る。
魔物は動かない。
いや、動けない。
それに気付いた他の魔物達も、こちらに向かって来る。
が、レイノアの冷たい視線を見た途端、動かなくなる。
彼女は改めて、彼らを視る。
クラトスは勿論、こういった戦闘は慣れている。
彼は普通の者と違い、戦闘経験も豊富だ。
ジェイドは軍人の中でも、かなり強い方だと納得した。
他の者達は、深手を負った者はいないものの、無傷では無い。
回復を担当していたミントも、対応に追われていた。
レイノアは、ため息を付いた。
その後、魔物達の前に出る。
今、この魔物達は彼女の世界の守り手≪ディセンダー≫能力で、動きを封じている。
彼女は、それを解いた。
その瞬間、勢いよく魔物達がこちらに来る。
レイノアは、ある精霊に殺意を覚える。
彼女は腕を前に出し、魔術を放つ。
「スプレッド!冷たき檻に閉ざせ、インブレイスエンド!」
そして横を向き、残りの魔物達を凄まじい炎が、焼き払っていく。
「焼き払え、エンシェントノヴァ!」
それを、彼らはただ見ていた。
それは一瞬の出来事だった。
剣を持っていない以上、無防備だと思ったのだろう。
だが魔術が使え、なおかつ、詠唱も早い事に驚きを隠せないようだ。
クラトスは、彼女の魔術を知っている。
なので、さほど驚きはしない。
が、相変わらずの彼女の強さに、見入っていた。
レイノアは、生き残りの魔物達を容赦なく、潰しに掛かる。
「ストーンブラスト!ウインドカッター!」
地面が盛り上がり、風で斬り潰していく。
レイノアは全てが終わった後、何食わぬ顔で言った。
「……もう少し、戦い方に気を付けたらどうだ。これでは、魔物に殺してくれ、と言っているようなもの。ただの魔物相手に、手を貸してやるのは今回だけだ。」
この程度の魔物相手に、手こずっているようでは駄目だ。
特に、あのレイには、強くなって貰わなくては困る。
これから先の事も考えて。
そう、下界人と供に歩むのであれば……