テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
レイノアは、ある種の殺気を纏って、目の前の敵《レオン》と剣を交じり合わせていた。
自分では気付いていない。
怒りと殺気と言う感情。
それを思いっ切り爆発している事を。
そこから、レイノアとレオンの攻防戦が始まった。
その騒ぎに、ルークとティアが駆け付けて来た。
が、その激しい戦いに彼らは、なす術がない。
ルークが、レイノアの激しいまでの殺気に青ざめた顔をする。
彼は頑張って、カノンノに問いかけた。
「も、もしかして……あれが、例のディセンダー≪敵≫さんですか。」
「うん。でも私達、これからどうしよう……。私、足が竦んで動けない。」
と、カノンノも同様に、青ざめた顔で言った。
彼らは身動きできないまま、しばらくその場に立ち尽くした。
それを止めたのは、他でもないレオンだった。
「あー、相変わらず君は強いね。その剣は、ただの剣なのに。これじゃあ、初めて会った時みたいだね。」
彼は嬉しそうに言う。
が、その発言に、レイノアは何も動じていない。
今の彼女にとって、自分に対する侮辱は何も感じない。
それを感じ取ったのだろうレオンは、さっさと終わらせようとする。
「……ふ、アハハハハ‼︎昔は、もっと感情的にもなったのに……。折角、手に入れた感情を、本当に捨てたんだ!本来なら、そうやって立っている事も出来ないくせに。感情が無いのは、本当に便利だね。でも、もうじき君も、耐えられなくなるだろうね。その布石を、ここで増やさせて貰う!」
そう言って、この場に穴を創り出した。
そこから出て来た魔族達を囮に、レオンはこの場から離れた。
四人は、レオンの創り出した穴から出て来た魔族を見て、
「あの黒い魔物は、数年前に現れた……⁈」
「ああ!あれは……俺も、見た事がある!」
レイノアは冷めた目で、辺りを見渡した。
魔族よりも、レオンだ。
だが、すでにその彼は居ない。
「……逃がしたか。」
そして魔族達は、レイノアを見て笑った。
「見て下さい、兄弟。あの世界の守り手≪ディセンダー≫は、あの時の世界の守り手≪ディセンダー≫ですよ。」
「おお、そうだな。兄弟よ、我らであの世界の守り手≪ディセンダー≫を倒しましょう。フフ、レディアントを持たない世界の守り手≪ディセンダー≫、しかも手負いと来た。これは我らの手柄ですよ!」
そう言って、レイノアに向かって来た。
レイノアは剣を構えた。
ロイド達も、助太刀しようとした。
が、出来なかった。
そこには、レオンとは違った静かな殺気と怒りを出しているレイノアがいる。
今の彼女は、レオンを取り逃がした。
その上、魔族が目の前に居る。
これ程、腹立たしい事は無い。
そもそも、魔族を見る事さえ嫌なら、未だに殺す事の出来ないレオンが、自分を使って遊んでいる。
本当に、怒り狂うものだと彼女は思う。
だが、これも本人は気が付いていない。
感情を思いっ切り出している事に。
それこそ、本当に無いはずなのに。
「……魔族無勢がいきがるな!」
そう言って、レイノアは剣に力を込める。
剣は強い光を帯びる。
レイノアは、その剣を振るい、二体の魔族を一刀両断した。
それには、この場に居る全員が血の気が引いた。
無論、斬られた魔族も、だ。
「ば、馬鹿な……いくら世界の守り手≪ディセンダー≫でも……」
「それだけの傷を負って、我らを倒す事は不可能なはず……」
レイノアは、冷たく言い放った。
「私を、普通の世界の守り手≪ディセンダー≫と一緒にするな!」
光輝いている剣を、もう一振りして魔族を完全に倒した。
レイノアは、穴とこの周辺を浄化する。
レイノアが、彼らに振り返る。
と、剣が折れている事に気が付いた。
「……はぁー脆い。あの程度で折れるか。」
そう呟き、レイノアは自分を確かめていた。
ティアとカノンノが、慌てて治癒術を掛けようとするが、
「ああ、気にするな。この程度なら、動けるから良い。」
だが彼女達は無理矢理、レイノアを治療した。
それもそうだろう、今にも死にそうなほどの傷をしているのだから。
それを、本人が一番理解していない。
クレス・チェスター・ユーリ・エステル達と合流した彼等は、先程の事を話し合っていた。
が、最後の大仕事が出来てしまった。
それはとてつもなく強大な、黒い魔物だった。
レイノアがその魔物を見て、冷静な声で言う。
「ああ、ギルガリムか。あの程度なら、お前達でも倒せるとは思うが……どうする?」
「ギルガリム?君は、あの魔物を知っているのかい?」
クレスの質問に、レイノアは無言だった。
が、そろそろ頃合いだと思う。
「……船に戻ったら、ある程度の事は教えてやろう。それより来るぞ、構えろ。」
レイノア以外の者達は、戦闘モードへと切り替わる。
戦闘が始めるその直前に、レイノアはアドバイスをする。
「あれを倒せないと、お前達の言う黒い魔物も、それを呼び出すあいつも、倒す事は出来ないぞ。」
全員は一瞬固まったが、戦闘を開始する。
レイノアのアドバイスは、恐怖の一言だった。
彼女はしばらく、彼らの戦闘を見守っていた。
否、ギルガリムを観察していた。
そして、それを呼び出したであろう者を探っていた。
『先程、ここら一帯を浄化したばかりだと言うのに。私に気付かれず、ギルガリムを呼び出すとは……。アイツは、一体どこに隠れているのだ。』
レイノアは、改めて彼らを見てみる。
彼女が稽古に付き合った分、大分良くなってきている。
『大分、剣技もさまになって来ている。それに周りへの配慮も、忘れてはいないようだな。だが、世界の守り手≪ディセンダー≫なしに、ギルガリムを相手にするのは難しい……。いくら手傷を負わせても、止めが刺せないでいる。というより、あの分身体自体が能力に気付いていないとは……』
だからかもしれないが、それは本当に気まぐれだった。
レイノアはそんな彼等に、ほんの少しだけ手を貸す事にした。
「お前達、少し下がれ。……ストーンブラスト!ウインドカッター!」
と、ギルガリムの動きを止め、敵の出した攻撃を風で防ぐ。
「止めは、お前達でやれ。」
そう言って、彼等は一斉に技や術を放つ。
何とか、彼等はギルガリムを倒す事に成功する。
レイノアはギルガリムに近付き、浄化する。
彼れを一目視た時、彼らは体力を消耗し、瘴気を少し纏っていた。
「はぁー……あれを倒せたから、これは私からのおまけだ。」
彼らに治癒術と、浄化を施す。
今の彼らに、瘴気で死なれては困る。
何の為に鍛えたのか、解らなくなる。
彼らは元気を取り戻す。
が、レイノアは何処か、体が重い事に気が付く。
『成程、二重の布石だったという事か。全く……手の込んだ事を、本当にしてくる。だが、この程度では、私を止める事は出来ない。』
いくら体が重く感じても、自分には感情、強いて言うならば、痛覚などは存在しない。
故に、体が動けば、対して問題は無い。
船に戻って来た、レイノア達。
船長のチャットに報告を済まさる。
レイノアは、チャットに剣をまた貰う事を言う。
彼女は新しい剣を腰に差し、甲板に出る。
するとそこには、ロイド・クラトス・カノンノが、向かい合っていた。
さらには、今回の任務の者達以外も居た。
レイノアは屋根に戻らず、それを見ている事にした。
ロイドがクラトスに、か細い声で、
「クラトス、聞いても良いか?」
「……何だ?」
「クラトス……クラトスは、俺の父親……なのか?」
ロイドのその発言に、その場にいた全員は一度、息を飲んだ。
クラトスも目を見張り、レイノアも、驚かずにはいられなかった。
まぁー、それとなく予想をしていた者も、いたのだろう。
左程、驚いていないものも居る。
クラトスは、ロイドに聞き返した。
「……何故、そう思うのだ。」
「アイツが……あの時の黒髪の奴が、言っていたんだ。それに視た。」
「ごめんなさい、クラトスさん。実はその時、私も居て……ロイドの小さい頃を視たんです。小さなロイドと女の人。そして、クラトスさん、貴方です。」
レイノアは、拳を握りしめていた。
『四代目、どういうつもりだ!』
クラトスが気持ちを抑えて、何とか言葉にして言った。
「……そうだ、ロイド。私は、お前の父親だ。」
ロイドは拳を握りしめ、怒鳴り声を上げた。
「何で……何で、俺と母さんを捨てたんだよ!それに、クラトスはアイツに手を貸していたんだろう!何で、そんな……ふざけるなよ‼︎」
レイノアは、感情の無い心で痛みを感じた。
『クラトスが悪いのではない。悪いんじゃないだ……ロイド!』
レイノアは、ロイドの前に立った。
誰にも悟られないよう冷たい、感情の無い声で言った。
「……ロイド・アーヴィング、その言葉には間違いがある。クラトス・アウリオンが、あれに手を貸していたのは、あれが世界の守り手≪ディセンダー≫であった時だ。それと、クラトス・アウリオンがお前達……家族を捨てたのではない。そうさせたのは、私だ。私が、クラトス・アウリオンの力を借りたのだ。あれが旅をした所、関わりを持った場所を知る為に。」
ロイドは目を見張った。
「何で……そんな事を?」
「私は、あれの記憶を詠み取りきれていない。その為、それをよく知る者に聞くのが早いからだ。クラトス・アウリオンも、理解していた。世界を救う為に、私に手を貸したのだ。」
「で、でも!俺達を捨てた事には、変わりないだろう!」
「……それも仕方が無かったのだ。あれを追う代わりに、クラトス・アウリオンの子と妻は安全な場所に。そして奴を打倒した時には、お前達の居場所を言う約束であった。しかし、私があれと供に封印されたが為に、クラトス・アウリオンは……お前の居所が解らなかったのだ。私は、クラトス・アウリオンにお前達の居場所を話す事が出来なかった為に。だからロイド……クラトスを責めないでくれ。」
最後の一言は、聞こえるか、聞こえないかの声だった。
レイノアは最後に、ロイドの瞳を視た。
そして屋根の上に上がった。
レイノアは逃げたのだ。
これ以上、何と言っていいのか解らない。
その後、クラトスとロイドの会話を、上で聞いていた。
最後には少しずつだが、ロイドはクラトスの事を、父親として接する事にしたようだ。
レイノアは空を眺めながら、悲しそうに笑った。
自分の掌を空に上げ、握った。
『少しでもいい……彼等が親子として、戻ってくれれば……私としても嬉しい。例え、名を呼ばれなくても。ロイドが私の事を、覚えていなくても。』
そう、心から彼女は思う。