テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた   作:609

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マイソロ2 五代目ディセンダー 第三十三話 すれ違い

あれから数日が経った。

レイノアはあれ以来、世界を常に視ていた。

相変わらず、レオンの姿は視えない。

 

彼等がいつものように、稽古をしているのを見ていた。

今日は珍しく、ロイドがクラトスと剣を交えていた。

あれから、ロイドはクラトスとの会話も一層増え、親子らしい時間を作っていた。

ロイドは、レイノアが見下ろしていた事に気が付く。

 

「おーい、ディセンダー。見てないで、一緒にやろうぜ。」

 

レイノアは立ち上がり、降りる。

が、着地を失敗。

膝を付いていたが、平然とした顔で立ち上がる。

 

「……大丈夫か、ディセンダー?」

「問題ない。」

 

心配するロイドに、レイノアは平然と言う。

が、すぐに剣を握る。

その眼には殺気がこもる。

ロイドは驚き、目を見開く。

だが、その理由はすぐに解る。

何故なら、そこに笑い声が響く。

 

「アハハハハ!流石の君も、そろそろ限界かな?今ので、自覚持てたんじゃないの。」

 

甲板にはいつの間にか、長い黒髪の少年が現れた。

レイノアは剣の柄を握ったまま、

 

「この程度なら、まだ何ともない。さて、ここには私に斬られに来たのだろう。」

 

だが少年は笑顔で、腕を×マークにする。

 

「外れ。俺がここに来たのは……」

 

ロイドとクラトスを見て、嬉しそうに笑った。

 

「その様子だと、ちゃんと和解できたみたいだね。俺も安心だ。君も、彼等に罪滅ぼしの一つが出来たんじゃない?」

 

その場にいた全員が、おそらくクラトスが家族の元に行けなかった事だと思った。

だが、彼から伝えられた言葉は思いもよらぬものだった。

 

「だって、クラトスさんの妻を、彼の母親を、君の剣で、君の手で、刺したのだからね。」

 

レイノアは剣を抜き、彼に斬り掛かった。

彼女の剣を、彼は短剣で受け止め、

 

「成程、君自身が気付いていないのか。ここままだと君、飲まれるよ。」

「貴様を殺せれば、そんな事にはならん!」

「いやいや、今の君の剣では、俺を斬る事すら出来ないよ。」

 

彼はレイノアの剣を弾き、ロイドとクラトスの前にいた。

ロイドに手を当て、あるシーンを浮かび上がらせる。

それは、レイノアが一人の女性に剣を突き刺した所だった。

レイノアは彼に、怒鳴った。

 

「四代目!貴様は、何が目的だ‼︎」

「俺は、この世界を壊す。その為には、君が一番邪魔なんだよ、五代目。本当なら、ここで君と君のお人形さんを殺すつもりだったけど……今度にするよ。」

 

彼は黒い翼を広げて、力をぶつけた。

それが収まった時には、彼はここから居なくなっていた。

ロイドは驚きを隠せない顔で、聞いて来た。

 

「さ、さっきのは、本当……なのか?」

 

レイノアは短く答えた。

 

「そうだ。私は、お前の母に剣を向け……殺した。」

 

ロイドは剣を抜き、レイノアに斬り掛かる。

その瞳には、悲しみと怒りが見える。

クラトスは止めに掛かろうとする。

が、レイノアはそれを制した。

ロイドの剣を、左は手で、右は肩で受ける。

彼は目を見開いた。

レイノアには、彼から受けた傷に対する痛みは何も感じない。

だが、心が痛かった。

 

「確かに、私はお前の母を殺した。私を殺す事で、気が済むならそうすると良い。だが、私にはやらなくてはならない義務がある。それが全て終わった時、私を討ちに来るといい。」

 

レイノアはジッとロイドを見つめ、

 

『お前になら、私は殺されても良い。』

 

ロイドの剣を離し、レイノアは屋根に上がる。

レイノアが屋根に上がってから、クラトスがロイドに言い聞かせていた。

 

「ロイド、彼女にも、理由があったのだろう。それを聞かずに、剣を振うな。」

「何で、クラトスは……いや、父さんは、母さんが殺されて平気なんだよ!母さんを殺した奴が目の前にいて、ずっとそれを隠して!……俺は許せない‼」

「だがロイド、もう一度、よく考えるのだ。」

 

そう言って、クラトスも、その場から離れた。

その場の空気は、とても重かった。

 

『許さない、か。ロイド……』

 

レイノアは、既に治っている手を見た。

傷があった手の場所を、握りしめる。

 

 

ーー今、ギルドは全体で動いていた。

レオンが、大掛かりに動き出したからだ。

 

レイノアは、ルーク・ティア・ガイ・アニスと供に動いていた。

辺りを探り、

 

「こちら側は、外れだ。」

 

ルークは拳を握りしめていた。

 

「くそ!早く穴を見付けないと、魔族やギルガリムが入って来るんだろう。」

「だが焦っても、何もならんぞ。レイ達の方は、どうだっただろうか。」

 

すぐに次の場所に向かう。

だが何故、彼らがこの事について知っているかと言うと……

 

ロイドとの一件から、三日が経った。

ジェイドがおもむろに、屋根の上に居るレイノアに聞いて来た。

 

「申し訳ありませんが、そろそろ貴女の目的と黒い魔物達について、お聞きしたいのですが。」

 

レイノアは立ち上がり、彼の元に着地した。

 

「良いだろう、話してやる。聴きたい奴を集めろ。」

 

甲板には、船の全員がいた。

レイノアは海を背にして、話し始めた。

 

「まず、私の目的は、この前ここに来たあいつを殺すこと。黒い魔物だが、あれはこの世界とは別にいる“魔族”と言うものだ。形は様々で、言葉を話す。さらに、瘴気を纏っている。奴らは、こちら側の世界に来て、世界樹の所にある『生命の場』と言う物を手に入れようとしている。『生命の場』を簡単に言うと、世界樹の命だ。そして、黒い大きな魔物は“ギルガリム”。あれには知性はほぼない。あれの目的は世界を食べる事だからな。魔族も、ギルガリムも、普通の下界人……お前達のような者達には倒しにくい。それをよく知っているのは、精霊やニアタ・モナドだろう。」

 

一度、精霊・セルシウスとニアタを見る。

精霊・セルシウスには、口止めの意味も入っている。

 

「我々では、何故魔族やギルガリムと言う魔物を、倒す事が出来ないのですか?」

 

ジェイドは、素早く質問する。

彼に視線を向け、

 

「基本は、お前達でも倒す事は出来る。だが、負の想念や瘴気を浄化する事は出来ない。故に、世界の守り手≪ディセンダー≫が存在するのだ。だが、ギルガリムはある世界の守り手≪ディセンダー≫が創り出した魔物……いや、世界と言っても良い。その大元は、テレジアの世界の守り手≪ディセンダー≫達の手によって倒した。が、その因子は残ったままだった。元々この世界は、一度食われ復活したパスカの種だからな。この世界にも、因子として残っていた。その因子が、負の想念や瘴気を大量に浴び、ギルガリムへとなる。後は、解るな。」

「ええ。我々が世界樹への恩恵を忘れ、争い事を増やしが為に、ギルガリムをこの世界に呼び出した、と言う事ですね。」

 

ジェイドはすました顔で、そう言った。

レイノアは腕を組んで、空を見上げた。

 

「その通りだ。だが、魔族は別だ。あれは、四代目……先代が呼び出しているからな。さて、これで大体話は終わった。」

 

と、彼らを見る。

半分は理解でき、半分は理解できていない者が多い。

特に勉強や考える事が苦手な者は、全然理解できていない。

レイノアは、目を細めて簡単に言った。

 

「簡単に言うと、魔族やギルガリムをほっとくと、世界が終わる。」

 

それは、あまりにも砕けている。

これで納得するバカ達。

だが新たな質問が生まれたらしく、リフィルが聞いて来た。

 

「その辺は大体理解したわ。その魔物達を探すのにも、苦労するわよ。それは、貴女もそうなのでしょう。」

 

だが、レイノアが答える前に、ジェイドが付け足した。

 

「貴女の場合、案外視えているのではないですか?」

 

レイノアは目を細め、冷たい声で、

 

「何故、そう思った?」

「おや?否定しないという事は、肯定ですね。貴女は、遠く離れた魔物の巣窟を、まるで視ていたかのように言った。そして、貴女のここしばらくの稽古での戦闘やクエストでの戦闘を見せて貰いました。貴女は、背後も視ているかのようでした。無論、貴方ほどの使い手なら違うでしょうが。何より、確信を持てたのは貴女がクラトスに言った言葉です。貴女の手伝いを終わったら、ロイド達の居場所を言う……それなら、封印される時に叫べば良い。だが、そうしなかった。つまりその時、ロイド達は移動していた。もしくは、クラトスがその土地が解らなかった。だが、傭兵である彼が地理に疎い訳がない。つまり、クラトスが傍に居なかった、と言うことになりますね。」

 

シェイドの観察眼と、理解把握には感心した。

レイノアは、スッと彼を見据えた。

 

「成程。良いだろう、教えてやる。確かに、私の眼は普通のと違う。私の眼は、常にこの世界や特定の場所を視る事も可能だ。簡単に言えば、カノンノ・イアハートがニアタ・モナドを通し、この世界を視たような感じだ。だが、私は今も四代目……先代を見付け出せない。魔族も穴が開き、姿を現せば分かる。が、ギルガリムに関しては、その土地に入らないと駄目だ。」

 

レイノアの言葉は、何所かそっけない。

彼女が、世界に興味が無いのは彼らも知っている。

世界を救うのも、ただの気紛れに近い事も。

故に、ロイドは怒りながら言った。

 

「アンタは、世界が壊れても良いのかよ!アンタにとって、大切な物はこの世界に無いのかよ‼︎」

「この世界には興味ない。だが、まだ残したものが沢山ある。それを残したまま、私はこの世界を壊させはしない。」

 

レイノアの表情は、変わっていない。

だが、声だけは少し違った。

これに気が付いたのは、少ないだろう。

レイノアはロイドの目を見て、

 

「私が大切だと思うものは、最早遠い所にある。決して、この手に取る事の出来ない大切なもの。ロイド・アーヴィング、お前は大切な物を手放すな。」

 

そして最後に、レイを視てた。

その声は冷たい。

 

「お前も、大切だと思う物があるのなら見直す事だ。己で守れる力と心を手に入れろ。世界の守り手≪ディセンダー≫に関わる者は脆く、儚い。喜びや関わりが深い分だけ、失う悲しみは大きい。何より、ディセンダー≪我々≫は喜びと供に、不幸も振り撒いてしまう者だ。」

 

レイノアは屋根の上に戻った。

 

『世界の守り手≪ディセンダー≫は居るだけで、世界を壊す。自由が故に縛られ、恐れを知らないが故に、気付かない。他者は救えても、自分を救う事は出来ない。ディセンダー≪我々≫は世界の毒だ。他者に関われば関わる程、世界を……自分を壊してしまう。』

 

レイノアは、自分の首に付いたペンダントを握り占めた。

 

そして今、レイノアは自分の分身体《レイ》の元に向かっていた。

レイには浄化は出来ても、探る事が出来ない為だ。

何より、レイの行った場所は、ロイドの養父が居る故郷だ。

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