テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
マイソロ2 五代目ディセンダー 第三十六話 依頼
レイノアは甲板の屋根の上で、海を見ていた。
そこに、ロイド・コレット・クラトスが来た。
レイノアは視線だけを、彼らに向ける。
奥には、他の者達も見守っていた。
「ほら、ロイド。ちゃんと自分の気持ちを伝えなきゃ。」
「そうだな……そうだよな。」
コレットに背中を押され、ロイドは決意を固め、レイノアを見上げる。
そして見つめた。
レイノアは静かに見ていた。
と、ロイドが頭を思いっきり下げた。
「姉ちゃん!ごめん!」
そして、顔を上げた。
レイノアはロイドを、そのまま見ていた。
「俺、姉ちゃんの事を仇とか、許せないとか、大切な姉ちゃんだったのに。忘れないって、約束していたのに、俺……」
ロイドの前に、レイノアが降りる。
彼は眼を瞑り、殴られる覚悟でもあった。
だが、そうはならなかった。
レイノアは、彼を抱きしめた。
彼は固まっていた。
しばらくそうした後、離れた。
「大丈夫だ、ロイド。お前を恨む事は絶対にない。それに私は、お前にまた姉と、大切だった、と言って貰えたから……それで良いよ。」
そう言って、小さく笑った。
そんなレイノアの表情を見た者達が、
「あの、ディセンダーさんが笑った⁉」「あの、無表情の彼女が笑った⁉」
と、口々に言っている。
レイノアは冷たい目で、彼らを見ていた。
だがすぐ傍では、クラトスとロイドまで驚いていた。
確かに、これには自分でも驚きなのだが……
このままでは面倒なので、屋根に戻ろうとした。
が、ロイドに止められた。
「姉ちゃん!俺、思い出した事があるんだ。」
レイノアは、ロイドの言葉を待つ。
「俺、母さんと逃げている時、アイツに助けて貰っているんだ。」
ロイドいうアイツとは、四代目《レオン》だと瞬時に解る。
レイノアは眉を寄せる。
「ロイド、それは間違いないのか?」
クラトスは何か思い当たる事があるのだろう、聞いた。
彼は頷く。
レイノアは、さらに眉を寄せる。
『あの子達も、四代目に助けられていた事があった。改めて思うと、今の四代目は変わったという事か?そう言えば昔、世界樹は四代目が苦しんでいる、救って欲しい、と言っていた。』
レイノアは世界樹を視て、叫んだ。
「答えろ、世界樹!四代目は今、どうなっている‼」
世界樹に眼を向ける。
レイノアの瞳は、世界樹の中まで視ていた。
そこには瘴気が満ち切っていた。
その瞬間、世界樹が保ち続けていた結界が壊れた。
レイノアは膝を付いた。
すぐ傍では、レイも同じようになっている。
パニールが慌てて、やって来た。
「大変よ!ゲーテ君がいきなり苦しみだして‼こっちでも⁉」
その後ろから、アッシュ・リオンに支えられて、こちらに来たゲーテの姿が視える。
こちらも、かなり苦しそうだ。
『……成程。その為にゲーテを外に出し、ディセンダー≪光≫の元に置いて居たのか。それに、奴も考えたな。まさかこの為に、この術式を組んでいたとは。それに……』
世界樹の結界が壊れる瞬間、レイノアはレオンの中も視た。
レイノアは立ち上がり、レイとゲーテに向かい、手をかざす。
二人は光の輪に包まれた。
それは遠くに居る、世界樹にも。
それにより、二人と世界樹は苦しみから解き離れた。
カノンノが、レイを支る。
「レイ、大丈夫?」
「大丈夫。でも、今のは一体……」
「あれは、世界樹が抱え込んでいた負の想念と瘴気の塊だ。世界樹は、今まで我々とのリンクを限界近く切っていたのだろう。それで、我々は気付けなかったのだ。」
レイノアは目を閉じ、
『それに加えて、私が世界樹との対話をしない事も知っていて、これをしたのだろうな。』
レイノアは目をあける。
ゲーテがぐったりしながら、
「俺様は、世界の守り手≪ディセンダー≫じゃない。」
「お前は初代の影響だ。」
レイノアは素っ気なく答える。
ロイドが不安そうに、
「なぁー……姉ちゃんは、大丈夫なのか?」
「問題ない。私には、痛覚は無いからな。」
これは、嘘だ。
レイノア自身の痛みは感じない。
しかし、世界樹の痛みはそうはいかない。
世界の守り手≪ディセンダー≫は、世界樹の痛みをもろに受ける。
彼女ですら、その痛みは一気に来たのだ。
だが彼女は、世界樹・レイ・ゲーテの痛みを自分に置き換えた。
彼らが受ける痛みを、自分に集中させたのだ。
だから二人は、平気でいる。
そうでなければ、大量の負の想念と瘴気に耐えられるはずがない。
ロイドは眉を寄せ、
「姉ちゃん、聞いても良いか。」
レイノアは、ロイドを見る。
「アイツは、何でこの世界を裏切ったんだ。俺、アイツが悪い奴だとは思えないんだ。」
彼らに、教えられる範囲内の事を彼女は答える。
「私が解るのは、四代目《先代》が世界を壊す事を決めたのは、彼の仲間が死んでからだ。」
「その仲間と言うのは……クラトス、貴方も入っているのですか?」
ジェイドが、己の考えをまとめる為に聞いていると判断した。
だからレイノアは、クラトスを横目で見た。
彼の答えを聞いてから、答える為だ。
クラトスは首を振った。
「いや、私がレオンに……彼に協力していたのは、他の仲間と供に世界を回っていた頃だ。私逹が駆け付けた時には、全てが終わっていた。」
「それは――」
続きを言うジェイドを、レイノアが制す。
「クラトス・アウリオンが、彼に手を貸していたのは傭兵仲間と居た頃だ。今はこの船に居るが、彼には他の仲間も居る。四代目は、クラトス・アウリオン達が世界について詳しい事を知っていた。故に、四代目はクラトス・アウリオン達に手を借りに行ったのだ。」
クラトスが、レオンを名で言ったのは無意識だろう。
だが、これ以上は理により、立場が危なくなる。
だからこそ、彼女はクラトスでは無く、監視者として出す事で、彼を守る事が出来る。
「いくら傭兵でも、そこまで詳しいとは思えませんが?」
「否、言い方を変えよう。クラトス・アウリオンの仲間には、世界樹と会話ができる神子が居た。今の時代にはら最早その数は少ない。世界樹とまともに、会話を出来る者はいない。その神子が供に居たから、四代目は彼らに会いに行ったのだ。」
「成程。でも、それではおかしくありませんか?世界の救世主≪ディセンダー≫は、基本記憶を所有していないのでしょう。なのに貴女は、他の記憶を所有している。おそらく、四代目もそうなのでしょう?」
「ああ、そうだ。四代目も、確かに他の世界の守り手≪ディセンダー≫の記憶は持っている。だがそれは、この世界のみの事だ。全部では無い。」
そして彼らを見据えて、
「四代目は、この世界に降り立った日に名を決め、己の意志で世界を救う事を決めた。さらに仲間や恋人もいた。」
「その恋人と仲間を殺されたから、彼は世界を壊わすと?」
「否、それだけでは無いだろうな。四代目は、この世界を大切にしていた。下界人……人間や他の種族が、彼らを異端視したのだ。」
そう言って、精霊・セルシウスを見る。
彼女は固まっていた。
「当時は、安定し始めていたマナが狂い出していた。だから、四代目は精霊を探していたのだ。初代が作った楔を、より強固にする為に。だがそれを、この世界に生きる者達は世界がまた暗黒に染まる、と思い込んだ。特にそう思っていたのは、その当時を知るエルフやハーフエルフ達だ。その強いまでの想いが、彼の大切な物を壊してしまった。」
海に向かって、手をかざす。
翼が広げ、レイノアはあるものを引っ張り出す。
そして、四代目がロイドにしたように、ある映像を流した。
それは彼の大切な仲間を、恋人を失った所だ。
彼は、恋人だろう女性を抱き抱えて、泣いている。
だが、レイノアは眉を寄せた。
「待て、これは……」
この映像には、レイノアも驚愕した。
それは、確信を持てたからだ。
レイノアは黒い影のようなものを視付けた。
「成程……訂正する。四代目は世界ではなく、決められた人物の暗殺。この世界にとって、居てはならない異界人、この事件を起こした当事者達。その目的を元に、世界を変えようとしたのだ。だが、ある者に変えられたようだ。」
レイノアは彼らに振り返る。
自分の分身体≪レイ≫を見据える。
「レディアントを第二解放して、戦闘態勢に入れ。他の者は退避しろ。」
戸惑う彼らに、レイノアは冷たく叫ぶ。
「早くしろ!」
レイはレディアントを解放し、他の者達は甲板の隅に退避した。
「先行は、お前にやる。ハンデとして、私はレディアントを使わない。だが、お前を殺すつもりで行く。仲間を守りたいのならば、私に負けない事だ。」
「でも、何で今なんですか?」
「今だからこそだ、カノンノ・イアハート。この出来損ないが、四代目の足止めを出来るかどうか、のな。それと、ニアタ・モナド。これは、この世界におけるディセンダー≪我々≫の問題だ。お前は、私のする事に手を出すな。」
「うむ、分かった。我々は、見ているだけにしよう。」
剣を抜き、レイノアはレイを見据え、
「掛かって来い。」
レイは剣を突き出して、突進して行く。
それをレイノアも、同じように剣を前にして、受け止める。
その後、二人の剣は凄まじい程の剣技が舞う。
『剣の技術は、上がってきたようだな。……だがこれでは、まだ足りん。』
レイノアの剣や動きは、何所か鈍い。
それは、彼らも気付いているだろう。
だが、それをあえて言う事は無かった。
剣を交えながら、クラトスを見る。
彼は、理解したように頷いた。
剣を弾き、レイノアはレイに言った。
「確かに、剣の技術は上がったようだ。が、これではまだ、お前は出来損ないのままだ。」
そして、カノンノの居る方に手を向ける。
「お前が仲間を守りたいなら、守ってみせろ。……ファイヤーボール。」
レイノアの放った魔術は、カノンノ達の居る方へ向かって行く。
特にカノンノへ、すぐに火の玉が当たりそうだった。
レイは、駆け出した。
「カ、カノンノ―‼」
そして、レイから凄まじい光が出る。
その光が、火の玉を打ち消した。
光が収まった時、レイノアは剣をしまいながら近付いた。
「それが、お前の世界の守り手《ディセンダー》の能力だ。お前の、名の通りのな。これでお前は、仮ディセンダーとなった。さて、これでお前を、四代目の前に連れて行ける。」
「……その前に、何故カノンノ達を狙ったのですか⁉」
レイは初めて、レイノアに意見をまともにぶつけて来た。
初めて会った時は、反発を見せた。
が、自分が分身体だと理解してからは、反発する事が無くなっていた。
レイノアは腰に左手を当て、
「お前の剣技は、確かに初めの頃より良くなっていた。だが、それではただの飾りだ。お前の剣には力が無い。だから彼らを狙う事で、お前自身の意志を確認したかったのだ。」
「……だが、世界の守り手≪ディセンダー≫。もし、世界の守り手≪ディセンダー≫・レイが間に合わなかったら、カノンノ達が怪我をしていたはずだ。そんな危険な事――」
「確かにお前の言う通りだ、ニアタ・モナド。だが、その時はクラトス・アウリオンが止めていた。それに、何人かは私の意図を理解した者達も、いたようだからな。」
監視者としても、経験者としても、クラトスならあの程度の魔術は、容易に止める事が出来る。
現にクラトスは、その動きをしていた。
中には、レイノアの行動に気付き、対処を始めていた者達も居る。
だからこそ、レイノアは全員に向けて魔術を放ったのだ。
カノンノは立ち上がり、
「あ、あの!レイが仮世界の救世主≪ディセンダー≫って、どういう事ですか?」
「カノンノ・イアハート、世界の守り手≪ディセンダー≫には、他の者と違い能力が存在する。無論、他の種族にも、それぞれそう言ったものはあるだろう。さて、そこ分身体が人形だと、私は言ったな。だが、今は人形では無い。今ので、こいつはこいつ自身の想いと意志が生まれた。それにより、こいつは世界の守り手≪ディセンダー≫として、本当の活動できる。身に纏う光は、世界の守り手《ディセンダー≫のモノだが、こいつは纏っているだけだった。」
「それだけじゃダメなの?」
「そうだ。世界の守り手≪ディセンダー≫本来の力は、名を持つ事で力が増大する。だが、それと同時に弱くもなる。本来ディセンダーとは、世界樹より生まれし者を指す。そしてその名は、世界最初の世界の守り手≪ディセンダー≫その者の名だ。故に、世界の守り手≪ディセンダー≫の名は、ディセンダーと言う固有名詞である。だから己として、認識意識が薄いのだ。だからこそ、名が必要であり、必要ないのだ。」
やはりある程度、理解出来た者もいれば、出来ていない者もいる。
レイノアとしては、あまり理解されては困る。
だから考える時間を与えず、続きを話した。
「いい例が、四代目だ。名を持ったが為に、己の存在を、世界の守り手≪ディセンダー≫と言う理で見る事が出来なくなっていった。だが、名があった事で守れるものや、存在を持つ事が出来たのも事実。私は一度しか言わない。お前の名は〝レイ…光〟お前の光の名は、お前自身の光、〝光持ちし者〟よ。」
レイノアはそこまで言って、一呼吸おいた。
真剣な声で言う。
「船長。」
「な、何ですか⁈」
チャットは少し怯えながら、言った。
レイノアは全員を見て、
「今を持って、ギルド・アドリビトムに依頼を申し込む。」
「な、内容次第です!」
レイノアは微かに笑った。
それは冷たい笑みだ。
「私の出す条件は二つ。一つ、四代目の方には、そこの仮世界の守り手≪ディセンダー≫を付ける事。それと同時に、他の者には精霊の元へ、行って貰う。」
「せ、精霊ですか……?」
「そうだ。そこの精霊・セルシウスは知っていると思うが、四代目は精霊を強制的に操る事が出来る。前の時も、それをされたせいで、四代目を打つ事は叶わなかった。故に、お前達は精霊と接触して貰う。だが、限られた精霊のみだ。四大に会いに行って貰う。他の精霊は、構わなくていい。」
そこで、リフィルが少し興奮した様子で、
「何故、四大だけなの?」
「四大は、初代世界の守り手≪ディセンダー≫と直接契約している。故に、四大を敵に回すと、災厄マナのバランスを保つ事が出来なくなるからだ。」
レイノアは視線を逸らし、
『それだけでは無いが……』
だが、視線を彼らに戻し、
「よって、私が四代目の元の居る間は四大の所に居て貰う。」
そう言って、翼を広げた。
そこから数枚の羽根を取り、船長に渡す。
「もし、お前達が四大の所に行った時に、精霊が既に操られた時は、それを使え。逆に、そうでなかった場合は、ある程度の間結界代わりになる。」
レイノアは真剣な目付きになって、二つ目を指示した。
「最後に、レイ≪そいつ≫を裏切らない事。いや、このギルドメンバーを裏切らない事だ。少しでも綻びが生まれれば、そこに魔族は付け入れて来る。」
カノンノが、明るい声で皆に言う。
「それなら大丈夫!私達、ギルド・アドリビトムは固い絆で結ばれているから。……ね、皆!」
全員は、頷いていた。
レイノアは、そんな彼らの姿を優しい笑顔で見ていた。
それこそ、無意識に。
だが、すぐに真剣な顔に戻り、
「この二つが、私からの条件だ。そして私が、お前達に支払う謝礼は……この世界を救うこと。それと、足りない分はお前達の所にくる、依頼を受けよう。」
そこまで言って、船長は頷いた。
と、言っても、そうするほか無かったのだ。
世界を救う事では足りない。
彼女≪レイノア≫としては、その事に関しては頓着が無いという事だ。
ここで断ったら、何をされるか解らない。
そこでクラトスが、チャットに言った。
「船長、私も、彼女の方に付いて行く。もしもの時、あれを止める者が必要だろうからな。」
「そうですね。解りました、お願いします。」
「俺も、姉ちゃんに付いて行く!」「私も、レイの方に付いて行く!」
ロイド・カノンノが互いに声を上げた。
チャットは頷いた。
レイノアは、カノンノに向かって、
「カノンノ・イアハート、付いて来るのは構わないが、ニアタ・モナドを連れて行け。それと、付いて来る以上は教えておこう。こいつがこのように育ったのは、お前達を見てこうなった、と言ったが……それに付け足す。カノンノ・イアハート、こいつはお前を最初に見た。故にこいつは、お前を手順として育った。そして、このアドリビトムで、想いと力を見に付けた。カノンノ・イアハート、こいつにとってお前は、友で、仲間で、親のようなもの。だから最後まで、傍に居てやれ。」
レイノアは最後の一言だけは、カノンノの耳元で言った。
そしてすぐに、ロイドを見て言った。
「ロイド、お前も付いて来るなら、クラトスの傍を離れるな。」
「え?あ、ああ。解った!」
そして彼らは、準備を始めた。
クラトスが一人、レイノアの所に来た。
周りには誰も居ない。
クラトスは、レイノアと同じように海を背に寄り掛かった。
「……何だ、クラトス。ロイドの所に居なくていいのか?いや、愚問だな。」
「レイノア、お前は大丈夫なのか。あの時、何かの術式をレイとゲーテにしていただろう。」
「……大丈夫だ。私に痛覚が無いのは、知っているだろう。いや、クラトスはこれも知っていたな。世界樹の痛みは直接受ける。それはリンクを切っていても、受けると言うのを思い出した。それにゲーテは、初代の半身のようなもの、受けるは当然だ。それに気が付かなかった、私のミスだ。それに、あれもやっと世界の守り手《ディセンダー》として扱える。」
「……だからこそ、レイに戦いを挑んだのか。ではお前は、彼らや世界樹の痛みを変換したのか。」
「流石クラトス、鋭いな。そうだ、世界樹の受けていた傷を、全て私に来るようにした。これにより、あの二人には世界樹の痛みはこない。世界樹にもやって貰いたい事があるから、その部分は除外した。」
「あまり無理はするな。」
そう言って、レイノアの頭を撫でる。
レイノアは、クラトスに向き直った。
「クラトス、私は……アンナに剣を向けた。ジャックの時のようにしたくなった。知っているだろう、魔族の手によって死んだら、魂は穢れたまま暗く、瘴気にまみれた空間でさ迷う事になる。私は今でも、ジャックの魂を探している。でも、一向に見付からないんだ。だからアンナに、レディアントを刺した。でも、魂の浄化は出来ても……命を与える事はでいなかった。私は、アンナを……母さんをあの空間から見付け出せるか、解らなかった。だからこそ、私はあの選択を選んだ。でも幼いロイドは、それを恐怖したのだろう。それに、私自身……受け止めるだけの覚悟も足りなかった、という事だろう。クラトス、私は私として、このギルドに手を貸す。だから私は、四代目の中に居るあいつを何とかする。例え、その結果が何になろうとも……」
レイノアは視線を落とし、
『そしてすまない、クラトス≪父さん≫……。私は、真実を告げていない。』
クラトスが居なくなった後、レイノアは一人、夜が明けるのを待っていた。
深夜に、ニアタがやって来た。
「何のようだ、ニアタ・モナド。」
「うむ。世界の守り手≪ディセンダー≫、其方に初めて会った時を思い出したよ。我らの船の中に入って来た其方は、我らにこの世界における世界樹の回復方法を教えて言った。もしや其方は、こうなる事を最初から解っていたのか?」
「……いいや。だが、この世界は他の世界と違い、初代世界の守り手≪ディセンダー≫がゲーテと言う存在を創った。」
「何故、初代はゲーテを創ったのだ。」
「……それは言えない。言えば、お前はこの世界の理に縛られる。それはお前も、望んではいないだろう。お前の世界の理は、パスカに対するもののみだ。だが、一つだけ教えやる。」
レイノアは星を見たまま、独り言のように言った。
「この世界の初代世界の守り手《ディセンダー》は、魔族王と契約をした。そして初代は、この世界の柱となっている。その為に、ゲーテが必要だったのだ。」
「魔族王と契約をしたのか。我々も、魔族の存在はあまり詳しくは知らんが……そうか。」
「話は終わりだ。さっさと去れ。」
ニアタをすぐに去るように言うのは、理に触れさせない為だ。
ニアタが居なくなり、レイノアは思い出に浸っていた。