テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
ある昼下がり、クラトスはいつものように、レイノアと過ごしていた。
食事を取り、本を読んでの勉強、そして剣術の稽古。
ここ最近、レイノアは本を読み終えると、空を眺めていた。
そして今日は珍しく、空を見ながらクラトスに聞いた。
「ねぇー、父さん≪クラトス≫……」
実は、彼女に“父さん”と呼ばれるのに、今だクラトスは戸惑っていた。
だが、彼女を見て、
「何だ?」
「……何で魔族が来るだけで、空がこんなにも暗いんだ?それとも、空と言うのは元々こう言うものなのか?」
クラトスは隣に座り、腕を組んで同じように空を見た。
空は瘴気のせいで薄暗い。
「……お前が生まれる前は、色々な空の色があった。青にオレンジ、赤……今では見られなくなってしまったが、星も見れた。」
そう言って、クラトスはレイノアを見る。
と、彼女は空の中でも、“星空”に興味を持ったようだった。
クラトスはまた空を眺めた。
しばらくそうしていると、彼女が何かの気配を感じ取ったのだろう、辺りを気にし始めた。
クラトスは辺りを警戒しつつ、私が声を掛けようとする。
が、その前にレイノアはある精霊の名を発した。
「精霊……オリジン……」
クラトスはその名を聞き、胃が痛くなる。
彼は一つため息を付いてから、立ち上がった。
レイノアも真似をするように、立ち上がる。
自分にも、宙に浮き、四本の腕を持った精霊・オリジンが実体化したのを見た。
『相変わらず、私の事が……いや、私のような存在が嫌いなのだろう。』
クラトスはそう思い、精霊・オリジンの様子をみる。
精霊・オリジンは、あきらさまに蔑みの目を自分に向けて来る。
レイノアが何かを感じ取ったかのように、精霊・オリジンに警戒心を抱いていた。
精霊・オリジンはレイノアを見下ろし、冷たい声で言った。
「貴様が新しい世界の守り手≪ディセンダー≫か……。うむ、こんなんであれに勝てるのか。」
「仕方ないのではないか。世界樹自身も相当危なかった、とマーテルが言っていた。そんな中で生まれたのだ。多少、幼くても……中身はしっかりしている子だ。」
「そんな事は知っている。むしろ、そうでなくては困る。それにしても、あのハーフエルフの女はそこまで解るようになったか。あいつも喜ぶだろう。何より、あいつに掛かる負荷が減るだろうしな。」
「そうかもしれんな……。あの子は今も、人柱のままだからな。」
そこで無言が訪れた。
クラトスは初代世界の守り手≪ディセンダー≫の事を思い出していた。
悲しみや後悔、色々な感情が出て来た。
静寂だった所に、レイノアが声が飛ぶ。
「…クラトス≪父さん≫、大丈夫か?」
クラトスは苦笑した。
そんなにも今の自分は、表情に出ていたか、と。
彼女は心配そうに、自分の顔を見て来る。
その心配そうな表情の彼女の頭を撫でる。
『まさか心配される程、だったのだろうか……。この子にも、ちゃんと感情が出てきてくれているようで良かった。……だが、おそらくオリジンからは冷たい一言があるだろう。』
そんなクラトスのの予想は当たった。
彼の睨みが増し、
「……父さん?何を下界人のように遊んでいる。お前はあれを、貴様の前の世界の守り手≪ディセンダー≫を殺す為だけに居るんだぞ。」
しかも、精霊・オリジンの言葉は彼女にまだ教えていない事だった。
だから、クラトスは固まった。
『別に遊んでいる訳では無いが、この子はもしかしたらそう思っていたかもしれんな。しかし、この子には前の世界の守り手≪ディセンダー≫の事は話していないのだが……。これから、この子がする事も。レイノアは大丈夫だろうか、前の世界の守り手≪ディセンダー≫を殺す為だけに、創られた……と言われたのだ。相当参っているだろう。』
しかし、彼の予想とは違った答えが、彼女から出る。
彼女は怒りながら、精霊・オリジンに言ったのだ。
「別に、お前には関係ない事だろう。口を挟むな。」
「……貴様に無くても、こちらにとっては世界が掛っている。貴様が、もし世界を救わなければ意味がない。そこの下界人……いや、監視者の為に世界を救う事を辞めれば、これまたこの世界は終わりだ。こちらとしても、新しい世界の守り手≪ディセンダー≫を待っている時間は、もう無いのだからな。」
精霊・オリジンの雰囲気はとても冷たい殺気を纏っている。
クラトスはため息と共に、さらに胃が痛くなっていた。
『確かに、私一人のせいでレイノアが世界を救う事を放棄してしまえば、この世界は終わる。初代世界の守り手≪ディセンダー≫のしたこと全てが無駄になる。オリジンとしては、そこが気に入らないのだろう。レイノアは巻き込まれたに過ぎない……。レイノアも、流石にもう泣くかもしれんな。』
などと考えていたのだが、これまた違った。
彼女は予想を遥かに超えた言葉を、精霊・オリジンを指さしながら言った。
「私の事は、別にどう言おうと構わない。が、クラトス≪父さん≫の事を侮辱するのは許さない!」
クラトスは驚いた。
まさかレイノア自身のことで怒っているのではなく、自分の事で怒っていることに。
自分は嬉しいのか、突っ込んだ方が良いのか、迷った。
何より、それもあるが、彼女が精霊・オリジンに文句を言った。
それはそれで、彼女の想いがそれだけ強いのだ。
しかし、それと同時に魔族が入って来たのだ。
これには、精霊・オリジンも魔族に目線を送っている。
そして戦闘態勢に入ろうとしている。
つまり、レイノアを完全に無視をしているのだ。
魔族がこちらを……いや、レイノアを見て言った。
「あの方の言った通り、世界樹が新たな世界の守り手≪ディセンダー≫を生み出していたか……。それを、こちらに渡して貰おうか。」
クラトスは剣を抜きながら、レイノアを隠すように前へ出る。
『やはり、レイノアを狙って来たか!』
だが、当の本人は怒りながら、クラトスの前へ出て来た。
彼は、レイノアを止めようとする。
しかし、彼女の腕を引っ張るより早く、彼女の怒りの声が魔族に放たれる。
「今は、オリジンに文句を言っている最中だ!後にしろ‼」
その言葉に、流石の魔族も、一瞬動きが止まった。
が、再びこちらに向かって来る。
精霊・オリジンも、本格的に臨戦態勢に入る。
クラトスは再び、レイノアを背に隠そうとする。
が、その前にレイノアが魔術を放った。
「レイ!ホーリーランス!光の裁き……ジャッジメント‼」
最初に〝レイ〟で魔族の動きを止め、〝ホーリーランス〟で無数の光の槍が魔族を貫く。
とどめに、〝ジャッジメント〟で魔族を消滅させにかかる。
しかし、まだ威力が弱いのだろう。
魔族は倒れ伏せていた。
しかしながら、魔族を完膚なきまでに痛めつけたレイノア。
彼女はどうやら、まだ精霊・オリジンへの怒りが収まっていないようだった。
『……どうやら、魔術を使えるようだな。上級魔術だけは、初代のように詠唱破棄出来ないようだが……まさか、ここまで完膚なきまでにやるとは……』
クラトスはある種、彼女の将来が心配になった。
そしてレイノアは、精霊・オリジンに向かい合って、また指さして言った。
「オリジン!クラトス≪父さん≫を侮辱した事は許さない!次、クラトス≪父さん≫を侮辱したら……貴様を叩き潰す‼」
精霊・オリジンは臨戦態勢を解いて、レイノアを見た。
クラトスもまた、彼女の眼を見た。
彼女は本気だ。
クラトスは内心で、もう諦めていた。
精霊・オリジンが、追い打ちを掛けるように冷たく言う。
「‥‥‥そいつが、監視役として居ても、か?」
それは、ある意味言われたくない言葉を精霊・オリジンに言われた。
レイノアが、こちらを見上げてきた。
少女は言葉を掛けようとしているのが分かる。
が、何と言って良いのか、分からないと言う感じだった。
クラトスは精霊・オリジンに、これ以上彼女の気持ちを傷つかない為にも、声を振り絞って言った。
「オリジン……私が居る事で、この子の邪魔になるのであれば、私以外の者に代わって貰う。だから、この子をあまり責めないでやって欲しい。」
「当たり前だ。だが、監視者でも、お前らでは駄目だろう。そうなれば精霊……四大ではあいつの例があるから駄目だな。」
クラトスは、マーテルなら大丈夫だろうと思った。
仮に、他の精霊が来てもマーテルなら追い出される事は無い、と思っているからだ。
と、レイノアが俯いているのが見える。
『流石に、もう怒る気力も無いのだろう……』
クラトスはそう思った。
だが、レイノアの怒鳴り声が響いた。
「……ふざけるなよ、オリジン!父さん≪クラトス≫以外の者が、私の監視役にしたら……私は世界を救う事を辞める‼」
「では、どうするつもりだ。貴様は、あれと共に世界を壊す気か‥。」
クラトスは冷汗をかきながら、レイノアの言葉を待つ。
彼女はキッと精霊・オリジンを睨み付け、
「……なら、世界を救ってやる!私が世界を救えば良いのだろう。これ以上、父さん≪クラトス≫に文句を言うな!解ったら、さっさと帰れ!ああ、そうだ!あれも持って帰れよ、貴様が連れて来たようなものだからな!」
彼女の答えは一応、安心できるものだった。
そして、彼女は魔族を精霊・オリジンに押し付ける。
しかも、アッカンベーと精霊・オリジンにしていた。
精霊・オリジンは魔族の残骸を持って、この場を離れて言った。
帰り際にも精霊・オリジンは文句を沢山述べて言った。
この精霊・オリジンとの一件で、レイノアは精霊が嫌いになったようだった。
精霊の話が出る度に、レイノアは露骨に嫌な顔をしている。
クラトスの不安はさらに大きくなっていくのであった……