テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
ディセンダーは初めて訪れた町に、興味津々だった。
彼は辺りを見渡していた。
ミトスが呆れたように、
「ディセンダー……初めてなのは解るけど、ちょっとは落ち着きなよ。」
ディセンダーは少し照れながら、「そうだね」と言って落ち着いた。
でも、やっぱり気になる。
チラチラ、あっちこっち見ていた。
ユアンは、そんなディセンダーに声を掛けた。
「……仕方がない。ディセンダー、私は買い物をする。付いて来るか?」
ディセンダーは、笑顔で頷いた。
よっぽど嬉しかったのだろう、ミトスを誘っていた。
クラトスは目でユアンと合図を取った後、
「では、私は宿の手配をしてこよう。」
クラトスが言うと、マーテルもそちらに付いて行った。
そのせいか、ユアンは少しがっかりしたようだ。
ノイッシュも、クラトスに付いて行った。
彼等は分かれて行動を始めた。
ディセンダーは、ミトスやユアンに疑問めいた事を言った。
「それにしても、町の雰囲気は町へ行く人に聞いていた通りだなぁ……。人も大勢居るし、家も多い、何より店が多い!僕、初めて本格的なお店を見たよ。」
そういうと、ユアンが腕を組みながら、疑問を言った。
「それでは、今までどうやって、物を手に入れていたのだ?」
ディセンダーは「うーん」と唸ってから、質問に答えた。
「確かに、店に近い物はあったけど……村では基本、畑や家畜を育てていたし。それに、それぞれの家の代表者や警護の人が、村で育てたものを売って、お金を入手したり、買い物をしたりして……。お遣いをした事もあるけど、僕はお手伝いをして、分けて貰ったりしていたから、基本は困る事は無かったよ。」
ユアンは「よくそれで、やっていけたな。」と、感心した。
買い物も一通り終わり、クラトスやマーテルと合流する為、宿屋がある方へ向かった。
その途中で、もの凄い怒鳴り声が聞こえてきた。
そこに寄ってみると、家族らしい人獣がいた。
町の人々は、その家族に石を投げたりしていたのだ。
ディセンダーはたまらず、彼等を庇うように前に出た。
そして、彼等を怒鳴り付けた。
「何をしているんですか⁉……彼等が、何か悪い事でもしたんですか?」
すると人々が、蔑みに満ちた目で怒声を浴びせて来た。
「そいつ等は、化け物だ‼リカンツなんか、町から出ていけ‼」
ディセンダーは、理解出来なかった。
自分の村は、多種族構成であった。
だが、ここまで忌み嫌われている所は見た事が無かった。
村の人達が町に行っては怪我をして帰って来ていた時があった。
もしかしたら、こんな感じだったのかもしれないと思うと、やるせなかった。
「彼等は化け物なんかじゃない!悪い事も何もしてないのに、レイモーンの民を嫌う意味が解らない!貴方達には、それでも心はあるんですか!」
すると人々はなおも怒りながら、いや恐怖しながら、言った。
「そうか……貴様も、こいつらと同じ化け物の仲間だな!こいつ、人間にしては髪も瞳の色もおかしいぞ!」
そう言って、ディセンダーにも石を投げてくる。
彼は、後ろに居る彼等に当たらないように体を動かす。
ユアン達が傍に寄ろうとしたと同時に、ディセンダーの頭に石が当たる。
彼の頭から血を流れた。
その瞬間、突風が吹く。
人々が目を瞑る。
突風が止んだ時には、誰も居なくなっていた。
人々が唖然としていると、今度はいきなり大量の水が落ちてきた。
そこに居た人達はびしょ濡れになり、余計訳が解らなかった。
あの場から退散したディセンダー達。
ユアンは、ディセンダーの頭の手当てをしていた。
すると、横から悲しそうな声が聞こえた。
「ごめんなさいね……。私達を助けたばかりに、貴方に怪我をさせてしまったわ。」
声の主は、レイモーンの民の母親だった。
すぐ傍には、兄妹なのだろう子供達が母親にしがみ付いていた。
ディセンダーは、子供達を見た。
まだ半獣人化しているので、制御が出来ていないのだろう。
ディセンダーは小さく首を振る。
「これくらい大丈夫。貴方方は、怪我はありませんでしたか?」
すると、兄の方の子供が母親にしがみ付いたまま、怒って来た。
「大体、どうして僕達を助けたんだよ……お前は人間だろ!助けても、良い事なんて無いのに……。それによく見たら、そいつらハーフエルフだし、お前は変な奴だよな。」
最後の方は、悲しそうに聞こえた。
ディセンダーは苦笑したが、優しく彼に言った。
「僕はただ、理由も無しに暴力を振るったり、差別されたりするのが許せなかっただけだよ。僕の生まれ育った村は、多種族構成だったから。それに僕は、君達と同じレイモーンの民を見て育った事もあるし。」
と、真顔で言った。
すると男の子は、呆れたように、
「お前って、バカだな……。でも、助けてくれてありがとう。」
ディセンダーは「えー」という顔をしていた。
隣では、ミトスがお腹を抑えて笑っている。
ユアンも、苦笑いで見ていた。
でも、ユアンは知っている。
男の子から、お礼を言われた時のディセンダーの顔は、とても嬉しそうだった。
それから親子と別れ、クラトス達と合流した。
クラトスとマーテルに、市場の事を話した。
それを聞いてマーテルは、急いでディセンダーの傷の手当てを始める。
クラトス達が今後の話をしていると、精霊・ウンディーネと精霊・シルフが姿を現れた。
精霊・シルフはユアンを見て、怒りっぽく言った。
「……ディセンダー≪あの子≫は、どこ?」
ユアンは、奥の部屋を指さした。
精霊・シルフは、奥の部屋へと入って行った。
それから、残っていた精霊・ウンディーネに、ユアンは感謝を述べた。
「先程は助かった。おかげで、あの場から逃れられた。」
精霊・ウンディーネは、笑顔でユアンに言った。
「当然です。あの子が怪我をしたのですから。本来なら我々は、あの場に居た者共を八つ裂きにしたかったのですが……あの子が後で気にしてしまうので、突風と大量の水圧で、良いにしてきました。」
それを聞いた三人は、内心本気で思った。
『『『本当に、死人が出なくて良かった……』』』
次の日、町を出おうと歩いていた。
そしたらディセンダーの足に、小さな子供が抱き付いて来た。
その小さな子供が泣きながら、
「お願い‼……お母さんと、お兄ちゃんを助けて‼」
歩くのを止め、その子を見る。
と、半獣人化した女の子だった。
ディセンダーはその子と視線を合わせえる。
その子を見て、
「君は……昨日の子だよね。まずは何があったのか、教えてくれる?」
女の子は泣きそうな顔で、ディセンダーに必死に訴えた。
「お母さん達、剣を持った鎧の人間達に捕まっちゃったの。それで、どこかに連れて行かれちゃった……」
と、言って泣き出した。
ディセンダーは、クラトス達を見た。
クラトスは少し考え、
「おそらく、帝国騎士の者だ。鎧を付けているという事は、地方の役所付だろう。……異種族を捕まえに、来たのだろうな。今やこの国は、人間以外の者を良しとしていないからな。」
ディセンダーは再び女の子をなだめながら、優しく聞いた。
「お母さん達は、どこで捕まったの?」
女の子は辺りを見渡し、「解らない」と、また泣き出してしまった。
ユアンは腕を組みながら、難しそうに言った。
「場所が解らないと、救いようがないぞ。」
考えていたディセンダーは、女の子を見て「大丈夫」と言った。
そして、女の子におでこを当てた。
しばらくそうした後、今度は地面に手を当てて、目を閉じる。
ユアンが声を掛けようとした瞬間、ディセンダーが先に叫んだ。
「……見つけた!こっちだ‼」
と、走り出して行った。
クラトス達も彼を追いかける。
ユアンは女の子を抱っこして、その後を追った。
広場に着くと、大勢の騎士が集まっていた。
そして何かを囲んでいた。
そして中央には、レイモーンの民の親子の他に、エルフやハーフエルフの姿が見えた。
クラトスはユアン達を下がらせると、町人に聞いた。
「彼等は、何の重罪を犯したのだ。」
村人はこちらを振り向かず、自分と姿が違う異種族をおぞましい者を見るような目で答えた。
「ああ。この村に入った事が、重罪だよ。」
「……彼等はどうなる。」
「簡単さ。帝都に連行され、尋問されるか、殺されるか、さ。」
その町人は「当然だ」という顔で答えた。
クラトスは、このままではユアン達も危ないと思い、ここを離れさせようと合図を送った。
ユアンはそれを悟り、離れようとした。
だがその瞬間、女の子が大声で「お母さん‼」と叫んでしまった。
町人の一人が、目を見開いて叫んだ。
「ここにも、化け物がいるぞ‼」
それを聞いた騎士達数人が、近寄って来る。
そして、ユアン達を囲む。
ディセンダーは、クラトスの顔を見る。
クラトスの顔はどうするか、と言う顔だった。
その瞬間にも、ユアン達が連れて行かれる。
ディセンダーは、ガマンができなくなった。
騎士達の前に飛び出した。
クラトスは、ひとまず彼に対する騎士の様子を見る事にした。
「騎士様、教えて下さい。何故、彼等は咎人でもないのに、檻車に入れられるのですか?」
騎士の一人がディセンダーを見て、一瞬悩んだようだ。
が、「面倒だ」と言うように言った。
「少年よ……彼等は、我らの国に居る事自体が罪なのだ。あの者達は、我々と違う化け物だ。君もさぞ、あの化け物が恐ろしいだろう。君も、その姿だ、苦労したのだろう。」
ディセンダーはその言葉に目を見張り、拳を握りしめて怒り出す。
「……恐ろしい?僕は、そんなこと思った事はない!彼等は、人間と少し構造が違うだけだ‼貴方達は、自国の無害な民を……傷付けているだけだ‼貴方達は、それでも本当に騎士ですか‼僕は、こんなこと許さない!……僕は、彼等を……そして、僕の仲間を返して貰う!」
それを聞いた、騎士達は激怒し、剣を抜いて来た。
クラトスが、ディセンダーの横に立ち、共に剣を抜いた。
騎士達が、切り掛かる。
その間にも、ユアン達は連れて行かれる。
ディセンダーは応戦しながら、大声で叫んだ。
「シルフ、ウンディーネ!力を貸して!」
すると、騎士達はいきなり現れた精霊に驚愕していた。
だが、騎士達はすぐに襲い掛かる。
精霊・シルフが、ディセンダーに叫んだ。
「時間は私達が稼いであげる。今の内に助けなさい!」
ディセンダーは頷き、クラトスと共に、まずユアン達を助けた。
それから、他の者達を助けに入った。
彼等を救い出し、町の入り口まで急いで逃げる。
そして、騎士達を振り切り、森の中に入った。
彼等の治療を終え、レイモーンの家族以外の者達と別れた。
クラトスは、周りの者に気付かれないよう「ここなら大丈夫」と、合図を送るように頷いた。
ディセンダーは、精霊達を呼び戻した。
その数分後、彼等は姿を現らわした。
ディセンダーは苦笑いで、彼等にお礼を述べた。
「さっきはごめんね、でも助かったよ……ありがとう。」
精霊達は、嬉しそうに頷いた。
すると最後の治療を終えた男の子が、興味深く言った。
「そいつ等の耳尖っているけど……エルフ?それとも、ハーフエルフ?」
精霊・シルフは宙に浮いたまま、男の子に近付き、怒った顔で言った。
「ちょっと!私達をあんな奴らと、一緒にしないでくれる。私達は精霊よ、精霊!全く、これだから下界人共は。」
と、文句をブツブツ言いだし始めた。
男の子は「精霊?」と首を掲げた。
その疑問には、ディセンダーが優しく、分かりやすく答えた。
「精霊は、君達とは違って、各場所の祠や遺跡に居る者達だよ。その土地のマナを守ってくれたり、管理してくれたりしてくれているんだ。」
「へぇー、じゃあ、凄いんだ‼」
と、男の子は目を輝けせながら、言った。
精霊・シルフは、「当然!」という顔をしている。
それから歩き始め、森の分かれ道で彼等と別れた。
ディセンダー達は砂漠に向かって、歩き出す。
ユアンは、先程疑問に思っていた事を、ディセンダーに向かって言った。
「そう言えばディセンダー、あの子の家族が広場に居ると解ったのは、やっぱりあの行動か?どうやったのだ。」
精霊達は、ユアンを物凄い目で射抜いた。
が、ディセンダーはそれに気付かずに答えた。
「えっと、あれは何と言うか……世界の守り手≪ディセンダー≫特有の能力で……」
「ディセンダー特有の能力?」
「うーん……えーっと……そうそう‼親子とか、家族というのは、波動が一緒なんですよ。だからそれをたどれれば、後は地脈を辿れば解るんですよ!」
「そ、それは――」
「ゴホン!」
ユアンは、更に深く追求しようとした。
が、精霊達の殺気に負け「そ、そうか」と小さく言った。
森の出口近くで、今日は休む事にした。
火の番を、ディセンダーが名乗り出た。
皆が眠ると、精霊・ウンディーネが静かに言った。
「それにしても、エント≪ディセンダー≫。先程は、ヒヤッとしましたよ。貴方が、彼等に全て話すのではないかと。」
世界の守り手≪ディセンダー≫……いや、エントとして、彼等に苦笑交じりな顔で答えた。
「ご、ごめん……。でも、流石に僕も、師匠≪せんせい≫にすら全部教えていない事を……ううん、彼等には知らなくても良い事を言う訳にはいかないよ。それにあれは、僕もさっき出来るようになったから……。もしかして、君達の知る世界の守り手≪ディセンダー≫はあの辺のこと得意だった?」
精霊・ウンディーネは思い出すように言った。
「私の知る世界の守り手≪ディセンダー≫は得意でした。視ただけで、その者の記憶まで読んでしまう程……それ故、あの子はよく、物探しとかもしていましたね。」
「それは凄いね。」
エントはそう言って、精霊・シルフを見た。
精霊・シルフは彼に背を向け、
「忘れたわ。そんなこと……」
と、その背は哀しそうだった。
エントは小さく笑い、それから空を見ていた。
三人で、夜が明けるのを待つのだった。