テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
彼等は話し合った末、世界樹の元に行く前に帝都に向かう事にした。
クラトスの話では王は病に伏しているが、その娘である姫が国を支えているらしい。
その姫ならば、この戦争を何とかしてくれるかもしれないとの事だ。
なので、帝都に向かう為に砂漠越えをしていた。
そんな彼等は、砂漠のど真ん中にいた。
ミトスが汗だくで、辛そうに言った。
「それにしても、暑すぎだよ……。シルフとウンディーネが守ってくれていなかったら、確実に干からびいてたよ。」
ユアンは腕を組んで、こちらも汗だくだ。
「そうだな……私も、ここまでとは思っていなかった。ディセンダー、君は初めてだが大丈夫か?」
ディセンダーも、汗を拭いながら明るく言った。
「僕は大丈夫です。それにしても、砂漠は他の地面と違って、やっぱり歩き辛いんだね。確か、砂漠ではサボテンかオアシスで水を確保して、戦う時も足場が不安定だから、重心がずれないようにしないといけないんだよなー……」
と、話したディセンダーに、ユアンは意外そうに言った。
「初めて来たのに、詳しいのだな。誰か、砂漠越えした人がいたのか?」
ディセンダーは急に焦り出した。
精霊・シルフに関しては、「まずい」という顔をもろに出している。
ディセンダーがあきらさまに挙動不審で、
「あー……えーと……その……」
と、言葉に詰まっている。
それを精霊・ウンディーネが平然とした顔で、ディセンダーの代わりに答えた。
「本で読んでいたのです。それに詳しいのは、我々も教育していたからです。」
ディセンダーと精霊・シルフは息を合わせて、頷き合っている。
ディセンダーはユアンにから笑いで、
「そ、そうなんですよ‼あははははは!」
と、笑っている。
ユアン達は不思議そうな顔をした。
クラトスだけは無言でそれを聞いていたが、おもむろに口を開いた。
「……しかし、以前はこんなに暑くはなかった。これも、マナの枯渇によるものなのか。」
その問いに、ディセンダーが辺りを見渡し、
「これは……負が何処かに集まっている。それにマナが圧縮して、異常なまでの濃密になっていますね。もしかしたら、イフリートがこれをしているのかもしれない……」
と、彼は複雑そうな顔で、精霊・ウンディーネを見る。
「うーん……ねぇー、ウンディーネ。これは直接、イフリートに聞いた方が早いかな?」
「……その方が早いですが、おそらく無理でしょうね。」
精霊・ウンディーネは頬に手を当て、ため息を吐きながら静かに言った。
ディセンダーは苦笑いをしていた。
ミトスが、不思議そうに聞いた。
「なぜ、ダメなの…?」
ディセンダーは「うーん」と唸ってから、複雑そうに答えた。
「村での事で、かなり怒らせたからなぁー……。多分、今呼び出せても、ここが火の海になるかも。この暑さで、そんな事になったら……僕たち干からびちゃうよ。」
と、精霊達も頷いている。
それを見る限り、おそらく本当の事なのだろう。
ミトスはさらに、彼にある疑問をぶつけた。
「……と言うか、ディセンダー詳しいね。案外、全部の精霊と契約していたりして。」
「直接契約したのは四大だけだよ。後は呼び出したり、話したりするけど、それも前の世界の世界の守り手≪ディセンダー≫がそういう能力だったからだと思うけど……」
「エント≪ディセンダー≫‼」
話の途中で、精霊・ウンディーネが大きな声で怒鳴った。
ディセンダー≪世界の救世主≫はビクッと一度震え、小さい声で「ごめん」と俯いた。
クラトス以外は、よくは解っていなかった。
が、追及しようものなら、精霊に八つ裂きにされそうな雰囲気をかもし出している。
しばらく黙って歩いていた。
だが、辺りが暗くなり始めた。
本格的に暗くなる前に、野営の準備を始める。
辺りが少し暗くなり、夕飯を作り出すユアンさんを手伝おうとするマーテルさん。
そのマーテルさんを、ミトスは困らせて引き留めている。
ディセンダーはそんな様子を見てから、そっとテントから少し離れた場所に向かった。
クラトスは誰かの鼻歌が聞こえたので、そこに近寄ってみる。
と、それはディセンダーだった。
声を掛けようとして、精霊・シルフに止められる。
精霊・シルフがこちらにやって来て、静かに、それでいて悲しく言った。
「……あれ、エミリィがよく、ディセンダー≪エント≫に聞かせていたわ。エミリィが死んでからは、時々思い出しながら、ああやって歌っているのよ。」
クラトスは「そうか」と、精霊・シルフに言った。
それにしても、幼い頃から彼の側に居たと言う四大。
その彼らに、クラトスがディセンダー≪エント≫に名前を付けた時、四大に(特に精霊・ウンディーネと精霊・イフリート)は怒っていた。
のだが、意外と名前を使っているので、クラトスは聞いてみる事にした。
「私が付けた名前、嫌がっていたわりには使っているのだな。」
精霊・シルフは腰に手をあてて、拗ねたように、
「仕方ないじゃない!あの子が嬉しそうに話すし……。なにより、笑顔で〝そう呼んで〟って言われたら、呼ばない訳にはいかないでしょう。」
クラトスはとことん思った。
『本当に、この精霊達はあいつに弱いな……』
幼い頃に見た彼らとのやり取りを、少しだけ見た時のことを思い出したクラトス。
だが、ディセンダー≪エント≫が鼻歌を止め、暗闇始めた場所を見ていた。
クラトスと精霊・シルフも、そこを見る。
と、一匹の猫のような、犬みたいな魔物が出て来た。
その犬猫のような魔物が、ディセンダー≪エント≫の前に座り、頭を一回下げてから話し始めた。
「初めまして、世界の守り手≪ディセンダー≫様。私、〝精霊・ラタトスク〟様に仕えている〝闇のセンチュリオン・テネブラエ〟と申します。ラタトスク様より、言付けを預かっています。」
ディセンダーは、センチュリオン・テネブラエに笑い掛けながら、
「初めまして。センチュリオンの事は、ラタトスクから聞いた事があるよ。じゃあ、やっぱり村を出た時に僕を視ていた魔物……あれはラタトスクの指示かぁー。ごめん、無視しちゃった。悪いけど、帰ったら謝っといて。で、ラタトスクは何って?」
「ゴホン。では……〝お人好しの世界の守り手≪ディセンダー≫、あの村から出たという事は、人間ゴッコは辞めたのか?で、村の外に出た感想も聞きたい所だが、外に出て気付いただろう。……マナが枯渇し、さぞ生きにくいだろう。これはお前が、世界樹を裏切り続けた代償だ。無論、それもな。クハハハハハ。〟と。」
ディセンダーは表情を固まっていた。
対して、精霊・ウンディーネは恐ろしい程の殺気を出している。
遠く離れていた為、クラトスには聞こえないが、精霊・シルフは聞こえていたらしく「ムキー‼あの俺様めー‼」と怒っていた。
ディセンダーは無意識に、
「僕は人間だ……」
と呟いた。
だが、センチュリオン・テネブラエは表情を変えず、
「いいえ、世界の守り手≪ディセンダー≫様。貴方様は、姿こそ人間でも、中身は人ではありません。貴方様は、ディセンダー≪世界の守り手≫なのだから。」
精霊・ウンディーネはその言葉に怒鳴ろうとして、ディセンダーに止められた。
ディセンダーは低い声で俯いたまま、センチュリオン・テネブラエに言った。
「……そうだね、今はそうしておく。ラタトスクに、これも伝えておいてくれるかな。……“今度身勝手に、ダオスに魔物を操らせたら、魔物を一掃してしまうかもしれないから注意しておくように”と……」
そのいつもと違う世界の守り手≪ディセンダー≫の姿に、精霊・ウンディーネは息を飲んだ。
遠くで、精霊・シルフも目を見開いている。
センチュリオン・テネブラエも、一瞬ビクッと動いたが、平静を取り戻した顔で静かに答えた。
「……解りました、伝えておきます。では、私はラタトスク様の所へ帰ります。」
立ち上がるセンチュリオン・テネブラエに、いつもの世界の守り手≪ディセンダー≫が止めた。
「あ!ちょっと待って。君は、今この砂漠で起きているマナの事について、何か知っている?それに、この砂漠に入ってから一度も、魔物に遭遇していないんだ。」
センチュリオン・テネブラエは振り返り、辺りを少し探ってから首を振った。
「……私にも、これは解りません。しかし、魔物達の気配がしないのは確かにおかしい。帰ったら、ラタトスク様にも聞いてみましょう。」
「そう……じゃあ、そうしてくれる。後、これはラタトスクの質問の答えだけど……“村を出て、僕自身新しい経験を体験しているよ。でもそれ以上に、下界に住む者達の感情は、やっぱりどこも同じだ”と……。これも、言っておいてくれるかな、お願いね。」
僕は苦笑いで、そう言った。
センチュリオン・テネブラエは、ひとつ頷いてから、闇の中に消えた。
ディセンダーは立ち上がり、歩き出す。
彼は精霊・シルフと共にいるクラトスを見つけた。
そのまま、クラトスの方へ歩いて行く。
ディセンダーは苦笑いで、彼に言った。
「……師匠≪せんせい≫、もしかして夕飯出来ました?でも良かった。もし、今のミトス達に見られていたら、危なかった。」
クラトスは腕を組み、こちらも苦笑しながら、
「……ミトス達には教えないつもりか?……まぁ、それでも良いが、自分から暴露していたら自ずとばれるぞ。」
「そ、それには、気を付けます。さっきも、ウンディーネにこっ酷く叱られましたし……」
と、子供のようにうなだれた。
二人と精霊は、テントに戻った。
その後、夕飯を食べ終わる。
ノイッシュの背に、ミトスと共に眠るディセンダーを起こさないように、クラトス達は静かに話し始めた。
「おそらく明日も、あの気温の中を歩くとすると……この砂漠越えに、後二・三日掛かるだろう。」
ユアンはクラトスの言葉に頷き、厳しい口調で言った。
「……そう、なるだろうな。しかし、そうなると厄介だな。あの日差しでは、水や食料が持たんだろう。」
マーテルも、頬に手を当て、ため息を着きながら言った。
「……そうね。さいやく、水は何とかしないと。」
すると、彼等の会話を聞いていた精霊・シルフが、のんきな声で言った。
「あんた達下界人は、こういう時大変よねー。その点、私達は大丈夫ね。さいやくの場合は、ディセンダー≪あの子≫が、何とかしてくれるもの。」
精霊・ウンディーネも、その言葉に頷いて、おもむろに答えた。
「確かに、世界の守り手≪ディセンダー≫が生まれてから、下界人の暮らしを見て来ましたけど……我々は本来、マナが大気にあれば、食べなくても生きていけますからね。」
その言葉に、三人は驚いた。
ユアンはたまらず、大声で叫んだ。
「精霊も、食事をするのか⁉」
精霊・シルフは怒りながら、ユアンに怒鳴った。
「ちょっと、静かにしなさいよ!ディセンダー≪あの子≫が起きちゃうでしょ!折角、寝ているのに‼」
精霊・ウンディーネはにっこり笑いながら、精霊・シルフに向かって言った。
「……貴方もですよ、シルフ。まぁー話を戻せば、基本、精霊は食事はしません。私達の周りにマナさえあれば、存在出来ますから。そもそも、食事は最初の頃だけですよ。……あの子が、一人暮らしをしていた時に味見と言うものを手伝っていただけですから。」
三人は内心で、やはり思う。
『『あの子、関わりか……』』『あの子、関わりね……』
ついでなので、マーテルも、自分の疑問を精霊に言い出してみた。
「……そう言えば、よく精霊の皆さんは〝下界人〟と言っていますが……それは私達の事でしょうか?」
精霊・シルフが腕を組んで、その問いに答えた。
「そうよ。私達から見たら、世界樹の聖域の外で暮らす人間とか、エルフとかの生き物に対して言うわね。」
クラトスはふと、ダオスを思い出したので、それも聞いてみた。
「あのダオスという者は、世界樹の聖域の中に居る者という事か?」
「それには、お答え出来ません。ただ言えるのは、我々は“あれ”が嫌いという事です。」
精霊・ウンディーネは、ダオスを思い出したのか、すごい剣幕とオーラだった。
クラトスは、触らぬ神に祟りなし。
いや、この場合は触らぬ精霊に祟りなし。
と、瞬時に思い、追及をやめた。
その後、こちらに怒りが来ない事を願い、今夜の火の晩以外の二人(ユアンとマーテル)は苦笑した後、眠る事にした。
一行が砂漠に挑んで、三日が経ったある日。
一匹の魔物を見付けた。
近付いて、様子を確かめようとした。
が、いきなりその魔物が消えた。
ディセンダーは魔物が消えた瞬間、ビクッと体を震わせ、消えた魔物の所まで走り出した。
そして、彼はすぐに伏せた。
クラトス達も近付き、同じように伏せた。
すると、驚く程大きな魔物が、砂の穴の底にいる。
その姿は、あまり良い物では無い。
精霊・シルフが現れ、「うえー」と唸っている。
姿もそうだが、魔物をむさぼっているあの姿も、あるからだろう。
ディセンダーが、小声で静かに言った。
「……あれはギルガリム‼……でも、どうして?門が開けば、ラタトスクが黙っている訳がない。……そうか、少ししかない力を、負の想念と魔物が運んでいるマナを使って、あんなに大きく成長したのか……。だからイフリートはマナを凝縮して、この砂漠に誰も入れないようにしたのか!」
ユアンが、ディセンダーの言っている独り言について、聞こうとした。
だが、その前にディセンダーはいきなり大声で叫び、走り出した。
「うわ⁉目が合っちゃった‼皆、早く逃げて‼」
ユアンが魔物に視線を戻すと、砂穴を這い上がって来る所だった。
ユアンは一人遅れて、その場を離れる。
皆の所に着いた、その瞬間、魔物が飛んで来た。
全員戦闘モードに入る。
ディセンダーとクラトスが至近距離で戦い、ユアンが中距離で応戦。
ミトスは魔術で応戦し、マーテルは支援援護をする。
精霊・シルフは風を操り、精霊・ウンディーネは水を創りだして、それぞれ魔物の動きを止めてくれている。
戦闘も半分いった所で、魔物の動きが鈍くなった。
こちらの体力、精神共に疲労していた。
だが、このまま続けていれば、戦闘はこちらが勝つだろうと思った。
その矢先、魔物は体力が回復体勢に入った。
これが、完全に終われば、こちらが不利になる。
ディセンダーは覚悟を決め、魔物に向かって、魔術を打ち出した。
「サンダーブレード‼」
さらに魔物の動きを完全に止める為に、接近する。
そして、止めをクラトスと共に刺す。
ミトスは肩で息をしながら、ディセンダーに質問した。
「……さっき、ディセンダー……詠唱無しで、魔術発動した?」
これまた、肩で息をしながら、ディセンダーは答えた。
「あー……うん。僕の前の人≪ディセンダー≫が、魔術得意だった人みたいで……」
ミトスは?マークが、顔に浮かんでいる。
が、ユアンが同じく肩で息をしながら、彼等に言った。
「積もる話は、後にしよう。ここをすぐに、離れるぞ。」
ディセンダーは、ユアンに声を掛けた。
「ちょっと、待って下さい。」
ディセンダーは倒した魔物に近付き、手をかざした。
するとディセンダーが光出し、魔物からは黒い何かが浮き出し、消えた。
ディセンダーは精霊・シルフと精霊・ウンディーネに振り返り、手早く言った。
「これで良いはずだ。このマナを、ここら一帯に流して。そうすれば、ラタトスクが魔物達を召喚すると思うから。」
精霊達は頷き、消えた。
ディセンダー達はオアシスを見つけ、今日はそこで休む事にした。
火の番のユアン以外は、皆休んでいた。
ユアンは何かの気配を察して、顔を上げる。
と、精霊達が帰って来た。
「ディセンダーは寝ている」と言おうとした時、後ろからディセンダーが現れた。
見ると、ディセンダー以外も起きて来たようだ。
「お疲れ様、もう休んで。後は、あいつの仕事だから。……それとイフリートも、ああ言うのは早めに教えてよ。おかげで、凄く苦労したんだから。」
そう言うと、大きな身体で、頭の両端から火が出ており、お化けのように足は無いのが現れた。
精霊・シルフ達とは違い、人型ではない精霊だ。
「うむ。実は先程、お主が力を使うまで、来ている事に気づかなんだ。それに、来ているなら〝来ている〟と一言言わんか。まったく……まぁー、それはさておき……あの村から出て来たようだな。うむ。我は、解って貰えて嬉しいぞ。」
と、何度も頷いている。
精霊・シルフは「バカ!」と言ったが、既に遅い。
精霊・ウンディーネは殺気を出している。
ディセンダーは苦笑いをしながら、精霊・イフリートに言った。
「……守るべき、あの村を失ってしまったからね。……本当は、あの村で生きたかった。けど、今でも君達の言葉を忘れた訳じゃ無いから、安心して。君達が、僕の事を心配してくれていたのは知っているから。」
精霊・シルフは悲しそうな顔をディセンダーに向けてから、精霊・イフリートの前で腰に手を当て怒った。
「ダオスが村を壊したのよ。……全く、何であんな奴がいるのよ!」
精霊・イフリートは知らなかったので、物凄く驚いたようで、腕を組んだまま静かに言った。
「何⁉そうか……しかし、あ奴なら確かにやるだろうな。すまなかったな、そんな時に居てやれなくて。」
ディセンダーは首を振った。
そして、精霊・イフリートに笑顔で答えた。
「気にしないで。もう終わった事だから……。それにしても、イフリート……君さ、僕のこと怒っていたんじゃないの?」
「うむ、怒ってはいた。しかし、それ以上に今は、ダオスに対し怒りが増幅している。それに、お主が心配だ。故に、我も付いて行くぞ。」
クラトス・ユアン・ミトス・マーテルはまた思う……
『『『ああ、やっぱりこいつ、基準か……』』』『やっぱり、ディセンダー君基準ね……』