テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
王が会議を始めてから、この国の内情は急激に変わった。
異種族は開放され、生きる為の土地と権利を与えた。
この国に平和が訪れ始めた。
クラトス達は、謁見の間に来ていた。
王がクラトス達を見渡し、玉座に座ったまま言った。
「うむ。今はこれくらいしか出来んが、隣国にも親書を送った。時期に、戦争も終わらせると思うぞ。」
ユアンとマーテルは嬉しそうに、王に言った。
「「本当ですか。帝国王、ありがとうございます。」」
すると、王はある事に気付く。
「そういえば、今日はあの少年はおらんのか?」
クラトスは、今朝の事を思い出していた。
『朝、皆を呼びに言った時には、既にエントは居なかった。何処に行ったのか……その代わりか、ウンディーネが付いて来たのは……?』
案の定、その問いには精霊・ウンディーネが答えた。
「ディセンダー≪あの子≫は、朝から別件でいません。……それより、貴殿に聞きたい事があります。」
「……何かな、精霊殿。」
「貴殿が、あの病に蝕まれた時の事です。……あれはいつ頃からですか。」
王は必死に思い出しながら、
「……うーむ。あれは確か、二年くらい前からじゃったか……」
「二年……そうですか。では、この地区で一番貴殿と同じ、もしくは体調が悪くなるような場所はありますか。」
これは、姫が想い当たる事があるらしく、
「それはおそらく、貴族の一部の者と下町の者達ですね。……後、この帝都の奥の森です。」
「やはり森ですか……」
精霊・ウンディーネがそう言った瞬間、扉がいきよいよく開かれた。
兵の一人が叫ぶ。
「陛下、大変です!隣国の……王都騎士団が、王と共に攻めて来ました‼」
その場にいた全員が息を飲む。
王は立ち上がり、驚きながら言った。
「馬鹿な⁉親書は、届けたというのに。……仕方がない!速急に騎士を集めよ‼直ちに門を閉めよ!民を全員、城に集めるのじゃ!」
辺りが、忙しく動き出す。
クラトスも、辺りに指示を出す為、司令官に話を始めている。
ユアンは、王に殺されるのを覚悟で言葉を掛けた。
「……帝国王、申し訳ありません。私に、できる事があれば言って下さい。」
王は、ユアンの所まで降りて来る。
ユアンの予想とは違い、王は優しく言った。
「……では、あの少年を呼びに行かれてはどうかな?あの少年は、この事を知らないだろう。其方は、其方のしたい事をせよ。クラトス、其方も、この者達を手助けせよ。」
クラトスは王の元に戻り、「御意に」と一礼して言った。
ユアンは驚いた。
『今自分は、王都騎士団ではない。だが、隣国の民だ。つまり敵なのだ。もしかしたら、スパイだったのかもしれないというのに……。この王は、何と懐が大きいのか。』
クラトス達は、ディセンダーを探しに城を出た。
クラトスは、精霊・ウンディーネに聞いてみた。
「……ウンディーネ。ディセンダーは今どこに居るか、分からないか?」
「……今は森にいます。」
精霊・ウンディーネは静かに答えた。
クラトスが腕を組んだまま確認するように言った。
「……それは、奥の森の事か?」
精霊・ウンディーネは頷いた。
クラトスは腕を組んだまま、考えた。
『先程も森の話が出た時、何かに気付いていたようだが……』
だがクラトスは思った事を一端頭の隅に追いやり、急いでそこに向かう。
クラトスが一番早いルートは下町なので、そこを通りながら行った。
その途中で、変わった金髪の少年にあった。
猫のような、変わった犬の生き物と一緒だ。
クラトスはその生き物に見覚えがあった。
『…確か、砂漠でエントと話をしていた魔物だったか‥。』
金髪の少年が精霊・ウンディーネに気付き、声を掛けてきた。
「は、ウンディーネじゃないか。こんな所で会うとは奇遇だな。お前も、あのお人好しも、どうしてこんな屑共の為に、頑張るのか……解らんな。」
ニヤニヤしながら、その少年は言った。
精霊・ウンディーネは静かななる殺気を出し、静かに言った。
「……私もです、ラタトスク。下界人を嫌う貴方が、自らこんな所へ出向いて来るとは……。ディセンダー≪あの子≫には会ったのですか。」
クラトス達は瞬時に、この者が〝精霊・ラタトスク〟と理解した。
精霊・ラタトスクは右腕を腰に当て、胸を張り、威張って言った。
「ああ、会ったぜ。……まぁー、あの程度なら、あいつ等だけで十分だろうからな。俺様は、高みの見物だ。」
「とか言いながら、心配で来たのでしょう。全く、素直じゃありませんね。」
精霊・ラタトスクは背を向けながら怒る。
「は!そんな訳じゃねぇー……。今のあいつは、色々と危なっかしいだけだ。」
すると、猫のような犬の生き物が、瞬時に精霊・ラタトスクに言った。
「ラタトスク様、それを心配していると言うのですよ。」
精霊・ラタトスクは猫のような犬の生き物を蹴る。
彼は怒りながら歩いて行った。
「うるせー、テネブラエ!……ほら、行くぞ!」
『あれは、テネブラエと言うのか。そう言えば以前、エントが言っていたな。精霊・ラタトスクには〝センチュリオン〟と言う配下がいると……。おそらく、その手のものか。』
と、センチュリオン・テネブラエを置いて行く、精霊・ラタトスク。
センチュリオン・テネブラエは慌てて、精霊・ラタトスクを追いかけて行った。
「ああ!待って下さい。ラタトスク様‼」
四人は黙って聞いていた。
そして彼らの会話が終わり、去っていた後、いつものように心の中で思った。
『『『やっぱり、どこの精霊も、あいつ基準か……』』』『やっぱり、精霊は彼を基準しているのかしら……』
精霊・ウンディーネは、クラトス達に振り返る。
その彼女の声は明るい。
「さ、ディセンダー≪あの子≫の元へ、急ぎましょう。」
そして、また歩き出す。
森に入った瞬間、彼らは一気に体が重くなったような気がした。
奥に進んだ所で、何かの騒ぎ声が聞こえる。
「うわぁー、イフリート!……に、逃がすな‼」
叫び声が聞こえた。
その叫びを聞き、精霊・ウンディーネは急いでそこに向かった。
クラトス達も、その後を追った。
クラトス達が見たのは、角のようなものが出た魔物のようなものが数匹いた。
クラトス達は戦闘態勢に入り、ディセンダーに加勢した。
戦闘が終って、気付いた。
地面に黒い穴が開いている。
ディセンダーがそれに近付き、手をかざした。
光輝き、森全体を包み込む。
その光が収まった時、穴は消えていた。
それと同じくして、森の中の空気が綺麗になったのを感じがした。
彼らが一息つくと、後ろから笑い声が聞こえた。
そこを振り返と、そこには先程の精霊・ラタトスクとセンチュリオン・テネブラエがいた。
「クハハハハ!世界の守り手≪ディセンダー≫、なんだぁー、そのなりは。無様だな。」
そのセリフに、精霊・シルフは怒りだす。
精霊・ラタトスクを指さしながら、怒鳴った。
「この、俺様め‼自分は高みの見物していたくせに、偉そうなのよ‼」
精霊・ラタトスクは腕を組んで、鼻で笑った。
そして精霊・シルフに怒りながら、
「は!あの程度の魔族共くらい、貴様らでやれ!大体、そこの世界の守り手≪ディセンダー≫が、随分と引き籠りをかましていたから、こうやって穴が出来たんだろうが‼むしろ、この程度で済んだ事を光栄に思え。」
精霊・シルフは、「ムキー‼」と怒っている。
僕は、クラトス≪せんせい≫達に振り返り、
「師匠≪せんせい≫、それに皆さん、どうしたんですか?……ああ、いやその前にありがとうございました。おかげで、何とかなりました。」
クラトスが剣をしまいながら、精霊・ラタトスク達の方を見て言った。
「ああ、それは構わないが……あれは大丈夫か?」
ディセンダーも、そこを見ながら苦笑いで言った。
「ああ……あれはほっといても、大丈夫です。」
と、笑顔で言った。
ユアンがに真剣な顔付きで言った。
「……ディセンダーの言う通りだ。あれはひとまず置いとくとして……ディセンダー、実は王都騎士団がこの帝国に攻めてきたようなのだ。」
そう言った瞬間、広場の方で爆発音が聞こえてきた。
ディセンダーは、精霊達に向かって叫んだ。
「……これは……皆、広場に急ごう。ラタトスク、君も来て‼」
「はー⁉何でこの俺様が屑の為に……分かったよ。だからそんな目で、俺様を見るな。ほら、さっさと行くぞ!」
と言って、先陣を切る。
ディセンダー達も急いで、走り出す。
広場に着き、帝国騎士団と王都騎士団が壮絶な戦いをしていた。
王も、互いに戦っていた。
ディセンダーは王都王を見て、蒼白しながら言った。
「やっぱり、この気配は魔族……まさか、王自ら魔族と契約したのか⁉……違う。でも、あれは……」
と言って、戦う王達の元に走って行く。
王の傍に着いて、王都王から出ている黒いオーラに気が付いたクラトス達。
ユアンが悲痛な声を上げた。
「陛下⁉何故……何故、こんな事を‼」
「……うん?貴様は、ユアンか。騎士団を逃げ出したと聞いたが、まさか敵国に寝返っていたとはな。」
「寝返ったつもりはありません!しかし私は、今の貴方様を王とは認めたく無かっただけです‼」
「は。貴様に、認められるつもりは無いわ。しかし、まさか貴殿が復活しているとは思わなかった。」
王都王は、帝国王に剣を向けて言う。
帝国王も、剣を王都王に向けて、
「うむ、ある少年に助けて貰ったのでな。王都王よ、其方はなぜ戦争をする。なぜ故に、手を取り合えない。」
「帝国王よ、我は気づいたのだ。……この世界は、世界樹が見捨てた!ならば、多くでも自国を広めれば良いと!残り少ないであろう少ないマナを、独占出来るようにな。クハハハハハハ‼」
「……愚かなり、王都王よ。かつてお主は、理想的な良き王だったというのに……‼」
「ふん。最早、民など道具に過ぎぬ。帝国王よ、ここで死ね――!」
と言って、王を切り掛かる。
それをクラトスが止め、ユアンが王都王へ切り掛かる。
しかし、魔物や他の騎士達がそれを邪魔する。
ユアンは吹き飛ばされた。
その力に、ユアンは驚きながら言った。
「おかしい……何だ、この力は⁉」
マーテルは、ユアンの治療を始める。
その間にも、敵は襲ってくる。
ミトスが、ユアンとマーテルを守る。
ディセンダーも、それをカバーしている。
クラトスは、王から離れられなかった。
精霊達(ラタトスク以外)も、何とか応戦してくれている。
ディセンダーは、ユアンが動けるようになったのを確認し、王都王へ襲い掛かった。
ユアンが、ディセンダーに叫んだ。
「無理だ!王に届く前に、吹っ飛ばされるぞ!」
しかし騎士は精霊に止められた。
そして何故か、魔物は動こうとせず、ディセンダーを見ているだけだった。
ディセンダーが振り上げるその剣を、王都王は余裕の顔で受け止めていた。
しかし、彼の顔を見て驚いていた。
「まさか貴様は……あの方の⁉いや、しかし……そうか、クククク!落ちかけた……世界の守り手≪ディセンダー≫か!ならば、連れていく‼」
その瞬間、ディセンダーが受け止めていた王都王の剣が重くなった。
しかし王都王の剣を、ディセンダーは弾く。
ディセンダーの剣は、黄金の光を帯びていた。
彼は、王都王に向かって言った。
「門は壊れていないのに、何故ここに上級魔族がいる!貴様らは、何をするつもりだ‼」
王都王は……否、王とは思えない者は片手で顔を覆い、笑いながら言った。
「ククク、簡単な事だ……。ある人間が、我々を呼び出したのだ!今のこの世界なら、精霊よりも、我らの方が強い。お主も、早く落ちてはいかがかな?」
「……残念だけど、それはしないよ。僕は、この世界の世界の救世主≪ディセンダー≫だからね。それより、君達をこっちに呼んだのは、何処で、誰なの?」
「それは教えられんな。しかし……落ち切れないなら、この我が落としてやろうか?」
「だから断ったはずだよ!」
そして剣を交え、始める。
王都王に対し、全員苦戦している。
帝国王も、かなり危ない。
ディセンダーは空に手を掲げ、叫んだ。
「地の精霊・ノームよ、我が召喚に応じよ!」
すると、地響きが鳴る。
だが、それと同時にディセンダーは吹っ飛ばされた。
「ほいほーい、久々に登場だぞー!おや、おや?いつの間にかぁー、イフリートとラタトスクもいるのだぁ―……。まぁーいいや。それで僕チンは、何をすれば良いのかなぁー……あれ、あれ?そう言えば、ディセンダーが居ないぞぉー。」
「……ノーム……いや、四大よ。光≪ディセンダーの光≫の力を貸す、だから魔族の攻撃を弱らせて!」
そう言って、四大は帝国を囲むように飛んでいく。
そして、何かに覆われるような暖かな光が満ちる。
「ラタトスク!君は魔物達を、この町から排除して!」
「……嫌だな。この屑共の為に、動くのはお断りだ。大体、こうなった原因は下界の屑共のせいだろうが。自業自得だよ。」
ディセンダーが吹き飛ばされた家の屋根の上から、精霊・ラタトスクはそう言った。
その顔と声は凄く冷たい。
ディセンダーは起き上がり、精霊・ラタトスクに言った。
「……お願いしても、駄目みたいだね。解った!じゃあ、これが終ったら、ラタトスクの言う事を一つ聞くから!」
その言葉に、ラタトスクは口の端を上げて降りてきた。
ディセンダーに振り返り、
「クハハ、良いだろう!その言葉、忘れるなよ。おい、テネブラエ!」
彼は嬉しそうに歩いていく。
センチュリオン・テネブラエが宙に浮いて姿を現す。
「はい、ラタトスク様。」
「行くぞ。」
彼は魔物たちを見て、指を鳴らす。
『さて、他のセンチュリオン共にも手伝わせるか。それにしても……ククク!命令に切り替えれば、俺様を使えたのに……本当、お前は面白い奴だ。』
と、この場を去っていく。
その瞬間、この場にいた魔物達は帝国の外へ出てくように移動を始める。
ディセンダーはもう一度、王都王の元へ戻る。
彼が戻ると、
「はぁ、はぁ!魔物は居なくなったが、こんなに強いとは‼」
と、ユアンが肩で息をしながら言った。
帝国王を治しているマーテルとミトスも、かなり消耗している。
クラトスも肩で息をしながら、
「このままでは、我々の不利だな。……一時、撤退しようにも、王都王をこのまま見過ごす訳にもいかない。」
ディセンダーは彼らの前に立ち、
「僕が……僕が、必ず隙を作ります。その間に、二人とも斬り込んで下さい。」
二人は互いに見合った後、頷く。
ディセンダーは剣を掲げ、叫ぶ。
「レディアント解放‼」
彼は光に包まれた。
光が収まった時、彼の衣装は変わっていた。
彼自身の背と同じくらい、もしくはそれ以上の大きさはあろう剣を持っている。
その剣を振り、再び王都王と剣を交え始めた。
クラトスとユアンは彼を信じ、隙が出来るのを待った。
そして「サンダーブレード‼」と、ディセンダーが魔術を繰り出した。
クラトスとユアンは『今だ‼』と、斬り込みに掛かった。
何とか王都王から、剣を弾くのに成功した。
しかし、王から何か黒い物が出て来た。
それがユアンを吹っ飛ばして、ディセンダーを襲う。
ディセンダーは光輝く剣を突き出しながら、自分も突っ込む。
だが、その黒い何かが、ディセンダーの腹を貫いた。
ディセンダーは、それでも光輝く剣を黒い何かに刺した。
剣が刺さった瞬間、それは物凄い光輝きを出した。
辺り一帯から、黒い何かが一斉に消えさる。
そして王都兵達は、まるで操りから覚めたかのように「ここは?」となっている。
ディセンダーはお腹の傷を押えながら、倒れている王都王に近付く。
そして、帝国王にしたように、王都王に手をかざす。
光が王都王の体を包んだ後、その光は辺り一面を……いや、帝都全体を包んだ。
光が弱まり、王都王は目を覚ます。
王は辺りを見渡しながら言った。
「……うう、私は何を?何故、帝国に攻撃を⁉全軍直ちに、戦闘を止めよ‼」
そして帝国王が近付き、
「おお、王都王……。そうか、其方は操られていたのだな。良かった……」
「帝国王。どうやら私は貴国に対し、申し訳ない事をした。この無礼は、我が首にて勘弁して欲しい。我が兵と民には、罪はない。」
「いやいや、その言葉で良い。しかし、このままともいかんだろう。よって、ワシは貴国に対し、同盟を申し込む。互いに、種族の壁を壊していこうではないか。」
「ああ、帝国王……しかし、我が国は恐らく、今の私のようになっている事だろう。私は、それを先に何とかしなくては……」
「それに関しては、僕が何とかします。」
そう言った方を、見る王達。
そこには、クラトス達に治療をして貰っている少年がいる。
いつも間にか戻った四大が、心配そうに傍に寄っている。
ディセンダーは、王達を見つめながら言った。
「おそらく王都国には、かなりの数の小さな穴が出来てしまっている。それも、何とかしないといけない。これ以上、上級魔族が入ってこないように。だから王、貴方達はこれからの国の事を話し合って下さい。」
王達は迷っていた。
当然だ。
いくら自分達を救ってくれた少年でも、精霊を従えている少年でも、彼は騎士ではない。
そして、まだ戦いの経験が少ない子供なのだ。
しかし、ユアンとクラトスが互いの王の前で膝を着き、
「「……陛下、どうかこの者を信じて下さい。我々も、共に力を出す所存です。両国の未来の為に、必ずや助けます‼」」
王達はその言葉に頷く。
彼らは会議を始める為に、この場を離れていった。
王達がいなくなって、近くに居た兵達が「我々も手伝おう」と言ったが、精霊がそれを断った。
そして誰も居なくなったのを確認し、精霊・ウンディーネが静かに言った。
「……世界の守り手≪ディセンダー≫、もう良いですよ。我々が、見張っています。」
ディセンダーは頷き、瞳を閉じる。
すると、彼が光出した。
マーテルは目を見張った。
「マナが……集まってきている⁉」
「……この事は内緒ですよ。さぁー、これだけのマナが集まれば大丈夫でしょう。」
そう言って、マーテル達は治癒術をかける。
そしてディセンダーの傷の治療が何とか終わる。
ディセンダーが起き上がり、お礼と謝罪を彼らにした。
「ありがとうございます。それと、ごめんなさい……。それで僕、明日には王都国へ向かいます。その、不甲斐無い僕だけど、僕に力を貸して下さい。」
「ああ。頑張っていこう。」
彼らはディセンダーに微笑みで返す。
次の日、王都国へ向かって旅に出ていた。
だが、一行は世界樹の森の中で休んでいた。
何故、ここにいるかというと……
――あれは、王都国に向かい門を出た時の事だ。
門の少しした所に、猫のような、犬の生き物がお座りをして待っていた。
その猫のような、犬の生き物は頭を一度下げてから、明るい声で言った。
「これは、これは、世界の守り手≪ディセンダー≫様。偶然ですね♪でも良かった、傷も治ったようですね。ラタトスク様が〝世界樹の所に居る俺様の所まで来い〟との事です。」
ディセンダーは片手で頭を押さえながら、
「……テネブラエ、僕達今から王都国へ向かうんだけど。」
「そうですか。それなら、丁度良いじゃないですか。世界樹の森を通って行けば良いのですよ♪」
「……テネブラエ、世界樹の森は、別名・迷いの森じゃなかった?」
「それは問題ありませんよ。貴方様がいれば、迷いません。それに、もしもの時は私が案内しましょう。」
「はぁー、ちょっと待てって……」
そう言って、ディセンダーは少し離れた所に向かう。
彼を見ると、誰かと話をしているようだ。
時には腕を組んだり、手で何やら動作をしたりしていた。
ディセンダーは心の中で、精霊・ラタトスクに会話を持ちかける。
『……ラタトスク、聞こえている?』
〝……何だ?テネブラエに、ここに来いと伝達があったはずだが?早く来いよ。〟
『見ていたくせに……。それで、その事なんだけど、今から僕たち王都国に向かうから無理。ほら、王都国はおそらく、今回の魔族が召喚に関わりが深いと思う。』
〝は。それなら、なおのこと世界樹の森を通れば良いじゃねぇか。お前なら、来られるだろう。ああ、そうだ……お前が、あの下界の屑共も連れて来たいなら、特別に入れてやろう。それにお前は、俺様の言う事を何でも一つ聞くと言ったよな、ククク!〟
『……言った。確かに言った……解った、今から向かうよ。でも、ここからだと二日位は掛かるからね。後、テネブラエを借りるから……』
〝……ああ、良いぜ。ククク、楽しみに待っていよう。〟
ディセンダーはガクッと落ちて、しばらく固まっていた。
しばらくしてディセンダーは、地面についていた膝と手を叩いて立ち上がった。
彼はクラトス達の元に、疲れたように戻って来た。
その彼は、皆を見ながら悲しそうに言った。
「……皆、ごめん。今から世界樹の森に向かう事になった。それと、テネブラエは僕に付いて来て。」
「ええ、解りました。道案内は、任せて下さい。」
と、言う事である。
つまりセンチュリオン・テネブラエは、ディセンダーが精霊・ラタトスクに言い負けられると解り切っていたと言う事だ。
そんなこんなで、食事を用意していたディセンダーとミトス。
ミトスはふと、思った事を口に出した。
「……ねぇー、君は食事は取るの?」
センチュリオン・テネブラエは料理を作っている所が気になったのか、見に来ていたのである。
彼は小さく首を振った後、明るい声で言った。
「いえ、私は食事を取りません。世界の守り手≪ディセンダー≫様や、精霊と同じです。」
「……え?ディセンダーは食事取っているよ……ねぇー?」
と、ディセンダーに振り返るミトス。
ディセンダーは「あちゃー」と言うように、手で頭を押さえている。
ミトス達は、その反応が「本当」だと解った。
それにはクラトス自身も驚いた。
『確かに、人間離れしているとは思ったが……まさか人間性もそうだったとは。』
センチュリオン・テネブラエは小首を掲げ、不思議そうに言った。
「……おや?世界の守り手≪ディセンダー≫様は、この者達に合わせていたのですか?それは、申し訳ありませんでした。」
「ああ、気にしないで。そろそろ僕自身が、隠すのに限界あったから……色々と。」
そう言って、ディセンダーはミトスを見る。
「ねぇ、ミトス。僕が言った事、覚えている?」
「ディセンダーの……もう一つの名前の事?」
「うん。ユアンさんとマーテルさんも、聞いて下さい。僕のディセンダーと言う名前は、確かに僕の名前です。だけど、それは僕を示すと同時に、世界樹の守護者を指すものでもあるんです。僕は、世界樹から生まれた世界樹の子であると同時に、主でもある世界樹を守る剣であり、楯でもある存在なんです。だから僕は、仲間である皆に名前を教えようと思うんだ。僕個人の名前は、エント……〝創世の者〟だよ。」
「……エント?それが、君の名前……」
ミトスは素直に、彼自身の事を聞けた事が嬉しかった。
それは、ユアン達も。
無論、クラトスも嬉しかった。
ミトスは、ディセンダーに手を出した。
彼は笑顔で言った。
「僕はミトス。改めてよろしく、エント!」
ディセンダー……いや、エントは彼の手を握った。
すると今度は、ユアンとマーテルも手を出している。
その手を、エントは握る。
彼のその顔は、とても嬉しそうだ。
するとユアンが不思議そうに言った。
「クラトス、君はやらないのか?それにしても、お前は反応が薄いな……。もしかして、知っていたのか?」
クラトスは、コーヒーを飲みながら頷いた。
エントはにっこり笑った。
食事が終わり、いつものようにノイッシュの背に、ミトスと共に寝ていた。
起きていた三人は、エントの寝顔を見ていたセンチュリオン・テネブラエを見ていた。
気になったマーテルが、聞いてみた。
「ふふ。この二人、兄弟みたいですよね。でも、エント君の寝顔が気になるのですか?」
「いえ、寝顔は昔から視ていたので差ほど気になりません。……小さかった頃と同じ寝顔ですね。それが、少しだけ懐かしいように思えただけです。」
マーテルは少し驚いた。
それは、考えていた事と違ったからだ。
『てっきり、エント君は寝る事もないと言うのかと思ったけど、そうじゃないみたいね……』
マーテルはそのまま会話を続ける。
「そうなのですか。……ちなみに、いつから見ていたんですか?」
「赤ん坊の頃からですよ。しかし、幼い頃から私の事が視えているようでしたので、世界の守り手≪ディセンダー≫様が歩けるようになった頃からは、離れて視ていました。と言っても、時々ですがね。ああ、でもラタトスク様は、しょっちゅう様子を見に行っていましたね。貴方方の旅も、時々魔物を通して視ていますし。」
「そ、そうなのですか‥‥。」
マーテルは笑顔だが、その表情は引きつっている。
『そういえば、攻撃せずにただじっと見ているだけの魔物がいたわね……』
と、思い出していた。
後ろでは、クラトスとユアンも、一瞬固まった。
それに気付いていないセンチュリオン・テネブラエは、
「それにしても、人間としての成長は早いようで、遅いものですね。本来なら、世界の守り手≪ディセンダー≫様は元々この姿の状態で、外に出ていたのですから……」
「へーえ、そうなのですか…、えぇ⁉」
『もう差ほど、驚く事は無い』と思っていたマーテルは、凄く驚いた。
クラトスとユアンも、センチュリオン・テネブラエを見ていた。
センチュリオン・テネブラエは少しの間を置いた後、変わらず言った。
「……あぁ、今のは忘れて下さい。」
「……わ、解りました。」
ジっと、センチュリオン・テネブラエに見つめられたマーテルは追求出来なくなった。
その後、三人は今の帝国と王都国について語った。
実はそれを、途中からエントとセンチュリオン・テネブラエは、寝たふりをしながら聞いていたのであった。