テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
私は父さん≪クラトス≫と共に過ごして、しばらくが経つ。
精霊・オリジンとの一件いらい、私はなるべくクラトスの事を“父さん”と言わないようにしていた。
何故なら、それを言うと父さん≪クラトス≫が精霊に苛められるからだ。
私は、精霊が来る度に殺気立っている。
私自身、精霊に侮辱されようと別に気にしない。
が、クラトス≪父さん≫を侮辱されるのだけは、誰であろうと許さない。
そして今日、私は下界へ降りる。
「じゃあ、父さん……クラトス、行って来る。クラトスは、他の監視者達に会いに行って来るのだろう。外は魔族かいるから、気を付けて。」
そう言って、彼女はクラトスを見る。
クラトスは一度ため息付く。
そして彼女の頭を撫でながら、
「私の事は気にするな。むしろ、私の方が心配だ。本当に一人で良いのか。私も、共に行っても良いのだぞ。」
レイノアは首を振る。
そして拗ねたような、嬉しそうな顔と声で言う。
「そんな事をしたら、オリジン辺りが文句を言ってくるに違いない。……絶対に、あいつをギャフンと言わせてやる。あいつ、ことある事に文句を言っては、父さん≪クラトス≫を侮辱して……。父さん≪クラトス≫が、許しているから大目に見ているけど……いつか、叩きのめす!」
最後の方は恐ろしい程、殺気立つレイノア。
彼女はなるべくして、なった性格は他者には冷たい。
だが、優しい子だとクラトスは知っている。
それでも、クラトスは深いため息を付いた。
なぜなら、精霊・オリジンの侮辱をクラトスが素直に受け止めているか……
それは、魔族を倒す前に精霊・オリジンVSレイノアの戦いが始まりそうな勢いだった。
あれでは、世界崩壊が起きるのではないか、とさえ思えるからだ。
実際、二人は会う度に、クラトスは重い重圧の中に居た。
彼はそのたびに、胃が痛くなるのであった。
レイノアはあるモノを取り出す。。
それをクラトスの手に乗せる。
クラトスの手の中には、一つのペンダントがある。
世界樹の枝の中に、宝珠のような球が包まれている。
その球の中央は光輝いていた。
「クラトス≪父さん≫にやる、お守りだ。クラトス≪父さん≫が元々持っているモノより、作りは悪くは無いとは思うが……」
「ありがとう、大切にする。」
クラトスは笑顔で礼を言いった。
レイノアも笑顔で返す。
最後にもう一度、彼女はクラトスに別れの挨拶をして、旅立つ。
――初めて見る外の世界は災厄だった。
大地は荒れ、木々からは生気が無い。
枯れているものがほとんどだ。
生き物が暮らしていける世界では無いと、思える程の光景だ。
なによりも、世界に漂うマナの量が圧倒的に少ない。
さらに空気中は、瘴気が主になっているときた。
『クラトス≪父さん≫から聞いていた以上だな……。早く終わらせて、クラトス≪父さん≫所に帰ろう。それにしても、これを引き起こしているのが魔族と……世界の守り手≪ディセンダー≫か。確か、名はレオンと言っていたな。どんな奴なのか……ま、私には関係ないか。』
彼女は辺りを歩き始める。
色々な街や下界人を見た。
かなり皆、参っているようだ。
食料や水が少ないようで、種族関係無しに奪い合いが始まっていた。
それを、彼女は他人事のように、横目で見ていた。
その中には、子供もいるが押し負けていた。
その中に魔族を見付け、彼女は突っ込んだ。
誰にも気付かれず、魔族だけを彼女は斬る。
ある魔族を、下界人が誰もいない路地の方へ蹴り飛ばす。
そして、剣先を魔族に向けたまま、冷たく言い放つ。
「よくも堂々と、こんな街中に居たものだ。……この街には、お前以外にもまだ数匹いるな。さて、貴様はどうする?このまま素直に情報を言うか、それとも死を選ぶか……」
その魔族は汗を大量に出した。
そして手を挙げて、彼女を脅した。
「おいおい、良いのかい。確かに俺様は魔族だが、この体は人間のものだぜ。アンタの言う死を選ぶと言うのは、この人間事かい?……世界を救うディセンダー≪世界の救世主≫が、それで良いのかな?」
彼女は冷たい視線を、魔族に向けた。
確かにこの魔族の言う通り、この体自体は下界に住む人間のものだ。
しかし、彼女は剣先をさらに近付け、冷たく言い続ける。
「それがどうした。私は他の世界の守り手≪ディセンダー≫と違い、下界人には興味ない。下界人が何人死のうが、構わない。故に、このまま貴様を斬り殺しても、私には何の損は無い。」
魔族は焦り出していた。
そして人間の体から抜け出し、逃げ始める。
彼女は倒れ込む人間の体には目もくれず、魔族を追い掛ける。
彼女は真後ろから魔族を斬り殺す。
そこに今度は、彼女の後ろから他の魔族が来た。
そして、彼女を襲って来る。
そいつ等は動きにくい下界人の体でなく、魔族本来の姿だ。
なので、私は迷わず斬り倒す。
と言っても、仮に下界人の体でも、彼女は躊躇しなかっただろう。
全ての魔族を切り倒し、レイノアは空を視る。
そして家々の壁を蹴って、屋根の上に立つ。
すると、鳥型の魔物がこちらを見ているのに気付く。
サイズはかなり小さいので、下界人には気付かれないだろう。
『……精霊・ラタトスクか。どうせ監視しているのだろう。』
彼女は取り敢えず、それを無視して辺りを見回す。
外に出て気付いたが、彼女は自分の眼が普通とは違うと知った。
大気中の瘴気やマナの動き、この街の家の配置などが視えている。
そして、辺りの瘴気を辿り、穴を見付ける。
彼女はそのまま、屋根の上からその場所に向かう。
『それにしても便利だな、世界の守り手≪ディセンダー≫と言うのは……。食事や睡眠を取らなくて良い。なにより、この眼はかなり使える。それに、下界人より運動能力が優れているから、思い通りに体が動く。父さん≪クラトス≫は外に出たら動きにくくなる、と言っていたが……そうでもないんだよな。それとも、私がおかしいのか?まぁー、気にしなくても良いか。』
魔族が入って来た穴の前に降り、光をかざす。
穴は跡形も無く消える。
彼女は気まぐれに、この街を光で包む。
『後は、下界人自身の行動次第だ。さて、ここから近い穴は……』
と、先程のように屋根の上に立ち、遠くを視つめる。
どうやら砂漠が近いと判断。
彼女は歩き始めた。
途中、先程の魔族の血を洗い流す。
『普通の下界人がこれを受けたら、危ないのだろうか……。取り敢えず、次からは返り血を浴びないようにしよう。いちいち洗っていては時間の無駄だ。……クラトス≪父さん≫は、どうしているかな。』
彼女は、日に日に魔族との戦いに慣れていく。
そして強くなっていった。
穴も順調に消していった。
最後の穴に向かっている途中のことだった。
小さな町で、彼女は足を止めた。
いや、実際は止められたと、言うべきだ。
彼女の前には、村人が斧や桑といった畑などに使う道具を持って囲んでいる。
彼女はうんざり顔で、それを横目で見る。
村人を見ると、老人や若くひ弱な男が多い。
『……子供や女がいない。村を出て行ったのか?いや、それは無いな。この村を出た所で、何も変わらない。そんな事は、下界人にも判る筈だ……。では、この村の女子供は死んだのか?それにしては変だな。男や老人……だが、老人の中にも女はいる。若い女だけがいない。それに、こうも殺気立っているという事は……』
そう思って、彼女はこの村全体を視る。
この街の隅だろうか、大勢の下界人が二つに分かれているのが視えた。
さらに深く視ると、不思議に思っていた女子供だった。
しかし、そこの光景はあまり良いものではなかった。
子供の方は怯えていた。
理由は軍の者達によるものだろう。
一部の軍の者が、子供をいたぶって喜んでいる。
その隣の小屋では、女が襲われていた。
彼女は、そう言った事には詳しくはない。
が、理性のどこかでムカついた。
この怒りは精霊・オリジンとは違う何かがあると、彼女自身でも理解していた。
だが、彼女が動く理由はなかった。
『……大体、助ける義理が無い。別に、あの下界人……しいて言うならば、この村の下界人が弱いから軍に乗っ取られた。それに関して、私は関与する気にはない。が、その軍の者が魔族であるなら、手を貸してやっても良いと思えるな。』
そう思って、目を凝らした。
軍の中に、魔族に乗っ取られた下界人を見つけた。
『……魔族は居るようだな。』
彼女は取り囲んでいる村人を押し退ける。
その場に向かって歩き始めた。
だが、村人の一人が彼女の肩を掴んで怒鳴る。
「アンタ、良くこの状況で冷静にいられるな!……死にたくなかったら、荷物を全て置いて行きな‼」
彼女は、その怒鳴り付けた村人の手を払った。
村人がさらに怒鳴ろうとするが、それができなかった。
それは、彼女の放つ殺気が強すぎるからだ。
村人は足が竦み、その場に座り込む。
彼女は再び歩き始めた。
途中、軍の者と鉢合わせになった。
数は五人。
人間が二人、ハーフエルフが二人、レイモーンの民が一人。
彼らは武器を手に、ニヤニヤしている。
視れば、彼らは魔族が入っていない。
ただの下界人だったので、彼女は無視した。
すると、彼らは武器を手に向かって来る。
彼女は剣を抜く。
先に剣を振って来る人間一人とハーフエルフ一人の剣を弾き、蹴り飛ばす。
魔術を詠唱していたもう一人のハーフエルフと人間も、叩き潰した。
最後に残ったレイモーンの民を、子供のいる小屋の方へ思いっきり蹴り飛ばす。
開いた穴から中を視て、入る。
「何だ、貴様は⁉」「何が起きた!」
軍人は口々に言っている。
それらを無視して、彼女は目的の者の側に行く。
彼女は、目的の魔族が憑依した下界人を掴み上げ、外へ次々と投げた。
その他の者達は、呆気に取られている。
何が起きているのか、把握が追いついていない。
その者達を無視して、外に出る。
投げ出した魔族を、彼女は次々と斬っていく。
中には、下界人に入ったまま者もいた。
が、彼女は気にせずそのまま斬っていく……
その隣の部屋に入り、彼女は同じ事をする。
全部の魔族を斬り倒し、町を出ようとする。
が、軍の者に止められた。
その者は大剣を握り、こちらに向けてきた。
「貴様!……自分が何をしたか、分かっているのか!我ら軍の者に逆らって、生きて帰れると思うな!」
レイノアは冷たい声で、その者に言い放つ。
ちなみに彼女は、今は不機嫌だ……
「邪魔だ!私の目的は終わった。退かなければ、下界人だろうと……確実に殺すぞ!」
そう言い、剣を抜く。
だが、流石に魔族が入ったままの下界人を何人か殺していた。
だから、他の下界人を殺すと後々面倒だと判断する。
なので彼女としては優しい対応を取る。
彼ら全員を気絶させた。
丁度、近くにいた魔物に命じる。
「どうせ視ていたのだろう、ラタトスク。この下界人共を、その辺のどっかに捨てて来い。」
イライラしながら彼女は言う。
と、魔物達は素直にせっせと軍の者を連れて行く。
彼女は『意外だ!』と、言うようにその光景を見ていた。
軍の者が居なくなった所で、村人がお礼を言って来る。
しかし、彼女はそれを無視して再び歩き出す。
目指すは、穴のある森。
『これで、最後だな……。これが終わったら、クラトス≪父さん≫に褒めて貰おう。下界人や精霊にお礼を言われても、何の得もない。が、クラトス≪父さん≫は別だ。』
と、考えながら歩いて行くのだった。