テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
『へぇー。あ、よく考えれば、僕初めて見るんだよな。町って、こんな感じなんだ。別の世界の町も、こんな感じだったなぁー。あの変な物なんか、あの世界では珍しい物だったな。』
と、思いにふけっていた。
そんな
「ディセンダー。初めてなのは分かるけど、ちょっとは落ち着きなよ。」
「そ、そうだね……」
でもやっぱり気になり、チラチラとあっちこっち見ていた。
そんな時、ユアンから声を掛けられた。
「……仕方がない。ディセンダー。私は買い物をするから、付いて来るか?」
彼は、ミトスを誘った。
クラトスとマーテルは宿の手配に向かった。
ノイッシュも、クラトスに付いて行った。
彼等は、分かれて行動を始めたのだった。
「それにしても、町の雰囲気は町へ行く人に聞いていた通りだなぁ。人も大勢居るし、家も多い、何より店が多い!僕、初めて本格的なお店を見たよ。」
そう言うと、ユアンが腕を組みながら、
「それでは、今までどうやって物を手に入れていたのだ?」
「確かに、店に近い物はあったけど、基本村では皆、畑や家畜を育てていたし、それぞれの家の代表者や警護の人が、村で育てた物を売って、お金を入手したり、買い物をしたりして……お遣いをした事もあるけど、基本僕は、お手伝いをして分けて貰ったりしていたから、困る事は無かったよ。」
「よく、それでやっていけたな……」
ユアンは感心していた。
買い物も一通り終わった。
クラトスやマーテルと合流する為、宿屋がある方へ向かった。
途中で、もの凄い怒鳴り声が聞こえてきた。
そこに寄ってみると、家族らしい人獣がいた。
町の人々は「化け物」と言って、その家族に石を投げたりしていたのだ。
そして、彼等を怒鳴り付けた。
「彼等は、化け物ではない!それに……悪い事も何もしてないのに、ただ『レイモーンの民』を嫌う意味が分からない!あなた達は、それでも心はあるんですか!」
すると、人々はなおも怒りながら、いや恐怖しながら言った。
「そいつ等は、化け物だ‼『リカンツ』何か、町から出ていけ‼」
『僕の村は多種族構成であったが、ここまで忌み嫌われている所は見た事が無かった。でも、村の人が町に行って、怪我をして帰って来ていたが……もしかしたら、こんな感じだったのかもしれない。』
そう思うと、やるせなかった。
それが解ったのだろう。
町人は
「そうか……。貴様も、こいつらと同じ化け物の仲間だな!こいつ、人間にしては髪も瞳の色もおかしいぞ!」
そう言って、
ユアン達が傍に寄ろうとしたと同時に、石が
彼の頭からは血が流れる。
それを見た精霊・シルフは拳を握りしめ、
〝……いい加減にしなさいよ!たかが、下界人の分際で
その瞬間、精霊・シルフが突風を起こした。
人々は目を瞑った。
その隙を、ユアンは逃さなかった。
全員を連れ、この場を離れた。
精霊・シルフは、彼らが居なくなったのを確認した後、突風を止めた。
精霊・ウンディーネが、人々に大量の水を落とした。
精霊・ウンディーネは最後、彼等に聞こえないようにボソっと言った。
〝……全く。これで、頭を冷やしなさい。それにしても……命があっただけ、良く思いなさい。〟
彼等は、
ユアンは、
すると、横から悲しそうな声が聞こえた。
「ごめんなさいね。私達を助けたばかりに、あなたに怪我をさせてしまったわ。」
声の主は、レイモーンの民の母親だった。
彼らは母親にしがみ付いて、こちらを警戒している。
『まだ、半獣人化していると言う事は、制御がまだ出来ていないのだろうな。この子達にとっては、辛かっただろうな……』
「これくらい大丈夫。あなた方は、怪我はありませんでしたか?」
すると、兄の方の子供が母親にしがみ付いたまま、怒ってきた。
「なんでだよ!なんで心配するんだよ‼大体、どうして僕達を助けたんだよ。お前は、人間だろ!助けても、良い事なんて無いのに。」
兄の方の子供は気持ちをぶちまけて落ち着きを取り戻す。
「……それに、よく見たらそいつらハーフエルフだ……。だからお前は、変な奴なんだな。」
最後の方は、悲しそうに聞こえた。
「僕はただ、理由も無しに差別だけで、虐められているのが許せなかっただけだよ。僕の生まれ育った村は、多種族だったから、君達と同じレイモーンの民を見て育ったし。」
と、真顔で言った。
すると、男の子は呆れたように、
「前って、やっぱりバカだな。」
『馬鹿って……素直に言ったつもりなんだけどなぁー。なんか最近、年下の子が本当に解らない。』
まぁ、隣ではミトスがお腹を抑えて、笑っている。
ユアンも苦笑いで、見ている。
だが、男の子は照れながら、
「でも、助けてくれて……ありがとよ。」
それでも、少年がお礼を言われた時はとても嬉しかった。
『きっと、他の
それから、親子と別れてクラトス達と合流した。
クラトスとマーテルに、市場の事を話した。
それを聞いて、マーテルは傷の手当てを始める。
『やっぱり、マーテルさんは雰囲気は違うけど……感じはやっぱり、リィ姉と同じだな。』
「
「問題ありませんよ。もう、手当は終わりました。傷も残らないわ。」
「そう……。それは良かったわ。あんまし、無茶しちゃダメよ、
次の日、町を出おうと歩いていた。
そうしたら、
そして、その小さな子供が泣きながら言った。
「お願い‼……お母さんと、お兄ちゃんを助けて‼」
歩くのを止め、その子を見る。
その子は、半獣人化した女の子だった。
「君は……、昨日の子だよね。まずは、何があったのか教えてくれる?」
女の子は泣きそうな顔で、
「お母さん達、剣を持った鎧の人間に捕まっちゃったの。それで、どこかに連れて行かれちゃった……」
と、言って泣き出した。
クラトスは少し考え、静かに言った。
「おそらく、帝国騎士の者だろう。鎧を付けているという事は、地方の役所付だろう。異種族を捕まえに来たのだろう。今や、この国は人間以外の者を良しとしていないからな。」
「お母さん達は、どこで捕まったの?」
女の子は辺りを見渡し、「分からない」とまた泣き出してしまった。
ユアンが腕を組みながら、難しそうに言った。
「場所が分からないと、救いようがないぞ。」
精霊・シルフは
〝私が、飛んで探そうか?〟
〝いや。それじゃあ、時間が掛かる。そうだ、あれなら!〟
『まずは、この子の波動を覚えて……それを僕の力に乗せて、地脈に飛ばす!』
今度は地面に手を当てて、目を閉じた。
『これじゃない……っ!あの子と同じ波動……これか!』
ディセンダーはカッと目を見開く。
「見つけた!こっちだ‼」
と、走り出した。
一目散に、反応のあった所に行く。
広場に着くと、大勢の騎士が集まっていた。
そして、その中央には、レイモーンの民の親子の他にもエルフやハーフエルフの姿が見えた。
クラトスはユアン達を下がらせると、町人に聞いた。
「彼等は、
村人はこちらを振り向かず、自分と姿が違う異種族を、おぞましい者を見るような目で答えた。
「ああ。
「……、彼等はどうなる。」
「簡単さ。帝都に連れられ、尋問されるか、殺されるか、さ。」
その町人は、「当然だ」という顔で答えた。
『町に入った事が、重罪⁉何で、こんな事になってしまったんだ……』
クラトスは、このままではユアン達も危ないと考える。
それは、ユアン達も感じたようだ。
この場を離れようとした。
が、女の子が大声で「お母さん‼」と叫んでしまったのだ。
町人の一人が、目を見開いて叫んだ。
「っ‼ここにも、化け物がいるぞ!」
それを聞いた騎士達数人が、近寄って来た。
そして、ユアン達を囲む。
クラトスの顔は「どうしたものか」と言う顔だった。
その瞬間にも、ユアン達が連れて行かれる。
『……どうして皆、自分以外の者を受け入れられないんだろう……』
精霊・シルフと精霊・ウンディーネは、姿を消したまま
「騎士様、教えて下さい。何故、彼等は咎人でもないのに、檻車に入れられるのですか?」
騎士の一人が、
「少年よ。彼等は、
『何を言っているんだ……。この国の人達には、もう何も残っていないのか……』
拳を握りしめて、怒りながら言った。
「……恐ろしい?僕は、そんなこと思った事はない!彼等は、人間と少し構造が違うだけだ‼あなた達は、自国の無害な民を傷付けているだけだ!あなた達は、それでも本当に騎士ですか‼僕は、こんなこと許さない!僕は、彼等を……そして、僕の仲間を返して貰う!」
それを聞いた騎士達は激怒し、剣を抜いて来た。
クラトスが、
騎士達が、斬り掛かって来る。
その間にも、ユアン達は連れて行かれる。
「シルフ、ウンディーネ、力を貸して!」
精霊・シルフと精霊・ウンディーネは、騎士達の前に現れる。
精霊・シルフが、
「時間は、私達が稼いであげるから、今の内に助けなさい!」
まず、彼らはユアン達を助けた。
それから、他の者達を助けに入った。
彼等を救い出し、町の入り口まで急いで逃げる。
そして騎士達を振り切り、森の中に入った。
彼等の治療を終え、レイモーンの家族以外の者達と別れた。
クラトスは、周りの者に気付かれないように
〝シルフ、ウンディーネ、もう大丈夫。戻って来てくれる?〟
〝分かったわ、すぐ戻る。〟
その数分後、精霊・シルフ達は姿を現らわした。
「さっきは、ごめんね。でも助かったよ、ありがとう。」
精霊達は、嬉しそうに頷いた。
すると、最後の治療を終えた男の子が興味深く言った。
「そいつ等は、耳尖っているけど……エルフ?それとも、ハーフエルフ?」
精霊・シルフは宙に浮いたまま、男の子に近付き、怒った顔で言った。
「ちょっと!私達を、あんな奴らと一緒にしないでくれる。私達は精霊よ、精霊!全く。これだから、下界人共は――」
と、文句をブツブツ言いだし始めた。
男の子は「精霊?」と首を掲げた。
その疑問には、
「精霊は、君達とは違って各場所の祠や遺跡に居る者達だよ。その土地のマナを守ってくれたり、管理してくれたり、してくれているんだ。」
『まぁー……実際は、精霊界に居る事が多いんだけど。例外は、あるけど……』
「へぇー、じゃあ、凄いんだ‼」
と、男の子は目を輝けせながら、言った。
精霊・シルフは「当然!」という顔をしている。
それから歩き始め、森の分かれ道で彼等と別れた。
そこで、ユアンは先程疑問に思っていた事を
「そう言えば、ディセンダー。あの子の家族が広場に居ると解ったのは、やっぱりあの行動か?どうやったのだ。」
精霊達は、ユアンを物凄い目で射抜いた。
が、
「えっと、あれは何と言うか……
更に続きを話そうとする
〝
〝っ‼いけない。〟
ユアンは更に深く追求しようとして、精霊達の殺気に負けた。
「そ、そうか」と、小さく言った。
今日は森の出口近くで、休む事にした。
火の番を、
皆が眠ると、精霊・ウンディーネが静かに言った。
「それにしても、
「ご、ごめん。さすがに僕も、
精霊・ウンディーネは、思い出すように言った。
「私の知る
「それは凄いね。」
と言って、精霊・シルフを見た。
精霊・シルフは、
「忘れた。」
と、悲しそうに言った。
そして三人で、夜が明けるのを待った。
彼等は今、帝都に向かう為に砂漠越えをしていた。
そして彼等は、その砂漠のど真ん中にいた。
強い日差し、暑さが彼らを襲っていた。
ミトスが汗だくで、辛そうに言った。
「それにしても、暑すぎだよ……。シルフとウンディーネが守ってくれていなかったら、確実に干からびいてたよ。」
ユアンは腕を組んで、こちらも汗だくで言った。
「そうだな。私も、ここまでとは思ってはいなかった。ディセンダー、君は初めてだが大丈夫か?」
「僕は大丈夫です。それにしても、砂漠は他の地面と違って、やっぱり歩き辛いんだね。確か砂漠では、サボテンかオアシスで水を確保して、戦う時も足場が不安定だから、重心がずれないようにしないといけないんだよな。」
と、話した
「初めて来たのに詳しいのだな。誰か、砂漠越えした人がいたのか。」
『しまった‼また別の世界の事、思い出して……少し浮かれ過ぎているのかも。』
かたや、精霊・シルフに関しては「まずい」という顔をもろに出している。
〝
と、精霊・シルフに怒られる。
「あー、えーと、その……」
と、言葉に詰まる。
それを、精霊・ウンディーネが「やれやれ」と言うようにした後、平然とした顔で
「本で読んでいたのです。それに、詳しいのは我々も教育していたからですよ。」
さらに
「そ、そうなんですよ‼あははははは。」
と、笑っている。
ユアン達は不思議そうな顔をしている。
クラトスが、話を変えるように口を開いた。
「……しかし、以前はこんなに暑くはなかった。これも、マナの枯渇によるものなのか。」
『確かに
そして、
マナを探ってから、答えた。
「これは……負が、何処かに集まっている?それにマナが圧縮して、異常なまでの濃密になっていますね。もしかしたら、イフリートがこれをしているのかもしれない……。」
「うーん……ねぇ、ウンディーネ。これは、直接イフリートに聞いた方が早いかな?」
「その方が早いですが……おそらく、無理でしょうね。」
精霊・ウンディーネは頬に手を当て、ため息を吐きながら静かに言った。
そんな様子から、ミトスが不思議そうに聞いた。
「なぜ、ダメなの?」
表情が渋くなり、複雑そうに答えた。
「あの村での事で、かなり怒らせたからなぁー……。多分、今呼び出せても……ここが、火の海になるね。この暑さで、そんな事になったら、僕達干からびちゃうよ。」
と、精霊達も同意した。
ミトスは、かねてより疑問に思っていた事を彼に聞いた。
「と言うか、ディセンダー詳しいね。案外、全部の精霊と契約していたりして。」
「直接契約したのは、シルフとウンディーネだけだよ。後は……呼び出したり、話したりするのは、僕の前の世界の
「
話の途中で、精霊・ウンディーネが大きな声で怒鳴った。
〝……気を付けなさい、
〝ごめん……。でも、彼等は良い気がするんだよな……〟
〝……、彼等を、
〝出来ればしたくない。彼等には、彼等の人生を歩んで貰いたいから。〟
〝そうですか……。まぁー、その辺は、あなた次第ですよ。〟
と、精霊・ウンディーネのお説教が思念会話で始まる。
二人がそうしている間、追及しようとする彼等に精霊達は、「追求したら八つ裂きにする」と言う殺気を出した。しばらく黙って歩いていたが、辺りが暗くなってくる。
なので、その前に野営の準備を始めた。
辺りが少し暗くなり、夕飯を作り出すユアンを手伝おうとするマーテル。
そのマーテルを、ミトスは困らせて引き留めている。
「……本当、ミトス達を見ていると面白いね。」
「良く、あれだけ騒げるものよね。良く分からないわ。」
「ミトスにとって、マーテルさんは大切なんだよ。……僕は、リィ姉がバトとあんな風になっても、多分止めないだろうけど……あんな事も、あったのかもしれないね。」
「確かに、
「うん。記憶が戻る前は、リィ姉が僕以上にバトに取られた感があったけど……それでも、バトも大切だったから、何となくミトスの気持ち分かるな。
「
後ろの方では、
そこに精霊・シルフが向かう。
そんな中、子守唄を鼻歌で奏でる
それを見ながら、しばらく歌っていた。
すると、何かの気配がした。
鼻歌を止め、暗闇始めた場所を見た。
底から現れたどこかで見た事あるような、魔物のようなものが出て来た。
その猫のような魔物が、
頭を一回下げてから、話し始めた。
「初めまして、
『……村で無視したから、直接言いに来たな。とりあえず、無視したのは悪いから、謝っとこ。』
「初めまして。センチュリオンの事は、ラタトスクから聞いた事があるよ。じゃあやっぱり、村を出た時に僕を視ていた魔物は、ラタトスクの指示かぁー。無視しちゃった。帰ったら、謝っといて。で、ラタトスクが何?」
「ゴホン。では……、〝お人好しの
横に居た精霊・ウンディーネは、恐ろしい程の殺気を出している。
『……相変わらず、意地悪だな。やっぱり村の件で、相当怒っているな。僕の、
「僕は、人間だ……」
闇のセンチュリオン・テネブラエは表情を変えず、
「いいえ、
『……、センチュリオンの事は、僕も知っている。それは良いとして、それは、ラタトスクが言ったのだろうか。今の、僕の気持ちを知っているのかどうかは知らないけど……』
精霊・ウンディーネは、その言葉に怒鳴ろうとして、
「……そうだね。今はそうしておく。ラタトスクに、伝えておいてくれるかな。今度身勝手に、ダオスに魔物を操らせたら、魔物を一掃してしまうかもしれないから注意しておくように、と。」
それはいつもと違う
そのいつもと違う彼の姿に、精霊・ウンディーネは息を飲んだ。
遠くで、精霊・シルフも目を見開いた。
闇のセンチュリオン・テネブラエも、一瞬ビクッと動いた。
が、平静を取り戻した顔で静かに答えた。
「……分かりました。伝えておきます。では、私はラタトスク様の所へ帰ります。」
立ち上がる闇のセンチュリオン・テネブラエに、いつもの
「あっ!ちょっと待って。君は、今この砂漠で起きているマナの事について、何か知っている?それに、この砂漠に入ってから、一度も魔物に遭遇していないんだ。」
闇のセンチュリオン・テネブラエは振り返り、辺りを少し探ってから、首を振った。
「私にも、これは解りません。しかし、魔物達の気配がしないのは、確かにおかしい。帰ったら、ラタトスク様にも聞いてみましょう。」
「そう……。じゃあ、そうしてくれる。ああ、後……ラタトスクに、町を出て、僕自身は新しい経験を体験しているよ。でも、それ以上に下界に住む者達の感情は、やっぱりどこも同じだと。これも、言っておいてくれるかな。」
闇のセンチュリオン・テネブラエは、ひとつ頷いてから闇の中に消えた。
『それにしても、流石だったな。ラタトスクの元に居るだけあって、すぐに平静を取り戻したか。それにしても……僕も少しヤバい、かな。
ディセンダーは苦笑いで、クラトスに言った。
「……
クラトスは腕を組みながら、こちらも苦笑しながら
「ミトス達には、教えないつもりか?……まぁ、それでも良いが、自分から暴露したら自ずとばれるぞ。」
「そ、それには、気を付けます。さっきも、ウンディーネにこっ酷く叱られましたし……」
と、子供のようにうなだれた。
二人と精霊は、テントに戻った。
一行が、砂漠に挑んで三日が経ったある日のこと。
ついに、魔物を一匹見付けた。
しかし、近付いて様子を確かめに行こうとしたら、いきなりその魔物が消えたのだ。
『っ!あの魔物の所に、何かいる。それよりも、何だあそこ……負の想念が、集まっている⁉』
消えた魔物の所まで、走った。
そして、すぐに伏せた。
クラトス達も近付き、同じように伏せた。
彼らの見るその先には、驚く程大きな魔物が砂の穴の底にいる。
その姿は、あまり良い物では無い。
精霊・シルフが姿を現し、「うえー」と唸る。
姿もそうだが、魔物をむさぼっている姿も、あるからだろう。
「……っ、あれは『ギルガリム』‼でも、どうして……門が開けば、ラタトスクが黙っている訳がない。……成程!少ししかない力を、負の想念と魔物が運んでいるマナを使って、あんなに大きくなったのか。それでイフリートは、マナを凝縮して、この砂漠に入れないようにしたのか!」
だが、それでも解らない事がある。
〝でも、何でいるんだろう……。あれは、
〝何で、私に聞くのよ‼〟
〝だって、前の時は平気だったよね?〟
〝あの時は、
〝ですよねぇ……。それにしても、どうしようか。〟
じっと、
が、
「うわっ⁉目が、合っちゃった‼皆、早く逃げて‼」
再び、
見ると、ユアンが一人遅れて逃げている。
ユアンが、こちらに来たその瞬間、魔物が飛んで来た。
全員戦闘モードになった。
ユアンが中距離で応戦。
ミトスは魔術で応戦し、マーテルは支援援護をしている。
〝シルフとウンディーネは、あれの動きを止めて。〟
〝わかった。任せておきなさい。〟
〝油断しないように、するのですよ。〟
精霊・シルフは風を操り、精霊・ウンディーネは水で、それぞれ魔物の動きを止めた。
戦闘も半分いった所で、魔物の動きが鈍くなった。
『今なら、魔術で動きを完全に止められるはずだ!はぁー。きっと、後でどやされるけど……仕方ない。今は仲間を守るのが、優先だ!』
「サンダーブレード‼」
すぐ近くで、精霊・ウンディーネが怒っているのが解る。
しかし、先に魔物を倒す事にした。
魔物の動きを完全に止め、止めをクラトスと共に刺した。
ミトスは肩で息をしながら、
「さっき、ディセンダー……。詠唱無しで、魔術発動した?」
これまた肩で息をしながら、
「あー……うん。僕の
『本当、こういう時は前の人の力は助かる。使えるかどうかは、賭けみたいなものだけど……良かった。でも、僕自身も頑張らなくちゃ。』
ユアンが、同じく肩で息をしながら、彼等に言った。
「積もる話は、後にしよう。ここをすぐに、離れるぞ。」
「ああ!ちょっと待って下さい。」
『まずは、こいつの瘴気を僕の中に入れて、瘴気をマナに変換しながら、マナだけを取り出すっと……』
「これで良いはずだ。このマナを、ここら一帯に流して。そうすれば、ラタトスクが魔物達を召喚すると思うから。」
精霊・シルフ達は頷き、消えた。
『それ以前に、僕を監視していた時点で、あれを倒したのは知っていると思うな。それに、動いて貰わないと、何の為の監視なんだか……』
どう考えても、意思があっての行動だ。
今日の火の晩はユアンが行っている。
『はぁー……。それにしても、ギルガリムがこんな所に居たなんて。そう思うと、
どうやら、ミトス達も起きてしまったようだ。
『あー……、ごめんなさい。でも、丁度良いや。このまま行こう。』
「ご苦労様。もう休んで。後は、あいつの仕事だから。……それと、イフリートも、ああ言うのは早めに教えてよ。おかげで、凄く苦労したんだから。」
そう言うと、精霊・イフリートが腕を組んで、現れた。
「うむ。実は、先程お主が力を使うまで、来ている事に気づかなんだ。それに来ているなら、〝来ている〟と一言言わんか。まったく……。まぁー、それはさておき、あの村から出て来たようだな。うむ。我は、解って貰えて嬉しいぞ。」
と、何度も頷いている。
精霊・シルフは「バカ!」と言ったが、既に遅い。
精霊・ウンディーネは、殺気を出している。
「……守るべき村を失ってしまったしね。本当は、あの村で生きたかったけど。ああ、でも……今でも、君達の言葉を忘れた訳じゃ無いから安心して。君達が、僕の事を心配してくれていたのは知っているから。」
精霊・シルフは、悲しそうな顔を
彼の前で、腰に手を当て、怒った。
「ダオスが、村を壊したのよ。全く。何で、あんな奴がいるのよ!」
精霊・イフリートは知らなかったので、物凄く驚いた。
腕を組んだまま、静かに言った。
「何⁉そうか……。しかし、あ奴なら確かにやるだろうな。……すまなかったな。そんな時に、居てやれなくて。」
そして、精霊・イフリートに笑顔で答えた。
「気にしないで。……もう終わった事だから。それにしても、イフリート。君さ、僕の事怒っていたんじゃないの?」
「うむ。……当たり前だ。しかしそれ以上に、今はダオスに対し、怒りが増幅している。それに、お主が心配なので、我も付いて行く。」
『……良かった。イフリートと仲直り出来て。』
精霊・イフリートが加わり、やっと砂漠を超えた一行。
彼らは、小さな港町に来ていた。
ミトスとノイッシュと共に、海の底の魚を見ていた。
『わぁー。この目で、海を見るのは初めてだな。村にいた魚とは、だいぶ違うな。あ!あの魚、別の世界にいた奴だ。そっか、因子を受け継いだんだ。』
しばらくそうやって、昔の事も思い出していた。
と、ミトスがつまらなそうに言った。
「クラトスとユアン、遅いな。僕、もう飽きてきた。」
「じゃあ、釣りでもする?僕、釣りした事ないんだ。」
ミトスは嬉しそうに笑い、荷物を漁り始めた。
「良いよ。確か、道具がここに……あった!姉様は、どうする?」
マーテルは微笑んで、
「私は、良いわ。ここで、見ている事にするわ。」
ミトスと
二人と一匹は楽しそうだ。
すると、何かが、
「お主が、神子か?」
と、精霊・イフリートが姿を現さず、言った。
マーテルは、他の者に気付かれないよう、精霊・イフリートが居る方へ小声で言った。
「はい。マーテルと言います。昨日は、真面に自己紹介も出来なくて、すいません。」
「……いや、
「それには及びません。私の弟も、ディセンダー君に会ってから、とても明るくなりましたから。ディセンダー君は、あの子にとって初めての友達なので。むしろ、私の方がお礼を言いたいくらいです。」
「……そうか。
「そう言えば、そうですね。同年代は、初めてですね。」
と、精霊・イフリートの言葉に、精霊・ウンディーネが思い出したように言う。
マーテルは村での事を思い出す。
「それはやっぱり、村長様が言っていたような事で、ですか?」
「それもあるけど……まぁー、色々あったのよねぇー。」
そこに、精霊・シルフも入ってくる。
マーテルは一つ頷き、
「……そうですか。では、私はこれ以上は何も聞きません。」
なぜなら、精霊達は昔話に盛り上がり始めたからだ。
それからしばらくして、ユアン達が戻って来た。
ミトスは帰って来た、ユアンにだけに怒りながら、指を差し怒鳴った。
「遅いよ!僕達、飽きて釣りしていたんだから!」
そして落ち着いてから、船に乗って旅立った。
今度の港は、浜辺があった。
ので、
ミトスとノイッシュも行ってしまったので、今日はここに泊まる事になった。
浜辺では、
「ミトス。海って、普通の水と違って、しょっぱいね。」
「それはそうだよ。何でかは、知らないけど。」
と言っているミトスに、
ミトスは「お返し」とばかりに、
二人は、掛け合いを続けた。
最終的には、ノイッシュを標的に、水を掛け始めた。
そんな姿に、精霊達は呆れる。
〝本当、子供ねぇー。〟
〝良いではないか。本人が、楽しいなら。だが……〟
〝……、びしょ濡れですね。全く、後で怒らねば。〟
戻った
二人は、マーテルにこっ酷く叱られた。
途中、何か同じ事を思ったのか、精霊・ウンディーネと精霊・イフリートが姿を現し、一緒に怒り出す。
一晩泊り、港を出た。
〝それにしても、海では楽し……かったな……〟
しばらくして、
精霊・シルフがその異変に気付いた。
〝
近づいてみると、熱がある。
今にも、倒れそうな様子をしている。
彼は、ノイッシュの背でぐったりしていた。
「私、どこか休める所を探してくる!」
精霊・シルフが飛んでいく。
帰って来た精霊・シルフが、指を差しながら言った。
「あの、山の奥に小さな村があるわ。そこに行くわよ。ほら、早くしなさい!」
急いで、精霊・シルフの言った場所に向かう。
そのすぐ傍には、誰か居るような気がしたが、良く見えない。
『……、何だろう。凄く懐かしいけど、とても悲しいのは……』
マーテルは優しく言った。
「良かった。気が付いたのね。調子はどう?」
「……大丈夫……です。……それと、ここは?」
マーテルは視線を下げ、
『来たばかりの事、多分覚えていないのね。』
マーテルは優しく微笑んで、
「ここは、山奥のエルフの隠れ里のようです。大丈夫、今日はしっかり休むのよ。」
「はい。……ありがとうございます。マーテルさん……リィ姉……」
そう言って、
マーテルは布団を掛けなおして、
『ディセンダー君、最後に『リィ姉』って言っていたけど……誰かしら。ううん、詮索は止めましょう。』
そして、部屋をそっと出た。
前に一度、熱で倒れたあの時のように……
そして、しばらく眠っていると、こちらに何か来る気配を感じた。
『大分、良くなってきた。それにしても、久々に彼を見た気がするな。』
と、自分と同じ姿をした、
彼の前に現れたのは、闇のセンチュリオン・テネブラエ。
闇のセンチュリオン・テネブラエはお座りをして、頭を一度下げてから、
「大丈夫ですか、
「……大丈夫。僕も、あんな風に沢山の負の想念やら、魔族の瘴気をマナに変換したのは、初めてだったから少し疲れただけ。……それで、ラタトスクは何て?」
「
「……そう。マナの枯渇だけではなく、魔族達も、この世界に入って来たら終わりだろうね。その小さな穴、多分一つでは無いだろうし。魔族と契約する者が現れる前に、何とかしないと……。ラタトスクには、魔物達に穴を見付けておいてくれるように、言っておいて。」
「その点は、大丈夫です。既に、魔物達を通し、ラタトスク様が探しております。〝どうせ、あのお人よし
陽気に言う闇のセンチュリオン・テネブラエだが、
闇のセンチュリオン・テネブラエは、首を少し傾げて疑問をぶつけて来た。
「……それにしても、
「一言で言えば、人間とは違うね。これは、力を急激に使ったから、その反動の様なもの。……不思議そうな顔をしているね。でも、本当だよ。
『まぁー、半分は確かに力の反動……。もう半分は多分、別の
闇のセンチュリオン・テネブラエは「そうなんですか」と言った。
「それにしても、僕の事を嫌っているラタトスクが、僕のこと心配しているなんて何か面白いな。」
「おや、知りませんでしたか?ラタトスク様は、
『あの、ラタトスクが⁉……そう言えば、昔何かラタトスクと会ったことあるような、無いような……。でも、素直に、嬉しいかも。』
闇のセンチュリオン・テネブラエは、何だか嬉しそうだ。
彼は立ち上がり、最後に
「ラタトスク様もそうですが、私も心配しておりますから。世界を救う前に……いえ、救った後にも、あなた様が死んでしまっては意味が無いですからね。」
「それについては、大丈夫。僕を殺せるのは、僕と同じ存在か、君の主のような存在。そして、僕を創った世界樹くらいだから。ああ。でも、心臓や脳を貫かれたりしたら、死んじゃうかもしれないね。怖がらなくても良いよ。僕は、この世界が好きだから。それに、皆もね。」
『体が何故か、怠い。それに僕、最後の方……何て言ったかな。いや、最後の方の言葉は、僕からじゃないな。全く、僕は負けないよ……』
闇のセンチュリオン・テネブラエは、それ以上何も言わず、一度だけお辞儀してから姿を消した。
次の日、元気になった
しかし、皆は何処か警戒をしているのが解る。
『あれ?皆、何かを気にしている?それに……村人の人も、何か気が立っているし。』
ちらほら居るエルフが、こちらを見て何か話し合っている。
すると、長老らしい人が来たので、
『ミトス達が、何かを気にしているのは知っているけど……お礼はきちんとしないと。』
話し掛けようとして、ミトスが止めようとしているのが分かった。
が、止められる前に、村長に声を掛けた。
「あ、もしかして村長さんですか?昨日は、ありがとうございました。おかげで、元気になりました。」
村長が手で何かを合図しながら、
ディセンダーは、武装した村人がこちらに来ているのに気が付いた。
村長が「そうですか」と言った瞬間、
「大人しくして下さい。そうすれば、怪我はしませんゆえ。」
そしてクラトス達が、緊迫した雰囲気を作っている事も。
「これは……どういう事ですか?もしかして、僕達何かここで悪い事しました?」
「いやいや。そう言う訳では無いぞ、少年。ただ、そこの精霊達が欲しいのだ。精霊さえ居れば、この村は世界樹に守って貰える。」
『成程。そう言えば昔、爺様が言っていたなぁー。帝国では、精霊はマナの象徴。精霊が現れるという事は、その場所はマナが溢れている証拠、と。昔は気まぐれに、精霊が姿を現し、帝国の民は喜んでいたって。でも、マナが枯渇してからは、精霊を見る事は無くなったと。でも、イフリート達が出た時、長老達は逆に焦っていたな。僕が神子だと思っていたから、かな……』
エルフの長老に、
「ああ、成程ね。でも、駄目だよ。彼等は僕の大切な家族……の様な存在だから。」
クラトス達の所で、精霊達は目に涙を浮かべ語り始めたのを見た。
そして、エルフの村長はそれを聞き、納得したようだ。
〝君達は、
〝ええ、構いませんよ。今は、気分が良いので。〟
と、皆嬉しそうだ。
そして村長が、口を開き叫んだ。
「成程。では、貴方がいれば、他の者は用無しですな。皆!人間とハーフエルフなんぞ、殺してしまえ!」
その瞬間、詠唱を終えていた村人が攻撃してきた。
だが、
エルフの村長と村人は驚いていた。
「残念だったね。僕は、声に出さなくても精霊と話せるんだ。それが、僕の能力だから。僕の大切な仲間に、手を出さないで。僕は、助けて貰ったあなた達を殺したくないんだ。」
その最後の言葉には、恐ろしい程のオーラが出ている。
それは、普段の彼からは想像がつかない程に。
そして精霊達は見た。
エルフの村長や村人を見る、
エルフの村長達は固まっていた。
「お世話になりました。また会えた時は……仲良くして下さいね。」
そう言って、村を出た。
『はぁー、不味いな……。彼が、
精霊達は、
〝……さっき、
〝シルフ。まだ決まってはいません。それに、あの子は決して落ちませんわ。〟
〝ラタトスクには、言っておいた方が良いかもしれんな。我らより、その手の事は詳しいからな。〟
〝……そうですね。〟
精霊・イフリートが、精霊・ラタトスクに連絡した。
しばらくして、
苦笑交じりな顔で、
「……でも、良かった。僕、どうしようかと思いました。頑張った甲斐ありました。」
「そうだな。私達も、少し驚いたが無事だったのだから良いだろう。」
いつもの
彼の瞳の色も、金色に戻っていた。
『やっぱり、怖がらせちゃったかぁー……。何も知らないミトスを、これ以上怖がらせないようにしよ。』