テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2 で、作ってみた 作:609
穴の所に出る前に、彼女は剣を抜いた。
穴の前には、一人の黒い服を身に纏った黒髪の少年が立っていた。
彼は長い黒髪を、後ろで一つに縛っていた。
自分は子の少年を知っている。
いや、本能が言っていた。
あれは、自分と同じ性質を持っていると……
少年がレイノアに振り向き、笑顔を向ける。
そして、嬉しそうに声を掛けて来たのだ。
「やぁー、初めまして。君は、名を持っているのかな?教えてよ……、五代目世界の守り手≪ディセンダー≫。」
彼女は冷たい視線を送りながら、
「名はあるが、教える気は無い!大体、何故ここに貴様が居る、四代目世界の守り手≪ディセンダー≫・レオン‼いや、居て当然か……悪いが貴様を、ここで殺す!」
彼女は剣を構える。
だが、さすがは自分の先代。
隙が見当たらない。
少年……いや、四代目世界の守り手≪ディセンダー≫・レオンは少し残念そうな顔をしていた。
彼は片手を腰に当て、
「残念。まぁー、いいや。君が俺の事を、どれくらい知っているかは知らないけど……君も相当、変わっているよね。そんな怖い顔をしないでよ。だって、事実でしょ?」
彼女は殺気立っていた。
直感で、この手のタイプの者は苦手……いや、嫌いだと認識した。
ある意味、精霊・オリジンの時と同じだ。
ただ違うのは、この相手は自分よりも強いと感じること……
彼女は、このまま目の前の先代≪ディセンダー≫に話の主導権が渡る前に、けりを付ける事にする。
意を決して、剣を彼に向かって斬り付け始める。
だが、彼はそれを余裕の顔で受け止める。
しかも、短剣一本だ。
彼としばらく刃を交えていた。
その彼の表情に笑みが浮かぶ。
彼は左手で銃を取り出し、撃ってきた。
レイノアは、すぐに彼から離れる。
彼女は弾丸を、剣で弾いていく。
すると今度は、レオンが彼女に突っ込んで来た。
彼は短剣で、彼女の首を狙う。
彼女は直感だけで、それを何とか避けた。
が、銃弾三発を撃ち込まれていた。
彼女は膝を付いて、打たれた所を瞬時に確認する。
『肩に一発、腹に二発か……。流石に、これまでの魔族とは違うな!それに、これだけの実力……私の前の世界の守り手≪ディセンダー≫なだけはある……』
第二派に備え、彼女は立ち上がる。
撃たれた腹を抑え、剣を構える。
が、レオンは笑顔で拍手をしただけだった。
レイノアは一瞬、呆気に取られた。
が、すぐに警戒を強める。
彼はなおも拍手をしながら、
「いやー、凄いね。まさか、ここまでとは……魔族達に聞いた通りの動きだ。翼も、光の器≪レディアント≫もなしで……。俺の武器が、レディアントじゃなかったら負けていたかもね。」
彼は嬉しそうに言った後、拍手を止める。
彼の赤い瞳が鋭くなった。
その瞳で彼女を見つめ、
「あの世界樹では、強い世界の守り手≪ディセンダー≫は生まれないだろうと思ったけど……成程、力も強いようだね。……勿体無いな。君さ、下界人に興味は無いのに……この世界を救って、何か得をするの?」
レイノアは、彼をキッと睨んだ。
そして、剣を構え直して、
「確かに、下界人には興味ない。だから、貴様が何人下界人を殺そうが私は何も問題ない。大体、この世界に住む者は、世界を救った所でたかが知れている。」
レオンは意外そうな顔をした後、笑った。
レイノアはさらに殺気立つ。
レオンは笑いを止め、
「ああ、ごめん。でも、そこまで考えていながら……何で、世界を救うのか。聞いて良いかな?」
「……そんなもの、決まっている!オリジンを叩き潰す為だ‼たかが精霊のくせに、あいつはことある事に、クラトス≪父さん≫に文句やら、侮辱やらして!これが終わったら、今度は絶対に……あいつを倒す!そして早く、クラトス≪父さん≫の所に帰る‼帰って、褒めて貰う‼」
精霊・オリジンの名を出した途端、レイノアの中にある怒りが爆発する。
なので、かなり怒り口調だった。
そして最後の方は、完全に本音も入っていた。
レオンは再び笑いながら、
「あはは!オリジンを倒す為もあるだろうけど……一番は、そのお父さんに褒めて貰いたいだけか。君、意外と子供なんだね。……でも、そのお父さんってクラトスさんの事でしょ?あの人の中では、たぶん初代にして上げられなかった事の代わりでしょ?それでも良いの?」
レイノアは、彼のその言葉に鼻で笑った。
その後、鋭い目と冷たい声で言い放つ。
「は、それがどうした!父さん≪クラトス≫が、仮に初代に対しての代わりで、私と接していようが関わっていたのは私だ!故に、それで良い。それより貴様、何で父さんと言っただけでクラトスと分かった‼」
レオンは笑うのを止める。
そして彼は、静かに笑みを浮かべて言った。
「それは、君とある意味同じようにクラトスさんと一緒に居た事があるからだよ。正確には、初代の時代の監視者達と。」
レイノアは彼の話を信じていなかった。
それを、瞳を見てわかったレオンは、
「って、うわー……その眼は信じてないね。でも、本当だよ。まぁー……しいて言うならば、それが俺のディセンダーの力≪能力≫だからだよ。」
彼がそう言った瞬間、レイノア≪自分≫の瞳から彼は消えた。
自分は反応できなかった。
警戒を解いていなかったのに、だ。
彼を認識した時には、すでに遅い。
彼はいつの間にか、レイノア≪自分≫の顔の目と鼻の先にまで来ていた。
レオンは、彼女にある事をした。
それは記憶だ。
彼女の中に眠る記憶を、全てを読んだのだ。
そして、それをきっかけに彼女自身の中に眠るモノを呼び覚ました。
そう、世界の守り手≪ディセンダー≫の記憶を……
レオンは、彼女から距離を取っていた。
彼は、彼女が保有する記憶の一部しか、視る事が出来なかった。
それだけ、彼女の中にある世界の守り手≪ディセンダー≫の記憶は、彼≪自分≫の予想を遥かに超えたのだ。
レイノアは、その場に座り込んでいた。
瞳を揺らし、困惑する。
しばらく、その場には静寂が訪れていた。
が、それをレオンが壊す。
「あは……あはは!まさか、君の能力を調べる為に探りを入れたのに……出て来たのは、膨大な世界の守り手≪ディセンダー≫の記憶とは。記憶を持っているかどうかは、どうでも良かったけど……これは本当に、君は変わっているね。どうする?それでも世界を救うかい。」
彼の問いに、レイノアは黙り込んでいた。
彼はそれをしばらく見つめ、彼女がどう動くか見定めているようだった。
レイノアは地面を握りしめる。
『……何で……私は……私はレイノア……光を知りし者だ!父さんが、クラトスが付けてくれた大切な名。世界なんて、どうでもいい……でも!父さんは、クラトスは、初代が救ったこの世界を大切にしている。私は……私は、クラトスの為に、この世界を救う!そして、オリジンを叩き潰す為にも‼』
レイノアは、自分を奮い立たせる。
両手に光と力を思いっきり込めた。
レオンが、それを止めに掛かる。
が、それよりも早く、彼女はこの場を浄化した。
穴も消した。
つまり、現在あった全ての穴を、全て消したのだ。
私はそのまま、ありったけの力を込めて世界を包む。
レオンは、動くのをやめた。
彼は、その光景を見ていただけであった。
反撃はしないという意志を、取って解る。
光が消えた後には、彼は笑みを浮かべて言った。
「あーあ、浄化されちゃった……。ま、今は良いや。また来るよ、五代目。」
彼は闇の中へと消えて行った。
レイノアは世界樹の森へ、フラフラと帰って行く。
どうやって、そこまで帰ったかは覚えていなかった……