Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜   作:カドナ・ポッタリアン

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第十六 吹き荒ぶ者

 

 

 

 当に一週間が過ぎ、授業など終わったのだが、「魔法界の英雄」達は帰ろうとはしなかった。

 聞いた話だと、彼等は一応「闇祓い」なので、ホグワーツの警護をするらしい。

 だが、正直不愉快だ。

 

 授業中、彼等は馴れ馴れしくリンネにスキンシップを図って来る。

 リンネもそれなりに演じていた。しかし、双方目は全く笑ってなどいなかった。

 それが分かるナルにとって、リンネは何かと恐ろしくも美しく見えた。

 

 こちらの考えを悟られず、尚且つ相手の感情から考えまで全てを読み取る。

 リンネは学校内では、そうやって過ごして来た。

 表と裏ーー二つの顔を自在に操るリンネは、大勢の人間に密かな憧れをも抱かれていた。

 

 言の葉を使いこなし、先生方の「お気に入り」の枠は、リンネが足を嘲笑ながら支配していた。

 何と言うか、純粋な美少女が気のきく事をしてくれたり、少しドジっちゃったりしたら。誰だって微笑んで助けてあげたくなるモノだ。

 

 リンネは先代の帝王とは似て異なった。

 自らの容姿と性別を駆使し、偽の弱み(・・・・)を見せる。そこで相手が油断している所を取り込むのだ。

 

 ハーマイオニーやロンでさえ、リンネが好きになっていた。

 だが、ハリー・ポッターは違った。

 憎むべきヴォルデモート卿と同じ血、同じ瞳を持った少女ーーリンネ・ゴーント。

 彼女に罪はない事は、勿論百も承知だった。

 だがあの姿を見る度に、あの目を見る度に、殺意がフツフツと湧き出て来る。何故だろうか、このどうも押さえきれない気持ちは。

 

 

「なぁ、アルバス。何か父さんに隠している事があるだろう?」

「...別にそんな事ないよ」

 

 

 ハリーは息子を呼び出し、空教室で話をしていた。

 同じ「闇祓い」、上司と部下の関係ではあるが、父と子としても両立しているし、お互い大切にも思っている。

 色々な事で、二人共手一杯だったが、ハリーはアルバスの心証の変化に気がついた。

 

 

「いや、あるな。アルだけに」

「父さんの歳で駄洒落はキツいよ」

「まぁ、おふざけはこのくらいにしてーー」

 

 

 ハリーは突然真剣な顔をする。

 

 

「本題に入ろう」

「...」

「お前、絶対に何かあっただろう?」

「ないよ父さん。さっきも言ったけど」

「そうか。...父さんはな、今まで色んな人間の死を目の当たりにしてきた。愛する人達の死を」

 

 

 アルバスは俯く。

 ハリーの言葉の意味は理解出来る。魔法界の英雄である自分の父が、どんな思いを背負っていたのかも。

 

 

「アル、父さんはね。お前を失いたくない。ヴォルデモートにーー」

「父さんは何も分かってない!」

 

 

 アルバスはハリーの言葉を聞くや否や、顔を歪めてツクエを強く叩いた。

 怒りという感情が、彼の中で渦巻いていた。

 

 

「やはり、リンネ・ゴーントか」

「っ!」

 

 

 彼は目を見開き、歯を食いしばった。

 ハリーはそんなアルバスを見て一瞬心配そうな顔を見せたが、すぐに言葉を続けた。

 

 

「あの子はバケモノだよ。アル」

「父さんは、あの方とヴォルデモートを重ねているだけだろう?! 血が繋がっているから何だ。彼女は彼女だっ。父さんの恨みを押し付けるなよ! あの方に!!」

「アル、僕はそんなつもりじゃーー」

「やっぱり父さんはそういう人間だ。あの方の言う通り...だね」

 

 

 アルバスは切実に告げると、走って教室を出て行った。

 一人取り残されたハリーは、あるワードが引っかかっていた。

 

 

「”あの方”ねぇ...」

 

 *

 

 自分に力があるとは思っていない。

 でも、自分が特別な存在だと信じてる。じゃないと、生きる活気なんて湧いて来ないから。

 

 

「リンネ・ゴーント...一体どうやって話しかければ良いの...?」

 

 

 アティナは、昼休みに図書室で本を読んでいるリンネとナルの背をジッと見つめていた。

 当たり前だが、リンネはその視線も持ち主も気がついている。

 

 

「普通に話しかける? いや普通って何。『やっほ〜リンネ〜』みたいな? いやいやいやいや、闇の帝王に向かって軽過ぎるわ...」

『...』

 

 

 さっきから、通りゆく人達の視線が痛いと感じるアティナ。

 ため息をついていると、後ろから声をかけられた。

 

 

「貴女、一体どうしたんですか?」

「ヒッ!」

 

 

 アティナはビクッと震えると、恐る恐る後ろを振り向いた。

 そこには、不機嫌な顔をしてはいるが、アティナ好みの容姿を持った、黒いローブの男が立っていた。

 アティナは顔を赤くしてたじろいだ。

 

 

「あの方に用があるのなら、早くに済ましてください」

「あの方?」

「闇の帝王...リンネ様ですよ。それで、何なんですか? ストーカーのアティナ・グリフィンドールさん?」

「すとーかー...? まぁ、間違ってはいないけど...良いというのなら少し話すわよ」

 

 

 アティナは少しでも「イケメン」に良い所を見せようと、ズカズカとリンネの元へ近づいていった。

 

 

「リンネさん、少しお時間良いかしら?」

「今勉強中だ。ちくわ耳にはなっているだろうが、一応聞いてやる」

 

 

 リンネは、アティナになんかに関心は少しも向けなかった。

 今は「魔法史」のレポートを書かなければならない。

 

 

「そう...私ね、考えてみたの。私と貴女の違い。貴女は、私よりも優れている。だから私は、貴女の部下になるわ。忠誠を誓う」

「...では、後で五階の空教室に来い」

「え、えぇ...分かった...」

 

 

 そうつぶやくと、アティナは小走りで去っていった。

 すると、ナルはリンネの耳元で囁いた。

 

 

「ご主人様、軽い」

「私は物理的にも軽いぞ。それより...」

 

 

 リンネは恐ろしくニヤリと笑った。

 

 

「私に敬語を使わないとは、中々良い度胸ではないか」

 

 *

 

 相変わらずリンネのレポートは、評価最上級の「O・優」のハズなのだが、彼女は一切手を抜かなかった。

 昼休みが終わるギリギリまでレポートを書き、其の後に空教室に向かった。

 

 

「おっそいじゃないの! 後五分で授業始まるのよ!」

「ピーピーうるさい。『うるさいアティナ(ノーズィーバード)』と呼んでやろうか。私の次の授業は、フリットウィックが腰痛で休講になっている。別にお前の事情なんてどうでも良い」

「な、何よ! ...まぁ良いわ。それで、何をするつもりなのかしら?」

 

 

 アティナは出来る限り表情を崩さないように、感情をグッと押し殺した。

 すると、訝し気な顔をするナルが言う。

 

 

「敬語を使いなさい。ご主人様に仕えるというならば...敬いなさいっ」

「...分かったわ」

 

 

 彼女はリンネを見た。

 

 

「覚悟の片鱗も見られんな」

「良いですよ。どうせ逃げる事なんて出来ないんですから」

 

 

 ナルはリンネの耳元で囁いた。

 まぁ良いかと納得すると、リンネは杖を取り出した。

 

 

「何をする気...ですか?」

「お前がこの私に忠誠を誓うというならば...守れ。永遠の忠誠と、闇の魔法使いとしての覚悟を」

「勿論です。ご主人様...」

 

 

 アティナは跪き、リンネは彼女の腕を掴んだ。途端にアティナの目が濁るーー

 

 *

 

「ふぅん、じゃあ彼奴は懲りずにまだ生きてるのかぁ。ホント、イラつくなぁ...」

 

 

 レイブンクロー寮の一室。

 青い紋章が壁に貼付けられて、ベッドの上で不機嫌そうに腕を組むブロンドの少年。

 床には、黒い布を顔に巻いた怪し気な人が二人、跪いていた。

 

 雨が窓ガラスを打ち付け、雷神の太鼓が響いていた。

 怒号のような音と光が、少年の迫力を醸し出していた。

 

 キリッとして大人びた六年生の少年は、深くため息をついた。

 

 

「さっさと始末してくれないかな。忍」

 

 

 忍と呼ばれた男達は、すぐさまに返事をした。

 

 

「其れは主の命令であっても無茶です」

「苟も、()婚約者様ですから」

「つまんない...あ、そう言えばさぁ、今年の一年生のスリザリンで、もの凄く可愛い子がいるらしいね!」

「お調べしましょう」

「うん、忍、スリザリンのその子は確か...真っ赤な目だったな。アッハハ」

 

 

 少年は楽しそうに笑った。

 其の不気味な笑みで、忍は怯んでしまった。

 

 

「では...失礼いたします」




ヴォルデモートのヤンデレが書きたいカドナです。
更新送れて申し訳ない。リアルで忙しいんだ。

今回は、アルバスVSハリー的な奴と、アティナですね。
アルバスはリンネの「魔眼(笑)」と美貌に洗脳されたというか...可哀想な子なんです。
ハリーはヴォルデモートは死んだというのに、同じ血と目を持ったリンネを殺したいほど憎んでいます。まだ何もしてないのにさぁ

アティナも可哀想な子です。過去編的なのはまだ後ですね。

カドナ「リンネさん、貴女の活躍はまだ先ですよー」
リンネ「解せぬ」

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