Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜   作:カドナ・ポッタリアン

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第十七 魔フィア

 

 

 

 魔法界の悪は、何も「闇の魔法使い」だけではない。

 勿論普通の犯罪者だって存在するが、魔法界では「闇の魔法使い」に次ぐ悪の存在は「魔フィア」と呼ばれる者達だ。

 

 魔フィア達は、魔法界で違法とされる中毒性のある魔法界の「大麻(マジスィス)」や「毒物」の売買、闇の武器などの密輸ーーとあまり表向きではない悪事を行う奴らだ。

 ちなみに、通常魔フィアは「魔法警察部隊」が対処するモノの、ある特定の魔フィアグループになら「闇祓い」は動く。

 其れは、魔法界でも特に凶悪とされる「フラッド」「ファロウ」「フィディ」だ。

『F3』と称され、厳重注意となっている。

 

 特に「フラッド」はかなり危険だそうだ。

「闇の魔法使い」と同じく、人殺しを躊躇わず、極悪非道。近々、「闇の魔法使い」の集団と認定されるらしい。

 

 そんな「フラッド」の現リーダーには、一人息子がいる。

 現在ホグワーツの七年スリザリン生である、ルーク・シンシアだ。魔フィアにも関わらず、中々ふざけた名字だ。

 緑色の髪をした金色の瞳を持つ彼は、皆に恐れられていた。彼女がやってくるまではーー

 

 *

 

「ご主人様、あーんしてください。私が食べさせて上げます。はい、あーん」

「貴様は私を馬鹿にしているのか? 私がフォークも使えない人間だと?」

 

 

 ナルは毎日恋人のようにリンネに纏わり付き、毎日のように睨まれているのはもはや恒例となっていた。だが、今日は何時もよりも少し朝食を取る時間が早い。

 大した意味はない。ただ単に早起きをしてしまっただけだ。

 

 

「別に馬鹿にしてません。ご主人様は私だけのモノだと、皆さんに見せ付けたいだけです」

「十分馬鹿にしていると見受けられる」

 

 

 すると、大広間の所々から黄色い悲鳴が涌き上がった。

 

 

『ルーク様素敵!』『キャー! 今目があったわ!』

 

 

 寮完全無視で女子生徒共の声が響く。

 まぁ当たり前だろう。ホグワーツ創設以来の美青年が、大広間に入って来たのだから。

 

 

「うわぁ、誰ですかあの人」

 

 

 ナルが顔をしかめると、近くで朝食を食べていたナインが答えた。

 

 

「彼はルーク・シンシア。魔フィアグループの次期リーダーです」

「『魔フィア』?」

「はい。せ、先代の帝王が亡くなったすぐ後に湧いて来た集団です。『裏で巣食う者』達とも呼ばれています。しかし、自分から言わせれば低級の悪共ですがね」

 

 

 彼は何だか気まずそうに良い放つ。

 リンネは全くもって興味はなかったが、彼女の視線は、笑顔を振りまきながらスリザリンのテーブルに向かうルークの姿が写っていた。

 ルークは誰かを探すかのように辺りを見回していた。

 途端、目が合った。血と金の蛇が合わさった。

 

 ニヤリと不気味に笑うと、彼は緑色の髪を揺らしながらリンネに近づいて来た。

 

 

「君が...リンネ・ゴーントさんでしょうか?」

「...そうだが、何だ貴様は」

 

 

 リンネはルークの麗しい顔を睨んだ。両者共、全ての神に最大級の愛情を注がれたと言われても疑わないほど、美しい顔立ちをしている。

 すると、周りの女子生徒のリンネに対する視線が強くなった。

 

 

「私はルーク・シンシア。ずっと前から、君に会ってみたいと思っていたのですが...中々会えなくて」

「...」

 

 

 一先ず、無視を決め込むリンネ。すると、ルークは食って掛かってきた。

 

 

「そう、君は私を挑発しているのですね。面白い...」

「貴様こそ、私を挑発でもしているのか?」

 

 

 リンネは教職員テーブルを見ると口を噤んだ。先生方が此方を訝し気に見ていた。

 元々ルークは魔フィアグループの次期リーダーというワケで、何か問題を起こしはしないかと、先生方に目をつけられていた。

 先生方の視点から見ると、優等生のリンネが、要注意人物であるルークに絡まれている...という光景でしかなかった。

 

 

「ふぅんなるほど...君はそういう人間でしたね。先生方のお気に入り」

「...」

 

 

 反応する気は一切なかった。

 此処で変に相手するより、取り巻きに何とかさせる方がずっと手間がない。

 

 

「私は、どういう表裏のある人間が大好きなんですよ?」

 

 

 ルークはそう囁くと、ニヤリと笑って立ち去った。

 

 *

 

 面倒な奴に絡まれたな、とこの日の授業の終わりに、必ず先生に気の毒そうに言われた。

 

 

「まぁ...大丈夫かと」

「気をつけてくださいね。彼は、かなり危険な人物です」

 

 

 飛行訓練兼占い学の教授であるファート・リレット教授はそう言う。

 長いサラサラとした、腰まである長い水色の髪を持った美人の先生だ。彼女からは、何処か人間有らざる雰囲気を感じる。

「占い学」は、三年生からの選択科目で、リレット教授は二つの科目を教えている。

 

 丁度「飛行訓練」は、この日の最後の科目だった。その為、リレット教授はリンネと二人でゆっくり駄弁りながら大広間へ行きたがった。

 その為、ナルなどはーー嫌がりながらも先に大広間へ向かい、リンネと教授はホウキで上空を飛んでいた。

 

 

「それにしても、貴女は飛ぶのがとても上手い。初心者とは思えませんね。寮のクィディッチチームに入られたらどうですか? クロート教授がきっと喜ばれますよ?」

 

 

 長い髪を宙になびかせ、教授は女神のように微笑んだ。

 

 

 

 

 




今回は、何か訳ワカメの男に絡まれたリンネちゃんでした。
ルーク・シンシア、日本語に訳すと「誠実な城」ですが...

いやはや、久しぶりの新しい登場人物ですね。中々更新できないのは申し訳ないです。
しかし、気長に待っていただけると嬉しいです。


【ルーク・シンシア】
魔フィアグループ「フラッド」の次期リーダー。
緑色の髪と黄金の瞳を持ち、メガネをかけたスリザリンの七年主席。
次期魔フィアリーダー故に、先生方から目をつけられている。
恐れられてはいるが、イケメンなので寮など一切関係なくモテる。

【ファート・リレット】
ホグワーツの「飛行訓練」と「占い学」の教授。
腰まである水色の髪には、特別な魔力が宿っている。
愛国者(?)


ルークの絵を描いたんだけど、かなりの童顔になってしまいました...なのでアップしないでおこう。
男はかけない。男の娘なら描けるぞ。
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