Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜   作:カドナ・ポッタリアン

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第十九 美しき者

 

 

 

 

 花は血の色、花は美しく咲き誇り、花は風に揺られた木の葉の如く散りゆく。

 この儚い肌寒い季節は、秋から冬への移り目。暖かい暖炉がパチパチと火花を散らす談話室。梅雨の時期に咲くハズの青い紫陽花が、ナルの手には握られていた。

 あまり見ない大雨の本日、生徒達の気分も、あの雨雲のようにグレーに染まっていた。

 

 

「ご主人様〜、今日の授業は何だか湿っぽかったですね〜」

 

 

 ナルは背中に紫陽花を隠して、深緑色のソファに座り、読書をしているリンネの横に立った。どうにか話題を切り出そうとしている。しかしリンネは相も変わらず無関心を突き通している。

 

 

「雨の日だ。当たり前だろう」

「えっと...今日ちょっと、外でコレが咲いていたんで持ってきたんですけど...」

「何だ」

 

 

 彼はリンネに青い紫陽花を渡した。談話室の注目が集まる。リンネは受け取ったは良いが、ムッとした表情になりナルに問いた。

 

 

「...貴様は私に何を言いたい」

「そのままです」

 

 

 リンネの言葉に、ナルは笑顔で答えた。コッソリときいているスリザリン生のほとんどが、その意図を理解できていなかった。

 

 

「おい、あれってどういう意味なんだよ」

「分からないの? 青い紫陽花の花言葉。『貴女は美しいが冷淡です』って」

「花で伝えるなんてナル様ロマンチッックぅ♡」

 

 

 女子達は顔を赤らめながら、ナルの姿に見惚れていた。既にスリザリンはリンネの配下。誰も邪魔をする事はないし、今は皆ゾロゾロと談話室から出て行っていた。現在は、下っ端がレイブンクローやハッフルパフの生徒を取り込み中だ。

 

 

「ナル、お前は季節と意味をちゃんと考えろ」

「季節に関してはまぁ...アレですが。意味はちゃんと考えてあります。も、もうちょっと...私にデレてくれればなぁって...」

「デレる? 私が貴様に焦がれれば良いというワケか?」

「いえ、ご主人様は私に甘えてくれれば良いだけですよ〜。あと、もうちょっと優しくーー」

「優しさなど、自分を着飾るためのモノにすぎない」

「...それなら、良いですよ」

 

 

 ナルはふて腐れた。すると、リンネは紫陽花をナルに突き返し、再び読書に身を投じた。その冷たい反応に、談話室の空気も冷めていった。いくら甘言をつぶやいても、相手が無視していればウットリしていた周りも冷めてくる。

 

 

「ご主人様デリカシーないですね〜」

「嫌味か? 皮肉か? それともまだ意味があるのか?」

「どれでもないっ!」

 

 

 ナルは近くの机の上にドスッと座ると、紫陽花の花を一つ取り、花びらをちぎり始めた。

 

 

「好き、嫌い、好き、嫌い、好き...フン、やっぱりご主人様は私の事がだぁい好きなのに。照れ屋さんですね〜可愛い〜♪」

「ナル様は何処の恋する乙女ですか...」

 

 

 オールはため息をつく。「花占い」をしていたナルは、純粋な女の子(笑)にしか見えなかったのだろう。

 

 

「私はもう寝るぞ」

 

 

 リンネは立ち上がり、本をナルに持たせると、寝室へと上がっていった。

 

 *

 

 寝室では、いつもと何も変わらずにアルバスがいた。職務完全放棄してずっとココにいたのか、タイミングを見計らって中に入ったのかは定かではないが、好い加減ナルはうんざりしていた。

 

 

「また貴方ですか...もう、私とご主人様の二人っきりの甘い時間が...」

「ソックリそのままお返ししますよ」

 

 

 そしていつもの小さな喧嘩が始まる。

 重たい水滴が窓ガラスをしきりにノックし続けた。水の跳ね上がる音と、葉の擦り合う音が交じり、「禁じられた森」は一層不気味に感じられた。飛び回る吸魂鬼達は、闇と雨に吸い込まれ、夜の闇に悪と黒に染まり果てていた。

 

 

「うるさい、黙れ」

 

 

 リンネはナルとアルバスの頭を本で叩くと、再び明後日の方向を見始めた。

 

 

「何故黄昏ているんですか?」

「...別に。そうだアルバス、貴様の父親はどうだった。授業でヤケに私を嫌悪しているように感じたが」

 

 

 あの男は心が読みやすい。純粋なのかーー

 リンネはさも当たり前かのように聞くが、アルバスは俯いて悲しそうな顔をした。

 

 

「あの人は...僕の父親なんかじゃありません」

「そうか」

「あの人は、美しくも恐ろしい貴女を、先を帝王と重ね、貴女に恨みをぶつけようとしている...僕の想いも理解せず、曲輪そうとしました。僕は誰に何と言われようが、貴女様に全てを捧げる所存です」

 

 

 アルバスは跪くと、リンネの手を取った。キスをしようと顔を近づけるが、それも叶わず彼女自身に振り払われた。彼は驚いた顔をした。

 

 

「おい、アルバス」

 

 

 彼女はアルバスの前髪をグイッと掴み、上へ持ち上げた。そして顔を息がかかるほど近づけ、ニヤリと笑った。両者の目と目が交わると同時に、世界が歪み始めた。

 全てが真っ赤に溶けただれる。少なくともアルバスにはそう見えていた。嗚呼、何て美しいのだろう。この鮮血のように滴る真っ赤な世界が。こちらを見つめ続ける赤であり黒の少女が。

 こちらに向けられるその瞳は、何よりも美しく、何よりも闇を魅せ、何よりも輝いていた。赤い世界の中ーーそれは秀でて真っ赤だった。

 本当に美しい。この瞳より美しいモノは存在しないだろう。この世にもあの世にもどの世界にもーー

 目の前にあるモノ全てが欲しい。だがその気持ちは、ナルの言葉で薄れていった。

 

 

「だ、大丈夫ですか? アル」

「え...あ、はい」

 

 

 世界は元に戻る。




紫陽花って綺麗ですよね。外国にも花言葉や紫陽花があるのかはよく分かりませんが、あるって事で!
肌寒くなってきて、私は風邪気味で勉強したくないでっせ...(´・ω・`)

リンネちゃんの魔眼の謎は、まだ解明されません。しかし、今分かっている事と言えば、目を合わせると世界が真っ赤になってしまう...という事だけですね。
ヴォルちゃんは生まれつき目が赤かったのかな? それは原作でも描写ないし、映画では普通に黒目だからワカンネー。ちなみにリンネちゃんは、ヴォルちゃんも抜きん出る才と魔力を持っています。まぁ、純潔だからね。彼女の生い立ちはヴォルちゃんと似て異なる。何れ判明するでしょうな。
青い紫陽花の写真を入れたかったんだけど、残念! 私の撮った写真の中になかったんだ! 仕方ない。来年撮ろう。

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