Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜 作:カドナ・ポッタリアン
一先ずルークの事については、リンネは何も言わない事にした。ルーク曰く、二人だけのヒ・ミ・ツ♪らしい。何処の女子だ。
「あッ、ご主人様〜!」
リンネはスリザリンの寮へ戻った。もうクィディッチの試合は終了したようで、満面の笑みを浮かべたナルが、オールやナインとおしゃべりをしていた。リンネが来たという事に気がついて振り返ったわけだが、彼女の隣にいる人物を見た途端、笑みが一瞬にして失せた。目が死んで、殺気立っていた。
「何で馴れ馴れしい女たらしのクズ野郎と一緒にいるんですか?」
「ナル君、私の全精力をあげて君を滅してあげてもよろしいのですよ?」
ナルの言葉に対して、ルークは若干怒っているようだった。それは当たり前だろう。「悪口」を目の前で吐かれたわけだから。
「やめろ、見苦しいぞ...そう言えばシンシア、お前はスリザリンだったのか」
「私は同じ寮と認識されていなかったんですね...しかし、私は魔フィアの時期リーダー。スリザリンなのは運命なのですよ? あと...私の事はルークとお呼びください。リンネ様?」
ルークは皮肉っぽく笑う。
「そうか。ちなみにナル、試合はどうだった」
「いやもう本当に凄かったんですよ! 何だろう...言葉では表現できない激しさ...ちょっと暴力的で危険でしたが。ヒヤヒヤする体験も良いモノですね。スリザリンの完全勝利ですよ!」
「良かったな」
「っと、そういうご主人様は一体何をなさっていたのですか?」
ナルは笑顔で首をかしげる。本当に嬉しそうだ。
「私は...そこらをウロウロしていた」
「そう言えば、隣の人は?」
「道中であった。別にどうしたもこうしたもないが」
リンネはため息をつき、ナルの隣に座った。するとナルは、リンネの所有権を見せびらかすかのように腕をしがみつき、ルークに向かって舌を出した。ルークは呆れた様子で言う。
「おやおや...しかし、恋は強引でしかりと言いますか...」
「恋? ナル、お前は蛇のくせに誰かを好いているのか? あぁ、蛇か」
『えっ...』
「どうした」
「鈍感ご主人様! これだけ言ってもまだ分かんないんですか?!」
「え?」
叫ぶナルの気持ちとは裏腹に、リンネはことんと首をかしげる。完全に無意識だが、その仕草は周りの男子達の心を奪った。
「あぁあ! その無駄に可愛い仕草が無性に心を揺さぶります!」
「どういう意味だ?」
「リンネ様、流石に私でも分かりますよ...こんな大っぴらに言われたら気くらい分かりますよ...」
ルークは楽しそうに言う。
「気? ナルからは絶大な忠誠心しか感じられないのだが?」
その言葉に、全てのスリザリン生の動きが止まった。皆、「え、バカなの? アホなの? 鈍感すぎるの?」と心の中でぼやいた。別の作業をしてリンネは見ていないが、実際聞き耳をずっと立てていた。しかし、その心の声はリンネにはしかと聞こえていた。
「成る程、どうやら自殺希望者が続出しているようだな。では、私の開発した魔法を使って...一人ずつジワジワと拷問するのも悪くないかもしれんな」
リンネは先ほどの可愛らしい仕草とは打って変わって、残酷な笑みを見せていた。さて、誰から殺ってやろうかな怯える生徒達を見回しながら考える。
途端、寮の肖像画が荒々しく開いた。
「リンネ・ゴーント! 私はお前を殺す!」
談話室に飛び込んできたのは、殺気立ったホグワーツの司書マダム・ピンスだった。
この老年魔女は、生徒達の間では「本の亡者」と呼ばれ、本を傷つけた者は残酷だと叫ばれるほど叩きのめす。その勢いは、数多の人間を震え上がらせたモノである。
「あぁぁあ! ちょっと待ちなさいイルマ!」
「マダム・ピンス! 早まらないで!!」
それに続いて、マクゴナガル校長やクロート教授も飛び込んできた。
「殺す殺す殺す殺す殺す!!」
マダム・ピンスの胸ぐらをつかまれているリンネは、状況があまり飲み込めていなかった。
「先生、私は本を傷つけた記憶はないのですが」
「お前はそれ以上の罪を犯した!!」
目の前の怒り狂う司書のおかげで、部屋にいた生徒達も次々と談話室へ降りてきた。ナルは突然の事に慌てふためき、ルークは一見して楽しそうだった。
「校長、何かあったのですか?」
「お前がやったくせに。スッとぼける気?!」
彼女はリンネをキッと睨みつけた。涙目で、血走ったその目は、もはや理性を失っていた。するとリンネは、その美しい顔で悪魔かと目を疑うほどの邪悪な笑みを浮かべた。
「私が何かやったとでも?」
「っ...ミス・ゴーント、マダム・ピンス、落ち着きなさい。あー...来なさい。一人で」
校長に誘われ、リンネは寮の外へ出た。ナルはリンネを一人で行かせる事に抵抗を覚えたが、ルークに止められた。
リンネは地下にある小さな空き教室へ入った。クロート教授は部屋のドアを塞ぐようにもたれ掛かり、誰も入れないようにした。
「ミス・ゴーント、実はですね、クィディッチの試合が終わり、イルマが図書館へ戻った時、そこが滅茶苦茶に荒らされていたのです」
「...え?」
「本棚は全て倒れ、本はバラバラに飛び散り、一部は修正不可能なほど破損していました。『禁書の棚』も荒らされいて...数冊紛失しているようです」
「...それを私がやった、と?」
「あくまでも可能性ですミス・ゴーント。しかし、貴女は競技場に行っていないようですし、図書館の前で貴女を見かけた生徒もいます」
校長は静かに告げた。勿論リンネはそんな事などしていない。そんな事などする意味もない。
「確かに私は、競技場にはいきませんでした」
「やっぱり...」
「イルマ、落ち着きなさい。...ではミス・ゴーント。貴女は一体何をしていたのですか? ホグワーツきっての才女である貴女が、宿題をしていたなども思えませんが」
マクゴナガル校長は、ついに核心に迫ったようだった。リンネは一瞬で頭を回転させた。散歩していたんあんて怪しすぎる。図書館で勉強していたなんて論外。となると最善の手は...
「誰にも、言いませんか?」
「勿論です。生徒の秘密は、我々が必ず守ります」
「実は...ルーク・シンシアといました...」
リンネはわざと、恥ずかし気につぶやくように言った。
「シンシアと...」
「此奴は嘘をついている! 見たという者はどうなるの?!」
マダム・ピンスをリンネを強く睨みつけた。普通の人間ならこの目を見ただけで震え上がり、すぐにでも逃げ出してしまうくらい恐ろしいモノだったが、リンネは何とも思わなかった。クロート教授は、何やら複雑そうな顔をしている。
リンネは突然涙目になってみせた。
「ひ、酷い...私...何もしてないのに...!!」
「だから、見た者がいるとーー」
「疑わしきは罰せずですよ。しかし、それならばミス・ゴーントが図書館の周りをウロウロしていたというのは...」
正直、嘘はついていない。リンネの言葉が、ただ単に足りないだけだ。
それに気づかず考え込むマクゴナガル校長、どうにか犯人を見つけたいマダム・ピンス、楽しそうに笑うクロート教授。
そして、涙の裏で笑う少女。
何れにも考えはあり、思いはあった。しかし背後にある「魔法の窓」だけは、正直に空の色を映し出していた。
リンネ「バカが此処に一名。さて、読者の皆に土下座しろ」
カドナ「投稿遅れてほんまに申し訳ありませんでした!」
リンネ「まさか、ハリポタのWiiのゲームを買ってやり込んで投稿が遅れるとはな。簡単に手に入れられるモノではないとは分かっているが、投稿を疎かにするとは読者に失礼だぞ。カドナ」
カドナ「その点については本当に謝罪申し上げます。ちゃんとした理由としたら、『ヴォルデモートに死ぬほど愛されています、誰でも良いので助けてください』の後書きでも見てください」
リンネ「ちなみに、そのゲームとやらに私は出てきたか?」
カドナ「リンネちゃんはオリキャラだから、出てこないよ」
リンネ「...そう」
カドナ「あ! ちょっとガッカリしたでしょ?! ちょっと悲しかったでしょ?! ちょっーー」
リンネ「『アバダケダブラ』!!」
今回の新登場人物だよーん
【イルマ・ピンス(マダム・ピンス)】
ホグワーツの司書。シワの目立つ高齢の魔女。生徒達からはフィルチとデキテるんじゃないかと噂が立っている。本を愛し、愛し、愛しまくり、本に
『注意:この本を引き裂いたり、破ったり、ずたずたにしたり、曲げたり、折ったり、落書きしたり、外見をそこねたり、よごしたり、しみをつけたり、投げたり、落としたり、他のどんなやりかたにせよ、この本を傷つけたり、乱暴に扱ったり、大事にしなかったりするとその結果は、私の能力の及ぶかぎり恐ろしい目にあわせます。 ホグワーツ司書 イルマ・ピンス(*「クィディッチ今昔」参照)』
と書くほど。
もし「クィディッチ今昔」を持っている人がいたら、ちょっと見返してみるのもありかも。
魔法道具紹介
【魔法の窓】
本作オリジナル魔法道具。
地下など、外の見られない場所に設置すると、外の様子を見る事が出来る。