Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜 作:カドナ・ポッタリアン
相も変わらずして、灰色の空は泣いていた。もう冬だというのに、イギリスでは雪でなく雨が降り注いでいた。この不快感は何と表せば良いのか。一日中ジメジメとした暗い中で過ごすだなんて、一体誰が好むというのだろうか。
冬の寒さと冷たい雨が交差して、外へ出る者達は皆氷のシャワーを浴びていた。輪廻はそれでも、毎日湖へ出かけた。魔法で周囲のモノを遮断し、大きな木に寄りかかって本を読む。それが彼女の日課でもあった。
しかし、それがどんな理由で行っているかは、誰にも分からなかった。
『ホグワーツ ホグワーツ
ホグ ホグ ホグワーツ
教えてどうぞ 僕たちに
老いても ハゲても 青二才でも
頭にゃ何とか詰め込める
面白いモノを詰め込める
今は空っぽ 空気詰め
死んだハエやら ガラクタ詰め
教えて 価値のあるモノを
教えて 忘れてしまったモノを
ベストを尽くせば 後はお任せ
学べよ脳味噌 腐るまで』
実にふざけた曲だとリンネは思った。こんなモノが、「ホグワーツの校歌」だなんて。と同時に、この校歌にはどのような意味が込められているのだろうか...という疑問が頭を過ったのだ。大した意味もない馬鹿げた曲なのかもしれないが、彼女は考えていた。
「ナル、お前はどう思う?」
「そうですね...こんな寒い中湖に行って、絶賛読書中というのはどうかしていると思います」
「私が聞きたいのはそういう事ではない」
リンネは手荷物黒い本をパタンと閉じた。そして、ゆっくりと立ち上がる。リンネは小さく笑うと、意味深に本を片手に持ち、振った。
「お前は、この本に何が書かれていると思う?」
「ご主人様の事ですから、闇の魔術についてでしょうか?」
「違う...」
リンネは歩き始めた。遮断の魔法はリンネに合わせて動くので、ナルも彼女の隣にいようと必死に着いて歩いて行った。湖の水面のすぐ近くでピタリと止まると、彼女は静寂の中つぶやいた。
「答えは、『無』だ」
「え...?」
「本来なら何も書かれていないモノだ。しかし、私が闇の魔術をかけたらこれだ」
彼女はその場でしゃがみ、凍りかけの冷水に片手を少し沈めた。
「開く者により、内容が変わる。その人間の心の奥深くを垣間見る事が出来る」
「不思議な魔術ですね。ちなみにご主人様は、何が見えるのですか?」
「私には...何も見えなかった。いくらページを捲っても、真っ白な紙しか見えない。それが私の場合だ」
そして、片手で水をかき混ぜた。本来ならばとても冷たいはずなのに、何も感じる事などなかった。
「これは個人的な意見ですが、ご主人様はきっと...心の奥底さえも存在しない冷酷な人間だという事を暗示しているのではないかと」
ナルは笑顔で言い放つ。褒め言葉でも貶し言葉でもない、違和感のある言葉だった。しかし、リンネにとってそれは実に興味深いモノだった。
「ハハッ...そうだな、確かにそのような考え方もある。なるほど...」
リンネは楽しそうに笑った。その笑みは、何よりも美しいモノだった。
彼女を雨と寒さから守る魔法はドーム状となり、雨水を跳ね返していた。その光景は何とも幻想的で、神のような雰囲気を醸し出していた。
「ナル、私が何故わざわざこの湖に、毎日来ているか分かるか?」
「この場所が、好きだからですか?」
「...その解答は、正しくも間違ってもいる」
リンネは冷水から手を出した。何故かその手は、水の冷たさにかじかんですらいなかった。真っ白な美しい手だった。ナルはつい心配になって、その手を自分の体温で温めてあげたかった。しかしそんな事をすれば、リンネは怒りはしないだろうがきっと良い顔もしないだろう。
「どういう意味でしょうか?」
「この湖には、何か懐かしいモノを感じる。入学式のあの日から、まるで私に語りかけてくるような念を感じた」
清らかな手が指差すのは、湖の向こうに霞んでいる大理石の墓だった。
「先代の帝王が唯一恐れたと言われる、アルバス・ダンブルドアの墓だ」
「えっ...あの大理石が?」
「大人など、少し微笑めばすぐに堕とせる」
「それは貴女様だからですよ」
ナルは柔らかな声が言うが、リンネは何とも思わなかった。おかしいなと彼は首をかしげる。普通の女の子ならば、顔を真っ赤にして喜ぶのに、まるで無反応だ。
「他の人間にはできない事を、ご主人様はいつも平然とやってのけます。嗚呼、何て素晴らしいんでしょうか」
「褒めたって何も出てこないぞ。ただ残るのは虚しさだけだ」
彼女はため息をつくと、その場に座り込んだ。ナルは少し悲しかったが、反応してくれたのでまだ良かった。いつもなら、無視される所だ。
「あぁナル、お前も感じないか? あの墓から、『見つけてくれ』とでも言いた気に、私と似たモノを感じる」
「詳しく調べた方が良いかもしれませんね」
リンネが頷き、空を見上げると同時に、打ち付ける水は止み始めた。
雲が消え、久しぶりの温かい光がイギリス中に差し込んだ。それはまるで、冷え切った者を優しく抱きしめてくれる、母親のようであった。
「やっと顔を出してくれましたね」
「別に私は、太陽など見なくても良いのだがな」
青い空に光り輝く太陽、そして不気味に漂う吸魂鬼達。美しくも忌まわしく感じさせるその光景は皆の心をつかんだが、リンネだけは、何も感じる事はなかった。
あの、私を殴る前にちょっと聞いてほしいです。
め、メリークリスマス! 世界中のクリぼっち達にハリポタの二次創作を私は捧げる!
リンネ「メリークリスマス、カドナ」
カドナ「あぁリア充は引っ込んでて」
リンネ「スリザリン生皆からそう言われた(T ^ T)」
カドナ「だろうなモテ女め...」