Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜   作:カドナ・ポッタリアン

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第二十五 蛇の王

 蛇の王「バジリスク」は、作り出せないわけではない。案外簡単に作る事が出来る。ヒキガエルの腹の下で孵化した鶏の卵から生まれる。量産は可能だ。しかし、どれだけ熟練魔法使いが束になっても敵わなかったり、パーセルマウスしか操れないという欠点があるので、誰もそんな事はしなかった。おまけに900年以上生きるとされている。殺すのはほぼ不可能と言っても過言ではない。

 

 *

 

「おや、気を感じるな」

「気、でございますか…」

 

 

 ロンドン郊外の大きな屋敷。黒い重々しい空気の漂う場所だった。その屋敷の中、一人の真っ白な髪を持った男性は楽しそうに笑っていた。屋敷の一室の、まるで王座のような蛇の縁取られた大きな椅子に腰掛け、男性は足を組んだ。その姿はまさに「魔王」だった。

 

 

「あぁ、気だ。ジュデス、蛇と王の気だ」

「蛇と王? それはどういう…?」

 

 

 男性は子供のような無邪気な笑みで、召使であるジュデスを見下ろした。

 

 

「なぁジュデス、息子のリュークからこんなモノが届いた。どう思う?」

「こんなモノ、ですか?」

 

 

 彼は冷たく白い手でジュデスに羊皮紙の手紙を渡した。

 

 

「ルーク様からのお手紙ですか」

「あぁ。この俺、ガディナールス・シンシアの生意気な息子であり、『フラッド』の次期リーダーである、ルーク・シンシアからの手紙だ。熟読してみろ」

 

『父上様へ

 親愛なる我が父上、この度はホグワーツ魔法魔術学校の第六学年に進級いたしました。いつもながら、お言付け通り主席の立ち位置は守っております。しかし、『最強最恐』の称号は、ある人物に奪われてしまいましたよ。それは、私の愛する美しい人…リンネ・ゴーント。

 話はかなり本題へと進みますが、夏休みに我が家にリンネを招く事は可能でしょうか? ペット込みで。ちなみに蛇です。

 純血ですが、孤児なので、可哀想だと思いまして。夏休み期間中程度なら構いませんよね? 彼女も純血主義思想なので、父上との話も合うでしょう。写真も同封しておきます。

 お元気で。

 ルーク・シンシア』

 

「ガディ様、これは…」

 

 

 ジュデスは酷く混乱した様子でガディに手紙を返した。すると、彼は写真を手紙の中から取り出し、ジュデスに見せびらかすかのようにヒラヒラと振った。

 

 

「真っ黒な髪、真っ赤な瞳…リンネ・ゴーントという少女、実に美しい」

 

 

 写真のリンネは小さくあくびをしたり、涙目になったりしていた。寝起きに撮られた事は間違いないようだった。

 

 

「欲しい…欲しいぞジュデス」

「ご子息の恋人様なのでは?」

「そんな事は換刑ない。白髪緑目の俺とは対照的な色。引き込まれそうな愛らしさ…必ずモノにするぞ」

「…そんな事をなさったら、シオン様がーー」

 

 

 ジュデスがそう言った途端、ガディの目の色が変わり、殺気立った。

 

 

「貴様、死にたいか?」

「ッ…ガディ様、私の口が飛んだ事を。どうか無礼をお許しください」

「まるで、お前の口が勝手に物申したような言い方だな。…まぁ良い。この娘を俺のモノにする手伝いをするならばな」

「かしこまりました」

 

 *

 

 たった写真一枚で一人の男さえも魅了してしまうなんて露知らず、リンネはグッスリと寝ていた。何とも寝つきの良い少女は、傍に二人の男がいる事を理解もせず、静かに寝息を立てていた。

 一人、見覚えのない少年がいた。リンネと同い年にも見える幼い容姿の銀髪金目の少年。彼からは何処か、人間あらざる空気を感じるが、それは決して気の所為などではない。彼は人間みたいなちゃちなモノなどではない。『蛇の王』なのだ。

 

 

「ねぇ…ナルだっけ? 君」

 

 

 少年に名前を呼ばれた途端、急にビシッと気をつけをしたナル。

 

 

「大丈夫、別に俺は君を殺そうとは思わない」

「はい、王…」

「俺はそう…今生まれたばかりだけど、大半の情報は感じ取った。そうだ、自己紹介を忘れていたね。俺はバジリスク。名前はまだない」

 

 

 バジリスクはナルに手を差し出した。すると、彼は嬉しそうに手を握り、高揚した表情になって言った。

 

 

「私はナルです! そしてこの方が…」

「うん、無茶苦茶可愛い。この方が今回の帝王か。中々面白い娘だね」

「今回…?」

「バジリスクはね、前世の記憶を維持したまま生まれ変われるんだ」

 

 

 蛇の王はクスクス笑うと、寝静まるリンネの黒髪をそっと撫でた。

 

 

「本当に似ている。あの人に」

「あの人?」

「今は死んでしまったけど、『闇の帝王』だよ。今はこの子がそうなのか。まぁ、前と今とじゃ、素質も才能も似て異なるというか」

 

 

 バジリスクのこの時の懐かしむような表情は、何故か狂を感じられた。優しい微笑みのはずなのに、ナルには悪魔にしか見えなかった。

 




今日二回目の投稿。すみません、二回目なのでいつもの半分くらいですm(_ _)m
今回は、ちょっと不思議な男の人と、バジリスク&ナルの色々でした。ルークは手紙で明らかに話を盛っている。リンネが知ったら、きっとアバダをかますと思う。まだ使えないけど。書いてて思ったのですが、リンネ11歳だったよ...!! ロリコンだ事案だうわー...しかし、リンネは童顔卒業してるんでね良いんですよね。

新登場人物
【ガディナールス・シンシア】
現魔フィアグループ「フラッド」のリーダー。白髪に緑目という、一風変わった容姿。ルーク・シンシアの父親で、外見は20代前半だが、実際はもう三十路。騙されちゃダメ。ロリコryーー
ルシウス・マルフォイのように髪が長く、髪を後ろで束ねている。

【ジュラス】
ガディナールスの召使。ほぼ奴隷のような扱い。昔ガディナールスに命を救われた事があり、それを気に彼に忠誠を誓う。ビーバーのような顔で、出っ歯。木を与えると悲しい目で見つめられる。


一応本作でのバジリスクの説明
【バジリスク】
蛇の王とされるバジリスクは、鮮やかな緑色をしていて、体長が15メートルになる事もある。本作では20メートルと、かなり長い。オスは、頭のてっぺんに深紅の羽毛がある。巨大な黄色い目と自分の目が交わった者は、即死する。
バジリスクの本作のプラス設定
・体長が長いッ
・バジリスクは前世の記憶を維持したまま転生する
・その場所に宿った記憶や、知識を自分のモノにできる

やばいチート...
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