Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜 作:カドナ・ポッタリアン
シンシア家の館に滞在し始めて、一ヶ月の月日が経った。あまり目立った事件やらは魔法界でも屋敷でも起こらなかったが、リンネは正直そんな事はどうでもよかった。
この屋敷の地下にある大図書館の書物に、心を奪われてしまったのだ。毎日休む間も無く、新しい魔術を自らに叩き込み、知識を蓄えていた。サラザール・スリザリンの末裔であるだけあり、闇の魔術に関してはガディでさえも手を叩くほどの出来だった。完璧と言っても過言ではないかもしれない。時間は制限さえあれど、有り余るほどある。誰にも邪魔される事なく有意義な時間となっていた。
ちなみに、ナルはルークにしごかれてたくさんの魔法を習得していた。
ヴォルデモートその人を復活させる事が出来れば、再び魔法界を手中に収める事は出来るかもしれない。しかし、人を蘇らせる魔法など存在しない。「蘇りの石」なるモノがあるようだが、それは伝説上のモノらしい。非常に残念だ。
「許されざる呪文」、あれは確かに行使は難しかった。人に教えを請うというモノは我慢ならない事なので、あくまでも書物に頼り一人で学ぶ事となった。屋敷の地下の書物は、学校の不確かで曖昧な記述の勉強本とは違い、「闇の魔術」を行使する者のために書かれたモノだった。
リンネは、「許されざる呪文」を簡単に手に入る小動物で練習していた。蜘蛛、ネズミ、猫ーー何れもリンネによっていとも簡単に操られ、噎び泣き、最後には一瞬にして命を落とす。しかし、動物でいくら練習したとしても、実際に人間に使う時に自らに沿った効力を発揮するかが問題だ。動物を人間に変身させても良いが、それで本物の人間に効くかは分からないし、逃げ出してしまう恐れがある。尤も、リンネがそんな失態を犯すわけがないのだが。
そこで、リンネはルークに言った。
「『許されざる呪文』を人間に使いたい。誰か用意しろ」
ルークは驚きこそはするが、特に何も言わず笑顔で微笑んだ。リンネはルークに空いた広いスペースを用意させた。言ってみるとそこには、縛られた男がいた。やせ細り、ボロの服を着ている中年の男だ。
ちなみにリンネの『「許されざる呪文」を人間に初行使記念日☆』を見届けるのは、シンシアの親子とナルだけだ。
「…この男は?」
「こいつは、少し前に組織を売ろうとした男ですよ。元々処分される予定でしたので、好都合でした」
「そうか、後で儀式にも使いたいから、死体は捨てるなよ」
リンネが杖を取り出し、男に一歩近づく。彼は声にもならない悲鳴を上げるも、最後の力を振り絞って言った。
「お、俺を…どうする気だ」
リンネが答える間も無く、ガディは男に対して怒りをぶつける。
「偉大なる『闇の帝王』を前に何という態度だ! 帝王、この男は俺が殺します」
ガディはリンネが急激に力量を上げた事により、敬語を使わないという事に恐れを感じた。おまけに、つい一週間前に決闘をした二人だったが、強大な魔力と美しい闇を前にガディはひれ伏すしかなかった。故にガディも、すっかりリンネの下僕になってしまったわけだ。リンネ自身、タメ口で話されるのは嫌悪感を抱く理由の一つであったため、何の戸惑いもなく受け入れた。
「いや、丁度良い。私に逆らったらどうなるか…この男に、そして貴様等の眼の奥深くに染み込まれてやる」
リンネは縛られた男に杖を向けた。
「『クルーシオ 苦しめ』!!」
途端に男は言葉に現す事など出来ないほどの苦痛に襲われた。死んだ方がまだマシだった。こんな痛みを与えられるくらいならば、組織など裏切るべきではなかったーー男は頭の中でそんな事を考えた。
男の苦しむ叫び声を聞いていると、何だか楽しくなってきた。しかし、折角の玩具が壊れてはたまったモノじゃない。
「『ディフィンド 裂けよ』」
次は男の縄を切り裂き、彼を解放した。勿論逃すわけもなく、リンネは淡々と呪文を唱える。
「『インペリオ 服従せよ』」
リンネは心の中で、男に「自分で自分を殴り続けろ」と命令した。対して男は幸福感に包まれて、全てが素晴らしく感じた。全身が暖かさと幸せに守られて、頭の中に入ってくる命令に従いたくなった。
彼は自らの顔を、自らの拳を使って殴っていた。もう良いだろうとため息をつき、リンネは再び男を縛り付けた。さぁ、最後の仕上げだ。特に難する事もなく、人間にも簡単に呪文を使う事が出来た。しかし「死の呪文」はどうだろうか。
リンネは杖を振り上げ、自らに恍惚した様子で呪文を唱える。
「『アバダ・ケダブラ』!!」
緑色の線香が散った。目の前の男にもはや生気はなく、ただダランと項垂れるだけの肉と成り果ててしまった。
始めて、人の命を奪った。それにしても、命の光が失せるのはあっけなかった。これで本当に終わりなのかとも思った。物足りない気持ちに襲われたが、それよりも先に腹の底から笑いが込み上げてきた。
緑色の光と赤色の瞳が重なり、光の届かない闇を作り出していた。ただリンネは、遺体を前に笑っていた。
*
ナルも、「闇の魔術」に手を出し始めた。蛇にしては普通の人間よりも魔力は高いようだったが、五、六回使った程度でかなり体力を消費するらしい。リンネにしてみれば、いくら魔法を使っても全然疲れないのでおかしな話だった。そもそも、「死の呪文」なんて12歳の使える魔法じゃない。
もう少しで夏休みも終わる。宿題も買い物も終わらせたリンネにとって、その後の楽しみと言ったら魔法の鍛錬程度だった。しかし、リンネはあの死んだ男の体をフル活用した。
屋敷の地下図書館で見つけた闇の魔法薬の本、そこには人間の死体を使うモノがあった。それは、『狂へと駆られる水薬』だった。
これは長期間の効果を持つ薬で、服用した人間は日を重ねる毎に狂気を増していき、次第に薬を作った者に大きな憎悪を抱くようになるという。そしてついには、殺そうとかかってくるらしい。リンネはこれを、ある人物に飲ませたかった。皆さんもご存知の魔法界の英雄ーーハリー・ポッターだ。
あの魔法使いはかなり邪魔だ。英雄だからある程度の横暴は容認されるだろうが、流石に生徒を殺そうとしたらどうだろうか。ハリー・ポッターがリンネを殺したいと思うのは当たり前の事。雰囲気も瞳も闇の帝王そっくり。殺したいと思っても不思議じゃない。それを理由に人望の低下、力量のチェックを図りたかった。
そもそも、ハリー・ポッターはリンネを殺したい衝動に襲われてそれを必死で抑えている。そのストレスの原因をなくしてあげよう。
男の目玉、耳、爪、足首の入れられた不気味な魔法薬。今それはリンネの目の前で、透明な紫色の液体としてフツフツと滾っていた。
「ご主人様、それ私に飲ませる気じゃありませんよね?」
リンネが魔法薬を作っている所に、ナルが顔を覗かせてきた。
「違う。少し試してみたいが、お前は大事なペットだ」
「だからー、下僕ですってばー」
「ハイハイ…」
彼女は最後の仕上げに取り掛かった。杖を取り出し、魔力を杖先から出しながら、鍋をかき混ぜた。すると鮮やかな紫色はあっという間に水のような澄んだ透明になった。これでは、間違えて飲んでしまうかもしれない。しかし、別に誰が敵対しようと構わないので、彼女は鍋を混ぜ続けた。
作業を終わらせると、リンネはクリスタルの瓶に薬を詰め込んだ。かなり大量に作っておいた。ハリー・ポッターだけでは物足りないので、その仲間二人にも盛ってみようと思ったのだ。あまったモノは、ルークにノクターン横丁などで売りさばいてもらおう。それか、市場に「水」として出すのも悪くないかもしれない。
「とりあえず、今年も楽しい一年になりそうですね」
別にR指定は大丈夫じゃないかな。グロ描写とかあんまり出すつもりはありませんし。
今回リンネさんは、人を殺しました。薬を作りました。...本当に12歳? 流石は闇の帝王の血縁者。まだ、具体的にどういう関係なのかは明かされない予定ですが、彼女の才能と魔力は紛れもない本物です。純血という事もありつつ、ヴォルデモートより高い能力を秘めています。磨けばお辞儀野郎を殺せるはずです。
リンネ「私は魔法界を支配する。そしてマグルでさえも! あまつさえ私は...新世界の神となる!」
カドナ「ハイハイ、何処かの死のノートの主人公みたいにならないの」
人物紹介
【組織を裏切った男】
実は魔法省のスパイ。本名は考えていませんハイ。
細かい設定をツラツラ並べると、フラットの犯罪証拠を掴むために魔法省の「闇祓い局」より送られてきた優秀な闇祓い。しかし、組織の情報を持って戻ろうとした事がバレてしまい、捕まる。
リンネの最初の犠牲者。ばいにゃら
魔法紹介
【クルーシオ、苦しめ】
許されざる呪文の一つ。「磔の呪文」と呼ばれ、かけられた者はまるで死んでしまった方がマシだと思うほどの苦痛に襲われる。
かける人間の魔力の高さにもよるが、この呪文をかける上で一番大切なのは、「苦しめよう」と本気で思い、それを楽しむ事。
尚、同族である人間に行使した場合、アズカバンの終身刑に値する。
【ディフィンド、裂けよ】
対象を切り裂く魔法。生き物に使用した場合、対象の体に切り傷を負わす事が出来る。故に攻撃呪文としても使用が出来る。
【インペリオ、服従せよ】
許されざる呪文の一つ。「服従の呪文」と呼ばれ、相手を意のままに操る事が出来る。これは暗黒時代に魔法省が一番手間取った呪文として知られる。操られているかそうでないかを見分けるのが、非常に困難であるからである。対象は、忽然とした幸福感に襲われる。
尚、同族である人間に行使した場合、アズカバンの終身刑に値する。
【アバダ・ケダブラ】
許されざる呪文の一つ。「死の呪文」と呼ばれ、外傷無しに相手の命を一瞬で奪う。反対呪文など存在せず、防ぐ方法はない絶対の呪文。しかし、強大な魔力が必要なため普通の魔法使い等には使う事は出来ない。
これを受けて生き延びたのは、ハリー・ポッター唯一人。
尚、同族である人間に行使した場合、アズカバンの終身刑に値する。
魔法薬紹介
【狂へと誘う水薬】
服用した人間は日を重ねる毎に狂気を増していき、次第に薬を作った者に大きな憎悪を抱く。そして最後にはその者を殺そうとするらしい。
闇の魔術の分類で、作るには自らの魔力と人間の四肢やパーツを入れなければならない。