Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜   作:カドナ・ポッタリアン

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第三十 ホグワーツの一騒動

 

 夏休みが終わってしまった。三ヶ月という長期間の休暇だというのに、全く長く感じなかった。寧ろ物足りない。しかし、闇の魔術に関する研究や実験も出来たので、成果的には満足だと言えるだろう。

 リンネは最初の裏切り者の男を殺してからも、人間を集めた。目的は、闇の魔術を人間に使うとどうなるのかという実験だった。やはり動物に使うよりも手応えがあり、より面白いデータも取れた。ルークは絶対に手に入れたい。彼の父親の権力などを使えば、(マウス)なんていとも簡単に手に入る。

 魔法とは、本当に素晴らしい。

 シンシア家の煙突飛行ネットワークを用いて、リンネとルークは9と4分の3番線までやってきた。人混みをかき分けて、彼等は紅の汽車へと乗り込んだ。

 

 *

 

 ホグワーツへ戻ると、リンネがまず最初に確かめたかったのは、「秘密の部屋」の存在だった。シンシアの屋敷の図書館を漁っていると、スリザリン関連の書物も勿論見つかった。そこにも勿論「秘密の部屋」の存在だって書かれていた。

 バジルの話だと、「秘密の部屋」へ入るには3階の女子トイレに行かなければならない。しかし、「嘆きのマートル」とハリー・ポッターがいる限り、再び部屋を開ける事は難しいだろう。前回は、何らかの手段を使ってヴォルデモートが部屋を開けさせたという。その時は、ハリー・ポッターに殺されたとか何とか。そして、一つバジルの言葉で気がかりがあった。

 

 

「俺はハリー・ポッターの殺された時、若き先代の帝王に操られました。その帝王は、実体はほぼないに等しかったけども、一人の赤毛の少女に乗り移ってマグル生まれや猫を襲いました」

 

 

 それは、約37年前に起こった事だったが、その時はヴォルデモートは力を失っていた。故に、若りしの先代が部屋を開く事など出来ない。その時点では既に50歳以上はいっているはずだし、そもそも魂のような存在になっていたと聞いた。それなのに何故、部屋を開ける事が出来たのか。

 それはハリー・ポッターやその他の人間に、探りを入れる必要がありそうだ。

 ゴーストを成仏させる魔法は、あの屋敷で手に入れた。闇の魔法の部類ではなかったが、それはそれで高度な魔術のようで、並みの人間には扱えないらしい。そもそもゴーストは、この世に留まりたくてどうしているわけだ。その強い意志を魔法だけでねじ伏せるのは、簡単な事ではないだろう。

「嘆きのマートル」は問題なし。次にハリー・ポッターを始末しなければ。

 もし彼が死ぬような事があれば、疑いの目は真っ先にリンネへと向けられる事だろう。ハリー・ポッターを恨んでいる人物はいるだろうが、リンネが最重要候補だ。闇の帝王の血縁者、仇でもある男を殺しても何ら動機に不思議はない。だからリンネは、自ら手を下す事が出来ない。しかし、リンネと疑う余地もなかったとしたらどうだろうか。

 さて、そしてこの薬をどうしようか。

 

 ちなみにナルに関しての事だが、一般の生徒として授業に参加する事は許可されなかった。彼は蛇であるし、本来ならば杖を持つ事は出来るはずがない。クロート教授曰く、「ぼっちは解消されたから」という事で、ナルの人間化は禁止された。ただでさえ危ない魔術を使っているのだから、仕方ない。その代わり、ナルはリンネと何処でも共に出来るようになった。蛇語を話せるので、授業中でも先生にバレずに話す事だって出来る。

 一応、二年生に入って取り巻きも出来た。一年の時に培った人望と悪徳、そして美しさを駆使して、彼女の周りには必ずスリザリンの生徒がいるようになった。他寮からはリンネはあまり良い目で見られてはいないが、衰退しつつある純血主義を肯定しているわけではないので、特に目をつけられる事はなかった。

 基本的に取り巻きのリーダーはオールとナインだが、女子だって勿論いた。リンネは性なんて気にしないが、その女子達はどうやら同性という事もあり、リンネが少なからず贔屓してくれるのではないかなと思ってもいた。

 リンネの取り巻きの多くは、彼女の才能、血筋、容姿に惹かれた者達だった。そして多くが、彼女の瞳に心を奪われた。たくさんの考えや思いを持って、その取り巻き達はリンネの下に集まった。その様子は、学生時代の先代に等しかった。

 そんなリンネを見た英雄達は、校長室でマクゴナガルと眉を潜めていた。

 

 

「リンネ・ゴーントが、徐々に生徒達の人望を集めているそうですね」

 

 

 厳格な校長は、ため息をついてソファに座る。すると、その近くにかけられている最も偉大なる白髭の魔法使いは、楽し気にこう言った。

 

 

「ヴォルデモートも、かつては取り巻きを集めた。しかし、彼女までそうとは限らない。まだ純血主義を見せている様子はないのじゃろう?」

 

 

 ハリー達はマクゴナガル先生の向かいのソファに座り、ダンブルドアの懐かしい姿に心を休めた。いくら肖像画言えど、その人物の思いがつまった大事な品だ。ダンブルドアの分身と言っても過言ではない。彼の形見を、ハリー達は肌身離さず持っていた。ダンブルドアのペットである不死鳥のフォークスは、新たな主人を求めて世界中を飛び回っているという。あの美しい彩りの奏でる、凛々しい歌声を再び耳に入れたかった。

 

 

「授業の様子はどうですか?」

「ミス・ゴーントは、本当に優秀な生徒です先生。それに、笑顔は見せないけどとても良い子よ。あの子がヴォルデモートの血縁者だなんて考えられないわ」

 

 

 ハーマイオニーはハキハキとそう言う。魔法省での仕事も楽ではないようだったが、今は懐かしのホグワーツで長期間ハリーとロンと共に教鞭を取る事が許され、彼女の中には余裕ができていた。ハーマイオニーの屋敷しもべ妖精に対する鋭い考えは、今は魔法界全体に取り入れられ、その制度はなくならずとも妖精達の扱いは良くなっているらしい。

 リンネの授業態度は、ハーマイオニーにとって鏡を見ているようだった。自分と同じ、模範的で優秀な生徒。否、それ以上の実力を持った少女なのだ。

 

 

「闇の魔術を使った形跡などは?」

「僕等が見た感じは、特に普通の生徒です。ただ…ちょっと取り巻きが過激ですね」

 

 

 間抜け顔のロンは、薄ら笑いを浮かべながらそう言う。

 リンネの取り巻きは、少なくとも彼女の周りに五人はいる。彼等はリンネの近くにいる事を誇りに思っており、例え相手が先生であろうとも、リンネを冒涜したり丁重に扱わなかったりすると、考えられるうちで最もあくどいやり方で復讐をしてくる。それがスリザリン全体からだから厄介だ。

 勿論リンネが指示した事ではないのは分かっているので、彼女を厳しく罰するわけにもいかず、現状が続いているのだ。

 

 

「ポッター、貴方はどう思いますか? リンネ・ゴーントについて」

「…そういう先生は?」

「私はそうですね…純粋な少女だと思いましたよ。蛇を片手に感情を見せずとも、私の話をすんなり受け入れ、適切な対応もしました。極めて冷静で、頭の良い生徒だと一瞬で確信しましたね。入学してからは、組み分け帽子の一件もありましたので、中々困惑しました。あれで組み分けが良いわけがありませんが、帽子がそう判断した事ですので、仕方ありません」

「組み分けの事は、魔法省でも話題になってるわ」

 

 

 ハーマイオニーが口を挟んだ。リンネの組み分けの件は、ホグワーツでは禁句となってはいるが、いつの間にか魔法省でも知れ渡っていた。ただでさえヴォルデモートの血縁者がホグワーツに入学した事も秘密となっているのに、情報漏洩どころの話ではない。リンネ=ヴォルデモートという、闇の帝王が少女に化けているという仮説を立てる者さえいた。

 

 

「あくまでも、噂にすぎませんよ。…ヴォルデモート卿は死にました。死体もあり、死喰い人達だってアズカバン送りです」

「分霊箱は全部破壊した。だから、あいつがゴーントに化けているという事はないはずだ」

「そうよ」

「…でも、彼女を見た時、30年ぶりに傷が疼いた。あながち、間違ってないかもしれないね。ゴーントがヴォルデモートというのは」

「ポッター、貴方は最初は…いえ、何でもありません」

 




今回は、主人公であるリンネちゃんが一度も喋らずに終わるというモノでした。正直、何万字も書ける他の作者さん、尊敬します。ハリポタ二次を読み漁っていると、長くしなければ逆に読み辛いという事に今更気がつく私がいた。
次回からは、徐々に長めにしていくかな? それとて毎日更新が出来ると良いのだけど...
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