Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜   作:カドナ・ポッタリアン

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第三十一 英雄達へ捧げよう

 

 

 

 クリスマスの時期に入った。2年生は特に問題なく、着々と下僕も集まってはいるが、ハリー・ポッター達に薬を盛る機会が見つからなかった。何しろいつも3人行動で、薬を入れる時間がない。近い人間に「服従の呪文」をかけても良いが、見つからないとも限らない。あれは、強い精神力があれば跳ね返す事が出来る。ホグワーツ生にそんな人間がいるとは思わなかったが、逆にリンネでなくてもホグワーツ生では不自然だ。

 しかし、今は「クリスマス」だ。プレゼントにお菓子でも作って、その中に紛れさせておけば簡単に盛る事が出来るだろう。無難だが、案外効果的かもしれない。ハリー・ポッターは糖蜜パイが好物らしい。ロン・ウィーズリーはポピュラーな蛙チョコレート。ハーマイオニー・グレンジャーは魔法界のお菓子よりも、マグルのお菓子の方が好きらしい。あえて挙げるとするならば、スコーンとの事。

 リンネは薬を盛る事に全精力を使うつもりはなかった。あくまでもオマケとしてやっているだけだ。

 さて、今は薬の件についてだ。下っ端の方にお菓子を調達させて、そこにバレないように薬を忍ばせる。箱に簡単な魔法をかけて、クリスマスプレゼントとして匿名で送れば、とりあえず食べてくれるだろう。魔法でお菓子に触れると、リンネに伝わるようにもし、足がつかないようにお菓子を送った。

 今年ルークは7年生。今後にも関係する重要な「N.E.W.T(いもり)」という試験があるので、あまり絡んでこなくなった。いくら首席様と言えども、やはり試験は重要らしい。正直、これから徐々に勢力を広げ情報を集めようというリンネにとって、これほどの好機会はなかった。

 

「オール、ナイン、『不死鳥の騎士団』というモノを知っているか?」

 

 唐突にリンネは、図書館で本を読みながらそんな事を言いだした。何だか聞いた事はあったモノの、その実態を知らないオールとナインは首を横に振った。

 これはダンブルドアが何十年も前より結成した、対ヴォルデモートの組織だ。要は反逆者の集団という事。リンネは此処までしかしらなかった。魔法界に精通している二人が知らないとなれば、あまり世間の目に触れるような組織ではないという事か。

 故に、父親がハリー・ポッターであるアルバス・ポッターに、その夜リンネは尋ねた。

 

「アルバス、『不死鳥の騎士団』という組織を知っているか?」

「…はい、存じ上げておりますが」

「その組織は、現在は活動を行っておらず、先代に刃向かった者達の組織と聞いた。間違ってはいないか?」

「はい。…それが、どうかされたのですか?」

「いや、気になっただけだ」

 

 ホグワーツ卒業後にリンネが何か活動を行ったとしよう。その時に組織が動かないとは限らない。出来るだけ多くの情報を在学中に手に入れておきたかった。

 

「では、詳しい情報をお前の父親から引き出せ。ただ、こちらの事については感づかれるな。あくまでもお前が興味を持った…という事に」

「承知いたしました、ヴォルデモート卿」

 

 アルバスは頭を下げ、姿を消す。ナルは執拗にリンネの腕に絡みつく。大蛇ではない普通の細い蛇だが、このくらいが丁度良いとリンネはいつも思っていた。先代はナギニというメスの大蛇を飼っていたというが、それでは一緒に行動がし辛いだろうにとも思っていた。

 バジルは現在ホグワーツをウロウロしているとの事だ。「嘆きのマートル」については、早々に片をつけようとリンネは動き出した。

 真夜中ーー姿を消し向かった先は、「秘密の部屋」の入り口である3階の女子トイレ。何故女子トイレなのだろうか? スリザリンは変態だったのだろうか? とも思っていたが、調べた結果、当初の入り口は女子トイレではなかったらしい。

 珍しくホグワーツはマグルの文化である「配管工事」を取り入れたため、部屋が露見する事を恐れた当時のスリザリンの末裔が、密かに部屋を別の場所に移したという。しかしながら…何故女子トイレなのだろうか? その末裔は変態だったのだろうか?

 そんな事、今は関係ないが。

 リンネは杖を手に女子トイレへと忍び込んだ。中に入ると、牛乳瓶の底のような眼鏡をかけたおさげのゴーストが手洗い場に腰掛けていた。

 

『アタシに何か用?』

「…そうだな。用事だ」

『何かしら? アタシを馬鹿にしにきたの? 「ブスのマートル」って』

「別に。容姿なんてどうでも良い」

『良く言うわね。美人は怖いわぁ』

 

 マートルはキャハハッと笑う。リンネは周りに防音の魔法をかけ、マートルが逃げられないように日本という国の特殊魔法の一つ「結界」張った。日本は一部の国としか交流しておらず、故に独自の魔法が誕生したという。その興味深い魔法を扱い、マートルは結界内から出る事が出来なくなった。

 ゴーストに関する魔法は、二つの種類がある。一つは「成仏させる」、これはかなり高度な魔術の分類に入っており、使える人間は極僅か。莫大な魔力と精神力がないと使う事の出来ない代物だと言われている。

 もう一つは「魂毎消し去る」、これもかなり高度な魔術に分類されており、”闇の魔術”である。これを使うと、術者の魂は黒に染められるとされるが、命に別状はないようなので構わないだろう。こちらも莫大な魔力と精神力、そして真の悪の心が必須だとされている。勿論、熟連した闇の魔法使いでも行使は難しい。

 

『キー! 何をする気なのッ!!』

「喚くな。貴様には、我が目的のための犠牲となってもらおう。この世に未練があるようだが、トイレに留まっていても良い事はないだろう?」

『…ッッ』

 

 マートルは何も言えなかった。確かに未練があって残っているわけだが、彼女が死んだ要因となったオリーブ・ホーンビーは既に亡くなっているし、生徒達には好かれる事はない。それなら新しく生まれ変わってしまう方が良いだろう。特にゴースト生と楽しんでいるわけでもなさそうだし。

 

「本名は確か…マートル・エリザベス・ウォーレンだったな」

『何で知ってるのよ』

「色々調べさせてもらった。まぁどうでも良いが」

 

 リンネはマートルに杖を向ける。彼女はどうにか逃げ出そうと結界に体当たりを繰り返していたが、無駄骨だ。結界が破れる事なんてありえない。何故逃げようとするのか、リンネには分からなかった。

 

「逝くのが惜しいのか? 安心しろ、灼熱の地獄に送ってやる」

 

 彼女は笑いながら、マートルに向かって呪文を唱えた。

 

「『デミア・ダンズ・レンター 闇の地獄へ逝け』!」

 

 途端にマートルの体は闇の包まれた。残された少ない時の中で彼女は考える。まだ逝きたくないーー確かにオリーブ・ホーンビーに仕返ししてやりたい気持ちでゴーストになった。しかし彼女には、いじめてこない好きな人がいた。

 ハリー・ポッターだ。ずっと前までホグワーツにいて、優しく接してくれて、あまり会いに来てはくれなかったけど、またこうやってホグワーツへと戻ってきてくれた。まだ彼に言っていない。まだ彼にーー「ありがとう」と言っていない。

 

『まぁ…逝きたくない…!!』

 

 しかし強大な闇の魔力に成す術はなく、マートルは静かに涙を流した。

 

 全てが終わったトイレは、信じられないくらい静かだった。逆に静寂が木霊して、無価値な耳鳴りを引き起こしていた。リンネは再び姿を消すと、結界と防音魔法を解いた。

 

「これで、邪魔者は一人消えた」

 

 彼女の口元には、妖艶な笑みが浮かんでいた。

 




今回は、まぁ色々ある回でした。
「不死鳥の騎士団」は現在は活動を行っていないけれど、リンネが二代目ヴォルちゃんとして活動し始めれば再び動き出すでしょう。
そして友人に、「吸魂鬼は魔法省の腐敗を意味する事だから、もう使ってないんだよ」と言われました。分かっていた事ではあるのですが、気がつけば投稿をしていましたので、吸魂鬼に関しては本作では”現在もアズカバンの警護に当たっている”という事になります。
ヴォルちゃんはホグワーツ卒業後に、ボージン・アンド・バークスで働いていたようですが、リンネちゃんは今の所そんな事しませんよハイ。
ちなみにナルが大蛇じゃないのは、リンネの服の中に入って一緒に行動出来ないからです(笑)


【日本の特殊魔法】
本作オリジナル設定。
歴史でいう、江戸時代の「鎖国」の時に発展した魔法。他国から影響を受けていない独自の魔法は、現在は様々な国が注目している。

【デミア・ダンズ・レンター 闇の地獄へ逝け】
オリジナル魔法でありんす。
これを受けたゴーストは闇の魔力に包まれ、地獄へと堕ちていく。ゴーストを消す方法の一つとして挙げられる魔法である。
こらそこ、厨二病とか言わない。


マートルはまぁ...可哀想な奴なんですよ。さぁ、みんなで黙想して彼女を地獄へ送ってあげましょう。ハイ、もくそー!
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