Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜 作:カドナ・ポッタリアン
それからというモノ、英雄達に変化が起きた。それは、授業中でのリンネに対する態度だった。3人共リンネを嫌悪し始めた。授業中は生徒達の目もありあまり目の敵には出来ないが、その瞳に煌めく光は確実に、リンネを「敵」として見ていた。
ハリー達は強く自制していたはずなのに、リンネに対する憎悪が前よりも大きくなっているような気がした。目の前の赤い瞳を潰したくて、手足をむしり取りたくて、「許されざる呪文」を使ってでも深く傷をつけ、苦しめてやりたいとさえも思った。
「ハリー、校長室にやっと、スネイプ先生の肖像画が飾られたそうよ。彼の功績は、やっぱり称えられるべきね。今度行きましょう?」
「そう、だね…」
ただ、ハーマイオニー・グレンジャーはそれほどまでに憎しみは抱かなかった。確かに魔法薬の効果は効いているが、彼女自身の恨みがそこまでなかった事が原因だろう。しかし、機会があったら殺してやりたいとは思っているはずだ。
セブルス・スネイプは、ヴォルデモート卿でさえも破れなかった「閉心術」を備える二重スパイ。愛する人間のために全てを押し殺し、冷酷に振る舞うしかなかった可哀想な人間との事だ。彼の功績は死後に称えられたらしい。リータ・スキーターがハリー達の
リンネはその本を見るや否や、魔法でバラバラに切り裂いた。裏切り者を讃える本だなんて、読む価値も存在する価値もない。これは早急に、著者のリータ・スキーターに会って話をする必要がありそうだ。
吸魂鬼の警備は何やら解かれ、闇祓いのみの警備となった。理由を挙げるとすれば、学校側と保護者が抗議した事と、リンネの危険性が見えなかったからだとアルバスは言っていた。勿論、今後リンネに何か動きがあれば、吸魂鬼は戻ってくるだろう。
しかし、ホグワーツを取り巻いていた黒い冷たい空気は、いつの間にか消えていた。リンネは、吸魂鬼が撤退する前に彼等に指示を与えた。
「私は今後、ホグワーツで目立った行動をする予定はない。しかし、私がホグワーツを卒業して人を殺し始めたらーー」
リンネが今後行う事を、彼女はいくつか計画立てていた。そのうちの一つが、秘密の部屋の入り口を複数設置する事、現在の入り口の撤去だ。ハリー・ポッターは現在パーセルタングを使う事ができないとの事だったが、仮に秘密の部屋を開いたら真っ先にあの女子トイレの所に向かうだろう。
マグル文化を取り入れた配管工事でバレる事を恐れたのだから、物理攻撃で見つかるという可能性はゼロではない。入り口を複数作る理由は、部屋へ行く度に同じ場所に行かなければならないというのは怪しまれる可能性があるし、もしもの時の逃げ道を確保するためだ。
しかし現在は、そのような状態としては少し不安定だった。アルバスはこの日、ハリー達に呼び出された。何事かと思えば、彼等は空き教室で、切羽詰まったようにアルバスに迫った。
「アル、リンネ・ゴーントを殺せ」
ハリーは冷たくそう言い放った。アルバスは、温厚で優しい父の姿を知っていた。故にこの父親は、全く別人のようにも思えた。アルバスはリンネに心酔していた。今更光の道に戻るつもりなんてないし、父親のいう事を忠実にきく良い息子でいるつもりもなかった。アルバスは、彼等が薬を盛られているという事を知らなかった。
彼は目の前の殺意に溢れた父親を見ていると、とても悲しくなってきた。
「何で? 何で僕がそんな事をしなければならないの?」
「お前はあいつを常に監視しているだろう? それなら殺す機会はいくらでもあるはずだ」
「嫌だね。殺したいのなら、父さん達が殺せば良いじゃないか」
アルバスは反抗の態度を見せると、ハーマイオニーが宥めてきた。
「ねぇアル、よく考えてみて。あの子はヴォルデモートの血縁者で、蛇語使いで、あいつと同じ目を持っているのよ。ただでさえ、ヴォルデモートと繋がりがあるだけで恐れられる存在…死んだ方が魔法界のためになるわ」
「…父さん達は、僕に罪を背負わすって言うのか? 自分達では何もせずに!」
「まさか。あいつは『闇の帝王』だぞ。大義名分じゃないか」
「なら自分達でやれよ。僕はもう、父さんの指図なんて受けないから」
その後、アルバスはその事をリンネに報告した。すると、彼女は一人で高らかに笑っていた。その理由が、アルバスには全く分からなかった。ただ寮のベッドに座り、ナルを指に絡ませてハリー達がリンネを殺せと命令してきたと報告しただけなのに、一体何がおかしいのだろうか。それを聞くまでもなく、彼女は笑いながら答えた。
「いや、かの英雄ハリー・ポッターも…所詮はそんな人間だって事だ。自分の手を汚すのが嫌で、馬鹿で、息子に罪を負わせるような真似をする…アル、自分の両親に失望したか?」
「えぇ。本当に…」
「アル、一人で背負込む事はない」
リンネはベッドから立ち上がると、ナルを振りほどいて跪くアルを優しく抱きしめた。途端に彼は甘い香りで包まれ、顔がほんのり赤くなった。
「ゔぉ、ヴォルデモート卿…僕はーー」
「今は黙って…静かにしていれば良い」
アルバスは嬉しさだけが心に留まり、興奮して息をするのも難しくなった。
「なぁアル…お前は、ハリー・ポッターにとっては、ただの駒にすぎない。自分の思い通りの動かすための手駒…」
「手駒…?」
「そうだ。お前を『闇祓い』につかせたのも、私の監視に当たらせたのも…全ては自分のためでしかない。優秀な息子が働けば、親の株は上がるからな…お前は、ただの『操り人形』としてしか見られていない」
リンネは固まるアルバスを尻目に言葉を続ける。ナルは手出しをする事ができなかった。それは、リンネが明らかに悪い顔をしていたからだ。邪魔をすれば、確実に殺されると感じ取った。
「誰からも愛されていない。優秀な兄と可愛い妹ばかり両親は贔屓する。お前は誰からも見てもらえない。いつもいつも兄の背の後ろ。前に出たくても邪魔される…そう、お前に今まで向けられてきたのは愛ではない。『偽り』だ。お前は必要とされていない。だって、代わりなんていくらでもいるからな」
「ッ…」
アルバスの瞳からは、涙が溢れてきた。そうだーー父さんも母さんも、いつも兄さんと妹ばかりを褒めて、僕の事はこれっぽっちも気にかけてくれなかったじゃないか。リンネの言葉は甘くて、厳しくて、アルバスの心を支配していた。
「なぁアルバス、私はお前を必要としている。私はお前が…お前が欲しいんだ、アル」
「ご主人様はこんな僕を…愛してくれますか?」
「あぁ愛す。愛すさアル。私がお前を守るし、信頼するし、必要とする…そして心からの愛情を注ごう。この印に、免じて」
リンネは抱きつくのを止め、アルバスの左腕を捲った。ローブの下には、かの「死喰い人」達に刻まれた「闇の印」。ヴォルデモート卿の印だった。リンネの魔力を多く秘めた腕の印は、骸骨の口から蛇でニョロニョロと出ているような印ーー全盛期と同じだった。ヴォルデモート卿に永遠の忠誠を誓った者こそが刻む事の出来る印。
この印は一生消す事なんて出来ない。リンネを裏切ろうとすれば、「磔の呪文」の何倍にも強力な苦痛が体を襲う。そして考えを改めるまで、その痛みは止む事などない。高度な闇の魔術ではあるが、リンネは一年生時からいとも簡単にそれを使っていた。本当に恐ろしい才能だ。
「あぁ、誠に嬉しゅうございます、ヴォルデモート卿。ポッターとはもう縁を切りましょうか」
「いや、まだ良い。それは、私がホグワーツを去る時にしろ。それまでは、スパイとして、私に貢献してくれ。その後も、仕事はまだたくさんあるが…勿論やってくれるな? アル?」
「えぇ、勿論でございます」
リンネは満足気に笑うと、立ち上がって再びベッドに座った。アルバスも立ち上がって深くお辞儀をすると、瞬く間に姿を消した。一人で目を閉じるリンネの口元には、邪悪な笑みが浮かんでいた。
英雄の父、優秀な兄と妹、自分はただ一人だけ平凡。そんな自分に手を差し伸べ、愛する、必要していると言うご主人様が愛おしくて愛おしくて仕方がない。
アルバスをそんな状態に仕立て上げたかったカドナです、どうも。洗脳とまではいきませんが、これでアルバスはリンネを裏切る事など考えもしなくなるでしょう。ただ終焉のその時まで、リンネに仕え続けるーー死喰い人は悲しいモノです。忠誠を誓うのは一瞬なのに、苦しみは永遠に続くんですモノ。人によっては、ですけどね。
カドナ「良い事言ったあァアア! 私ィいいイイ!!」
リンネ「ハイハイ。ならもっと投稿早くしろカドナ、...『アバダ・ケタブラ』」
カドナ「『プロテゴ』! へっへぇ〜ん( ̄ー ̄ )ドヤア」
リンネ「死の呪文は、いかなる守りも効かないぞ」
カドナ「えっ...ッぐわぁあっ!」