Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜 作:カドナ・ポッタリアン
これが私のバレンタインプレゼントです。どうか受け取ってください。
現在のホグワーツ魔法魔術学校には、たくさんの有望な魔女や魔法使いが集まっている。由緒正しい家系の純血、暗黒時代より生き抜いてきた死喰い人の子、新たに勃発した闇の組織の子ーー闇祓いの仕事が絶えない理由は、そのような者達の入学を許しているからだ…という意見もある。
しかし、将来闇に染まって生きるのはそれ等の人間だけではない。
正義と思われてきた白の影に隠れて、悪どい事を繰り広げる人間はたくさんいる。光には必ず影がある。人間の欲とは恐ろしいモノだ。
鷲寮の王子と呼ばれたその人もまた、闇に堕ちかけていた。
他国の文化に惑わされ、自らの欲を制御する事のできない無邪気で純粋で無垢な魂は、いとも簡単に闇へと染まる。全てで自分の思い通りになると思い、それを疑いもしない。財力と権力の後ろ盾に威張り、自らの素晴らしさに酔いしれる王子は、いつしか嫌われるようになってしまった。そんな王子が求めるのは、一時の癒しだった。
「主、客人でございます」
鷲寮の王子は、自らが手を出した相手が一体何者なのかを理解していなかった。理解する間もなかったのだ。
黒ずくめの召使も減ってきた。適当に遊んでやった女の忘れ形見だが、それほど大切には思っていないから、別に構わない。
主と呼ばれたその人の名は、ベアウト・ファンクス。ファンクス家次期当主でありながらも、まだ子供らしさが抜けていなかった。今年は「OWL(ふくろう)」試験の年だが、勉強をする気にもなれない。
夏休みのある日の事だった。彼の家に、一人の客人が舞い降りた。「
ファンクス家は暗黒時代時にも存在していたが、死喰い人とは関わっていない。寧ろ傍観していたような立ち位置にあった。それなのに、一体死喰い人の男が何の用なのだろうか。
客間に死喰い人を通すと、ベアウトは心の震えを抑える事が出来なかった。下手をすると殺されてしまうーーそんな恐怖だった。現在屋敷に両親はいない。いるのはベアウトと忍、使用人達だけだった。
闇祓いをすぐに呼ぶようにと忍に命じ、彼は闇の使者の待つ部屋へ足を踏み入れた。客人はこちらへ真っ直ぐと視線を向けた。ゾワリという寒気が彼の背中を襲い、冷や汗が流れてきた。
「怖いか? 恐ろしいか?」
死喰い人は楽しそうに笑った。その声は若かったが、何故だか魔力を感じられた。ベアウトは足の震えを抑え、死喰い人の目の前のソファに腰掛けた。
「朗報だファンクス。ご主人様は貴様の愚行を許すと…仰っている」
「ご、ご主人様?」
「そうだ。かの有名な、偉大なる闇の帝王ーー『ヴォルデモート卿』だ」
「ゔぉ、ヴォルd…ッ」
ベアウトの頭の中にはたくさんの考えが浮かんだ。例のあの人は死んだ、なのに何故、何故自分が彼に関わる事をしたのだろう…という恐怖。直々に死喰い人まで寄越すという事は、よほどの事をしてしまったに違いない。きっと、そうに違いない。
「ぼ、僕は一体何を…」
「我がご主人様に使用人を送り込み、身辺を調査させたな。おまけに写真まで大量に…!! これは、ご主人様の部下として許しがたい行為だ…!!」
「えっ、それってもしかしてリンネ・ゴーンtーー」
「ご主人様の名前を気安く呼ぶな、この豚めが!」
「豚ッ…」
地味に傷つく言葉を浴びせられてしまった。しかし、ご主人様とはどういう事だ。リンネ・ゴーントの事なのだろうか。確かに忍の調査だと、サラザール・スリザリンの末裔とあったが、もしやヴォルデモート卿の血縁では…?
またもや冷や汗をかいてしまうベアウト。しかし心を落ち着かせ、ゆっくりと言葉を発する。
「あぁ、少し興奮してしまったようだ。まぁそういう事だ。もし次にそんな事があれば、貴様は家族もろとも問答無用で殺される。それだけは覚えておけ」
死喰い人は立ち上がると、杖を取り出して姿をくらまそうとした。ベアウトは慌てて死喰い人を引き止めようとする。そろそろ闇祓いが駆けつけてくる頃だろうし、聞きたい事は山ほどあるのだ。しかし彼は最後にこう言った。
「この話は他言無用だ。誰かに話したら、すぐに我々に分かる。もしそんな事をしたら…貴様等全員『磔の呪文』で嬲り殺しにしてくれる!」
バチッという破裂音と共に、死喰い人は姿を消した。ただ一人残されたベアウトは、その後すぐに駆けつけてきた闇祓いに保護され、事情を聞かれたが、ベアウトはただ黙って首を横に振るしかなかった。
学校に戻ってから、ベアウトはスリザリンの連中を避け始めた。現在スリザリン生は皆、リンネ・ゴーントの下僕も等しい状態になっているという。そんな連中に近づいたら、自分は何をされるか分からない。廊下や大広間でリンネ・ゴーントを見かければ、すぐさま逃げる習性がついてしまった。
そんなベアウトを、レイブンクローの人間は不審に思った。確かにリンネ・ゴーントは恐ろしいとは思うが、それは周りの人間の凶暴さが酷いだけだと思っているだけだ。
彼等は知らない。リンネが談話室でパーセルタングを使い、皆を怖がらせている事を。
彼等は知らない。リンネがヴォルデモート卿の血縁者であるという事を。
中々ストーリーが進まんなぁどれもこれも、街にキャッキャウフフしてるカップル達のせいだ!