Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜   作:カドナ・ポッタリアン

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第三十五 憎悪と嫌悪と闇祓い

 

 

 

 学期末試験が近づいてきた。皆せっせと勉強に勤しみ、五年生と七年生は、将来に関わるテストに向けて死に物狂いで筆を走らせていた。この時期になると、お守りや脳を活性化させる偽物のグッズが流通し始める。スリザリン生はともかく、馬鹿な人間が多いグリフィンドールせいは、騙し騙され、体を壊す生徒も珍しくはなかった。

 ハリー・ポッターにとってこういう偽物グッズは、学生時代を思い出させる楽しいモノであったが、残念ながらそんな事に気を取られている暇はなかった。

 日を重ねる毎に、リンネ・ゴーントを殺したい、苦しめたい、顔を歪ませたいーーそんな汚い黒い感情が果てしなく湧いてくるのだ。その感情は、ロンやハーマイオニーは同じだった。そしてある日、夕食の席でリンネの笑顔で見えたかと思うと、もう我慢がきかなくなってしまった。

 

「ヴォルデモート! 殺してやる!!」

 

 ハリーは杖を取り出し、教職員テーブルから飛び出し、リンネを強く睨みつけた。対して彼女は、満足そうな顔をしていた。ロンやハーマイオニーも止める様子はなく、同じく杖を抜いてリンネに向けた。

 

「ポッター! 場をわきまえなさい!」

 

 マクゴナガルは同じ杖を取り出してハリーの杖を武装解除しようとするも、あえなく無言で弾かれてしまった。周りの生徒達は悲鳴を上げて後ろの方へと避難した。スリザリン生は皆、杖を取り出し、リンネを背にしてハリー達に敵対心を丸出しにした。

 双方とてつもない殺気で満ちており、一年生などは気絶寸前だ。リンネは皆の影でニヤリと笑った。薬は成功。スリザリン生からの人望もバッチリだ。

 これで生徒達は、少なくとも英雄に対する印象が変わるだろう。

 

「ヴォルデモート! フレッドの仇を取ってやる!!」

「今まで皆が受けてきた苦しみを、今此処で味あわせてやるわ!!」

「出てこいヴォルデモート! 卑怯だぞ!!」

「卑怯とは、こちらの台詞ですよハリー・ポッター」

 

 リンネは笑いを押し殺して言う。念のため杖は出している。早く誰かに攻撃してくれないモノだろうか。

 

「ポッター、お止めなさい。そんな事をしても、もう何もありませんよ」

 

 マクゴナガルはどうにかハリーを落ち着けようとしている。力で鎮火させるのは難しいと判断したのか、言葉で説得をしようと試みたのだ。しかし残念ながら、彼等の意思は自らのモノではない。魔法によって操られた結果だ。どんな言葉を投げかけようが、それが心に届く事はないだろう。

 

「先生だって…あいつを殺したいはずです! リンネ・ゴーントは、少女の姿を借りた”悪魔”です! ヴォルデモートその人なんです!」

「あの人は滅びました」

 

 ハーマイオニーの爆弾発言で、大広間は大パニックとなった。リンネがヴォルデモートの血縁であるという事を知らない人間は多い。特にスリザリンではない人間にとって、それほどの恐怖はないだろう。

 リンネを杖を右手に持ち、立ち上がった。ナルはそれを止めようとしたが、あまりにリンネが楽しそうなのでそうもいかず。彼女は前で肉壁となっている生徒達をかいくぐり、ハリー達の前までやってきた。

 途端に三種類の閃光が向かってくるが、リンネはそれを軽々と「盾の呪文」で弾きかえす。

 それから何度も無言の攻防が繰り広げられた。リンネの一発一発の魔法の威力は凄まじく、三人同時の盾でようやく守れるくらいだった。それでも衝撃波を感じるくらい。

 対して三人組は、全力で殺しにかかってくるのは良いが、ぬるすぎる。歳もあるだろうが、苟も「闇祓い」であろうに。

 英雄もこの程度かと、リンネは顔をしかめる。すぐさま闇祓い達がハリー等を止めにかかろうと駆けつけてくるが、最後に死に物狂いでハリー・ポッターは叫んだ。

 

「『アバダ・ケタブラ』!!」

 

 緑色の閃光が迸りに、リンネへと向かった。それを「盾の呪文」で避けると、リンネはため息をついた。何だつまらない。先代を倒したと聞いたから、どれだけ強いか楽しみにしていたというのに。

 仲間に杖を奪われ、床に組み伏せられた英雄達。何という無様な姿であろうか。いやーー私が強いだけか。突然の「許されざる呪文」の行使に、大広間は唖然としていた。多くの生徒達が大広間から脱していた。

 リンネは闇祓い達に保護されると、大広間から出された。女性の闇祓いに医務室に連れて行かれ、何処にも異常がない事を確かめた。女性の闇祓いは、ため息をつきながらリンネに謝る。

 

「ごめんなさいミス・ゴーント。ポッターさんは本当は、とても優しい人なのよ。許してあげてもらえないかしら?」

「…えぇ、大丈夫ですよ。この後彼は、どうなるのですか?」

「『許されざる呪文』を使ってしまったけど…やっぱり功績もあって解雇うあアズカバン行きまでにはならないでしょうね。でも、しばらく謹慎処分って所かな」

「そうですか…彼の授業は、中々興味深かったのですがね」

 

 少し残念そうな表情をリンネは見せたが、内心は高笑いをしていた。闇祓いの女性はそんなリンネを見て、「例のあの人の血縁でも、悪い子じゃなさそうね」と思ってしまっていた。実質、ハリーの授業はつまらないモノではなかった。決して楽しい!と感じるモノでもなかったけれど。

 闇祓いの女性はリンネを連れて、再び大広間へと戻った。もう英雄達の姿はなかった。生徒達は寮に帰され、大広間に残っているのは教職員方と闇祓い達だけだった。

 皆リンネを敵対と尊敬と心配の、三つの感情の入り混じった目で彼女を見つめた。女性の闇祓いは、こっそりと他の闇祓いに耳打ちした。

 

「局長達は?」

「今別部屋に拘束している。魔法で操られているようにも見えたのだが、いくら『魔法解除呪文』を使っても変わらない。あれが本心なんだろうなーって思う」

「止めなさい。本人がいるのよ」

「あーうん」

 

 闇祓い達は小声で話しているつもりかもしれないが、だだ漏れだった。もし聞こえなくても開心術でどうにかなる。心の中を覗いた所、ハリー・ポッター達は二階の空き教室に隔離されているという。現在はマクゴナガル先生と「闇祓い局副局長」が尋問をしているという。それ以上の情報も手に入れられそうにないので、リンネは声をかける。

 

「私、もう寮に戻っても良いですか?」

「あー、もう少し此処にいてもらえるとありがたいんだけど…」

「はい…」

「じゃあさ、俺とちょっとお話しましょう」

 

 ブロンドに酷く寝癖立ったチャラい闇祓いが、頭をかきながらリンネの方へとやってきた。どうでも良いから、早く寮に戻りたかった。ナルが袖の中で蠢いているのを感じ、リンネは不快で顔をしかめた。目の前の闇祓いがそれをどう受け取ったかは分からなかったが、大きくため息をついた。

 

「はいはい、お嬢ちゃんこっちね。お兄さんと一緒にお喋りしましょう」

「…はい」

「ま、素直だなぁ」

 

 闇祓いはそう言うと、同僚からかなり遠く離れたグリフィンドールのテーブルの端に座った。リンネはその向かいに座る。

 

「俺はデュラス。お嬢ちゃんはリンネ・ゴーントだろ?」

「えぇ。…やっぱり私は、監視対象だったり?」

「まぁな。何で分かった?」

「分からない方がおかしいですよ。確かに魔フィア次期リーダーのルーク・シンシアもいますが、闇祓いや吸魂鬼(ディメンター)がやってきたのは今年からです」

「ふぅ〜ん」

 

 デュラスは訝し気な目をリンネへと向ける。目は合わせていないので、心を覗かれる事はあり得ないだろう。しかし、念のために「閉心術」をしておく。

 

「じゃあさ聞くけど…『死の呪文』って『盾の呪文』で弾けるわけ?」

「そうなんじゃないですか? 私が実際に成功させましたし…もしかすると、ポッター先生は、私の事を本気で殺そうとしてきていなかったのかもしれませんね」

「そんなもん?」

「そんなもんじゃないですか?」

 

 リンネは笑顔で浮かべ、デュラスを見つめる。妖艶で美しい笑みだった。この時、デュラスは初めてリンネの瞳を直視した。今まで悪魔みたいな魔力を秘めた真っ赤な海を、ただ無防備に見るだなんて到底できるモノではなかった。しかし、デュラスは感じた。常世に彼女よりも素晴らしく黒く輝くモノが存在するだろうか。否、だ。

 

「どうかしましたか?」

「あ、いや…」

 

 デュラスは額に手をやる。ーー自分は一体どうしてしまったというのだ。

 

「フフッ…闇祓いのお仕事も、中々大変なのですね。頑張ってください…デュラス」

 

 

 

 

 




今回は、ハリーが逆上して捕まっちゃうお話です。薬のせいですが、人肉を用いた闇の魔術が、普通の魔法でバレるはずがありません。
ハリーは原作では「インペリオ」「クルーシオ」は使用していますが、「アバダ・ケタブラ」は一度も使用していません。つまり初めてなわけだ( ̄ー ̄ )
薬の効果で、ハリーは本気でリンネに魔法を使いました。もし今回「アバダ・ケタブラ」が直撃していれば、リンネちゃんは即死していたわけです。というか、「盾の呪文」マジ万能っす。万々歳っす。

原作(本)ではアバダは「盾の呪文」で防ぐ描写はありませんが、映画版ではハリーさんしてるからね良いんだよ。
ちなみにハリーは「闇祓い局局長」です。まぁびっくり笑(◎_◎)
はい、紹介です。

【ノーバイト・デュラス】
ブロンドが特徴のチャラい闇祓い。常に睡眠を求めており、いつでも何処でも熟睡できる羨ましいスペック持ち。
これでもホグワーツを首席で卒業しており、同期の闇祓いの中で最も成績が良く、素質が高い。

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