Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜 作:カドナ・ポッタリアン
マクゴナガル教授がくれた封筒の中には、許可証、買い物リスト、地図、そして...
「7月31日キングス・クロス駅、九と四分の三番線、ホグワーツ特急」と書かれた、切符が入っていた。
キングス・クロス駅は分かる。
だが、『九と四分の三番線』なんて所があるわけない。
いや、魔法界なのだから、マグルに見つからない場所に隠されているだけなのかもしれないが。
リンネは教科書は全て読み、ほぼ暗記した。
呪文も全て試した。そして何れにせよ、上出来以上の出来となった。
科目のうち、「変身術」は実に興味深かった。
動物を人間に変身させる魔法は、まだこの教科書には載っていなかったが、きっとあるはずだ。
「魔法を作る」事が出来る、と「妖精の魔法」の教科書に載っていた。
だから、その術がないにしても作ってしまえば良いだけの話だ。
ナルについてなのだが、勿論ホグワーツに連れて行くつもりだ。
カゴの中に閉じ込めるのを、ナルが断固拒否したため、常にリンネの服の中に潜んでいる事になった。
この最終決定には、ナルは歓喜してリンネに睨まれていた(「別に、私とて好きでそんな事をしているわけではない」)。
リンネにしては、試しに服の中に入れてみると、モゾモゾと変な所に入ったり動き回ったりと色々気分が悪くなった。
『ご主人様、そのぅ...九と四分の三番線は、一体何処でしょうか?』
7月31日。
リンネは、全ての荷物をトランクにしまい、駅に来ていた。
だが肝心の、「九と四分の三番線」が見つからない。
ナルの言葉に、リンネは小声で答えた。
『さぁ、私が知るわけないだろう。魔法使いの汽車なのだから、そこらのホームにあるわけがないしな...』
『ほら、そこにいるデップリしたマグルに聞けば良いじゃないですか』
『そうだな、可哀想な女の子として駅員に聞くか』
『や、止めてくださいませんか?』
マグルか、とリンネがつぶやく。
ロングボトム教授は、リンネがマグル出身の子だと思っているらしい。
マグルは魔法の使えない人間の事だが、マグルでも時々、魔法を使える人間が生まれる場合がある。
それらは「マグル生まれ」と呼ばれる。
逆に、魔法族にも関わらず魔法の使えない人間は、「スクイブ」と呼ばれる。
「ほぅら、『九と四分の三番線』は...多分こっち」
「待ってナイン、慌てないでよ。時間はたっぷりあるんだからさ」
『九と四分の三番線』という言葉、リンネの頭の中で木霊した。
リンネの目には、カートにトランクやフクロウの入った鳥かごを入れている、同い年くらいの男の子二人が入っていた。
彼女は二人がホグワーツ生だと悟った。
フクロウなんて飼っているのは、魔法使いくらいしかいないだろう。
だが、二人の側には両親など誰もいない。
リンネは一先ず、二人の後をつけた。
「おい、オール」
カートを押して進んでいる二人の少年。
リンネは、無言で二人の後を追いかけた。バレるだなんて気にしていない。
「何?」
「後つけられてる。しかも、すっげぇ可愛い子に。ホグワーツだろうな」
「知ってる。話聞く?」
「ナンパかいオール君? 良いね〜」
「...小声のつもりかもしれないが、丸聞こえだ。間抜け」
リンネの声に、オールとナインはビクッとした。そして恐る恐る振り返る。
後ろには、悪魔同然の表情のリンネが立っていた。
「「ヒッ...」」
「私を案内しろ。『九と四分の三番線』まで」
「「は...はいぃ!」」
彼等は、リンネを上にあげて九番線と十番線の間にある、固い柵へと誘った。
それを見たリンネの反応はと言うと、
「貴様等、私を馬鹿にしているのか?」
リンネの殺気に押され、二人は思わず息を飲んだ。
「い、いえいえいえいえいえいえいえいえいえ! 滅相もありません!!」
「自信を持って通れば行けるんです!」
彼等は必死になって弁解した。
「嘘だったら、殺す。まずは、お前等が先に行け」
「は、はい...」
まずは、オールが二人分の荷物の乗った、大きなカートを押して柵へと走った。
するとどうだろうか。
ぶつかるかと思いきや、壁を貫通して消えてしまったではないか。
「ど、どうでしょう?」
「面白い、流石魔法だ」
リンネはそれだけ言い残すと、小走りで柵の向こうへ消えていった。
**
気がつくと、そこは騒がしい駅のプラットホームだった。
ただ人間界と違う所は、周りの人間の服装だ。魔法使いのローブやら何やらで、正直何だか暑苦しい。
「九と四分の三番線」と書かれた看板がぶら下がっており、ホグワーツの生徒やらその両親やらが大勢。
ただ一つ不自然な事があった。
生徒でも付添人でも兄弟家族でもない、黒いローブを着た怪し気な人達が、まるで何かを見張っているかのようにあちこちに居たのだ。
「乗るとするか」
ようやくプラットホームに入って来たナイン。
彼はオールと合流すると、リンネの姿を見つけて顔を青ざめ、汽車の中に飛び込んでいった。
「フン、馬鹿な奴らだ」
リンネはプラットホームをもう一度見回した。
母親にキスをされている女の子、父親と何かを話している双子ーー
リンネに両親はいない。母親は病死らしいが、詳しい事は何も分からない。
「『ウィンガーディアムレビオーサ』」
リンネは杖を取り出し、トランクに魔法をかけて浮くようにした。
彼女は杖でトランクを操作しながら紅の汽車の中へ入った。
誰も入っていないコンパーメントを見つけ、その中にトランクを入れて自分も中に入ると、ピシャリとドアを閉めた。
座ってナルを服の中から出した。
『だ、出さなくても良かったのに...ご主人様酷い』
ナルがぼやいたが、リンネの耳にその言葉は入らなかった。汽笛が鳴ったからだ。
窓の外には、愛する我が子を見送ろうと、必死に手を振る親達の姿が見える。
汽車がガタゴトと走り出した。
霧がかかり、やがてホームは見えなくなった。
『...ご主人様も、ああやって見送ってもらいたいのですか?』
『ナル、お前人間になりたいんじゃなかったのか?』
『うぅ...なりたいです。私は人間になって、ちゃんとご主人様に仕えたいんです。っていうか、そもそもそんな魔法ないですよ』
『ある。絶対にある。私の勘が、それだけは保証している』
『はい、じゃあご主人様の勘にかけますよー』
ナルはため息をつくと、コンパーメントのフカフカソファの上で、とぐろを巻いた。
『何だ?』
『お客様です』
ドアのガラス越しで、少々気まずそうな顔をしたオールとナインがいた。
コンパーメントが見つからなかったのか、他のに空きがなかったのかのどちからだろう。
「あ、あの...」
オールが、リンネが怒りださないか様子を見ながらドアを少し開けた。
「ほ、他のコンパーメントが空いてなくって...それで僕等、貴女のコンパーメントに入っても良いでしょうか?」
「...私よりも先に来ていたというのに、席が取れなかったのか。まぁ良い。入れ」
「あ、ありがとうございます!!」
そうお礼を言うと、オールとナインはコンパーメントの中に入って来た。
そして、リンネの向かいに座った。
「ぼ、僕はオール・ダウントと言います」
「俺は、ナイン・ダウントです。貴女のお名前をお伺いしても?」
ナインが聞いた。
リンネは、窓から見える田舎風景を見ながら答えた。
「リンネ・ゴーントだ」
『私は、ご主人様の忠実な下僕のーー』
『お前は言わなくても良い。黙っていろ』
鎌首をもたげたナルを、リンネはキッと睨んだ。
すると、ナルは口を閉ざし、オールとナインは顔を見合わせた。
「い、今...何とおっしゃいました?」
「『お前は言わなくても良い。黙っていろ』と、言ったが何だ」
「い、いえ...リンネ様は『パーセルマウス』、蛇と話せるのではないかと思いまして...」
「蛇と話せるねぇ...フッ」
リンネはナインを見て、鼻で笑った。
「だから何だ? 私はサラザール・スリザリンの末裔。話せて当たり前だろう」
リンネちゃんが、ホグワーツ特急に乗るお話でした。
オールとナインは...まぁ多分サブキャラですね。一応、これからも出て来ます。
さて、二人の紹介ね。
【オール・ダウント】
家系は由緒あるもので、一見そうは見えなくとも純潔主義者。
両親は元・死喰い人。捕まっていない。
爽やかなイメージの所為で女子に人気はあるが、彼はその気は全くなし。
ナインの兄。
【ナイン・ダウント】
オールと同じく。
目付きの悪い俺様タイプ。女子に人気はないが、一部のドMな子が近づいて来る。
オールの弟。
さて、二人は同じ11歳なわけですが、実は、「二卵性双生児」だったりします!
次呪文。
【ウィンガーディアムレビオーサ】
簡単な浮遊術。
物だけでなく、人も浮かばせる事も出来る。
ん?
「ウィンガーディアム・レビオーサ! 浮遊せよ!」ではないかって?
...気にすんな。
基本的に、後ろの日本語の部分は書く気なしです。というか、面倒なんで☆
正直、ナルが可愛過ぎる。
私も蛇好きだけど、本当に喋れたら嬉しいです。
ちなみに、ナルは毒蛇です。60cmくらいの長さの細い蛇ですね。