Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜   作:カドナ・ポッタリアン

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第四十三 ヒント

 

 リンネは談話室で、次の課題へと繋がると言われたヒントの”貝殻のようなガラス細工”を眺めていた。スリザリン生は気を使ってリンネに話しかけてこないが、ナルだけが執拗に腕に絡みついてきた。この蛇は、軟体な体を巧みに使ってリンネの体を這いずり回るとんだ変態だ。話せるから分かる。こいつは変態だ。

 しかし、不快感を覚えるわけでもその逆でもないリンネは、至って平常を保っていた。ただ今は、ソファに寝転んでガラス細工をランプに透かして見ていた。

 取り巻き達も一緒にこれが何なのかを考えるが、一向に思いつかない。

 

「貝殻と聞いて連想するモノは?」

 

 オールが隣に座るナインに問う。

 

「海。だけどホグワーツには湖しかないぜ。貝殻も多分ないだろうし…」

「この貝殻、種類が何だか分かるか? オール」

 

 リンネはつぶやくようにしてオールに尋ねた。彼は案外博識で、リンネがどうでも良いと思って覚えていない部分も全て記憶している。要は人間辞書。

 

「それは普通のホラ貝です」

「ホラ貝…一体これが、どういう意味合いを示すんだ?」

「海の貝のはずだけど、うーん…」

 

 比較的大きなガラス細工の裏側には、穴が開き、中は空洞になっていた。少し力を入れただけで割れてしまいそうだったが、流石魔法界の道具と言うべきか。いくら圧力を加えても、曲がる様子さえ見えない。

 すると、ナルが貝殻を持つ右手の腕を伝って、貝殻をよくよく観察し始めた。

 

『うーむ…何だか普通のガラス細工じゃないですね』

『それは重々承知だ。問題は、これが一体何なのか。まぁ、課題のヒントなんぞなくたって、私は容易くこなせると思うがな』

『グリフィンが良い例ですね』

 

 パーセルタングを使った事により、リンネにはより興味と羨望の視線が向けられる。魔法使いの血が徐々に薄くなっているこの時代で、このような魔法界特有であり稀有な能力は賞賛の的なのだ。勿論、誰も他の寮生に話したりなどしない。先生方は授業中パーセルタングが聞こえても、耳鳴りだろうと決まって、自分の中で都合の良い言い訳を作る。こちらとしては、かなり都合が良かった。

 古くより闇の魔法使いの証とされた蛇と話す能力。サラザール・スリザリンの血を濃く純血のまま受け継いでいる事は既に知っているが、両親も祖父母もリンネは知らない。機会を伺って調べてみようとも思っているが、今はそれ所ではなかった。

 

 第二の課題以前に、トーナメントの伝統である「ダンスパーティ」が行われるのだ。寮監により事前説明はあったモノの、それも悩み所だった。第一に、代表選手は必ずパートナーとパーティに出なくてはならないという事、第二に、相手がいないという事。

 誰も恐縮して誘おうともしないし、リンネが適当に誘っても上手くかわされるだけだった。リンネとお近づきになるチャンスでもあるが、それ以前に彼女の放つ魔力と視線が、皆何よりも恐ろしいのだ。故に、パートナーが出来ない。というか誘われない。

 

 ナルを人間化させるのもありだとは思ったが、クロートに「ダメです」と一刀両断されてしまった。これはナルは残念がっており、リンネはもっと大きく唸った。一体誰と行けば良いだろうか。まぁ誰でも良いので、リンネは呪文学の授業が終わった後、隣にいたオールを誘った。

 

「オール、私のパーティでのパートナーにならないか?」

「えッ?! 僕がですか?!」

 

 突然オールが叫ぶので、教室中の生徒がこちらを向いた。

 

「あぁ、相手がいるのなら良い。…先生でも誘うか」

 

 オールとナインは二卵性双生児で顔の似ていない双子だが、いずれも容姿も血筋も良い。寮問わず女子達にモテるのは確かだが、いつもリンネの隣にいるので、近寄ろうも近寄れないようだった。

 

「いえいえいえいえ! 僕は元より行く気はあまりなく…誰にも誘われていません」

 

 正しくは、「誰も誘えない」のが現状だ。皆、リンネに睨まれる事を怖がっている。寵愛しているわけでもないので、別に誰と踊ろうがリンネには関係ないが。面倒な奴ではなければ良い。

 

「そうか。ではお前にしよう。…ナインはパートナーが出来たのか?」

「いえ…あいつは何というか、顔は良いけど性格が悪いですので」

「では、ナインには好きに女子と踊れとでも言っておけ。…生徒会だと、尚更良い」

「だそうだぞナイン」

 

 オールは教科書をしまっていたナインを小突く。ナインは肩をすくめ、苦笑を浮かべる。

 

「へぇい、分かりまっせ。丁度レイブンクローに生徒会の地味子ちゃんがいたんだ。適当に落としておく」

「流石”女誑しのナイン”。生徒会は確か三年生から入れるのだろう? 今年は忙しくて無理かもしれないが、来年こそは入れ。そのためにも…」

「分かっていますよご主人様。んじゃ、俺はちょっと冒険に行ってきます」

 

 *

 

 結果、ナインは生徒会役員の眼鏡をかけた地味な女子を虜にする事が出来た。ホグワーツのナインファンは寄ってたかってその地味子をいじめたが、地味子はその悲しみよりも、学校人気の高いナインのパートナーになった喜びの方が上回っていたようだった。

 地味子そのあだ名の通り地味だが、ナインのパートナーとなる事に少し抵抗があるようにも見えた。それは、生徒会という立場上、ナインがリンネに近い取り巻きである事を知っているからだ。しかし、地味子にはナインが本気で自分を好いているという自信があった。

 

 ナインと地味子が順調で何より。

 リンネはオールと特に恋人的な絡みはないので、図書館に入り浸ってガラス細工について調べていた。レノアやクリストのヒントも同じで、彼等も調べ物をしていたが、お互い目を合わせようともしなかった。

 ホラ貝は代表的な海の貝。レノアやクリストがそれに気がついていないとは考え難い。海の水は塩水なので、試しに海水に見立てた塩水に浸からせてみる事にした。

 

 部屋に深い水面器と塩水を用意して、リンネは深夜にそれを行った。つい先ほどまで、禁書の棚で闇の魔術について勉強していたのだ。シンシア邸にはない禁書の術。課題の事も考えなければならないが、闇の魔術に関する勉強も大事だ。

 机の上に洗面器を置き、その中になみなみと塩水を注ぐ。ナルは床を這いずり、首を持ち上げてその様子をジッと眺めていた。

 

『ご主人様、何か起こるでしょうか?』

『さぁな。知恵比べと言っても簡単すぎるし…もしかすると、課題は難しいのかもしれないな』

 

 リンネはそう言うと、ホラ貝のガラス細工を塩水に浸からせた。しかし、何ら変化は起こらない。簡単すぎると思っていたが、ハズレだったようだ。

 リンネが諦めて持ち上げようと触れると、ガラス細工が光りだした。ガラス細工の穴の中から、プクプクと淡く光る泡が浮かんできて、水面にて消えた。

 驚いてその泡を見つめていると、ホラ貝の中に何か生物のようなモノが見えた。見覚えのある、その水中の生物、これはーー

 

「『海蛇』?」

 




ホラ貝って外国にもあるんでしょうか? まぁ、なくても私は気にしませんぜ。
え、課題は手抜き? もっと内容入れろこんにゃろー? 仕方ないよ私そんなに頭良くないんだから。スピーチ書いたら問答無用で先生に修正入れられる文章力なんだから。

さて今回は、少しだけガラス細工に触れて、ナインが地味子ちゃんを誑かすお話でした。ガラス細工って綺麗ですよね。よく海辺のお店とか売っていたりしますが、リンネちゃんが手にしているのもそんな感じです。
ちなみに、生徒会の設定は私あまり考えていませんでした。外国自体に生徒会というモノがあるのも正直知らないのですが、ググるのもめんどくさいからね..…ウン。

ホグワーツ魔法魔術学校の生徒会は、あまりおおっぴらなモノではなく、あくまでも問題児や要注意人物の監視が目的として作られたモノです。生徒会の監視対象からリンネは逸れましたので、リンネはあまり生徒会に興味は示していません。興味があるとすれば、生徒会が要注意だと監視している人物達ーー

んじゃ紹介。

【地味子(ウィル・コンツェルン)】
ホグワーツ魔法魔術学校四年生。レイブンクロー寮所属。
黒髪におさげ、眼鏡をかけて化粧もあまりしない地味な女の子。しかし成績は良く、レイブンクローの中でも抜きん出た才能を内に秘めている。
友達も少ないが、ヘレナ・レイブンクローと仲のよい数少ない人物でもある。現在ナインに誘われて超ハッピー。
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