Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜 作:カドナ・ポッタリアン
「そういえばナル、お前はどうやって人になった? この寮にあの魔法がかけられる人間はいないと思うが」
「あぁ、教授がかけてくれたんです。どうせなら君もはっちゃけようぜ、みたいなノリで」
「あの男...」
菓子やジュースやらを飲み食いして皆で駄弁っている所、リンネは一番気になっていた事を問いた。
クロート教授は、「変身術」の教授であの魔法を教えてくれた張本人だ。そりゃあ使えるだろう。部屋で留守番をさせていたつもりだったが、どうやら騒ぎ声につられて外に出てしまったらしい。
別に咎めはしない。いくら蛇でも楽しみたいだろうし、周りがパーティをしているのに部屋で一人だなんて寂しいだろう。
「リンネ様、『第三の課題』の目処は立っていますか?」
「目処か...特に計画立てはしていないな」
課題の内容を知っていてもつまらないし、とリンネがつぶやけば、話しかけてきたナインは少し首を傾げる。
「本当に宜しいのですか? 確実に優勝するためには、先に内容を知っていた方が良いのでは...」
「私があの愚か者二人に負けるとでも? 馬鹿を申すな」
「申し訳ありません、リンネ様。そのようなつもりではなかったのです」
「まぁ良い。...第三の課題、楽しみだ」
*
ホグワーツには、「黒い湖」と呼ばれる巨大な湖がある。
水中人や巨大イカ、貴重な薬草も生える不思議な湖だ。噂ではホグワーツ創設者達の私物が沈んでいるだとか、スリザリンの怪物が湖にも眠っているだとか。
リンネはこの湖が好きだ。人が少なく、春夏秋冬全ての季節を通して美しい。自然は人の心と対をなしている。リンネはその中で過ごすのが心地よいのだ。
しかし、そんな湖には、憎きアルバス・ダンブルドアの墓がある。汚らしい...壊してしまいたい、粉々に。
そう思っているのは、決してリンネ・ゴーントだけではない。湖に停泊している船の船長もまた、その墓を忌々しく感じるのだ。
「あの墓、どうにかならないか? うざったらしくて仕方ないんだ」
「今すぐに破壊してきても良いですよ、兄さん。国際問題に発展しちゃうや」
「君がやってきてよ。ほら、従者じゃん」
「従者の使い方を間違ってるよ...」
ウィスプ兄弟は顔を見合わせて口角を上げる。
自分の学校の代表選手は、現状では二位。良い方なのだろうが、リンネ・ゴーントと比べるとどうも霞んでしまう。
「それにしても、リンネ・ゴーントの呪文は凄かったなぁ...折角湖の中にトラップを仕掛けたのに、全くの無意味になってしまったよ」
「レノア・ブランシャールが激怒してたね」
一応レノア・ブランシャールにリンネ・ゴーントの邪魔をすると約束していた。課題が終わった後、物凄い剣幕で詰め寄られたのを覚えている。
だが、あれは仕方がない。まさか湖に一歩も足を入れずに課題を成功させるだなんて、規格外も甚だしい。
流石、というより、おかしい、と思ってしまうほどの魔法の才能。聞く話、彼女は「面白くないから」という理由で課題については全く情報収集を行っていないらしい。
皆が死に物狂いで挑むこの試合に、彼女はただの
「そうだ、調べてみたかい? リンネ・ゴーントの出生」
「まぁね。けれど、あまり良い情報は入らなかったよ。リンネ・ゴーント、十三歳、孤児。以前住んでいたロンドンの孤児院『グラヴ』は、何者かの引き起こした火事によって消失、現在は魔フィアグループの首領、シンシア家に滞在...後は、純血、闇の帝王の血縁者という事くらい」
「闇の帝王は確か、混血だったな。という事は、娘や孫ではないのか...」
「みたいだね」
リンネ自身も、自らの出生はよく知らない。しかし、スリザリンの直系の者だというのは確かだ。
「本人に聞いてみれば?」
「僕が調べても分からなかったのに、本人が知ってるわけないじゃないか。というか、何で人任せなんだよ」
「私はほら...校長の職務が忙しいから」
「ワインを飲んでダラけるのが職務ってんなら、確かに忙しいね。じゃあその仕事、サボっちゃおうか」
そう言うとチェイスは、机の上にあった無数のワインボトルを魔法で消し始めた。慌てて止めるメイツキーだが、火のついて弟はもう止められない。これは泣きすがってでも止めなければならない。アル中のメイツキーにとって、ワインを消されるのは何よりも地獄なのだ。
「止めてくれチェイス! 本当、マジで止めて!」
「はッ、じゃあ酒飲んで死ね。そしたら僕が校長職引き継ぐから」
「アルコールはね、体に良いんだよ! 飲んだら頭がボーッとして、テンションが上がるんだ! 楽しいんだ!」
「もはやクスリじゃん! 止めようよもう...」