Nightmore named the blood relative 〜新たな「闇の帝王」となった少女〜 作:カドナ・ポッタリアン
ハグリットを先頭に、皆は中へと入っていった。
中は、大きな大広間だった。
四つの長い長いテーブルが並び、その奥の上座の横長テーブルには、それぞれ個性のある教職員方。それと向き合うように座るのは、ホグワーツの上級生達だった。
天井は、美しい星空が広がっていた。屋根があるはずだ。なのに、何故空がーー?
何千というロウソクが宙に浮かんでいた。
テーブルに並ぶ金で出来た皿やゴブレットが、眩しく光っていた。
見るもの全てが新しくて、これだけでも楽しかった。
髭もじゃの大男は、一年生を教職員テーブルの前まで引率した。
テーブルの真ん中の大きなイスには、マクゴナガル教授が座っていた。
テーブルの前には、古びた小さなイスがちょこんと置かれていた。その上には、とんがりの魔法使いの帽子ーー
すると、帽子はピクピクを動きだし、つばのへり近くがパックリと口のように開き、歌い始めた。
♪ ホグワーツ ホグワーツ
君等は新しい我々の仲間
全てが不可思議で 魔法で溢れている
君等は選ばれた人間 そう
選ばれし者なんだ
それぞれ得意 不得意があって
私がそれを見ぬこうぞ
それぞれにあった寮の名を
私が君に教えよう
グリフィンドールに入るなら
勇猛果敢な騎士道を 君は貫き続けるだろう
ハッフルパフに入るなら
君は温厚柔和で 勤勉で誰隔てなく親切だ
スリザリンに入るなら
君は狡猾俊敏で グリフィンドールとはちと違う 君は新たな勇気持つ
レイブンクローに入るなら
英知と賢さ備え持つ そして新たな知恵求む
怖がらないで この私を
頭に乗せて待ってご覧
私が全てを見透かして
教えてあげよう寮の名を!
歌が終わると、大広間は拍手喝采の大団円となった。
帽子はぺこりととんがりを下げた。
リンネはその動作を見て、心の中で何かがうごめいたような気がした。
拍手が止むと、サラサラした白髪を持つ水色の瞳の、若い魔法使いが教職員テーブルから離れ、帽子の所までやってきた。
手には、長い羊皮紙が握られている。
「では、ABC順に名前を呼びます! 呼ばれたら、前に出て帽子を被ってください」
彼は、羊皮紙を見た。
「アイル・マリア!」
「ブート・テリーダ!」
「キャメル・アンダーソン!」
次々と名前が呼ばれ、帽子は四つの寮へと生徒達を分けていく。
オールとナインの名も呼ばれた。
二人は「スリザリン寮」だ。
「ゴーント・リンネ!」
リンネの名前が呼ばれた。
リンネは前に進み出て、帽子を取ろうとした。其の時ーー
「私に触れるな!!」
組み分け帽子が叫んだ。
大広間中が其の声にビクッと反応した。
彼女は、組み分け帽子に伸ばしていた手を戻した。
羊皮紙を読み上げる魔法使いは、何処か楽しそうな、期待している、そんな表情をしていた。
そして、リンネは優しく尋ねる。
「それは...どういう意味でしょうか?」
偽物とは見えない笑顔を取り繕う。
「その汚れた手で、私に触れるな!」
再びてを伸ばしたが、帽子は全力で怒鳴った。
背からは生徒、前からは教授、全ての視線がリンネの元へと集った。
リンネは不敵にもフッと笑った。
「汚れた手?」
「そうだ。お前はその手で...何百何千という数多の命を散らして来ただろう」
「それは、中々聞き捨てなりませんね...」
リンネは優しく微笑む。
何が混ざっているであろうか、そんな純粋な作られた笑み。それは今まで、子供、大人から老人まで全てを魅了してきた。
その瞳、笑みーー魔が埋め込まれて意図して作られた、美しき少女。
真っ赤な瞳は、笑ってなどいなかった。
「私が、何時何処で誰を殺したと?」
リンネは、グッと帽子に顔を近づけた。
「何を言う、『闇の帝王』め」
すると帽子は、リンネにしか聞こえない言葉を、吐き捨てるかのようにつぶやいた。
「アハ、面白い冗談ですね。しかし、このままでもね...さぁ、貴方が私が触れる事を許さないのなら、この場で言ってくださいな。私の寮の名を」
「...クッ、スリザリン!!」
大広間は静まり返った。
帽子の声が、何処までも遠く木霊した。
静寂が星空で空回りをした。
拍手喝采? そんなものは起こらない。
寮生の声? そんなものは聞こえない。
それでもリンネの心は、満足と慢心に溢れていた。
右から左まで全ての視線を感じる。
彼女は戸惑う様子などチラとも見えず、高慢に堂々とマントを翻し、スリザリンテーブルに座った。
さて、どのくらい時間経っただろうか。
よく分からない。
組み分けが何時の間にか終わっていた。
ただ分かっている事は、リンネの前後左右三メートル範囲には、誰一人近寄ろうともしなかった。
「さぁ、一年生の皆さん!」
マクゴナガルが、イスから立ち上がった。
「ようこそ、ホグワーツへ! 私は校長のミネルバ・マクゴナガル。新入生の皆さん、これから貴方達は様々なモノに出会い、そして学んできます。恐れる事なく、立ち向かってください!
在校生の皆さんは、気を抜く事なく、新入生にシッカリと胸を晴れるような先輩となってください」
マクゴナガルは微笑む。
この耳が痛くなるほどの静寂と、このピリピリとした冷たい空気を切り裂こうと、声を張り上げた。
「さ、さて...森番のハグリットからの忠告ですけども、『禁じられた森』には、決して入らないように。そして、今年からホグワーツは特別措置として、校内は『闇祓い』。校外は『吸魂鬼』が守る事になりました」
マクゴナガルの言葉で、次に大広間はザワザワと騒がしくなった。
闇祓い? 吸魂鬼? リンネには何が何だかよく分からなかった。
「皆さんは、決して『吸魂鬼』を刺激しないように。彼等は、聞く耳なんて持ってませんからね。『闇祓い』達に関しては、ほぼいない存在としてください。あちら側も、それを望んでいます。では...」
マクゴナガルは手を二回叩いた。
すると、たくさんの輝く金の皿には様々な料理が現れた。
生徒達は、思い思いに歓声を上げた。
「よく食べ、よく飲みましょう!」
**
『ご主人様は、相変わらず「ボッチ」ですね』
夕食が始まり、しばらく経つとナルは服から出て来てため息をついた。
リンネは飲み物だけ口にし、豪華な料理には全く手をつけなかった。その代わり、魔法で作られた星空を眺めていた。
『...だから?』
『可哀想に。早く私を人間にしてくださーいな』
『まだ呪文を知らない。作り方も分からない』
『「アニメーガス」の逆versionですね。人間になれたら』
『お前は時々、よく分からない言葉を使うな』
ナルから発された「アニメーガス」という言葉に、リンネは首をかしげた。
『「アニメーガス」というのは、高度な変身術です。別名、”動物もどき”。人間から動物に変身する術ですね。かなり危険なモノなので、【魔法省】の登録が必要です。私が人間になったら...”人間もどき”ですね』
『お前は何故、そんな事を知っている。...そもそも、呪文を教えてくれる人間などいるだろうか?』
『だーいじょうぶ。ご主人様は、「ボッチ」ですから』
『今、世界中の「ボッチ」を敵に回したな』
さて、今回は比較的短かったですね...え? 何時も短いだろう、このクソって? ...ぐすん、この鋼はぁとには傷一つつかないもんね!
というわけで...
今回のお話は、組み分けでてんやわんやの話です。そして、ナルから衝撃の「ボッチ」告白!とね。
組み分けの歌ですか、あれはメロディーも出来てまーすよ。でもちょっと短かったかな。羊皮紙を持った男の人は、その後の重要人物となります。
組み分け帽子がリンネちゃんに「闇の帝王」と言った理由、分かりますかねぇにやにや。あ、考えるだけにしてくださいね?
あと、感想で「あのお辞儀」の血縁にしてはコミュ障だなという意見が出ておりました。
うん、多分そう見えるんだろうね(遠い目
リンネちゃんは、今回でも描写のあった通り見た感じはナルの言う通り「ボッチ」なのですが、実際はそんなモノじゃありません。
彼女は、周りと自分の格差を開け過ぎる事で、あまり近寄られないだけです。
ほら、高慢とした態度で歩いて、マント翻してイスに座るような厨二地味た奴に、誰が話しかけますか?
勿論彼女も意図せずやっている事なのですが。
当たり前の事ですが、血縁者としてやる事はやる気ですリンネちゃん。
なので、これからは「ボッチ」ではなくなりますね。いやー楽しみ楽しみ。
さて、一応「アニメーガス」の紹介。
【アニメーガス】
特定の動物に変身する事の出来る能力。
もの凄く危険であり、その能力を手に入れるまでも時間がかかる。
悪用される可能性もあるので、魔法省が厳重に管理している。
ちなみに、マクゴナガル教授は猫の「アニメーガス」だにゃーん。
この話は、出来れば原作を読んだ方向けなのですが、映画のみという方にも、分かるのか不安です。
「魔法省」についても紹介。
【魔法省】
所謂、魔法使い達の公的な機関。
日本で言う所の、国会と内閣と裁判所が一緒になった感じの場所。
最高権力者は、「魔法大臣」と呼ばれる。
賄賂、コネ、権力乱用ーー若干腐敗している部分もあるが、かなり改善されてきている。
何故か、一字開けが出来ない。
バグか何かかな?
じゃあ、お休みにゃー